nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #107「幽助の二回戦(大会編)」

――選手たちの休憩所

 

魔界統一トーナメント・二回戦のAブロックも6試合が終わり、間もなく7試合目が行われようとしていた。


次の試合に参加する選手を呼ぶアナウンスが流れている。

アナウンスを聞いた凍矢が幽助に声をかける。

「幽助、お前を呼んでいるぞ」

 

凍矢の隣りにいた酎が幽助の背中をパンッと叩く。

「お前さんの出番だ」

 

幽助、ニコリ。

「よっしゃー!行って来るぜ!」

 

両頬を気合いを入れる為に、パチンと叩くと、
笑顔で闘場へと続く階段を走って駆け上がって行く。

その様子を後ろから見ている酎と凍矢。

 

「なあ、凍矢」

 

「何だ酔?」

 

額をポリポリと掻く酎。

「幽助の二回戦の相手は誰だっけな」

 

無表情のまま酎の問い掛けに答える凍矢。

 

「確か、氷室だ」

 

「氷室?何者だ?俺は知らねーぞ」

 

「確か氷室は躯の直属の戦士で、直属戦士の中で10本の指に入る男だ」

 

「だったら結構強いな。幽助の奴、一回戦から陣と戦って、さらに二回戦は躯の直属の戦士かよ。あいつ、くじ運が悪いな」

 

「フッ」

(俺からすれば、今の幽助とあたる者の方が、余程くじ運が悪いと俺は思うがな)

 

――魔界統一トーナメントAブロックのニ回戦・第七試合

 

氷室(ひむろ)
×
浦飯(うらめし) 

 

――Aブロック

 

闘場の中央に走って向かう幽助。

そして美しく長い黒髪を風でなびかせながら、ゆっくりと中央を目指して歩く氷室。

先に中央に到着した幽助が氷室を待つ。

幽助の視界に氷室の姿が入る。

 

(なんか北神みてーにクソ真面目そうな野郎だな)

 

闘場の中央に氷室が到着する。

 

「貴方のお名前は浦飯幽助でしたね。改めて自己紹介させてもらいます。私の名前は氷室です。躯様にお仕えする77人の直属の戦士の一人です」

 

「おう。宜しくな」

(やっぱ真面目な野郎だ…)


「貴方とは一度戦って見たかったんですよ。手加減は無用ですよ」

 

「ガチな試合だ。手加減なんてしねーぜ」

 

  「はい。宜しくお願いします。あ、ちょっと待って下さいね」

氷室はそう言うとポケットから人間界で購入した冷えピタを取り出して、おでこと首に貼った。

 

「この冷たさはめっちゃくちゃクセになります。人間界の品物は本当に素晴らしい。浦飯幽助、貴方は人間界で生まれ育ったと聞きました。羨ましい限りですよ」

 

「人間界に興味あるのか。面白い奴だな。今度人間界に来たら俺が色々案内してやるぜ」

 

幽助の言葉に目を輝かせる氷室。

「本当ですか。それは是非ともお願いします」

 

「おう!」

 

人間界フリークの氷室は本当に嬉しそうな顔をしている。

 

「ま、それと勝負は別ですから、この試合は全力でいかせてもらいますよ」

 

幽助、ニヤリ。

「もちろんだ。全力でかかってきやがれ!」

 

――選手たちの休憩所

 

自らの試合をさっさと終えて、休憩所に戻ってきた躯は

スクリーンに映し出されている幽助と氷室を観る。

 

(氷室と幽助か。まあ、試合の結果は既に見えているが、少しは楽しめるか)

 

――Aブロック

 

上空で審判が様子を見ている。

 

「始め!!」

 

試合開始の合図。

合図と同時に、氷室は素早く杖を取り出し、構えて戦闘態勢。

 

「行きますよ」

 

ドン!!!

 

手の平をいきなり地面に思いっきり打ちつける。

 

(!!)

 

大地が大きく揺れる。

 

ドガァァァァァ!!!!!!!

 

大地を突き破り、高さが20メートルはある巨大な龍が姿を現した。

バハムートである。

このバハムートは、武威との戦いで消えたバハムートとは違う、また新たなバハムートである。

 

「で、でけーな。何だこいつ」

 

いきなりのバハムートの出現に驚く幽助。

 

氷室、ニコリ。

「魔界召還士と言われた、この氷室の力をとくと味あわせてあげましょう」


――選手たちの休憩所

 

氷室と同じ直属戦士の雑魚と木阿弥が幽助と氷室の試合を観ている。

 

「氷室の奴、いきなり最強の召還獣を出したか。相手が相手だけに、一気に勝負を決める気だな」

 

隣りで木阿弥が頷く。

「ああ。浦飯はかなりの実力者だからな」

 

――Aブロック

 

「行きますよ」

 

杖を幽助の方に向けて、バハムートに幽助を攻撃するように指示。

 

《グゴォォォォ!!!!》


バハムートは奇声をあげると口を大きく開けた。

 

(来る!)

幽助は身構えた。

 

「バハムートよ、あの者を焼いてしまいなさい」


バハムートの目が光る。

そして口を大きく開けた。

 

ゴォォォォォォ!!!

 

幽助に向けて、口から灼熱の炎を吐き出した。

 

(!!)

