nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~#019「無敵のフィールド(序章)」

幽助は感じた妖気の場所に向かって夜の街を全力で走っている。

 

幽助(人間界で黄泉があれだけの妖気を出して戦っている相手ってのは一体何もんだ?)

 

幽助は身体の中に湧き上がってくる熱い何かを感じていた。

 

――辺りには誰もいない広い建物の跡地。そこで黄泉は金髪の男・比羅と対峙していた。

 

黄泉は地面に膝を着いて腹部を左手で抑えている。

 

腹部からは地面に血が流れ落ちるほど、深い傷を負っていた。

 

比羅「桑原たちを何処に飛ばした?」

 

その顔は無表情でだが、圧倒的なオーラを醸し出していた。

 

黄泉は苦痛で顔を歪める。だが、比羅の問い掛けに、

ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

黄泉「俺がそんな質問に答えると思うか?」

 

比羅「そう言うとは思ったよ。どうやら貴様の口から聞き出すしかないようだな。悪いが死ぬ事になるぞ」

 

黄泉「俺が死ぬ?いいだろう。やってみるがいい」

 

黄泉はそう言うと腹部を抑えながらゆっくり立ち上がる。


比羅「さっきまでは互角だったが、貴様が息子を庇って受けたその傷は深いぞ。もはや力の均衡は崩れたのだ。その身体では、まともな戦闘は出来ないだろう」

 

黄泉「それはどうかな?」

 

黄泉は両手を前に出して手の平を合わせた。

 

黄泉「∑∫〆∮#…」

 

聞き慣れない言葉を次から次へと発する。黄泉が得意とする呪術である。妖気を両手に集中し始めた。

 

黄泉「ハァァーー!!」

 

両手に集中して高めた妖気を一気に開放した。

 

開放された妖気は黄泉の全身をあっという間に包み込んでいく。

 

比羅「なるほどな。一度高めた妖気を開放し、自ら再び身体に取り込むことで、妖力を飛躍的に向上させたといったところか」

 

黄泉「元々は、大会に備えて新たに編みだしていたものだったが、この傷では仕方ない。貴様とやり合うには必要だ」

 

そう言うと黄泉は戦闘態勢に入った。両手と両足から黒い妖気の炎が現れている。その妖力は三年前の大会の時と比べると格段に強くなっていた。

 

比羅「お前がこんな技を隠し持っているとはな。面白い。だが私にはこの身体を守ってくれる無敵のフィールドがある。その力を持ってしても、お前が私の身体に傷をつけることは到底不可能だ」

 

黄泉「どうかな。やってみないとわからんぞ」

 

素早く動いて比羅の側まで急接近。鋭い蹴りとパンチを繰り出す。

 

比羅、ニヤリ。

 

「分かるさ」

 

黄泉の攻撃が比羅に当たると、ガッ!!ガッ!!っと何か壁を殴るような大きな音がする。

 

黄泉の攻撃は、比羅の身体を守る赤い透明なフィールドによって全て阻まれていた。この音はフィールドにパンチやキックが当たっている音だった。

 

だが、黄泉は攻撃の手を緩めない。

 

黄泉「ハッ!」

 

続いて渾身の力を込めた強烈なストレートを放った。

 

比羅「無駄だ!!」

 

この攻撃も比羅のフィールドによって、またもや阻まれた。だが、次々と攻撃を仕掛ける黄泉、しかしその攻撃の全てが弾かれていた。

 

この時、攻撃が弾かれた時に一瞬だけだが、黄泉の動きが止まるときがあった。

 

それを比羅は見逃さなかった。

 

比羅「ハァーー!!」

 

黄泉に向かって右手から衝撃波を放つ。

 

黄泉「むっ!」

 

瞬時に両手をクロスさせて衝撃波に備える。

 

衝撃波が黄泉に接触

 

そしてドーーン!!!!っと大きな音が辺り一面に響き渡る。

 

強烈な衝撃波を受け止めきれなかった黄泉の身体は吹き飛ばされた。

 

そして比羅は衝撃波に続いて、両手からエネルギー波を連続して黄泉に向かって放った。


ドッ!!ドッ!!ドッ!!


黄泉は飛ばされながらも、途中でなんとか踏みとどまり、次のエネルギー波に備える。


黄泉(奴が放っているのは妖気ではない。煉破反障壁では吸収することは出来ない)

 

右手に妖気を集中する黄泉。

 

黄泉「ウォォォォォ!!!!!」

 

バシィッ!!

 

右手で比羅のエネルギー波を弾き飛ばした。

 

ドガーーーーーン!!!!!!

