小説(幽☆遊☆白書~2ND STAGE~)
――棗の家の前 飛影は棗と楽しそうに話しをする雪菜の姿を家の影から見ていた。 (どうやら、雷禅の昔の仲間に助けてもらったようだな) 飛影は、人間界から飛ばされて魔界に来た桑原から、雪菜も一緒に魔界に飛ばされたと聞かされた。 雪菜の安否が気になり、…
――魔界のとある場所。 ここに一軒の家がある。 家の入口のドアが開くと、小柄の可愛い女の子が外に出てきた。 ス~ゥっと外の空気を吸うと空を見上げる。 「和真さん、大丈夫でしょうか」 この女の子の名は雪菜。 本来なら氷河の国に住んでいる氷女の妖怪であ…
ーー魔界24番地区 ゆりは幽助と楽越が寝ているところに帰ってきた。 彼等はさっきまでと同じ格好で寝ている。 幽助のイビキはますます大きくなっているし、 楽越はリュックがヨダレでベチャベチャになるほどかじっている。 (まったく呑気な連中ね…。) ゆりは…
ーー魔界24番地区集落・間田愚 妖怪たちの屍の中から現れた少女は、名前をゆりと名乗った。 幽助はゆりにこの集落で起きた事を聞いてみる。 「おめーは、こいつらが、何でこんな状態で死んでるのか知ってるか?」 ゆりは少し困った顔で答える。 「ごめんなさい…
ーー魔界24番地区集落・間田愚 スープがあった家から出た幽助と楽越は話し合って、 これからやることを再確認。 これまでと同様に、まずは集落に住む妖怪の捜索が最優先事項となった。 小さな集落でも少なく見積もっても500匹から1000匹の妖怪が暮らしている…
ーー魔界24番地区 「何だ、おめーも魔界統一トーナメントに参加するのかよ」 さっきは天然発言はあったものの、ようやく楽越の目的が、魔界統一トーナメントに参加する為ということが分かった。 「ああ。3番地区で大会があるのは知っていたんだが、道に迷っちゃ…
ーー魔界24番地区 この地域は、魔界の中でも特に辺境の地であり、森は少なく広大な大地がある。ここには、魔界でも珍しい能力を持った種族の妖怪が多く生活している。 そして幾つかの集落があり、その一部は敵対している。 この地区についさっき到着した男が…
――居城の一室 駁「おい比羅、お前はあの男の策に従うのか!」 機嫌が悪く、部屋の装飾品にあたっている。 比羅「樹の言う通りなら、あいつの策に従って、 私たちは動いた方が得策だ」 王の勅命が出ているとはいえ、駁はやはり妖怪である樹の策に従うっていう…
――人間界 黄泉「魔界だ」 黄泉の口から桑原を飛ばした場所が明かされた。 幽助・蔵馬「魔界!?」 同時に驚く二人。 黄泉「そう、魔界だ。俺の空間転移の術でな」 幽助「でもよー黄泉、何で魔界なんかに飛ばしたんだ?雪菜は妖怪だから大丈夫だろうが、桑原…
――深い森の中を桑原は、全力で走り続けている。 酒王と桑原の果てしない鬼ごっこは続いている。 酒王「おい貴様!いい加減に逃げるのやめてこっちに来い!!」 ドスドスドス 大きな足音が森の中に響き渡っている。 酒王は短足で走るのは遅いが、桑原を見失し…
――深い森の中を二匹の妖怪が歩いている。 彼等は躯の配下の妖怪、月畑と酒王である。 ※月畑と酒王についてはこちらを参照してください。 nanase1500.hatenablog.com nanase1500.hatenablog.com 月畑「人間の反応はこっちの方だぞ」 酒王「しかし、意外と人間…
――とある森 桑原「こ、ここは…まさか!?」 どこかで見覚えのある光景。 とりあえず落ち着こうと、 自分の額を指でポリポリと掻いた。 桑原「ハハハッ…、流石にそんなわけねーよな…」 頭の中で考えても辿り着く先に出てくる答えは、 もう一つしかないのだが…
比羅「トドメだ。死ぬがいい」 ビューーーン!! 修羅(殺られる!!) 黄泉「修羅ァァァァ!!!!!」 バッ!! 黄泉は修羅の下へ飛んだ。 迫り来る比羅。 修羅(かわせない……) 死の恐怖から目を瞑る。 恐怖心が彼の心を支配する。 修羅(…死にたくない……) ドゴ…
――互角の戦いを繰り広げている黄泉と比羅。 比羅「あれは貴様の息子か?」 黄泉「そうだ。それがどうかしたのか?」 比羅「そうか」 比羅、ニヤリ。 比羅はこの時、完璧と思われた黄泉の弱点に気付いていた。そしてその黄泉を倒す為の策は既に考えついていた…
黄泉「俺か?俺の名は黄泉だ」 修羅が黄泉の側まで桑原を運んできた。 桑原(…だ、誰だこいつらは…?) 桑原の目に映ったのは目を瞑った男と生意気そうな感じの小柄の少年の姿だった。 二人の頭についている角、そして感じる巨大な妖気。 彼等が人間ではなく妖…
