nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #109「二回戦終了(大会編)」

――魔界統一トーナメントCブロックの二回戦・第八試合

 

凍矢(とうや)
×
戸熊(とぐま)

 

ーー Cブロック

 

カキーン!!

 

凍矢と戸熊の剣が激しくぶつかる音が闘場に響き渡る。

 

ビューーン!!!

 

戸熊の鋭い剣が凍矢の頬をかすめる。

頬の皮膚が切れて血が流れる。

凍矢は左右から次々と繰り出される双剣を呪氷剣でさばいているが、剣術では凍矢を上回る戸熊に苦戦していた。

だが、既に両者は約一時間に渡り、剣だけで戦い続けていた。

 

「この戦いも飽きてきた。見せてやろう凍矢。俺の必殺剣を」

 

戸熊はそう言うと双剣を胸でクロスさせた。

 

ブォォォォ!!!

 

クロスさせた双剣に妖気が蓄積されていく。

 

「己龍流奥義バージョン2・グランドクロス

 

(!?)

 

ピカーー!!!!

 

クロスさせた双剣が眩いばかりの光を放った。

するとXの形の光の刃が凍矢めがけて飛んでいく。

 

「くっ!!」

 

光の眩しさで目をやられていた為、光の刃の軌道が読めない。

 

(これはかわせん。ならば!!)

 

ブォォォォォォォォ!!!

 

瞬間的に妖気を爆発的に高めた。

攻撃をかわせないと凍矢は判断し、防御だけに集中した。

 

ザシュッ!!

 

Xの形に凍矢の胸元が切り裂かれた。

凍矢の身体が攻撃を受けた衝撃で後ずさる。

 

(……流石は躯の直属戦士。“剣”だけではどうやら勝てないようだ)

 

「その傷では速い動きは出来まい!!もらったぞ凍矢!!」

 

ビューーーン!!!

 

双剣を振りかざし一気に斬りつける。

 

ガシッ!!!!

 

呪氷剣で双剣を受け止めた。

 

「その傷で動けるのか。しぶとい奴だ」

 

ーーメイン会場

 

小兎が試合の実況をしている。

「Cブロックの二回戦最終試合は剣と剣による激戦となっています!!戸熊選手の二本の剣による動きは、魔界最強の剣神と言われているだけあって本当に凄まじい剣技です!!対する凍矢選手もその剣神を相手に剣で善戦しています!!」

 

観客たちも凍矢と戸熊の戦いを固唾をのんで見守っている。

 

「飛影と周の試合も凄かったが、こっちもなかなかだ。二回戦からこんなに激しい試合かよ」

 

妖怪のカップルが観ている。

「お前はどっちを応援しているんだ?」

 

「あたしは凍矢かな。カッコイイもん」

 

観客の女性の言葉に凍矢の事が好きな小兎がピクッと反応。

(確かにカッコイイよ。凍矢負けたら駄目よ)

 

ーー選手たちの休憩所

 

陣と死々若丸がスクリーンに映し出されている凍矢の試合を観ている。

「剣はやっぱり戸熊の方が強いかな」

 

「ああ。俺も剣を使うからよく分かるが、戸熊の動きに無駄がない。まさに剣神と言われているだけはある」

 

頷く陣。

「確かに凍矢は剣では分が悪いけど、あいつが力を出せば…」

 

死々若丸、ニヤリ。

「戸熊はなすすべもなく敗れ去る事になる」

 

ーーCブロック

 

「このまま押し切ってやるぜ」

 

戸熊はそのまま押し込もうと剣に力を込める。

だが、

 

ガキーン!!

 

凍矢は双剣を弾いた。

 

「まだそんな力があるのか」

 

「ここまで剣を使える奴が躯のところにいるとはな。剣だけでお前を倒せると思っていた自分が恥ずかしい」

 

「フッ、俺に剣で勝てる奴はいない。まだその傷で戦う力が残っているのならお前の力を見せてみろよ。本当の力を出したお前を倒したいのでな」

 

「いいのか?後悔する事になる」

 

バッ!!

 

そう言うと凍矢はバックジャンプで間合いを取った。

 

「見せてやろう。これが俺の力だ」

 

ブォォォォォォ!!!