 

黄泉の背後で弾かれたエネルギー波が爆発した。

 

そして二人はお互いに距離を取ると、構えて戦闘態勢。

 

黄泉「行くぞ!」

 

比羅「ハァッ!」

 

両者は同時に地面を強く蹴ると空中に向かって飛んだ。

 

比羅の強烈な拳が黄泉の傷ついた腹部を狙う。

 

黄泉「魔古忌流煉破防御壁」 

 

ガキーン!!

 

比羅(!!)

 

比羅の拳が何かに触れて弾かれた。

 

比羅「これは防御壁か!!」

 

黄泉の前には、青く光る透明な壁が張られていた。

物理的な攻撃のみを全て弾くことの出来る壁。防御における最強クラスの呪術である。

 

黄泉「物理的な攻撃に関してだけ言えば、貴様のフィールドとやらに俺の防御壁は負けていないはずだ」

 

そして空中で素早く両手を合わせると巨大な妖気弾を作り出す。

 

黄泉「ハッ!!」

 

ドーン!!

 

巨大な妖気弾が、比羅に向かって放たれる。

 

比羅「馬鹿め。そんな弾も私のフィールドの前では無力に等しい」

 

シュゥゥゥ……!!!

 

妖気弾は比羅に直撃することなく、フィールドの前に阻まれた。

 

ズキューーーン!!!

 

今度は比羅が攻撃を仕掛ける。素早く動いて黄泉に接近。

 

黄泉はバックステップで後ろに下がる。

 

比羅は黄泉を追撃。追いつくと同時に強烈なパンチを放った。

 

ガキーン!

 

黄泉は身体に拳が触れる直前、再び防御壁を作って、比羅の強烈な一撃を弾いた。


黄泉「トァァ!!」

 

ビューーーー!

 

比羅に向かって鋭い蹴りを放つ。

 

ガッ!

 

この蹴りもまた比羅のフィールドによって阻まれる。


比羅「甘い」

 

ビューン!!

 

お返しとばかりの比羅の強烈なストレートパンチ。


ガキーーン!!!

 

防御壁でこの攻撃も弾く。

 

激しく肉弾戦を繰り広げる黄泉と比羅。

 

二つの壁、防御壁とフィールドがお互いの攻撃を防ぐため、両者の戦いは持久戦になってきた。

 

だが、ここでアクシデントが起こる。

 

しかもそれは黄泉にだった。

 

ズキッ

 

黄泉(!?)

 

比羅に受けた腹の傷が、激しい攻防によって悪化。

傷口から激しい痛みを感じる。

 

黄泉は痛みを堪えながら、防御壁を使って激しい比羅の攻撃を防ぎ続ける。

 

そして比羅も休む間を与えず強烈な攻撃を放ち続ける。

 

ガキーン!!

 

ガキーン!!

 

黄泉(チッ…)


防御壁で比羅の攻撃をギリギリでどうにか防ぐ。

 

だが、攻撃を防ぐ度に、腹部の傷がどんどん酷くなっていく。

 

黄泉(まずいな……)

 

黄泉の異変に気付いた比羅はニヤリ。

 

比羅「どうした?防御壁を作る速度が落ちてきているぞ。その腹の傷のせいかな?」

 

ビューン!!

 

黄泉(ぬっ…!) 

 

ここで黄泉の頬に比羅の一撃が擦った。

 

黄泉の頬が切れ、血が流れる。


それは黄泉が防御壁を作るスピードより、比羅の一撃のスピードの方が勝ったことの証明であった。 

 

比羅「擦ったな。いつまで私の攻撃に耐えきれるかな?」 

 

比羅は勝利を確信したのか。余裕の笑みを浮かべながら次から次へと黄泉に激しい攻撃を仕掛ける。

 

ガキーン!

 

ガキーン!

 

黄泉はどうにか防御壁で比羅の攻撃を避け続けているが、傷の痛みは止まらない。比羅の攻撃が数発に一発は、擦るようになっていた。


比羅「貴様の防御壁の欠点は、攻撃を受ける度に張らないといけないことだ。だが私のフィールドは常に張られたままだ。そこが私と貴様の決定的な違いだ」

 

ガキーン!

 

黄泉「チィッ!」

 

ズキッ!!

 

黄泉(うっ…!)

 

今まで感じた事のない激しい痛みが黄泉を襲う。

 

腹部に受けた傷は黄泉が激しく動いていたせいでかなり悪化していた。そして出血も酷い。

 

痛みは黄泉の動きを大きく鈍らせた。

 

比羅「もらったぞ!!」

 

ビューーン!!!!

 

防御壁を張るのが間に合わない。

 

黄泉(!?)

 

ドゴォォォォォ!!!

