nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

nanaseの世界【総合INDEX】

こちらは「nanaseの世界」を旅するのに便利な総合INDEXとなっています。

今までの更新したページにリンク貼っていますので、このページをブックマークしたら便利と思います。

 

 

■小説

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~


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紹介:週刊少年ジャンプで連載された冨樫義博先生原作の人気漫画・幽☆遊☆白書の続編小説です。

 第一回魔界統一トーナメントから三年。第二回魔界統一トーナメントの開催が迫る中、幽助・桑原・蔵馬・飛影たちの新たな戦いが始まる。人間界・魔界・霊界を巻き込む最大の戦い、そして第四の世界が幽助たちを待ち受ける。

            

【本編INDEX】

プロローグ

#001~#050

#051~#100

#101~#150

├#151~#200

└#201~#250

 

【本編SIDE STORY】

┌黄泉の恐怖の遊園地

└桑原軍団の飲み会

※工事中

 

【登場人物紹介】

幽☆遊☆白書及び2ND STAGEの登場人物を掲載しています。
人物辞典

 

【魔界統一トーナメント対戦表】

本編の大会編で行われる事となった第二回魔界統一トーナメントの各対戦の組み合わせを掲載しています。

 

 一回戦の対戦表
Aブロック
Bブロック
Cブロック
Dブロック

 

②暗黒天使の落涙


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【本編INDEX】

#001~#050

 

■映画

 

①DVD/Blu-ray/UHDレビュー


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こちらはnanaseが所有する映画のソフトの感想と解説を中心としたコーナーです。

 

ア行/カ行/サ行/タ行ナ行

八行/マ行/ヤ行/ラ行/ワ行/その他

 

■日記

 

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こちらは過去に書いた日記を掲載しています。

2020年

 

 

 

■リンク集

f:id:nanase1500:20200513130612j:plain

 こちらは当ブログでお世話になっているブログ・サイトを紹介しています。

※工事中

 

 

総合INDEX内のコンテンツは随時更新していきます。

 

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ブログについて

ブログは10月から再開します。

しばらく充電期間をいただいちゃいました。

お待たせしてすみません。

 

大会編の方は少しひと息ついてもらい、次回からは

 

幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜
門番(ゲートキーパー)編が始まります。

ライブドア版にはなかったシナリオとlivedoor版の大会編にあったけど、はてなブログでは意図的に外したシナリオを合わせたストーリーとなっています。

この門番(ゲートキーパー)編はその名前のとおり、

闇撫の樹を中心に描いていきます。

大会の方も門番(ゲートキーパー)編の後にがんがん書いて行きますので宜しくお願いします。

 

それではまた

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #109「二回戦終了(大会編)」

――魔界統一トーナメントCブロックの二回戦・第八試合

 

凍矢(とうや)
×
戸熊(とぐま)

 

ーー Cブロック

 

カキーン!!

 

凍矢と戸熊の剣が激しくぶつかる音が闘場に響き渡る。

 

ビューーン!!!

 

戸熊の鋭い剣が凍矢の頬をかすめる。

頬の皮膚が切れて血が流れる。

凍矢は左右から次々と繰り出される双剣を呪氷剣でさばいているが、剣術では凍矢を上回る戸熊に苦戦していた。

だが、既に両者は約一時間に渡り、剣だけで戦い続けていた。

 

「この戦いも飽きてきた。見せてやろう凍矢。俺の必殺剣を」

 

戸熊はそう言うと双剣を胸でクロスさせた。

 

ブォォォォ!!!

 

クロスさせた双剣に妖気が蓄積されていく。

 

「己龍流奥義バージョン2・グランドクロス

 

(!?)

 

ピカーー!!!!

 

クロスさせた双剣が眩いばかりの光を放った。

するとXの形の光の刃が凍矢めがけて飛んでいく。

 

「くっ!!」

 

光の眩しさで目をやられていた為、光の刃の軌道が読めない。

 

(これはかわせん。ならば!!)

 

ブォォォォォォォォ!!!

 

瞬間的に妖気を爆発的に高めた。

攻撃をかわせないと凍矢は判断し、防御だけに集中した。

 

ザシュッ!!

 

Xの形に凍矢の胸元が切り裂かれた。

凍矢の身体が攻撃を受けた衝撃で後ずさる。

 

(……流石は躯の直属戦士。“剣”だけではどうやら勝てないようだ)

 

「その傷では速い動きは出来まい!!もらったぞ凍矢!!」

 

ビューーーン!!!

 

双剣を振りかざし一気に斬りつける。

 

ガシッ!!!!

 

呪氷剣で双剣を受け止めた。

 

「その傷で動けるのか。しぶとい奴だ」

 

ーーメイン会場

 

小兎が試合の実況をしている。

「Cブロックの二回戦最終試合は剣と剣による激戦となっています!!戸熊選手の二本の剣による動きは、魔界最強の剣神と言われているだけあって本当に凄まじい剣技です!!対する凍矢選手もその剣神を相手に剣で善戦しています!!」

 

観客たちも凍矢と戸熊の戦いを固唾をのんで見守っている。

 

「飛影と周の試合も凄かったが、こっちもなかなかだ。二回戦からこんなに激しい試合かよ」

 

妖怪のカップルが観ている。

「お前はどっちを応援しているんだ?」

 

「あたしは凍矢かな。カッコイイもん」

 

観客の女性の言葉に凍矢の事が好きな小兎がピクッと反応。

(確かにカッコイイよ。凍矢負けたら駄目よ)

 

ーー選手たちの休憩所

 

陣と死々若丸がスクリーンに映し出されている凍矢の試合を観ている。

「剣はやっぱり戸熊の方が強いかな」

 

「ああ。俺も剣を使うからよく分かるが、戸熊の動きに無駄がない。まさに剣神と言われているだけはある」

 

頷く陣。

「確かに凍矢は剣では分が悪いけど、あいつが力を出せば…」

 

死々若丸、ニヤリ。

「戸熊はなすすべもなく敗れ去る事になる」

 

ーーCブロック

 

「このまま押し切ってやるぜ」

 

戸熊はそのまま押し込もうと剣に力を込める。

だが、

 

ガキーン!!

 

凍矢は双剣を弾いた。

 

「まだそんな力があるのか」

 

「ここまで剣を使える奴が躯のところにいるとはな。剣だけでお前を倒せると思っていた自分が恥ずかしい」

 

「フッ、俺に剣で勝てる奴はいない。まだその傷で戦う力が残っているのならお前の力を見せてみろよ。本当の力を出したお前を倒したいのでな」

 

「いいのか?後悔する事になる」

 

バッ!!

 

そう言うと凍矢はバックジャンプで間合いを取った。

 

「見せてやろう。これが俺の力だ」

 

ブォォォォォォ!!!

 

凍矢の妖気が爆発的に上がると同時に、当たり一面に冷たい空気が流れる。

 

「凍矢、これがお前の真の力か!?」

 

凍矢、ニヤリ。

「戸熊、さっきの俺の傷をよく見てみろ」

 

グランドクロスによって切り裂かれた凍矢の胸を見る戸熊。

 

「……俺のグランドクロスをまともに受けてその程度の傷なのか!?」

 

凍矢の胸は確かにグランドクロスによりバックリと切り裂かれた。

だが、その傷跡は浅く、血も少ししか出ていなかった。

 

「お前の攻撃をかわせないと判断した俺は瞬間的に妖気を爆発的に高めて防御に集中した。その結果がこれだ。これが意味している事がお前に分かるか?」

 

「……クソッ。俺とお前の妖力の差だ……」

 

凍矢は無数の小さな妖気の塊を作り出した。

小さな妖気の塊は周りを浮遊している。

 

「戸熊、覚悟はいいか」

 

「……来いよ。確かに凍矢、お前の妖気は俺を遥かに上回っている。だが、俺は偉大なる躯様の直属戦士。引かないぜ。受けてたつぜ」

 

凍矢は浮遊する小さな氷の塊を手の平にのせる。

それを戸熊に向けて一気に吹いた。

 

魔笛散弾射!!!」

 

ドドドドドドドド!!!!

