nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #078「魔円咬と魔妖妖(大会編)」

――魔界統一トーナメントBブロックの第八試合。

 

行脚(あんぎゃ)
×
飛影(ひえい)

 

小柄の一つ目妖怪・行脚と飛影の戦いが行われていた。

 

「ウォォォォ!!!」


行脚は拳を振りかぶって飛影に向かっていく。

飛影はその場から一歩も動かずに行脚を待ちかまえていた。

 

「くらえー」

 

ビューン!!!

 

行脚は飛影に強烈なパンチを放った。

 

ドガッ!!!!!

 

行脚の強烈な一撃が飛影にまともに直撃。


行脚、ニヤリ。

「やった!勝ったぞ」

 

自慢の攻撃が飛影にまともに直撃したことで行脚は勝利を確信した。

だが飛影の身体がゆらりゆらりと行脚の目の前から消えていく。

 

「な、何ィ!?」

一つ目を見開いて行脚は驚いた。

 

「残像だ」

 

飛影の声が行脚の背後から聞こえてくる。

 

(なっ!?)

 

ドスッ

 

行脚の背中から飛影が剣を突き刺した。

 

(!!!!!)

 

行脚は剣で身体を貫かれたことによる激しい痛みで顔が歪んだ。

 

「そんな馬鹿な!?」


ズボッ

 

飛影は行脚に突き刺していた剣を引き抜いた。 

 

「グァァ!!!」

 

ドサッ

 

行脚はその場にバタリと倒れた。

 

「うぐぐ……」

 

「相手が悪かったな」


ヒュッ

 

カチャッ

 

飛影は行脚から引き抜いた剣を一振りすると腰にぶら下げている鞘に剣を納めた。

 

「急所は外しておいた」

 

「ち、畜生ォォ・・・」

行脚は歯を食いしばって悔しがる。

飛影は上空の審判を見上げた。 

 

「Bブロックの第八試合、行脚選手対飛影選手の試合は飛影選手の勝利です!!」

 

――選手たちの休憩所

 

躯と奇淋が飛影の試合を見ていた。

 

「流石は飛影、勝負はあっという間でしたね。相変わらず恐ろしい男だ」

 

「お前と飛影は同一のブロックだ。勝ち進めばいずれぶつかることになるぞ」

 

「挑むところですよ。飛影を倒すのは私のこの大会の目的の一つですからね」

 

躯、ニヤリ。
「その顔だとかなりの自信があるようだが?」 


奇淋、ニコリ。

「もちろんです」

奇淋は自信に満ち溢れた声で躯に答えるとスクリーンに映る飛影の姿を再び見たのだった。

幽助たちも鈴駒と修羅の試合以外にもスクリーンに映る飛影の試合を注目して見ていた。

 

桑原が珍しく飛影に感心していた。

「なんか暗黒武術会で魔金太郎を倒した時と同じような勝ち方だな。でも魔金太郎と行脚って奴は、実際に桁違いに妖力に差があるってのに、同じ倒し方が出来るなんて飛影の奴はマジでスゲーぜ」

 

蔵馬は飛影の強さを推し量っていた。

(三年前に比べて相当強くなっている。あれなら雷禅の仲間たちと互角以上に戦えるかもしれない)

 

「おっ!鈴駒の奴、魔妖妖を出したみたいだぞ」

幽助の言葉に蔵馬と桑原はAブロックの鈴駒と修羅の試合を映しているスクリーンに視線を移した。

 

――Aブロック

 

Aブロックでは、いよいよ修羅と鈴駒が本気になろうとしていた。

 

「おいらの魔妖妖の力を見せてやるよ」

 

「ヨーヨーのような子供の玩具が僕に通用すると思ってんの?」

 

修羅は少し呆れた顔で鈴駒のヨーヨーを見ている。


「やってみないと分からないだろ」

 

「そんな玩具なんかいいよ!それよりも僕の技を先に見せてやるよ」

 

バッ!

 

修羅はその場から上に向かって高くジャンプ。

手の平を互いに向かい合わせ呪術の詠唱を始めた。

 

「*⊿#∠∑>/&」

 

ジジジ……

 

修羅が呪術を唱えると、向かい合わせた手の間に妖気の塊が出来てきた。

 

クルクルクル

 

そして修羅は身体に回転をかけ始める。

 

「くらえぇぇ!!魔円咬ォォォォ!!!」

 

ド!ド!ド!ド!ド!ド!


修羅は身体を回転させながら大量の放出系の妖気の弾を鈴駒に向けて一斉に放った。

これには鈴駒も驚く。

 

「げげっ!?妖気の弾かよー」

 

バシ!バシ!バシ!バシ!


