幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」
ーーメイン会場
二回戦はAブロック、Bブロック、Dブロックと終了し、残すのはCブロックのみとなった。
白熱した戦いが続き小兎の実況にも熱が入っている。
「いよいよ二回戦もこの試合が最後です。Cブロックの第8試合、凍矢選手対戸熊選手の試合が間もなく始まります!!さあ、三回戦に進むのは凍矢選手かそれとも戸熊選手か!!!最終試合に相応しい熱戦を期待したいです」
ーーCブロック
闘場の中央には、既に凍矢と戸熊が対峙していた。
凍矢がこれから戦う戸熊は、鋼のように鍛え上がられた肉体、そして短い黒髪で、男らしい顔立ちをした戦士タイプの妖怪。
左右の手には剣が握られ、双剣の使い手である。
彼もまた躯直属の有能な戦士である。
戸熊が凍矢に声をかける。
「俺は参加しなかったが、前の大会はしっかりと見ていたぜ。ベスト4の一角・凍矢。お前とは一度戦ってみたかった」
戸熊の言葉に凍矢は不敵な笑みを浮かべる。
「そう言ってもらえて光栄だ。お前からひしひしと感じる巨大な妖気。かなりの使い手だと分かる。相手にとって不足はない」
「躯様直属の戦士・戸熊だ。俺の名前を忘れられなくなるぜ」
そう言うと戸熊は双剣の剣先を凍矢に向けた。
「剣の使い手か。俺も多少なりと剣を使える。お前には最初から剣で相手しよう」
ズズズ……
凍矢は右手に呪氷剣を作り出した。
戸熊、ニヤリ。
「剣で俺とやり合うとは命知らずだ」
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ」
上空で審判が様子を見ている。
「始め!!」
試合開始を審判が告げた。
それと同時に凍矢と戸熊は構えた。
戸熊から巨大な妖気が放出されている。
対する凍矢も同様に妖気を放出した。
「行くぜ凍矢」
「来い」
戸熊の目が鋭くなる。
そして一気に駆け出した。
対する凍矢も戸熊目掛けて駆け出した。
カキーン!!!
双剣と呪氷剣がぶつかり合う。
お互い、目にも止まらない速さで斬り合う。
剣と剣がぶつかり合う音が闘場に響き渡る。
「流石だな凍矢。剣を使っても一流だ」
「貴様もな!」
お互いに高くジャンプして空中で斬り合う。
上空から下に落下しながら、次々に攻撃を仕掛ける両者。
落下するまでの間に数十回は斬り合っている。
地面に着地するとそのまま激しくぶつかる。
ーー選手たちの休憩所
戸熊と同じ躯の直属の戦士である時雨が戸熊の試合を観ている。
戸熊は時雨より上位にあたる直属戦士。
剣を使う者として、その試合は気になる。
「あの凍矢とかいう者、なかなかやる。戸熊殿と対等に剣術で戦っている。だが、戸熊殿は剣神。その技量の違いがこれから出てくるだろう」
ーーCブロック
「ハァー!!!」
ガキーン!!!
双剣を呪氷剣で弾く。
「本当に強いぜ。凍矢、お前は剣だけならうちの時雨にも負けていないだろうぜ。だが、お前は俺や時雨と違い、剣術をメインで戦う男ではない」
「それがどうかしたか」
戸熊、ニヤリ。
「見せてやるぜ。完成された剣技をな」
バッ
そう言うと戸熊はバックジャンプで凍矢と少し距離を取る。
「行くぜ凍矢」
戸熊は身体を横に捻り、右手に持つ剣を横向きにして静止した。
剣が紫色に光る。
どうやら妖気を剣に伝わせているようだ。
「これは何か技を仕掛けてくるな」
凍矢は戸熊の仕掛けてくる攻撃に備えて剣を構える。
戸熊の妖気がどんどん高くなってきている。
「来い。受けてやる」
戸熊の剣にバチバチと稲妻が走る。
その瞬間、戸熊が仕掛けた。
戸熊が叫ぶ。
「己龍流奥義バージョン1・ストラッシュ!!」
ヒューー!!!
捻った身体を元に戻しながら、剣を横に振るう。
すると目に見えない衝撃波の刃が凍矢に向けて放たれた。
(これは!?)
バッ!!
身体が攻撃をよける為に自然に動いた。
その場から直ぐに上に向かって高くジャンプした。
凍矢の戦士としての勘が瞬時に危険を察知したのだ。
スパン!!!
凍矢の背後にあった岩壁が真っ二つになった。
「なんという切れ味だ。あの場から動かなければ真っ二つだった」
戸熊、ニヤリ。
「流石だ。今のをよくかわしたな」
戸熊は二発目のストラッシュを放つ為に再び構えた。
「させるか!!」
凍矢は空中から戸熊目掛けて急降下。
呪氷剣で斬りつける。
ガキーン!!!
戸熊は双剣をクロスさせて攻撃を受け止めた。
お互いの目が合う。
「やるな。二発目を封じるとはな」
「戸熊と言ったな。貴様の強さは今ので充分に分かった。俺は貴様を倒す為に出し惜しみしない」
「いいぜ。直属戦士以外の者と戦いで、こんなに血が騒ぐのは久しぶりだ」
「行くぞ戸熊!!」
「来い凍矢!!」
ガキーン!!!
再び激しい剣と剣のぶつかり合い。
メイン会場、そして選手たちの休憩所にいる誰もが、この試合は激戦となると予感した。
続く