比羅「初めまして桑原。私はお前の力が欲しい」 桑原(!!) 桑原は比羅を見た瞬間、全身に鳥肌がたった。 この感覚は久しく忘れていた。 いや忘れていたかったのかもしれない。 初めて戸愚呂(弟)が100%になったとき以来だ。 この感覚が行き着く先、それは恐…
ーー桑原の自宅。 雪菜「和真さん、朝ですよ~。起きてください」 桑原(zzz…) 昨日の夜は飲み過ぎたせいか、よく眠っている。 雪菜「和真さん、起きてください」 桑原(う~ん…) どこからか聞こえてくる声が心地よい。 雪菜「和真さん、今日はお出かけですよ…
――翌日の午後。 前日に起こった、雪菜のピンチを助ける為に、久々に霊気を使ったせいで、桑原の身体は筋肉痛ならぬ軽い霊気痛になっていた。 身体の痛みの為、自分の部屋のベッドで横になって、朝からずっと起きずに寝ていた。 霊気痛の症状は、ピキッっとく…
――自宅を出た桑原は、お腹を満たす為、幽助のラーメン屋に向かって暗い道を一人歩いていた。 ピューっと冬の寒い風が吹く。寒さにブルブルと震える。 桑原「チクショー。本当に冬の夜って感じで寒いぜ」 見覚えのある女性の姿が前の方から見えてきた。 幽助…
――幻海のお墓参りの翌日。 ここは桑原の自宅。 外は日が暮れて暗くなり、もう夜と言える時間帯になっていた。 桑原は部屋のベッドで寝転がって天井を見ていた。 墓参りの後から桑原はずっと悩んでいた。あのとき感じた謎の視線が原因だった。 桑原「なんか幻…
――寒い冬のある日。とある墓地に、墓参りに来ている男女の姿があった。 桑原と静流と雪菜である。 雪菜「静流さん、お水の入れ替え終わりました」 静流「ありがとうね、雪菜ちゃん。こっちもお墓の掃除が終わったわよ。和、雪菜ちゃんにお花を渡してよ」 桑…
――人通りの少ない路地裏 幽助と蔵馬にとっては久しぶりの再会であった。 幽助「蔵馬、おめーに会うのは数ケ月ぶりぐらいか」 蔵馬「そうだな。しかし幽助と黄泉にここで会うとは思わなかったから本当に驚いた。それより…」 蔵馬は壁を背に腰を下ろしている黄…
――広い建物の跡地 黄泉「魔古忌流炎裂撃」 比羅(!!) ドガァァァ!! 黄泉の切り札炎裂撃が比羅の胸部に直撃する寸前、 比羅は咄嗟に右に避けた。その為、黄泉の一撃が急所から外れて比羅の肩に直撃した。 黄泉「避けられたか」 比羅の左肩が黄泉の一撃で黒…
幽助は感じた妖気の場所に向かって夜の街を全力で走っている。 幽助(人間界で黄泉があれだけの妖気を出して戦っている相手ってのは一体何もんだ?) 幽助は身体の中に湧き上がってくる熱い何かを感じていた。 ――辺りには誰もいない広い建物の跡地。そこで黄泉…
――黄泉と修羅に会った日の翌日。 幽助は某TV局の裏口に訪れていた。 母である温子が持ってきた依頼を達成する為である。 その依頼とはカルト三人組のサインと小兎の私物を手に入れるというもの。 幽助「いつも悪いな」 小兎「いいですよ。これもファンサービ…
「久しぶりだな。おめーの挨拶にしたらちょっと手ぬるい感じだったぜ、黄泉」 黄泉「戯れだ。浦飯、魔界統一トーナメント以来だな」 ゆっくりと黄泉の側に歩いていく幽助。 幽助と黄泉は、三年前の魔界統一トーナメントの三回戦で対決した。 この試合で幽助…
――幽助が螢子と会った日の夕方 幽助はいつものようにラーメンの屋台の準備をしている。 幽助「スープはこれで完成っと」 味見をしてスープの味を確認。その出来栄えに満足。 それからラーメンの材料に使う、食材を確認。 幽助「やべーな。ちょっと材料が足り…
幽助「俺、魔界に行こうと思うんだ」 螢「はぁっ?あんた…いきなり人の家に来るなり、何言ってんのよ」 桑原と会った翌日に幽助は、再び魔界に行く話しを螢子にする為、彼女の家を訪れていた。 そして顔を合わすと同時にいきなり本題を切り出したのだった。 …
――寒い冬の季節の夜の路上で、一軒のラーメンの屋台が営業している。 「おっちゃん、ラーメン出来たぜ!」 威勢のいい声で出来上がったラーメンをお客に差し出す店主。 そして出されたラーメンを美味しそうにすする中年のお客たち。 「がっはは!仕事終わっ…
――蔵馬たちが立ち去って、1時間後の河原崎の建設現場。 警察やその関係者たちが、通報を受けて爆発した現場を検証していた。 「さっぱりわからんな」 「ああ。これだけ探しても爆発の要因となるものが見当たらない」 ここで現場検証している警察関係者の一人…