 

戸熊はその場から動かずに迎え撃つ。

 

「ハァーーー!!!!!」

 

ブォォォォォ!!!

 

戸熊は最大限まで妖気を放出。

 

ズキャーン!!!

 

双剣を高速回転させて魔笛散弾射を防ぐ。

まさに神業とも呼べる剣さばき。

だが、ここまでだった。

 

魔笛散弾射version2」

 

凍矢は浮遊する妖気の塊を手の平にのせて空に向かって吹いた。

妖気の塊は四方に広がる。

そして一気に戸熊に向かって飛んでいく。

正面からの魔笛散弾射は完全に防いでいた戸熊だったが、四方から一気に攻め立てられてはもはやどうしょうもなかった。

 

ズガガガガ!

 

「ぐわぁぁぁぁ!!」

 

戸熊の身体に次々と撃ち込まれる魔笛散弾射。

数十発は当たっただろうか。

流石の剣神戸熊も地面に倒れた。

戸熊が倒れた事で、凍矢は魔笛散弾射を止めた。

既に戸熊は、気を失って戦闘不能であった。

 

「流石に躯の直属戦士は強いな。これで最初の難関は突破したな」

 

そう言うと凍矢は上空の審判を見た。

審判は戸熊の状態を確認した。

 

「Cブロック第8試合は凍矢選手の勝利です」

 

凍矢の勝利を審判が告げた事で、全ての二回戦の試合が終了した。

 

ーーメイン会場

 

小兎がスクリーンに映る試合後の映像を観て最後の実況。

「凍矢選手と戸熊選手の試合は激戦の末に、最後は凍矢選手の魔笛散弾射が戸熊選手の剣技を打ち破りました。二回戦の最終試合に相応しい素晴らしい試合でした」

 

「剣の戦いは凄かったな」

 

「凍矢は強いな。あの技であっという間に戸熊を倒しやがった」

 

観客たちもかなり満足した模様。

 

(凍矢が勝って良かった)

凍矢の事が好きな小兎は凍矢の勝利にホッと胸を撫で下ろした。

 

ーー選手たちの休憩所

 

死々若丸、苦笑い。

「流石は凍矢だな。一緒に修行したからよく分かるが、あいつの力はまだまだこんなものではない」

 

陣、ニコリ。

「そうだな」

 

陣はCブロックの対戦表を見た。

「序盤の強敵の戸熊を倒したから、次に凍矢が戦う相手でやっかいなのは…」

 

「凍矢は四回戦であいつに当たるな」

 

頷く陣。

「ああ。前回の大会で準優勝だった才蔵だ」

 

ーー亜空間

 

亜空間の中で樹は目の前の気を失って倒れている妖怪を眺めている。

倒れている妖怪は北神である。

そしてもう一人。

 

樹、ニヤリ。

「いよいよだな」

 

大会はついに序盤の二回戦までが終了した。

大会は三回戦から多くの激戦が繰り広げられる。

だが、二回戦から三回戦が始まるまでの裏では

別の戦いが行われていた。

そこには、この闇撫の樹が大きく関わっていた。

 

大会編終わり

門番(ゲートキーパー)編に続く。

 

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幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

ーーメイン会場

 

二回戦はAブロック、Bブロック、Dブロックと終了し、残すのはCブロックのみとなった。

白熱した戦いが続き小兎の実況にも熱が入っている。

 

「いよいよ二回戦もこの試合が最後です。Cブロックの第8試合、凍矢選手対戸熊選手の試合が間もなく始まります!!さあ、三回戦に進むのは凍矢選手かそれとも戸熊選手か!!!最終試合に相応しい熱戦を期待したいです」

 

ーーCブロック

 

闘場の中央には、既に凍矢と戸熊が対峙していた。

凍矢がこれから戦う戸熊は、鋼のように鍛え上がられた肉体、そして短い黒髪で、男らしい顔立ちをした戦士タイプの妖怪。

左右の手には剣が握られ、双剣の使い手である。

彼もまた躯直属の有能な戦士である。

 

戸熊が凍矢に声をかける。

「俺は参加しなかったが、前の大会はしっかりと見ていたぜ。ベスト4の一角・凍矢。お前とは一度戦ってみたかった」

 

戸熊の言葉に凍矢は不敵な笑みを浮かべる。

「そう言ってもらえて光栄だ。お前からひしひしと感じる巨大な妖気。かなりの使い手だと分かる。相手にとって不足はない」

 

「躯様直属の戦士・戸熊だ。俺の名前を忘れられなくなるぜ」

 

そう言うと戸熊は双剣の剣先を凍矢に向けた。

 

「剣の使い手か。俺も多少なりと剣を使える。お前には最初から剣で相手しよう」

 

ズズズ……

 

凍矢は右手に呪氷剣を作り出した。

 

戸熊、ニヤリ。

「剣で俺とやり合うとは命知らずだ」

 

「その言葉、そっくりそのまま返すぞ」

 

上空で審判が様子を見ている。

 

「始め!!」

 

試合開始を審判が告げた。

それと同時に凍矢と戸熊は構えた。

戸熊から巨大な妖気が放出されている。

対する凍矢も同様に妖気を放出した。

 

「行くぜ凍矢」

 

「来い」

 

戸熊の目が鋭くなる。

そして一気に駆け出した。

対する凍矢も戸熊目掛けて駆け出した。

 

カキーン!!!

 

双剣と呪氷剣がぶつかり合う。

お互い、目にも止まらない速さで斬り合う。

剣と剣がぶつかり合う音が闘場に響き渡る。

 

「流石だな凍矢。剣を使っても一流だ」

 

「貴様もな!」

 

お互いに高くジャンプして空中で斬り合う。

上空から下に落下しながら、次々に攻撃を仕掛ける両者。

落下するまでの間に数十回は斬り合っている。

地面に着地するとそのまま激しくぶつかる。

 

ーー選手たちの休憩所

 

戸熊と同じ躯の直属の戦士である時雨が戸熊の試合を観ている。

戸熊は時雨より上位にあたる直属戦士。

剣を使う者として、その試合は気になる。

 

「あの凍矢とかいう者、なかなかやる。戸熊殿と対等に剣術で戦っている。だが、戸熊殿は剣神。その技量の違いがこれから出てくるだろう」

 

ーーCブロック

 

「ハァー!!!」

 

ガキーン!!!

 

双剣を呪氷剣で弾く。

 

「本当に強いぜ。凍矢、お前は剣だけならうちの時雨にも負けていないだろうぜ。だが、お前は俺や時雨と違い、剣術をメインで戦う男ではない」

 

「それがどうかしたか」

 

戸熊、ニヤリ。

「見せてやるぜ。完成された剣技をな」

 

バッ

 

そう言うと戸熊はバックジャンプで凍矢と少し距離を取る。

 

「行くぜ凍矢」

 

戸熊は身体を横に捻り、右手に持つ剣を横向きにして静止した。

剣が紫色に光る。

どうやら妖気を剣に伝わせているようだ。

 

「これは何か技を仕掛けてくるな」

 

凍矢は戸熊の仕掛けてくる攻撃に備えて剣を構える。

戸熊の妖気がどんどん高くなってきている。

 

「来い。受けてやる」

 

戸熊の剣にバチバチと稲妻が走る。

その瞬間、戸熊が仕掛けた。

 

戸熊が叫ぶ。

「己龍流奥義バージョン1・ストラッシュ!!」

 

ヒューー!!!

 

捻った身体を元に戻しながら、剣を横に振るう。

すると目に見えない衝撃波の刃が凍矢に向けて放たれた。

 

(これは!?)

 

バッ!!

 

身体が攻撃をよける為に自然に動いた。

その場から直ぐに上に向かって高くジャンプした。

凍矢の戦士としての勘が瞬時に危険を察知したのだ。

 

スパン!!!

