nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #018「黄泉の妖気(序章)」

――黄泉と修羅に会った日の翌日。

 

幽助は某TV局の裏口に訪れていた。

 

母である温子が持ってきた依頼を達成する為である。

その依頼とはカルト三人組のサインと小兎の私物を手に入れるというもの。

 

幽助「いつも悪いな」

 

小兎「いいですよ。これもファンサービスになるし、私たちにもお金が入りますから」

 

カルトの三人にそれぞれ色紙にサインを書いてもらう。

 

幽助「おいおい、私物ってこれか?」

 

依頼の小兎の私物を受け取ったのだが、意外なものだったから、幽助も困惑していた。

 

幽助(渡された私物が孫の手かよ…)

 

瑠架「貴方もいつも大変ね」

 

樹里「本当本当」

 

幽助「まったくそうだぜ。妖怪と人間とのトラブルがあると思って始めたこの商売だけどよー。依頼の殆どがおめーらの事ばかりなんだからな」

 

樹里「でもあたしたちには人間界でのいい収入減になるし、ファンには喜んでもらえるし、良いことばかりだよね」

 

瑠架「そうね」

 

カルトの三人は人間界と魔界の結界が無くなると、

いち早く人間界に進出した妖怪たちだった。

 

妖怪系アイドルとしてデビューしたら、そのルックスとコンセプトが視聴者に受け、瞬く間にトップアイドルになった。しかし何故か非社会的組織の人々からの人気が高いオマケ付きで。今回の依頼主もその手の人だったりする。

 

彼女たちは人間界で成功を納めた、妖怪の代表例として、魔界でもそれなりに話題になっていた。

 

幽助「依頼がある時はまた頼むぜ」

 

樹里「了解」

 

幽助「そういえば、おめーらはもうすぐ魔界統一トーナメントがあるの知っているか?」

 

小兎「もちろんです。私たちは三人とも大会に行きますよ」

 

幽助「芸能界で売れっ子のおめーらがよく休みが取れたな」

 

カルトの三人組は同時にニコリと笑う。

 

小兎「凍矢(とうや)さんの…」


瑠架「陣(じん)の…」

 

樹里「鈴木(すずき)さんの…」


三人「応援に行くためよ」

 

幽助(おいおい…)

 

――その頃の魔界では

 

凍矢・陣・鈴木「へっくしょん!!」

 

同時にくしゃみをする三人。

 

死々若丸(??)

 

死々若丸(ししわかまる)は三人が同時にくしゃみをしたので不思議そうな顔で三人を見ていた。

 

――人間界

 

小兎「はにゃ~。まあ半分は冗談で、実は私は実況。樹里さんは大会の審判やスタッフ。瑠架さんは医療の手伝いをそれぞれ煙鬼さんから依頼を受けているんですよ」

 

幽助「なるほどな。煙鬼のおっさんも今回の主催者だけあって中々やるな。おめーらのことは暗黒武術界の時から知っているからな。楽しみにしているぜ」

 

樹里「任せて」

 

幽助はカルトの三人組と別れるとTV局を後にした。

 

幽助「よし。依頼品は無事に手にいれたな」

(後は、預かった三人のサインと小兎の私物を依頼主に渡せば依頼完了だな)

 

――幽助の実家

 

幽助「お袋~、いるか」

 

温子「いるわよ~…」

 

幽助「寝起きかよ。うわ~酒くせーな」

 

温子「あ~頭痛いわ。昨日は飲みすぎた」

 

幽助「お袋が持って来た依頼をやってきたぜ」

 

温子「早いわね。やるじゃん」

 

幽助「依頼主から金をもらってきたから、お袋の取り分の仲介料はここに置いとくぜ」

 

温子「悪いわね~。そこ置いといて。本当に二日酔いで頭痛いわ」

 

幽助「へいへい」

 

温子「ふわ~あ。頭が痛いし眠いし幽助、私はもう一眠りするわ」

 

幽助「あ、お袋が寝る前に言っとくぜ。明後日からちょっと春ぐらいまで魔界に行ってくるわ」

 

温子「魔界??アメリカより遠いんだっけ?まあ気をつけて行ってらっしゃい…」

 

温子はそう言うと再び深い眠りに入った。

 

幽助「全く、お気楽中年が」

 

幽助はいつもと変わらない母の姿に苦笑いを浮かべながら眠った温子にソッと毛布をかけた。

 

――その日の夜。

 

幽助はいつものように屋台の準備を終えて営業を始めていた。

 

いつもの常連のおっちゃんが現れる。

 

幽助「いらっしゃい」

 

「食べにきたよ、幽ちゃん。いつものやつね」

 

幽助「毎度」

 

注文を受けて早速ラーメンを作り始めた。

 

おっちゃんは屋台の椅子に座ると、いつもの調子で話しだす。

 

「そうそう幽ちゃん、たまたま近くを通りかかったうちの娘が言っていたんだが、河原崎で建設中の建物が突然爆発を起こしたらしいぞ」

 

幽助「へ~、危ねーな。死人でもでたのか?」

 

「死人はいないって。でも作業員が一人、中に取り残されて怪我をしたらしい。現場の関係者が助けだしたようだよ」

 

手際よくラーメンを完成させて、おっちゃんの前にだす。

 

「お、さすが幽ちゃん、早いね。もう腹減ってたんだよ」

 

このおっちゃんは幽助が屋台を開いた頃からの常連で、もう三年の付き合いになる。

 

幽助「しかし最近物騒…」

 

おっちゃんに話しかけようとしたその時だった。

 

幽助(!!)

 

瞬間的に何かを感じ取る。

 

そして幽助は素早く屋台から飛び出した。

 

幽助(大きな妖気と何かよく分からねーが、今まで感じたことのねー気がぶつかっている)

 

おっちゃんが心配して、ラーメンを手に持ったまま、幽助の隣にやってきた。

 

「どうしたんだい幽ちゃん?突然飛び出したりして」

 

幽助(ここからそう離れていないな。一体何が起こっているんだ)

 

「幽ちゃん?」

 

幽助「あ、ああ。すまねえおっちゃん。俺は行かないといけねーとこが出来た。ラーメンの代金はいらねーぜ」

 

幽助はおっちゃんにそう言うと全力で走っていった。

 

客「あっ、ゆ、幽ちゃん、ちょっと!?」

 

幽助(この大きな妖気は絶対に黄泉だ。あいつがこれだけの力を出して戦っている奴って一体何もんだ)

 

幽助は黄泉の妖気を感じた場所に向かって全力で走っていった。

 

異質な力を持つ者とは果たして何者なのだろうか?

 

続く