 

灼熱の炎が幽助の身体にまともに直撃した。

 

「灼熱の炎に焼かれてしまいなさい」

(でも人間界を案内してもらわないといけないから、死んだら駄目ですよ)

 

――メイン会場

 

小兎、マイクを握り締め、立ち上がって実況開始。

 

「あーーっと!!!氷室選手のバハムートの口から吐き出した炎が、浦飯選手を燃やしています!!!」


会場にいる酒王は氷室を応援してる。

「氷室様の召還能力は、魔界一だ!!あの浦飯といえどもあの炎に焼かれたら、たまったもんじゃあない」


――Aブロック

 

灼熱の炎に燃やされている幽助を見る氷室。

 

「フッフッフ、バハムートの灼熱の炎をまともに受けたら、いくら貴方でもただではすみませんよ」

 

勝利をほぼ確信している顔だ。

 

「危ねー危ねー。いきなりあんな炎を出してきやがったからびっくりしたぜ」

 

炎の中から幽助の声が聞こえる。

そしてゆっくりと炎の中から幽助が姿を現した。

 

(!!!)

驚く氷室。

額から汗が流れる。

 

「馬鹿な。バハムートの炎はまともに貴方に当たった筈です。ま、まったくの無傷なんて……」

 

幽助、ニヤリ。

「あめーよ」

 

「あ、あの炎をどうやって防いだのです!!」

 

「もう一回やってみろよ。俺がどうやって防いだか、おめーに分かりやすく教えてやるぜ」

 

「クッ、信じられないです。バハムート!!彼をもう一度焼きつくしなさい!!!」

 

《グゴォォォォ!!!!》


再び奇声を上げると、バハムートは口を大きく開けた。

 

ゴォォォォォォ!!!

 

幽助に向かって再び放たれる灼熱の炎。

この時、幽助は両手の手の平を胸元で横に向けていた。

一瞬にして、左手に霊気、右手に妖気の塊を作り出す。

そして二つの異なる気を融合させて、魔光気へと変化させる。

両手に宿るのは魔光気。

右手を素早く円を描くように動かした。

その瞬間に幽助に灼熱の炎が直撃した。

 

――選手たちの休憩所

 

躯、ニヤリ。

「なるほど。バハムートの炎が幽助に通用しなかったのはそういう事か」

 

「残念だが、勝負あったな」

 

「ああ。氷室ではやはり浦飯には通用しなかった」

 

同じ直属戦士の雑魚と木阿弥は氷室の敗北を予感した。

 

――Aブロック

 

幽助の身体を炎から身を守るかのように、魔光気で作られた大きな盾が姿を現していた。

 

「聖魔の盾だ」

 

「気で作った盾…。あんなもので、バハムートの炎を防ぐなんて…」

 

「ま、一発しか攻撃を防げねーけどな。でもよー、俺の盾は黄泉の防御壁にも負けてねーぜ」

 

そう言うと幽助はバハムートに向けて妖丸の構え。

 

「今度は俺の番だぜ」

 

キュンーーーーー!!!!!!!

 

幽助の指先に巨大な妖気が集まる。

そして大声で叫ぶ。

 

「妖丸ーーーーーー!!!!!!!」

 

ズドーーーーーーン!!

 

巨大な妖丸はバハムートに向けて放たれた。

 

《グォォォォォォ!!!》


バハムート、妖丸に向かって、灼熱の炎を放つ。

だが。

氷室は目の前の光景に驚く。

妖丸は灼熱の炎を飲み込み、バハムートに向かって飛んでいく。

そして。

 

ドガァァァァァァァン!!!!

 

妖丸の直撃を受けたバハムートの肉体は完全に消滅した。

 

「バ、バハムート!?」

 

幽助、バハムートの消滅を確認すると氷室の方に身体を向けた。

 

ズキューーーン!!!

 

素早く動いて氷室に急接近。


「なっ!?」

 

ドゴォォォォォ!!!!!

 

「ガハッ!!!」

 

幽助の拳が氷室のドテッ腹にめり込む。

 

(つ、強すぎる……)

 

ドサッ

 

崩れ落ちるようにその場に倒れた。

 

「ふ~う」

 

上空から審判が状況を確認する。

 

「浦飯選手の勝利です!!!」

 

審判が幽助の勝利を宣言した。

 

「よっしゃあーー!!!!二回戦突破!!」

右手を大きく上に挙げる。


浦飯幽助、氷室を倒して三回戦へ進出。


――選手たちの休憩所

 

酎、ニヤリ。

「流石、幽助だぜ」

 

凍矢はスクリーンに映し出されている、倒れた氷室の姿を観ている。

「氷室は決して弱くなかった。幽助が強すぎたのだ」

 

彼等の背後から、スクリーンに映る幽助の姿を楽越が観ていた。

 

「幽助、流石だよ」

 

対戦表を見る楽越。

 

「やれやれだ。分かっている事とはいえ、決勝に行かないと幽助と戦えないのだからな」

 

フゥ~ッと溜息をつくとどこかに歩いて行った。

 

ーーAブロック

 

幽助が倒れていた氷室を抱き起こして肩を貸していた。

そのまま休憩所まで連れていくつもりのようだ。

 

「すみません。ありがとうございます」

 

「気にすんな。それでおめーは、人間界のどこに行きたいんだ?」

 

氷室、ニコリ。

皿屋敷市です」

 

続く

 

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