 

凍矢の背後にあった岩壁が真っ二つになった。

 

「なんという切れ味だ。あの場から動かなければ真っ二つだった」

 

戸熊、ニヤリ。

「流石だ。今のをよくかわしたな」

 

戸熊は二発目のストラッシュを放つ為に再び構えた。

 

「させるか!!」

 

凍矢は空中から戸熊目掛けて急降下。

呪氷剣で斬りつける。

 

ガキーン!!!

 

戸熊は双剣をクロスさせて攻撃を受け止めた。

お互いの目が合う。

 

「やるな。二発目を封じるとはな」

 

「戸熊と言ったな。貴様の強さは今ので充分に分かった。俺は貴様を倒す為に出し惜しみしない」

 

「いいぜ。直属戦士以外の者と戦いで、こんなに血が騒ぐのは久しぶりだ」

 

「行くぞ戸熊!!」

 

「来い凍矢!!」

 

ガキーン!!!

 

再び激しい剣と剣のぶつかり合い。

メイン会場、そして選手たちの休憩所にいる誰もが、この試合は激戦となると予感した。

 

続く

 

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幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #107「幽助の二回戦(大会編)」

――選手たちの休憩所

 

魔界統一トーナメント・二回戦のAブロックも6試合が終わり、間もなく7試合目が行われようとしていた。


次の試合に参加する選手を呼ぶアナウンスが流れている。

アナウンスを聞いた凍矢が幽助に声をかける。

「幽助、お前を呼んでいるぞ」

 

凍矢の隣りにいた酎が幽助の背中をパンッと叩く。

「お前さんの出番だ」

 

幽助、ニコリ。

「よっしゃー!行って来るぜ!」

 

両頬を気合いを入れる為に、パチンと叩くと、
笑顔で闘場へと続く階段を走って駆け上がって行く。

その様子を後ろから見ている酎と凍矢。

 

「なあ、凍矢」

 

「何だ酔?」

 

額をポリポリと掻く酎。

「幽助の二回戦の相手は誰だっけな」

 

無表情のまま酎の問い掛けに答える凍矢。

 

「確か、氷室だ」

 

「氷室?何者だ?俺は知らねーぞ」

 

「確か氷室は躯の直属の戦士で、直属戦士の中で10本の指に入る男だ」

 

「だったら結構強いな。幽助の奴、一回戦から陣と戦って、さらに二回戦は躯の直属の戦士かよ。あいつ、くじ運が悪いな」

 

「フッ」

(俺からすれば、今の幽助とあたる者の方が、余程くじ運が悪いと俺は思うがな)

 

――魔界統一トーナメントAブロックのニ回戦・第七試合

 

氷室(ひむろ)
×
浦飯(うらめし) 

 

――Aブロック

 

闘場の中央に走って向かう幽助。

そして美しく長い黒髪を風でなびかせながら、ゆっくりと中央を目指して歩く氷室。

先に中央に到着した幽助が氷室を待つ。

幽助の視界に氷室の姿が入る。

 

(なんか北神みてーにクソ真面目そうな野郎だな)

 

闘場の中央に氷室が到着する。

 

「貴方のお名前は浦飯幽助でしたね。改めて自己紹介させてもらいます。私の名前は氷室です。躯様にお仕えする77人の直属の戦士の一人です」

 

「おう。宜しくな」

(やっぱ真面目な野郎だ…)


「貴方とは一度戦って見たかったんですよ。手加減は無用ですよ」

 

「ガチな試合だ。手加減なんてしねーぜ」

 

  「はい。宜しくお願いします。あ、ちょっと待って下さいね」

氷室はそう言うとポケットから人間界で購入した冷えピタを取り出して、おでこと首に貼った。

 

「この冷たさはめっちゃくちゃクセになります。人間界の品物は本当に素晴らしい。浦飯幽助、貴方は人間界で生まれ育ったと聞きました。羨ましい限りですよ」

 

「人間界に興味あるのか。面白い奴だな。今度人間界に来たら俺が色々案内してやるぜ」

 

幽助の言葉に目を輝かせる氷室。

「本当ですか。それは是非ともお願いします」

 

「おう!」

 

人間界フリークの氷室は本当に嬉しそうな顔をしている。

 

「ま、それと勝負は別ですから、この試合は全力でいかせてもらいますよ」

 

幽助、ニヤリ。

「もちろんだ。全力でかかってきやがれ!」

 

――選手たちの休憩所

 

自らの試合をさっさと終えて、休憩所に戻ってきた躯は

スクリーンに映し出されている幽助と氷室を観る。

 

(氷室と幽助か。まあ、試合の結果は既に見えているが、少しは楽しめるか)

 

――Aブロック

 

上空で審判が様子を見ている。

 

「始め!!」

 

試合開始の合図。

合図と同時に、氷室は素早く杖を取り出し、構えて戦闘態勢。

 

「行きますよ」

 

ドン!!!

 

手の平をいきなり地面に思いっきり打ちつける。

 

(!!)

 

大地が大きく揺れる。

 

ドガァァァァァ!!!!!!!

 

大地を突き破り、高さが20メートルはある巨大な龍が姿を現した。

バハムートである。

このバハムートは、武威との戦いで消えたバハムートとは違う、また新たなバハムートである。

 

「で、でけーな。何だこいつ」

 

いきなりのバハムートの出現に驚く幽助。

 

氷室、ニコリ。

「魔界召還士と言われた、この氷室の力をとくと味あわせてあげましょう」


――選手たちの休憩所

 

氷室と同じ直属戦士の雑魚と木阿弥が幽助と氷室の試合を観ている。

 

「氷室の奴、いきなり最強の召還獣を出したか。相手が相手だけに、一気に勝負を決める気だな」

 

隣りで木阿弥が頷く。

「ああ。浦飯はかなりの実力者だからな」

 

――Aブロック

 

「行きますよ」

 

杖を幽助の方に向けて、バハムートに幽助を攻撃するように指示。

 

《グゴォォォォ!!!!》


バハムートは奇声をあげると口を大きく開けた。

 

(来る!)

幽助は身構えた。

 

「バハムートよ、あの者を焼いてしまいなさい」


バハムートの目が光る。

そして口を大きく開けた。

 

ゴォォォォォォ!!!

 

幽助に向けて、口から灼熱の炎を吐き出した。

 

(!!)

 

灼熱の炎が幽助の身体にまともに直撃した。

 

「灼熱の炎に焼かれてしまいなさい」

(でも人間界を案内してもらわないといけないから、死んだら駄目ですよ)

 

――メイン会場

 

小兎、マイクを握り締め、立ち上がって実況開始。

 

「あーーっと!!!氷室選手のバハムートの口から吐き出した炎が、浦飯選手を燃やしています!!!」


会場にいる酒王は氷室を応援してる。

「氷室様の召還能力は、魔界一だ!!あの浦飯といえどもあの炎に焼かれたら、たまったもんじゃあない」


――Aブロック

 

灼熱の炎に燃やされている幽助を見る氷室。

 

「フッフッフ、バハムートの灼熱の炎をまともに受けたら、いくら貴方でもただではすみませんよ」

 

勝利をほぼ確信している顔だ。

 

「危ねー危ねー。いきなりあんな炎を出してきやがったからびっくりしたぜ」

 

炎の中から幽助の声が聞こえる。

そしてゆっくりと炎の中から幽助が姿を現した。

 

(!!!)

驚く氷室。

額から汗が流れる。

 

「馬鹿な。バハムートの炎はまともに貴方に当たった筈です。ま、まったくの無傷なんて……」

 

幽助、ニヤリ。

「あめーよ」

 

「あ、あの炎をどうやって防いだのです!!」

 

「もう一回やってみろよ。俺がどうやって防いだか、おめーに分かりやすく教えてやるぜ」

 

「クッ、信じられないです。バハムート!!彼をもう一度焼きつくしなさい!!!」

 

《グゴォォォォ!!!!》


再び奇声を上げると、バハムートは口を大きく開けた。

 

ゴォォォォォォ!!!