鈴駒は修羅の放つ妖気の弾を両手で弾き飛ばしていく。

 

ドガーン!ドガーン!ドガーン!ドガーン!

 

弾かれた妖気の弾は方向を変えて地面に落ちて爆発した。

だが、次々と鈴駒に向かって妖気の弾が飛んで来る。

 

ド!ド!ド!ド!ド!ド!


「しつこいな」

 

バシ!バシ!バシ!バシ!


ドガーン!ドガーン!ドガーン!ドガーン!

 

しかし修羅は弾かれてもかまわずどんどん放出し続ける。

 

「うわわ!!数が多過ぎるぞ!」

 

流石に妖気の弾を弾ききれなくなった鈴駒は、妖気の弾を避ける為、駆け出した。

 

ドガーン!!!ドガーン!!!!

 

攻撃の外れた妖気の弾は地面に落ちて爆発していく。

 

「くそ~っ!修羅のように妖気の弾を飛ばすような技がおいらに使えればあれを相殺出来るのに」 

 

走っている鈴駒に弾が次々と飛んでくる。

 

「くそっ!」

 

ピタッ

 

鈴駒は走るのを止めた。 


バシッ

 

ヒュー

 

ドガーン!!

 

鈴駒は右手で修羅の妖気の弾を弾き飛ばした。

 

ド!ド!ド!ド!ド!ド!


だが、数十発の弾が直ぐに鈴駒に向かって飛んでくる。

 

(や、やばい!!)

 

グッ!

 

鈴駒は両手をクロスさせた。

 

ドガァァァァァァ!!!!

 

ついに魔円咬が鈴駒に直撃した。

 

修羅、ニコリ。

「まだまだいくよ」

 

クルクルクル

 

ド!ド!ド!ド!ド!ド!


修羅はさらに魔円咬を放出し続ける。

 

ドガーン!!!!!!

 

さらに数十発の弾が鈴駒に直撃したのだった。

直撃を確認すると、妖気の弾の放出を止めて、修羅は地面に着地した。 

 

「勝った」

修羅は笑顔で勝利のVサイン。

 

凄まじい爆発で鈴駒がいた場所は煙で視界が何も見えなくなっていた。

 

――メイン会場

 

小兎の解説にも熱が入る。

「修羅選手の魔円咬が鈴駒選手に直撃!!!これで勝負は決まったか!」

 

「鈴駒ちゃん……」

流石は手を組んで祈るようにスクリーンを見ている。

鈴駒なら大丈夫だと信じて。


――Aブロック

 

「誰が勝ったって?」

煙の向こうから鈴駒の声が聞こえて来た。

 

バッ

 

クルクルクル

 

シュタッ

 

鈴駒が煙の向こうからジャンプして修羅の目の前に現れた。


鈴駒、ニヤリ。

「これぐらいではおいらを倒せないよ」

 

勝ったと思っていた修羅は悔しくて頬を膨らませた。

「しぶといな~。でも今のは結構ダメージを受けたみたいだね」

 

鈴駒は防御して修羅の攻撃に耐えきったが、その身体には大きなダメージを負っていた。

 

「まだまださ!今度はおいらの番だ」

 

トン

 

ヒュー

 

鈴駒は軽く地面を蹴ると上に向かって高くジャンプをした。

 

「ショット!!」

 

ビューー

 

鈴駒の右手から四個のヨーヨーが修羅に向かって放たれる。

 

シュゴー!!!

 

放たれたヨーヨーは強い回転で回り始めた。

 

「そんな攻撃は僕には通用しないよ」

 

グォォォォォ!!!

 

鈴駒のヨーヨーが修羅に近づく。

 

バッ

 

修羅は鈴駒のヨーヨーをかわす為に後ろに飛ぶ。

 

グォォォォォ!!!

 

修羅にかわされたヨーヨーはそのまま地面に向かって飛んでいく。

 

ドゴーン!!!

 

鈴駒のヨーヨーが地面にめり込んだ。

 

シュタッ

 

修羅は地面に着地した。

 

「こんなものをかわすのは楽勝!楽勝!」

 

鈴駒のヨーヨーを軽くかわした修羅は余裕の笑みを浮かべた。

 

鈴駒、ニヤリ。

「そうか?」

 

ドガッ!!!

 

めり込んだヨーヨーが直ぐに地中から姿を現した。

四個のヨーヨーが再び修羅に向かって飛んでいく。

 

グォォォォォ!!!

 

「うわ~っ!ヨーヨーが僕にまた向かってきたぞ」

 

バッ

 

ヨーヨーをかわす為に修羅は再び後ろに向かってジャンプした。

修羅にかわされたヨーヨーの軌道は先ほどと同じように地面に向かって動いている。 

 

グォォォォォ!!!