 

黄泉の胸部に強烈な一撃が決まる。

 

黄泉「ガハッ!!!」

 

黄泉の口から吐いた大量の血が比羅の顔や身体にかかる。黄泉は胸を抑えて膝を地面についた。

 

比羅「これで勝負あったな」

 

比羅は不敵な笑みを浮かべると金髪の髪の毛を右手で掻き上げる。

 

黄泉「まだだ…」

 

黄泉は気力を振り絞って立ち上がる。

 

比羅「その身体でまだ動けるとはな。流石はかって魔界を統一しようとしていた男だけのことはある」

 

ボン!!

 

黄泉は両手の手の平から妖気弾を生み出した。

 

黄泉「行くぞ」

 

シュ!シュ!シュ!

 

黄泉は両手から凄まじいスピードで妖気の弾を次から次へと比羅に向かって放った。

 

比羅はその場から一歩も動かず妖気弾を見ている。

 

比羅「私のフィールドは無敵」

 

シュゥゥーーー

 

妖気の弾は比羅の身体に当たることなく、比羅を守るフィールドによって遮られてしまった。

 

黄泉「ハァァァ!!」

 

ドドドドォォォォ!!!!!

 

黄泉は比羅のフィールドによって、妖気弾が全て遮られているのにもかからわず、大量の妖気弾を連続で放ち続けている。

 

シュゥゥー、シュゥゥー 


だが何度撃っても妖気弾は比羅のフィールドに遮られてしまう。

 

比羅(これはどういう事だ。奴ほどの使い手が、どうして今までの戦いで無駄と分かっている攻撃を続けるのだ。何か策でもあるのか?)


シュゥゥー、シュゥゥー 


妖気弾が次々と比羅のフィールドに阻まれていく。

 

黄泉(………)

 

しかし黄泉はやみくもに妖気弾を放っていたわけではなかった。徐々にだが、放つ弾を上下左右と軌道を変えながら放っていた。

 

一つの妖気の弾が比羅の頭の少し高めの所を通過して外れた。 

 

ドガーーン!!!

 

比羅の後ろで妖気弾が小規模ながら爆発する。


黄泉は次に比羅の立っている位置から少し左側と右側に妖気弾を放つ 

 

ドガーーン!! ドガーーン!!

 

黄泉の放った弾は外れて、比羅の後ろで先程と同じように小規模な爆発が起きた。

 

黄泉(なるほどな…。これで奴のフィールドの有効範囲はほぼ掴めた)

 

爆発による地面からの砂けむりで、徐々に視界が見えづらくなる。

 

黄泉は両手の手の平を横に合わせると妖気を集中させる。

 

ジジジ……

 

手の平に巨大な丸い妖気の塊ができる。

 

黄泉「受けてみるか?今から放つこれが俺の最強の妖気弾だ」 

 

比羅「威力はあるのかもしれないが無駄だ。通じなければ、絶望を味わうことになるだけだぞ。私のフィールドは無敵だ」

 

黄泉「ならばそのまま動かず俺の妖気弾を遮ってみせろ」

 

比羅「いいだろう。この戦いもそろそろ飽きてきた。この妖気弾を遮ったら、貴様を完全に倒し、桑原の居場所を吐かせる」 

 

黄泉「受けてみろ!」

 

ドーーーーーン!!

 

黄泉は巨大な妖気弾を比羅に向けて放った。

 

シュゥゥゥ!!

 

だが、渾身の力を込めて放った妖気弾は、無情にも比羅のフィールドによって遮られてしまった。

 

比羅「だから無駄だと言っただろう」

 

攻撃が通用しないことは黄泉は分かっていた。

妖気弾を放ったのは別の狙いがあったのだ。

 

黄泉は、妖気弾を放つと同時に、素早く動いて比羅の間合いまで近付いていた。

 

黄泉「かかったな!今の妖気弾は囮だ」 

 

黄泉は右手の手の平で比羅の身体に触れる。すると無敵の赤いフィールドが姿を現した。

 

黄泉「∮%∮∑*∫∑・・・」


黄泉は呪文を詠唱し呪術を発動させ始めた。

 

ピシッ!!

 

比羅のフィールドに僅かだが亀裂が入る。

 

比羅(何!?)

 

フィールドに絶大の自信を持っていた比羅に衝撃が走る。

 

パリーン!!!

 

そして比羅のフィールドが粉々に崩れた。

 

比羅「ば、馬鹿な!?」

 

無敵を誇ったフィールドを破壊されて、初めて焦りの表情を見せる比羅。

 

ボォォォォォ!!!!

 

黄泉の右手に妖気の炎が光輝く。

 

黄泉「くらうがいい!これが俺の本当の最強の一撃だ」

 

黄泉は完璧なタイミングで比羅の懐に入り込む。

 

黄泉「魔古忌流炎裂撃!!」 

 

グォォォォ!!!

 

比羅に黄泉の最強の一撃が放たれた。

 

比羅(!!)

 

続く