 

幽助に向かって再び放たれる灼熱の炎。

この時、幽助は両手の手の平を胸元で横に向けていた。

一瞬にして、左手に霊気、右手に妖気の塊を作り出す。

そして二つの異なる気を融合させて、魔光気へと変化させる。

両手に宿るのは魔光気。

右手を素早く円を描くように動かした。

その瞬間に幽助に灼熱の炎が直撃した。

 

――選手たちの休憩所

 

躯、ニヤリ。

「なるほど。バハムートの炎が幽助に通用しなかったのはそういう事か」

 

「残念だが、勝負あったな」

 

「ああ。氷室ではやはり浦飯には通用しなかった」

 

同じ直属戦士の雑魚と木阿弥は氷室の敗北を予感した。

 

――Aブロック

 

幽助の身体を炎から身を守るかのように、魔光気で作られた大きな盾が姿を現していた。

 

「聖魔の盾だ」

 

「気で作った盾…。あんなもので、バハムートの炎を防ぐなんて…」

 

「ま、一発しか攻撃を防げねーけどな。でもよー、俺の盾は黄泉の防御壁にも負けてねーぜ」

 

そう言うと幽助はバハムートに向けて妖丸の構え。

 

「今度は俺の番だぜ」

 

キュンーーーーー!!!!!!!

 

幽助の指先に巨大な妖気が集まる。

そして大声で叫ぶ。

 

「妖丸ーーーーーー!!!!!!!」

 

ズドーーーーーーン!!

 

巨大な妖丸はバハムートに向けて放たれた。

 

《グォォォォォォ!!!》


バハムート、妖丸に向かって、灼熱の炎を放つ。

だが。

氷室は目の前の光景に驚く。

妖丸は灼熱の炎を飲み込み、バハムートに向かって飛んでいく。

そして。

 

ドガァァァァァァァン!!!!

 

妖丸の直撃を受けたバハムートの肉体は完全に消滅した。

 

「バ、バハムート!?」

 

幽助、バハムートの消滅を確認すると氷室の方に身体を向けた。

 

ズキューーーン!!!

 

素早く動いて氷室に急接近。


「なっ!?」

 

ドゴォォォォォ!!!!!

 

「ガハッ!!!」

 

幽助の拳が氷室のドテッ腹にめり込む。

 

(つ、強すぎる……)

 

ドサッ

 

崩れ落ちるようにその場に倒れた。

 

「ふ~う」

 

上空から審判が状況を確認する。

 

「浦飯選手の勝利です!!!」

 

審判が幽助の勝利を宣言した。

 

「よっしゃあーー!!!!二回戦突破!!」

右手を大きく上に挙げる。


浦飯幽助、氷室を倒して三回戦へ進出。


――選手たちの休憩所

 

酎、ニヤリ。

「流石、幽助だぜ」

 

凍矢はスクリーンに映し出されている、倒れた氷室の姿を観ている。

「氷室は決して弱くなかった。幽助が強すぎたのだ」

 

彼等の背後から、スクリーンに映る幽助の姿を楽越が観ていた。

 

「幽助、流石だよ」

 

対戦表を見る楽越。

 

「やれやれだ。分かっている事とはいえ、決勝に行かないと幽助と戦えないのだからな」

 

フゥ~ッと溜息をつくとどこかに歩いて行った。

 

ーーAブロック

 

幽助が倒れていた氷室を抱き起こして肩を貸していた。

そのまま休憩所まで連れていくつもりのようだ。

 

「すみません。ありがとうございます」

 

「気にすんな。それでおめーは、人間界のどこに行きたいんだ?」

 

氷室、ニコリ。

皿屋敷市です」

 

続く

 

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幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #106「邪王炎殺双龍波(大会編)」

――救護室

 

死々若丸が桑原に渡した試しの剣は、鈴木の改良した新型の試しの剣であった。

 

「それは大会前に鈴木が俺にくれた試しの剣。強力な機能のついた新型だ。これに追加機能の詳しい使い方が書いてある」

 

そう言うと死々若丸は桑原に、試しの剣の新型に追加された機能の使い方を書いた紙を手渡した。

 

「死々若、どうしてこれを桑原君に?」

意外な死々若丸の行動について蔵馬は問いかけた。

 

「失敗ヅラの試しの剣は武威の奴に破壊されただろう?俺にはそれをもらう前から使っている試しの剣(魔哭鳴斬剣)があるからな」

 

「でも、それは新型だろう?そっちの方を桑原君に渡していいのか?」

 

「ああ。この試しの剣の新機能は確かに便利だが、俺よりは失敗ヅラの方が役立つだろうしな。それに使いなれた剣の方がしっくりくるのでな」

 

「おい、死々若!」

死々若丸に近付き、マジマジとその顔を見つめる。

 

「な、何だ?不細工な顔を俺に近付けるな」


顔を近付ける桑原に露骨に嫌な顔をする死々若丸。

 

桑原、ニコリ。

「おめー、意外と良い奴だったんだな」

 

ガシッと死々若丸の肩を両手で掴んだ。

そして死々若丸の身体をグッと自分の方に引き寄せてスリスリと頬擦り。

 

「なっ!?や、止めろーー!!!」

全身に鳥肌がたち、悲鳴を上げる死々若丸。 

 

「おめーの事を只の嫌味野郎と誤解していた。マジで試しの剣は助かるぜ」


スリスリスリとさらに頬擦り。

 

「は、放せ~~!!!」

 

桑原の感謝感謝の頬擦り攻撃にどんどん顔が青くなり、ゲッソリとしていく死々若丸。

 

「仲がいいな二人共」


蔵馬は微笑ましい?二人のやり取りを楽しそうに見ていた。

 

「く、蔵馬、笑っていないで助けてくれー」


その時だった。

 

ガチャッ

 

桑原達がいる部屋の入口の扉が開いた。

そして女性が入ってくる。

 

「あ!?」

 

桑原が女性に気付いた。

 

「雪菜さん!!」

 

「か、和真さん…」


死々若丸に激しく頬擦りしている桑原と目が合う雪菜。

その瞬間、雪菜は硬直。

 

「和真さんが男の人と……」

 

目から涙が床に溢れ落ちた。

涙は氷泪石となって転がる。

 

「え、え~っと雪菜さん、これはですね……」

 

「わ、わ、私、お二人がそんな仲だったなんて知りませんでした。す、すみません!!」

 

雪菜は部屋を直ぐに飛び出していった。

 

「ご、ご、ご、誤解っす~~!!雪菜さ~ん!!」!!

 

桑原は慌てて雪菜の後を追いかけていった。

桑原が立ち去ったのを確認すると死々若丸はヘナヘナとその場に座り込んだ。

 

「ほっ、助かったぞ……」

 

蔵馬は雪菜の涙で作られた氷泪石を手に取り、扉が開きっぱなしになった部屋の入口を見た。

 

「あ~タイミングが悪かったな、桑原君」 


桑原はその後、雪菜の誤解を解くのに大変苦労したのだった。

 

――Bブロック

 

「行くぞ」

 

飛影の言葉に周が構える。

 

スッ

 

飛影は右手を周に向けた。


「邪王炎殺黒龍波ァァァァ!!!」

 

ドゥォォォォォ!!!!!


飛影の右手から黒龍波が放たれた。

だが、飛影の進化した黒龍波という言葉とは裏腹に、放たれた黒龍波は従来の黒龍波であった。

 

「来やがったな」

 

ここは動かずに構える周。

飛影の黒龍波を受け止めるつもりだ。

 

グォォォォォ!!!!!

 

黒龍がその恐るべき力で周を焼き尽くす為に襲いかかる。

 

「ウォォォォォ!!!」


ブォォォォォ!!!!!

 

両腕に妖気を集中。

 

ガシッ

 

両手で黒龍の頭を抱え込む様に受け止めた。

 

グワォォォォォ!!!!!

 

黒龍は大きな奇声を上げる。

 

「ぐっ……」

 

ザザザ……

 

周の小柄な身体は凄まじいまでの黒龍の力に押され始めた。

 

グォォォォォ!!!!!