 

「この魔妖妖はおいらの指で自由自在に操作出来るのさ」

 

クイッ

 

鈴駒はヨーヨーと糸で繋っている右手の指を軽く上に動かした。

 

グォォォォォ!!!

 

鈴駒の指の動きで軌道を大きく変えたヨーヨーは修羅を追撃。

 

「ヨーヨーの軌道が変わった!?」

 

グォォォォォ!!!

 

「くっ!」

 

ググッ

 

修羅は鈴駒のヨーヨーが身体に直撃する直前で身体を右に反らす。 

 

ガッ

 

鈴駒のヨーヨーが修羅の胸部を擦る。

 

「擦ったか……。危ないな。今のはちょっと焦ったよ」

 

グォォォォォ!!!

 

鈴駒のヨーヨーは上に向かって飛んでいく。

 

「よっと」

 

クルクルクル

 

鈴駒と距離を取る為に、修羅は身体を回転させて鈴駒と少し離れた場所に飛んだ。


「やるじゃないの。でも今のをかわしたとしても、おいらのヨーヨーからは逃げられやしないよ」

 

ビューー

 

鈴駒は今度は左手に持っていた四個のヨーヨーを放った。

 

シュゴー!!!

 

左手から放たれた四個のヨーヨーは高速回転でグルグル回り始めた。

 

「へへっ!犬の散歩だよ~ん」

 

ガガガ!!!

 

鈴駒のヨーヨーはもの凄い速さで地面を削りながら修羅の着地点に地面から向かっていく。

 

クルクルクル

 

シュタッ

 

修羅は鈴駒と少し離れた位置に着地した。

 

(!)

 

ガガガ!!

 

「何だァ!?地面からもヨーヨーがこっちに向かってくるぞ」

 

一連の修羅の動きは鈴駒の計算通りだった。

「そして仕上げはこれさ」

 

クイッ

 

鈴駒は右手の指を軽く下に向けた。

 

グォォォォォ!!!

 

鈴駒の右手から放っているヨーヨーの軌道を変えて、上空から地上にいる修羅をめがけて攻撃を開始させた。


「空と地上からの同時攻撃だ」

 

グォォォォォ!!!

 

ガガガ!!

 

空と地上から合計八個のヨーヨーが一斉に修羅に襲いかかった。

 

(!!)

 

ドガァァァァ!!!!!

 

「上手くいったぞ」

 

空中と地上の両方からヨーヨーが修羅に直撃をした。

完璧なタイミング。

これは老獪な鈴駒ならではの戦法だった。

だが、修羅の強さは鈴駒の予想を遥かに超えていた。


「どこが上手くいったんだよ、バーカ!」

 

ピキーン

 

「な、何だあれは!?」

 

修羅に防御壁が張られていた。

 

修羅、ニヤリ。

「魔古忌流煉破防御壁」

 

なんと修羅は父親である黄泉と同じ呪術を使い、物理攻撃を全て防ぐ無敵の防御壁を張っていたのだった。

 

――選手たちの休憩所

 

蔵馬と幽助が修羅の防御壁に驚いていた。

「あれは黄泉の防御壁!?」

 

「あいつも身につけていたのか」 

 

黄泉が幽助たちの所に歩いて来た。

 

「黄泉」

 

「浦飯、驚いたか?修羅には俺の持つ防御系の技を全て教え込んだ」

 

「ああ、防御壁にはかなり驚いたぜ。防御系の技を教え込んだってことはあの技も使えるってことだよな?」

 

「もちろんだ」

 

「ちぇっ、あの技が使えるのは俺には厄介だぜ」

幽助は苦笑いを浮かべた。


蔵馬の顔が険しくなる。

「まずいな……。修羅が防御壁を使えるとなると鈴駒はかなり厳しい戦いになるぞ」

 

幽助も同意する。

「ああ」

 

桑原はスクリーン前で鈴駒を応援していた。

かっては死闘を繰り広げた相手だ。

鈴駒に勝ってもらいたい。

 

「鈴駒、小僧に負けんじゃねーぞ」

 

――Aブロック

 

シュルルル

 

パシッ

 

八個のヨーヨーが鈴駒の手元に戻って来る。

 

「パパから直伝のこの防御壁は物理的な攻撃を全て防ぐんだ」

 

(まいったな……。反則だよ、あれは。あの防御壁をどうするか)

 

「僕が防御壁を使い出したらお前の攻撃は一切通用しないよ。でも逆に僕にこれを使わせただけでも凄いよ」

 

鈴駒の額から汗が滲み出てくる。

(考えろ。あの防御壁にも必ず何か弱点があるはずだ。今はあいつを攻撃して弱点を探すしかないか)

 

鈴駒は活路を見い出す為に修羅に向かって駆け出した。

 

続く

 

次へ

戻る