nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #030「転移(序章)」

比羅「トドメだ。死ぬがいい」

 

ビューーーン!!

 

修羅(殺られる!!)

 

黄泉「修羅ァァァァ!!!!!」

 

バッ!!

 

黄泉は修羅の下へ飛んだ。

 

迫り来る比羅。


修羅(かわせない……)

 

死の恐怖から目を瞑る。

恐怖心が彼の心を支配する。

 

修羅(…死にたくない……)

 

ドゴォォォ!!!!

 

桑原「ああ……!!」

 

雪菜(!!)

 

修羅(あれ…?僕、生きてる??)

 

恐る恐る目を開けてみた。

 

修羅(!!)

 

そこには衝撃の光景があった。

 

思わず叫ぶ、修羅。

 

「パ、パパァァァァ!!!!!」

 

比羅、ニヤリ。

 

「馬鹿め、息子を庇ったか」

 

黄泉「ぐっ……」

 

比羅の拳は黄泉の腹部を完全に貫いていた。

 

黄泉「ガハッ!!!」

 

口から大量の血を吐いた。

 

腹部からは血がどんどん溢れ出てくる。

血は比羅の手を伝わり地面にまで流れ落ちていた。

 

比羅「やはり親だな、黄泉。私としては貴様を倒す手間が省けたから、むしろ願ってもない好都合だ」

 

ズボッ!!

 

比羅は黄泉の腹部に貫通している手を引き抜いた。

 

黄泉「ガハッ!」

 

黄泉は再び血を口から吐いた。

そしえ腹部を手で押さえると膝が地面についた。

 

比羅「その身体ではもはや私の邪魔は出来ないな」

 

修羅「パパァァ!!」

 

心配そうに黄泉の肩にしがみついている。

 

黄泉(ぬうう……。思ったより傷が深いな…… )

 

雪菜「いけない!」

 

回復の術をかけようと黄泉の所へ駆け寄る。

 

黄泉「来るな!!」

 

桑原「雪菜さん!!行ったらいけねーー!!!」

 

比羅「フッ」

 

雪菜に右手の手の平を向けた。

 

比羅「回復の術は使わせない」

 

ドーーーーン!!!

 

雪菜に向けて強烈な衝撃波を放った。

 

雪菜「キャアァァァァ!!!」

 

衝撃波による圧力が雪菜に襲いかかる。

 

桑原「雪菜さーーーん!!!」

 

素早く雪菜の前に立つと、両手の手の平を前に突き出して、全力で霊気を集中。衝撃波の威力を抑え込もうと踏ん張る。

 

雪菜「か、和真さん!!」


桑原「グォォォォォ!!!!」

 

ズズズ……

 

だが、少しずつ衝撃波の圧力に押されていく。

 

比羅「まだそんなに霊気が残っていたのか。だが無駄だ!」

 

ドーーーン!!!!

 

さらにもう一発、強力な衝撃波を放つ。

 

桑原(!!)

 

ズズズズズズ………

 

桑原「チ…チクショーォォォォォ!!!」

 

黄泉(まずい)

 

バーーン!!!

 

桑原の手は衝撃波の威力の前に弾かれた。

二人は衝撃波に飲み込まれる。

 

桑原「うわァァァァ!!!」

 

雪菜「キャアァァァァ!!!!!」

 

ズシャッ!!!

 

二人の身体は吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。

 

桑原「クソッタレがァァァ!!」 

 

痛みを堪えながら、どうにかゆっくりと立ち上がる。


桑原「はっ!?雪菜さん!!!」

 

一緒に吹き飛ばされた雪菜の姿を必死に捜す。


桑原(!)

 

雪菜は地面に倒れて動かない。

 

桑原「ゆ、雪菜さーーーん!!!!!!」

 

ボロボロの身体を引きずりながらも、雪菜の所まで辿り着く。

そして彼女の身体を抱き起こした。

 

桑原「雪菜さん!!雪菜さん!!雪菜さーーん!!!」

 

雪菜「うっ……」

 

桑原「良かった……。気を失っているだけか」

 

比羅、黄泉と修羅に向けてニヤリ。

 

比羅「貴様等のトドメは後でゆっくりと刺してやる。

そこで待っていろ。邪魔したかったらしてもいいが、

その身体では何も出来まい」

 

そう言うと桑原たちの方へ近づいてくる。

 

桑原「クソォォォ!!」

 

右手に霊剣を作り出して戦闘態勢。

 

黄泉(………)

 

黄泉は比羅に貫かれた腹部の傷を見た。

 

黄泉(この傷では人間たちを守りながら戦えない。

仕方がない)

 

比羅「桑原よ。私と共に来てもらうぞ」

 

桑原(次元刀はもう出せねーし、一体どうすればいい……)

 

黄泉「∑*#/>∠∑」&」

 

黄泉は両手の手の平を合わせると呪術の詠唱を始めた。

 

修羅「パ、パパその術は??」

 

合わせていた両手の手の平を離すと前に突き出す。 


黄泉「ハァァァ!!」

 

ボーン!