 

黒龍の力はどんどん増していく。

 

「ぬうう………!!!」

 

ザザザ……

 

周は妖力を両腕に込めて抑え込もうとするが、黒龍の力の前にどんどん後ろに押されていた。

 

――選手たちの休憩所

 

幽助と躯がスクリーンに映し出されている黒龍波を観ている。

 

「あの黒龍波は俺が今まで見てきた黒龍波よりも威力が桁違いに上がってんな」

 

「飛影が放ったのは今まで通りの黒龍波だが、飛影の右手は再び黒龍波を放つ構えだ。おそらく飛影の新たな技だ」

 

躯の言う通り、スクリーンに映し出されている飛影は、右手に妖気を集中している感じに映っていた。

 

幽助、ニヤリ。

「飛影、おめーの力見せてもらうぜ」

 

――Bブロック

 

「邪王炎殺拳の最強の技と聞く黒龍波か……。本当にスゲーな、お前のこの技はよー」

 

周は強力な黒龍波を放った飛影を感心すると同時に負けられない意地がメラメラと燃え上がる。 

 

「でもよー、俺がまだまだ若造の邪眼師のチビなんかに負かされてたまるかよ!!!」

 

ボォォォォォォ!!!!!


周叫ぶと同時に全身を包み込む様に燃えさかる妖気の炎。

それは炎術師・周の最大となる炎であった。

爆発する周の妖気の炎。

黒龍に押されていた周は力を盛り返し、逆に周を焼き尽くそうとしていた黒龍の力を押し返し始めた。

 

「オラオラオラ!!!」


グォォォォォ!!!!! 


巨大な力の前に黒龍の力は徐々に衰え始めた。

 

周、ニヤリ。

「残念だったな!俺の勝ちだ!!!」

 

だが、飛影は全く動じていない。

 

「フッ、勘違いするなよ、それは“只”の黒龍波だ」

 

スッ

 

そう言うと飛影は再び右手を周に向けた。

 

「ここからが進化した黒龍波の真髄となる」

 

ピカーー!!!

 

右胸の紋章・魔封紋が三たび光を放つ。

 

「俺がもう一発の黒龍波を放つ事でこの技は完成する」

 

「何だと!!」

 

飛影の言葉に驚きを隠せない周。 

 

「邪王炎殺黒龍波ァァァァァ!!!!!」

 

ドゥォォォォォ!!!!!


右手からさらにもう一発の黒龍波が放たれた。

二発目の黒龍波は周に向かっていく。

 

「チッ、何発来ても負けねー!!」

 

グォォォォォ!!!!!

 

二発目に放たれた黒龍波は周と抗戦中の黒龍波に覆い被さる。

そして。

 

カーーー!!!

 

一瞬、大きな光を放った。

 

(眩しい……)

 

光が消えると二発目の黒龍波は一発目の黒龍波と一つになっていた。

 

「何!二匹の黒龍が一つになった!!?」

 

ズズズ……

 

黒龍の首の部分から頭がもう一つ出てきた。

二匹の黒龍は一つとなり、二つの頭を持つ双龍となったのだ。

 

「邪王炎殺双龍波だ」


グワォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!

 

さっきの黒龍の奇声を遥かに上回る大きな奇声を双龍が上げた。

 

「ヌォォォォォ!!!」


ザザザ…

 

炎術師としての力を爆発させて飛影の放った一発目の黒龍波の力を上回った周。

だが、二つの黒龍波が一つになった事で、力が倍増した黒龍の力に対して、周にはどうする事も出来なかった。

もはや勝負は決したと言える。


「二匹の黒龍が合わさった力がここまでとは……、そ、想像以上だ!!お、抑えきれん!!!!!」

 

グォォォォォォォ!!!!!!!!

 

(!!)

 

バチィ!!!

 

今まで黒龍を抑えていた周の両手であったが、双龍となった事で増したその力によって、その両手は弾かれた。

 

「ク、クソーー!!」

 

ドォォォォォォォォォォ!!!!!!

 

進化した黒龍波である邪王炎殺双龍波が遂に周の身体に直撃した。


「ぐわァァァァァァ!!!!!!!!」

 

周は大きな叫び声を上げた。

 

――選手たちの休憩所

 

棗が叫ぶ。

「周!!」

 

スクリーンに映し出されたたのは、飛影の放った双龍波によって、まさに焼き尽くされそうになっている周の姿であった。

 

スッ

 

棗の肩に手を置く才蔵。

 

「才蔵」

 

「勝負あった。この勝負、周の負けだ」

 

――Bブロック

 

「悪いがまだ編み出したばかりでな、加減は出来ない」

 

「ヌォォォォ!!!!」


双龍に焼かれて苦しむ周の姿が飛影の目に入る。

 

「フン」

 

パチン

 

飛影は指を鳴らした。

 

シュゥゥゥゥゥ……

 

周を燃き尽くそうとしていた双龍は闘場から完全に消え去った。

 

「ウァァ……」

 

双龍によって燃き尽くされそうになっていた周は全身に大火傷を負わされていた。

 

「もっと焼かれているかと思ったが、流石は炎術師だけはあるな、炎に対する耐性があるらしい。だが、その身体では戦えまい」


「……つ、強いな邪眼師のチビ。気に入ったぜ……。マジで喧嘩仲間にならねーか……?」

 

全身に大火傷を負い、もはや立って話しをする事すら厳しい状態でありながらも、最後の気力を振り絞って飛影に問いかける周。

 

「俺はお前の喧嘩仲間になるつもりは毛頭ないが、手合わせならいつでも相手してやる」

 

「……へッ、手合わせかよ……。まあいい、今度はお前には負けねーから……覚悟しとけよ……」

 

ドシャッ

 

周はそう言うとその場に崩れ落ちる様に倒れた。

 

「やれやれだ」

 

上空から審判が周の様子を見ている。

 

「Bブロックの二回戦・第四試合は飛影選手の勝利です!!!」

 

審判が飛影の勝利を宣言した。

 

飛影が周を敗った事により、四回戦までの進出は殆ど確定的となった。

三回戦で棗が鉄山を倒す事が出来たなら、四回戦で両者は戦う事となる。

 

――選手たちの休憩所

 

躯、ニコリ。

「思ったより早く決着がついたな。俺の試合まで間に合ったぞ」

 

「躯、今から試合か?」

 

「ああ、どうやらあの男の試合が終わった様だしな」

 

Dブロックを映すスクリーンには黄泉が鍬形を倒した光景が映し出されていた。

黄泉の姿をスクリーンで観た幽助はニヤリ。

 

「やっぱ黄泉は強いぜ。そういえば躯と黄泉は同じブロックだったよな?」

 

「ああ。勝ち進めばあの男と戦う事になる」

 

長年に渡って覇権を争ってきた男と戦う事が出来るかもしれない。

幽助に答えた躯は、どことなく嬉しそうであった。

 

「しかし飛影があそこまで力をつけたのなら、お前もうかうかしていられないぞ」

 

「ああ。でも飛影がとんでもなく強くなっている所を見ると嬉しいぜ。早く俺も試合がしたくなっちまった」

 

躯は対戦表を見て幽助の相手を確認した。

 

「お前の二回戦の相手は氷室か。俺の直属の77人の戦士の一人だ」

 

「ああ、知ってる。前の大会で北神が戦った相手だからよー」

(そういえば北神は中々戻って来ねーな……。何やってんだろう?)