 

凍矢の妖気が爆発的に上がると同時に、当たり一面に冷たい空気が流れる。

 

「凍矢、これがお前の真の力か!?」

 

凍矢、ニヤリ。

「戸熊、さっきの俺の傷をよく見てみろ」

 

グランドクロスによって切り裂かれた凍矢の胸を見る戸熊。

 

「……俺のグランドクロスをまともに受けてその程度の傷なのか!?」

 

凍矢の胸は確かにグランドクロスによりバックリと切り裂かれた。

だが、その傷跡は浅く、血も少ししか出ていなかった。

 

「お前の攻撃をかわせないと判断した俺は瞬間的に妖気を爆発的に高めて防御に集中した。その結果がこれだ。これが意味している事がお前に分かるか?」

 

「……クソッ。俺とお前の妖力の差だ……」

 

凍矢は無数の小さな妖気の塊を作り出した。

小さな妖気の塊は周りを浮遊している。

 

「戸熊、覚悟はいいか」

 

「……来いよ。確かに凍矢、お前の妖気は俺を遥かに上回っている。だが、俺は偉大なる躯様の直属戦士。引かないぜ。受けてたつぜ」

 

凍矢は浮遊する小さな氷の塊を手の平にのせる。

それを戸熊に向けて一気に吹いた。

 

魔笛散弾射!!!」

 

ドドドドドドドド!!!!

 

戸熊はその場から動かずに迎え撃つ。

 

「ハァーーー!!!!!」

 

ブォォォォォ!!!

 

戸熊は最大限まで妖気を放出。

 

ズキャーン!!!

 

双剣を高速回転させて魔笛散弾射を防ぐ。

まさに神業とも呼べる剣さばき。

だが、ここまでだった。

 

魔笛散弾射version2」

 

凍矢は浮遊する妖気の塊を手の平にのせて空に向かって吹いた。

妖気の塊は四方に広がる。

そして一気に戸熊に向かって飛んでいく。

正面からの魔笛散弾射は完全に防いでいた戸熊だったが、四方から一気に攻め立てられてはもはやどうしょうもなかった。

 

ズガガガガ!

 

「ぐわぁぁぁぁ!!」

 

戸熊の身体に次々と撃ち込まれる魔笛散弾射。

数十発は当たっただろうか。

流石の剣神戸熊も地面に倒れた。

戸熊が倒れた事で、凍矢は魔笛散弾射を止めた。

既に戸熊は、気を失って戦闘不能であった。

 

「流石に躯の直属戦士は強いな。これで最初の難関は突破したな」

 

そう言うと凍矢は上空の審判を見た。

審判は戸熊の状態を確認した。

 

「Cブロック第8試合は凍矢選手の勝利です」

 

凍矢の勝利を審判が告げた事で、全ての二回戦の試合が終了した。

 

ーーメイン会場

 

小兎がスクリーンに映る試合後の映像を観て最後の実況。

「凍矢選手と戸熊選手の試合は激戦の末に、最後は凍矢選手の魔笛散弾射が戸熊選手の剣技を打ち破りました。二回戦の最終試合に相応しい素晴らしい試合でした」

 

「剣の戦いは凄かったな」

 

「凍矢は強いな。あの技であっという間に戸熊を倒しやがった」

 

観客たちもかなり満足した模様。

 

(凍矢が勝って良かった)

凍矢の事が好きな小兎は凍矢の勝利にホッと胸を撫で下ろした。

 

ーー選手たちの休憩所

 

死々若丸、苦笑い。

「流石は凍矢だな。一緒に修行したからよく分かるが、あいつの力はまだまだこんなものではない」

 

陣、ニコリ。

「そうだな」

 

陣はCブロックの対戦表を見た。

「序盤の強敵の戸熊を倒したから、次に凍矢が戦う相手でやっかいなのは…」

 

「凍矢は四回戦であいつに当たるな」

 

頷く陣。

「ああ。前回の大会で準優勝だった才蔵だ」

 

ーー亜空間

 

亜空間の中で樹は目の前の気を失って倒れている妖怪を眺めている。

倒れている妖怪は北神である。

そしてもう一人。

 

樹、ニヤリ。

「いよいよだな」

 

大会はついに序盤の二回戦までが終了した。

大会は三回戦から多くの激戦が繰り広げられる。

だが、二回戦から三回戦が始まるまでの裏では

別の戦いが行われていた。

そこには、この闇撫の樹が大きく関わっていた。

 

大会編終わり

門番(ゲートキーパー)編に続く。

 

次へ

戻る