 

ボーン!

 

ボーン!

 

黄泉の手から三つの黒い円が現れた。それはまるでブラックホールの様にも見える

 

修羅「ま、まさかパパ、それは!?」

 

黄泉「空間転移の術だ」

 

黄泉が黒い円の一つに手を触れると円は突然、高速回転を始めた。

 

続けて残り二つの円にも黄泉は手を触れた。

 

さっきの円と同様に二つの円も高速回転を始めた。

 

黄泉「ハァァァ!!!」

 

黄泉は二つの黒い円を桑原と雪菜に向かって投げた。

 

比羅も黒い円の存在に気付く。

 

比羅「な、何だあれは!?」

 

パァァァ!!!

 

黒い円が桑原と雪菜を包み込む。

 

桑原「なんじゃあこりゃあァァァ!?」

 

修羅「初めて見た!これが空間転移の術…」

 

ドンッ

 

修羅(!?)

 

黄泉は側にいた修羅を残り一つの円の中に突き飛ばした。

 

修羅「パ、パパ!?」

 

桑原「て、てめー!これは何なんだァァァァ!?」

 

黄泉「人間よ。お前を奴に渡すと人間界のみならず、

必ず魔界にも悪いことが起こる。悪いがこの場から逃がす為に、別の場所に飛ばさせてもらうぞ」

 

桑原「お、おい冗談じゃあねーぜ!!これってまさか」

 

桑原は自分を包み込んでいる黒い円を見て何かを思い出した。

 

桑原「こ、この感覚は、死々若丸や鈴木に昔、別の場所に飛ばされたあの感覚と同じだ」

 

修羅「パパ!僕までどうして??」

 

黄泉「修羅よ。この場は俺に任せるのだ」

 

修羅「僕も一緒にあいつと戦うよ」

 

黄泉「駄目だ。今のお前では到底、奴には勝てない。俺の足でまといになる。お前は父の足でまといになりたいのか!!」


父の言葉にビクッとする修羅。

 

修羅「で、でもパパは僕を庇って大きな怪我をしてる……」

 

黄泉、ニコリ。

 

黄泉「案ずるな修羅。俺には大会用に編みだしたあの技がある。俺一人ならなんとかこの場は切り抜けられる。奴を倒したら直ぐにお前を迎えに行く」

 

修羅「パパ……」

 

黄泉は立ち上がると右手を強く握り締める。そして今度は右手を高く上に挙げたのだった。

 

黄泉「ハァァァ!!!」

 

掛け声と共に三つの円は空高く昇った。

 

比羅(!)

 

桑原「何だ!身体がどんどん何かに吸い込まれていく!!」

 

黄泉「∑⊿#」

 

黄泉の短い詠唱によって円の回りは強力な妖気に包まれる。

 

黄泉「ハァッ!」

 

桑原「ま、またかよ~~~!!!雪菜さ~~ん!!」


修羅「パパァァ!!」

 

フッ

 

桑原と雪菜と修羅の三人の姿はこの場から完全に消え去った。

 

比羅「消えた!?」

 


黄泉「上手くいったな」

 

ズキッ

 

黄泉「ぬうう……」

 

腹部の傷の痛みで再び地面に膝をつけた。

 

比羅は黄泉を睨みつけた。

 

比羅「き、貴様ァァァァ!!!!」

 

怒る比羅とは対象的に黄泉は冷静。

 

黄泉「フッ、これでゆっくりとお前と勝負の続きが出来るな」

 

――とある森

 

上空に黄泉の飛ばした黒い円が姿を現した。

 

桑原(!)

 

そして黒い円は上空で突然消えた。

 

桑原「ウォォォォ!?」

 

ドタッ!!

 

桑原は空からどこかの暗い森の中へと落とされたのだった。

 

桑原「痛てて……。ここはどこだ?」

 

辺りを見回すと桑原が落ちた森は、障気に満たされた異様な雰囲気を醸しだしていた。

 

桑原「こ、ここは…まさか!?」

 

続く

 

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