 

幽助と躯から少し離れた場所に幽助とこれから戦う氷室の姿があった。

 

浦飯幽助か。対戦相手として倒しがいがあります。魔界召喚士の力を存分に味合わせてあげますよ」

 

浦飯幽助vs氷室の試合が間もなく始まる。

 

続く

 

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幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #105「禁呪法・魔封紋(大会編)」

――魔界統一トーナメントBブロックの二回戦・第四試合

 

周(しゅう)
×
飛影(ひえい) 

 

――Bブロック

 

抑えていた巨大な妖気を放出した飛影と周。

二回戦終盤の注目の試合は、いよいよ本格的な戦いに突入する。

 

「どうやら俺の剣が折れたのは、お前の防御力の高さによるもののようだな」


「そうだ。生まれ持った防御力の高さに加えて、俺は修行によって極限まで身体を鍛えている。さっきの剣の攻撃みたいに、生半可な攻撃は通用しないぜ」

 

周の種族であるメタル族とは魔界で数多く存在する種族の中の一つである。

周が述べた通り、メタル族は生まれ持った防御力の高さに加えて、優れた格闘センスを持っている。

さらにメタル族には戦闘を好む血気盛んな者が多く、メタル族=戦闘民族としてのイメージが魔界では浸透していた。

周はそのメタル族の中でも最強の力を持つ妖怪なのである。

 

「邪眼師のチビ、お前の能力は確か、魔界の炎を操る邪王炎殺拳だったよな?」

 

周は飛影の能力について問いかける。

 

「ああ」

 

「俺は長年生きているだけに、色々な能力や技を持った野郎と戦ってきたが、邪王炎殺拳の使い手はお前が初めてだ。思いっきりお前との喧嘩を楽しませてもらうぜ」

 

周はまさに戦いを心の底から楽しむ戦闘マニア。

 

(喧嘩だと?)

 

シュルシュルシュル

 

右腕に巻いていた包帯をほどく飛影。

そして直ぐに右手に妖気を集中し始めた。

 

「おっ、それは?」

 

飛影の最強の技である黒龍波である。

体内に黒龍を取り込むべく黒龍の召喚を始めた。

 

ピカーー

 

それと同時に飛影の右胸の紋章から光が放たれた。

 

――選手たちの休憩所

 

「飛影の奴、いきなり黒龍波か。相手が相手だけに仕方ねーけど、最初からあんなに妖力を使って大丈夫か?」

 

身体に大きな負担のかかる飛影の黒龍波の特性を知る幽助は心配していた。 

 

「飛影のあの胸の紋章の光は何だ?」

 

驚き続ける幽助とは対称的に、禁呪法の意味を知る躯は冷静に戦局を分析。

 

「早速、黒龍波を使うつもりか。あの禁呪法がこれから絶大なる効果を発揮する。飛影が本格的に使い始めたらこの試合は意外と早く決着がつくかもな」

 

――Bブロック

 

「ハァァ!!!」

 

ドゥォォォォォォ!!!!


飛影は上空に向かって黒龍波を放つ。

上空に放たれた黒龍は術者である飛影に向かってくる。

そして。

 

カーー!!!!!

 

ズンン

 

飛影は体内に黒龍を取り込む。

その結果、攻撃力、防御力、妖力を爆発的に上昇させた。

 

「行くぞ」

 

「スゲー妖気だな。こいつは倒しがいがあるぜ」

 

スッ

 

再び両者は構えて、戦闘態勢に入る。

 

「俺も一つだけ言わせてもらうぞ」

 

「何だ?」

 

ズキューン!!!

 

飛影は高速で動いて一気に周に向かって行く。

そして周に接近して、無表情な顔で一言。

 

「お前もチビだ」

 

(!)

 

ビューン!!!

 

素早い飛影のパンチ。

周はニヤリと不敵な笑みを見せる。

 

(こいつ……!)

 

バキッ!!

 

周の顔面にまともに直撃。


ザザザ……

 

一撃を受けて後ずさる周。


「お前、今の一撃をワザと受けたな」

 

周を鋭い目で睨む。

 

「本気を出したお前の一撃がどのぐらいの威力か知っておきたかったからよ」


周は唇の血を右手で拭うと、飛影にかかってこいと言わんばかりに手で挑発する。

 

「それだけの強さなら、お前も俺の喧嘩仲間にもなれるぜ」

 

「お断りだ」

 

ズキューン!!!!!

 

飛影は再び周に向かって行く。

 

「俺を甘くみない事だ」

 

周は向かって来る飛影に答える。

 

「甘くみてねーぞ。今の一撃は本当にかなりのもんだ。俺の喧嘩仲間達といい勝負だぜ」

 

ドガーン!!!

 

飛影の拳と周の拳が接触

巨大な力を放出している者同士の凄まじい力がぶつかった衝撃が辺り一面に伝わる。

それを合図に飛影と周の激しい肉弾戦が始まる。

飛影と周は防御はおかまいなしに殴りあう。

攻撃力は飛影が周を上回り、防御力は周が飛影を上回っていた。

現状、肉弾戦はほとんど互角とも言える。

 

――選手たちの休憩所

 

スクリーンに映し出されている両者の戦いを見つめる棗。

その隣には才蔵がいる。

 

「周の奴、楽しそうに戦っているようね」

 

「あいつらはまだ自分の能力である技を使ってきていない。今の所は互角といった所だ。この戦いは、それぞれの技を出した時、大きく動き出すだろう」

 

――Bブロック

 

激しく攻撃を撃ち合う二人であったが、飛影がここで魔界の炎を使い始めた。

 

ボォォォォォ!!!!!

 

飛影の両手に魔界の炎を宿る。

 

「邪王炎殺煉獄焦」

 

(両方の手に魔界の炎を宿している。こいつは打撃技みたいだな)

 

周は瞬時に飛影の技を分析。

 

ズドドドドド!!!!!

 

周の胸部を狙った飛影の高速の連打。

 

スッ

 

周は素早く、両腕をクロスさせて身体を守る様に防御スタイルに切り替える。

 

ガガガガガガ!!!!!!


クロスさせた両腕に煉獄焦を受ける事でダメージを最小限に抑えた。

 

ズドドドドド!!!!!

 

飛影は無言で煉獄焦を周に放ち続ける。

 

(俺もそろそろ技を使うとするか)

 

周は飛影の攻撃を防御しながら何かを狙っていた。

 

ズドドドドド!!!!!

 

「一発一発が結構、重たいぜ」

 

飛影の煉獄焦の連打の前に防戦一方の周。

だが、攻撃を続ける飛影の表情は優れない。

 

(チッ、俺の煉獄焦を完全に防いでいやがる)

 

飛影はまだ気付いていなかった。

周の身体の色が徐々に変化している事に。

そして。

今まで防戦一方であった周がついに行動を起こす。

クロスしていた両手を横に広げたのだ。

 

(何!?)

 

突然の予想外の行動に驚く。

 

ガガガガガガ!!!!

 

防御を周が止めた為に、飛影の煉獄焦が周の身体に直撃。

 

「ぐっ………」

 

周の身体に攻撃を加えた方の飛影の顔が何故か一瞬、歪んだ。

飛影の両手の拳から血が流れる。

煉獄焦が周の身体によって弾かれたのだ。


「なるほどな」

 

周は飛影の攻撃を防ぎながら、徐々に全身に妖気を伝えていた。

それは二つの目的の為。

今、煉獄焦を弾いた様にさらに防御力を高める為に。

防御力を高めたその身体は鋼鉄化していた。

そして周のもう一つの目的とは。

 

「ようやく完成したぜ」


ボォォォォォ!!!!!

 

周の全身に炎が燃え上がる。

もう一つの目的、それは全身に炎の妖気を宿す事。

飛影の邪王炎殺拳は魔界の炎を扱うのに対して、周は己の持つ妖気から炎を作り出していた。

 

「お前も炎術師か」

 

「そういう事だ」

 

フッ

 

周が飛影に接近。

周の両手に妖気の炎が宿る。

 

「鉄火爆裂拳」

 

ボォォォォォォ!!!!!


周の両腕に凄まじいまでの炎が燃える。

 

「オラオラオラ!!!!!」

 

ズドドドドド!!!!!

 

(!!)

 

全身の鋼鉄化によって拳は強化。

そして両手に燃える炎。

二つが合わさる時にこの技は強力な技となる。

その強力な技が飛影の腹部にヒット。

十数発の炎のパンチを撃ち込まれる。

 

「ぐわァァァァァ!!!」

 

ヒューー!!!

 

攻撃を受けた衝撃で飛影の小さな身体は吹き飛ばされたが、右手で地面を擦って、これ以上、飛ばされるのを防いだ。

 

(チッ、なかなかやる!)

 

飛影が前を向くと周が既に接近していた。 

 

(!!)

 

「さっきまでは妖気が伝わるまで防戦一方だったが、技が完成した以上はどんどん俺は行くぜ」 

 

そして再び、鉄火爆裂拳を放つ。

 

「オラオラオラオラ!!!!!」

 

ズドドドドド!!!!!

 

鋼鉄化した炎の拳の連打。


「ナメるな!!!!」


ズドドドドド!!!!!

 

飛影は直撃を受ける前に邪王炎殺煉獄焦で素早く応戦。

凄まじいまでの連打を放つ。

ぶつかり合う魔界の炎の連打と妖気の炎の連打。

 

「ウォォォォォ!!!!!」

 

互角の拳。

 

邪王炎殺煉獄焦と鉄火爆裂拳は数十発に及ぶ撃ち合い。

 

バッ

 

互角の撃ち合いをしていた両者はバックジャンプで距離を取った。

 

「チッ、お前との撃ち合いは俺の方が不利のようだ」 

 

黒龍波を体内に取り込み、攻撃力を上げ、そして魔界の炎を拳に宿している飛影であったが、鋼鉄化している周の拳に生身の飛影の拳がぶつかる事で拳をボロボロにしていたのだ。


「仕方がない。もう少しこの技は取っておきたかったが、そうはいかないようだ」

 

飛影はそう言うと右手に妖気を集中。

再び黒龍波を放とうとしていた。

 

ピカーー

 

そして飛影の右胸に現れていた紋章が強い光を放ち始めた。

 

眩しさで周の目が眩む。

 

「またあの光か」

(あれは一体なんだ)

 

――選手たちの休憩所

 

黒龍波二発目!?それにさっきと同じ光だ!」


驚く幽助に躯が近付いて来た。

 

「躯」

幽助も躯に気付く。

 

「飛影の右胸から放たれた光は禁呪法を使った光だ」

 

「禁呪法?」

 

「あの禁呪法は飛影が命懸けで身に付けたものだ。あいつの禁呪法の能力は膨大な力を消耗する技を使う時に多いに役立つ」

 

「躯、どんな効果なんだよ?」

 

「飛影から聞いた話しだが、技を使った時に消耗する妖気を100分の1以下にする事が出来る。身体に負担の激しい黒龍波をいくら放とうが、殆ど身体に影響がないはずだ」

 

「だったら黒龍波の連発も可能って事か……」

 

(御堂から得る力は自分の思うままの理想の力を得られる。黒龍波を何発も撃てる飛影は魔界でもかなりの上位妖怪になっている)

 

「スゲーよ飛影」

 

スクリーンに映し出されている今の飛影の姿を見て、幽助は少し興奮していた。

 

(あの禁呪法を身につけた飛影は全力を出した俺と互角に戦えるかも知れないな) 

躯は真剣な目でスクリーンに映し出されている飛影を見た。

 

――Bブロック

 

飛影の右手にはいつでも黒龍波を放つ準備が整っていた。

 

「こいつを見ろ」

 

自分の右胸の紋章を指差す。

 

「胸の変な紋章が何だっていうんだ?」

 

「俺は極めていた自身の最強の技である黒龍波をさらにこの数日の間に様々な形に進化させる事に成功した」

 

無表情な顔で周に説明する飛影。

 

「この胸の紋章・魔封紋のおかげでな」

 

ブォォォォォォ!!!!!


どんどん巨大になる飛影の妖気。

 

 

「喜べ、お前が魔界で進化した黒龍波の犠牲者第1号だ」 

不敵な笑みを浮かべる飛影。

 

「スゲー妖気だ。なんか危険な香りがする」

 

スッ

 

周は構える。

飛影の凄まじい妖気が身体にビシビシと伝わってくる。

メタル族の戦士としての血が騒ぐ。

 

「面白い!本当に俺が犠牲者になるかどうか試してやる」

 

飛影、ニヤリ。

「行くぜ!!」

 

数ある進化した新生黒龍波の技の一つがついにベールを脱ぐ。

 

続く

 

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幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #104「飛影vs周(大会編)」

――魔界統一トーナメントBブロックの二回戦・第四試合

 

周(しゅう)
×
飛影(ひえい) 

 

――選手たちの休憩所

 

Bブロックの闘場に向かう直前、躯が飛影に声をかける。

 

「今からか飛影?二回戦から強敵が相手だな」

 

「それを言えばお前も前の大会の二回戦からあの女が相手だったろう?」

 

飛影はそう言うと視線を別の方向に移す。

視線の先にはメイン会場から戻って来ていた棗の姿があった。

 

「フッ、確かにな」

 

飛影の視線に気付いた棗と目が合う。

棗は、ニコリと笑顔で返すと飛影と躯の方に向かって歩いてくる。

 

「躯、久しぶり。貴方とこうして話すのは前の大会以来よね」 

棗は近付くとまずは躯に声をかけた。

 

「ああ、そうだな。大会の組み合わせで行くと、今回はお前は俺ではなく、ここにいる飛影と当たる事になりそうだ」

 

「そうね」

棗はそう言うと飛影の顔を見る。

 

「何だ?」

 

「飛影、貴方に言い忘れていた。私と貴方の賭けだけど、私は既に三回戦に進んでいる。もし貴方が二回戦の相手である周にここでに敗れる事にでもなれば、賭けは貴方の負けよ」

 

(賭け?)

躯は賭けという言葉にピクッと反応した。

 

「いいだろう。俺は負けるつもりはないからな」

 

「大した自信ね。健闘は祈っとく」

 

「お前とはもう一度、対戦したいものだ」

 

棗、ニコリ。

「最後まで残れば戦えるわよ。決勝で待ってるわよ躯」

そう言うと棗は立ち去る。

 

躯、ニヤリ。

「お前よりあいつの方が余程、自信家だ。それに飛影、何か分からないが、俺の知らない所で面白い事になっているようだな」

 

「お前、楽しそうだな」

 

「何の事だ?」

楽しそうに答える躯。

 

そんな躯に渋い顔になる。

飛影は首にかけている二つの氷泪石を外した。

それを飛影は氷泪石を躯に手渡す。

 

「おそらく激戦となる。預かっておいてくれ」

 

「分かった」

 

命と同じぐらい大切な氷泪石を躯に預けるのは、それだけ飛影は躯を信頼している証であった。

そして躯に一言。

 

「初戦の相手がつまらん相手だったからな。楽しい戦いになりそうだ」

飛影はそう言うと闘場に繋がる階段を上がっていった。

 

前大会から三年。

魔界で躯の元に残った飛影。

大会の敗者として、魔界に迷い込んだ人間を保護するパトロール隊の一員となり、その能力である邪眼で多くの人間を彼は見つけて保護して来た。

何も変わらない日々

何も刺激のない日々。

飛影は日々の生活に多くのストレスを感じていた。

そのストレスの捌け口となっていたのが、飛影が幽助や蔵馬達と同じぐらいに信頼している躯との手合わせであった。

彼女との命賭けとも言える激しい手合わせによって飛影の日々の鬱憤は発散されていた。

その飛影と共に手合わせを続けてきた躯。

彼女は感情によって、その力が大きく変化していた。その理由は彼女の凄惨な過去にあった。

感情に左右されてコントロール出来ない力。

焼けただれた半身。その原因の中心になっていたのが、奴隷商人痴皇であった。

飛影の協力を得て痴皇との過去を清算した躯は、感情に左右されていた力を100%発揮出来る様になっていた。

その最強の力を持つ躯と三年に渡って手合わせを続けてきた飛影の力は、飛躍的に上がり、前の大会で圧倒的な力を見せつけていた煙鬼達、そして黄泉などと肩を並べるまでに強くなっていた。

そして御堂から得た禁呪法・魔封紋。

着実に最強の妖怪になりつつあった。

 

「俺ももうすぐ試合だが、ギリギリまでお前の戦いぶりを見させてもらうぞ」


――救護室

 

ここは大会の主催者・煙鬼によって作られた、大会で負傷した選手達の傷を治療する場所である。

この救護室には、魔界全土から優秀な回復呪術を得意とするエキスパートの妖怪達が集められていた。

そのエキスパート達が大会で度重なる激戦によって、次々と運び込まれてくる妖怪達の治療にあたっている。

梟に倒されて瀕死の鈴木の治療もここで行われていた。

そして蔵馬と桑原も二回戦で負傷した傷の手当てを受けていたのだった。

彼等は15人分のベッドが入る広さの部屋にいた。 

彼等のいる部屋は予選の敗者や本選の敗者で既に一杯であった。

 

治療中の桑原と蔵馬は武威について話している。

 

「なあ蔵馬、おめーは武威の最期の言葉をどう思うよ?」

 

「武威は俺達の前に何者かが現れる様な事を言っていました……。何か意味深な感じでしたね。それに武威の命を奪った仮面の男。分からない事ばかりだ」

 

武威が最期に二人に語った内容が不気味に彼等の心に刻み込まれていた。

 

「俺は月畑の仇を討つって言う強い気持であいつをぶっ殺す為に戦っていたけどよー、いざ目の前で死ぬ所を見ると……」

桑原はそこで言葉を止めた。

 

「桑原君、君の気持は分かりますよ……」

武威の死を目の前で見た二人は顔色が優れなかった。

 

(………)

 

重苦しい雰囲気を変える為に桑原は別の話題を話し始めた。

 

「しかし蔵馬もよくあの怪獣(電鳳)に勝ったよな。かなりの力の差があったのによー」

 

蔵馬、ニコリ。

「フッ、怪獣はちょっと言い過ぎですよ。電鳳が可哀想だ」

 

桑原の電鳳の呼び方に蔵馬は苦笑いを浮かべた。

 

「そうか?俺から見れば怪獣っぽかったが」

 

「せめて野獣ですよ」


「なるほど」

 

二人は重苦しい雰囲気を吹き飛ばす様な声で笑った。


(フン。怪獣と野獣で悪かったな)

ベッドの布団を頭から被ってふてくされる電鳳。

二人が気付いていないだけで実は部屋の隅のベッドに電鳳はいたのだった。

 

「お前達、楽しそうだな」

楽しく談笑を始めた桑原達の元に死々若丸がやって来た。

 

「死々若」

 

「ゲッ!てめえかよ」


死々若丸の顔を見て露骨に嫌な顔をする桑原。


「おい、失敗ヅラ!そんなに露骨に嫌な顔をするなよ。折角、お前に見舞いを兼ねていい物を持って来てやったのに」

 

「コラァ!!誰が失敗ヅラだ!!」

当たり前ではあるが、桑原は死々若丸に失敗ヅラと呼ばれる事が嫌いなのである。 


死々若丸、ニヤリ。

「フッ、それだけ威勢が良ければ試合で受けた傷は大丈夫だな」

 

「ぐっ……」

 

「失敗ヅラ」

 

スッ

 

死々若丸は着物の胸元から何かを取り出した。

 

「これをお前にやる」

 

ポイッ

 

胸元から取り出した物を桑原に投げて渡した。

 

パシッ

 

右手でキャッチ。

 

「何だ?」

桑原は受け取った物を間近で確認。

 

「おいおい、こいつは!?」

 

「見て分からないのか?試しの剣だ」

 

死々若丸が胸元から取り出した物。

それは鈴木が大会前に死々若丸に渡した、改良されたあの試しの剣であった。

 

――Bブロック

 

闘場の中央付近で飛影と周が一定の距離を保って対峙した。

いつでも戦える準備は既に整っている。

 

――メイン会場

 

小兎が解説を始める。

「Bブロックの二回戦・第四試合は躯選手の直属戦士の中でもNo.1の実力を誇る飛影選手の登場となります」

 

メイン会場のスクリーンには飛影と周の姿が映し出されている。

 

「その飛影選手の対戦相手は前大会で、痩傑選手と長時間に渡る凄まじいまでの戦いを繰り広げ、観客の皆さんを驚かせた、あの周選手です」

 

「あのメタル族の奴は前の大会で戦うのを見たが、とんでもない妖力を持っていたぞ」

 

「飛影と周、これは面白い対決になりそうだ」

観客達は強者同士の対決を期待していた。

 

――Bブロック

 

「それでは周選手対飛影選手の試合を始めます」

審判の言葉を聞いて、ここで周が初めて口を開いた。


「おい、邪眼師のチビ、始めから飛ばしてかかって来い」

周の言葉に無表情で答える飛影。

 

「それは俺が決める事」

 

「ケッ、無愛想な野郎だぜ」

 

上空から審判が両者の様子を見ている。

 

「始め!!」

 

審判の試合開始の合図の声が闘場に響き渡る。

 

カチャッ

 

飛影は試合開始の合図と同時に腰にぶら下げている剣に手をかける。

周も同様に両手の拳を握り締めて喧嘩スタイルで構える。

 

(…………)

 

緊張の瞬間。

 

ズキューン!!!!!

 

先に攻撃を仕掛けたのは飛影であった。

 

「ハァァァーー!!」


高速で動いて周に一瞬で近付く。

 

周、ニヤリ。

 

(!!)

 

シャキーン

 

飛影の剣が周の腹部を切り裂いた。

 

(こいつ、何故防御をしない)

直ぐに背後にいる周を見る飛影。

 

「フフン、どうした?」


周は腹部を斬られたのにもかかわらず、何事もなかったかのように余裕の顔を見せる。 

飛影は周を斬った剣の刃を見つめる。

 

(奴の血が剣についていない。今の一撃はあの野郎の腹を斬ったのは間違いない)


「さてと今度は俺の番だぜ!邪眼師のチビ」

 

ズキューン!!

 

飛影に続いて今度は周が仕掛けた。

 

「オラァオラァ行くぜ!!」

 

ズダダダダダダ!!!!!


両手で鋭いラッシュ!!!

 

飛影は素早く動きこの攻撃を難なくかわす。

周は飛影に息をつく暇を与えない程の連続攻撃。

 

(俺の一撃は奴の急所を斬ったはずだ。だが、何故か斬れていない)

 

攻撃をかわしながら頭の中で考える飛影。

 

「スピードは流石だな」

飛影は周の連続攻撃を全てかわしていた。

 

「よく喋る野郎だ」

 

フッ

 

飛影の姿が一瞬で消え去る。

 

「おっ!!」

 

シャキーン

 

僅かな周の隙を見つけて先程と同じ箇所を斬りつけた。

 

(今度も完璧に斬ったぞ)

 

「それがどうした」

先程と同じく何事もなかった様な顔の周。

 

「何だと!?」

 

二度に渡り確実に急所を斬った飛影。

だがその攻撃が周に通用していない事に驚く。

 

周、ニヤリ。

「お前の剣を見てみな」


周に言われて飛影は剣の刀身に目を移す。

 

ピシッ

 

(!!)

 

剣の刀身に亀裂が入る。

 

パキン

 

そして飛影の剣が真っ二つに折れた。

 

ドスッ

 

折れた剣が地面に突き刺さる。

 

「チッ」

 

飛影は折れた剣を投げ捨てた。

 

「始めから飛ばして来いと言ったろ?全力でかかってこないと俺の身体に傷なんかつけられんぞ」

 

「なるほど面白い」

 

パサッ

 

飛影は身に纏っているマントを脱ぎ捨て、第三の目である邪眼を隠すヘアバンドを外した。

 

パチッ

 

第三の目である邪眼が開く。

 

ブォォォォォ!!!!!!


飛影は巨大な妖気を解き放った。

それと同時に飛影の右胸には、大きな謎の紋章が浮き出た。 

 

――選手たちの休憩所

 

躯が禁呪法の紋章を確認する。

「あれが例の禁呪法か。見せてもらうぞ飛影。御堂から得た力をな」

 

――Bブロック

 

「お前の言った通りにしてやるぜ」

 

「そうだ。折角、お前と戦うなら思いっきり戦いたいからな。お前にメタル族最強の戦士の力を見せてやるよ」

 

ブォォォォォォ!!!!!


周も内に秘めた巨大な妖気を放出。

 

飛影、ニヤリ。

 

飛影はいつも手合わせしていた躯以外で、久しぶりに歯応えのある者と戦える事に喜びを感じていた。

 

続く

 

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