nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #031「森の化け物(序章)」

――とある森

 

桑原「こ、ここは…まさか!?」

 

どこかで見覚えのある光景。

 

とりあえず落ち着こうと、

自分の額を指でポリポリと掻いた。

 

桑原「ハハハッ…、流石にそんなわけねーよな…」

 

頭の中で考えても辿り着く先に出てくる答えは、

もう一つしかないのだが、認めたくない。

 

現実逃避的に他の事を考える。

するとここでようやく雪菜の事を思い出した。

 

桑原(雪菜さん!!?)

 

顔が青くなる。

彼女の事が心配になって必死に辺りを見渡す。

 

だが、雪菜の姿はどこにもない。

 

桑原「雪菜さ~~ん!!!!」

 

雪菜の名を呼びながら周辺をくまなく捜す。

 

桑原「い、いねーよ…。だけど俺と小僧と一緒に、

雪菜さんも一緒に黄泉に飛ばされたはずだ」 

 

少し足をのばして深い茂みの中も捜してみたが、

雪菜はこの辺りにはいないようだった。


桑原は足を止めて森の中を見渡す。

 

障気に満たされた異様な森の雰囲気。

 

突然、悪寒が走った。

 

桑原「しかし本当に気持悪いな。雪菜さんを捜すったって、まずはこの森から出ねーとな…」

 

出口を求めて森の中をひたすら進んで行く。

 

桑原「しかし凄い森だぜ。見たこともねー植物ばかりだし、暗くて前がよく見えねーぜ」

 

ガサガサガサ

 

桑原(!)

 

茂みの中から何かが激しく動いている音が聞こえてくる。

 

獣か?それとも。

 

桑原「何だ?」

 

ガサガサガサガサ

 

徐々に音が近くなってくる。

 

ゴクッと唾を飲み込む。

 

桑原「何か…、もの凄く嫌な予感がしてきたぜ…」

(こういう時の俺の予感は、必ず的中するんだよな…)

 

ガサガサガサガサ!!!!

 

音が直ぐ側まで近づいてきた。

 

「グガガガァァァァ!!!」

 

不気味な声と同時に化け物がその姿を現した。

 

化け物の容姿は、三つ目で頭には大きな角があった。

また、前足には鋭く長い爪が生え、

顔は豹のような感じだ。

 

桑原「HAHAHA」

 

何故か親父の笑い方の真似を思わずしてしまった。

自分の勘の良さを呪いたくなる。もはや笑うしかない。

 

化け物は桑原の姿を確認すると今にも襲いかかってきそうな勢いだ。

 

桑原「わ、笑っている場合じゃあねーよな。

って何なんだよ、この化け物は!?」

 

ダッ!!

 

駆け出す化け物。

 

桑原を獲物と認識した化け物が飛びかかってきた。

 

鋭い爪が桑原を襲う。

 

桑原「ゲッ!」

 

なんとかジャンプして化け物の攻撃をかわした。

 

桑原「ったくよー。金髪の野郎との戦いで霊気があまり残ってねーってのによー」

 

化け物は再び桑原に襲いかかってくる。

 

桑原「クソッ!仕方がねー!」

 

桑原は右手を前に素早く突き出した。

 

ジジジ……

 

桑原「霊剣!!」

 

霊剣を握り締めると化け物に向かって駆け出した。

 

「グガァァァァ!」

 

桑原「ウォリャァァァァ!!!!!」

 

ぶつかり合う桑原と化け物。

鋭い爪で力押しする化け物とそれを霊剣で受け止める桑原という図式。

 

桑原「負けてたまるかよー!!

 

「グガガガァァァ!!」

 

死力を尽くす両者。

 

この戦いで勝ったのは桑原だった。

 

霊剣で爪を押し返し、化け物の手を切断。

怯んだ化け物の身体を次々切り裂く。

 

ズバッ!!

 

そして最後は頭を切り裂いた。

 

「グォォォォ!!!」

 

化け物は断末魔の叫びを上げるとドサッと地面に倒れた。

 

桑原(今のはマジで紙一重だったぜ…)

 

倒れた化け物に近付いて生死を確認する。

化け物が死んだ事を確認すると桑原の右手から霊剣が消えた。

 

桑原「ハァハァハァ……。今ので殆どの霊気を使い果たしちまったぜ」

 

ヘナヘナっと地面に座り込んでしまった。

 

桑原(あんな化け物がいるってことは、ここはやっぱり人間界じゃねーって事で間違いねーな……)

 

ガサガサガサ!!

 

直ぐ側の茂みがまた大きく揺れている。

 

桑原(!!)

 

慌てて起き上がる。

 

桑原「う、嘘だろ…。まだいるのか!?」

 

「グガァァァァ!!!」

 

先程、桑原が倒した化け物と同じタイプの化け物が姿を現した。

 

ガサガサガサ!!

 

ガサガサガサ!!

 

桑原「マ、マジかよ…!?」

 

「グガァァァァ!!!」

 

「ガルルルル!!!」

 

さらに2匹、反対側の茂みから同じ化け物が姿を現した。

 

桑原「ハハハ…。もう霊気ねーし、どうしよう……」

 

チラッと森の先を見た。

 

そして息を思いっ切り吐く。

 

桑原「なんで俺がこんな目に遭うんだよーー!!!」

 

っと叫びながら全力で森の中を走って逃げた。

 

「グガァァァァ!!!」

 

化け物たちも桑原を追いかけて走りだす。

 

桑原「霊気もねーのに三匹も相手に出来るかーー!!」

 

「グガァァァァ!!!」

 

桑原「チクショー!!化け物の方が足が速いぜ!!!」

 

「グガァァァァ!!!」

 

一匹の化け物が桑原に追いついた。

そして鋭い爪で攻撃。

 

ビューン!!!

 

桑原「や、やべー!!」

 

この攻撃をどうにかジャンプでかわしたが、

完全にはかわしきれずに胸に擦り傷を負った。

 

着地した桑原の前に、残りの化け物たちが集まってきた。完全に包囲されてしまった。

 

桑原「痛てて…。こいつはかなりやばいぜ…。霊気さえあればこんな奴ら屁でもねーってのによー」

 

化け物たちの動きを伺いながら、ジワジワ後ろに下がる。化け物たちもゆっくりと桑原に近づいていく。

 

桑原「逃げ場がねーぜ。どうする??」

 

ガッ!

 

桑原(!)

 

桑原の背中に木が当たった。

 

上を見上げると高さが20mはある巨大な木であった。

 

桑原「しめた」

 

「グガァァァァ!!!」

 

化け物の中の一匹が桑原に飛びかかってきた。

 

桑原「オリャァァァァ!!!」

 

バッ!!

 

地面を強く蹴る。

その勢いで木に高くジャンプしてしがみつく。

 

「グガァァァァ!!!」

 

化け物たちは前足の長い爪が邪魔で木に登ることが出来ない。

 

桑原、ニヤリ。

 

「へへっ。上手くいったぜ。あの長い爪じゃあ、こいつらは木に登る事は出来ねーと思ったんだ」

 

桑原はそのまま木に登っていく。そして途中にあった太い枝に渡って、下を覗いてみた。 

 

下にはまだ化け物たちがうろうろしている。

 

桑原(チクショー…。ここから降りられねーな)

 

フゥ~っと溜息をつくと枝の上に座る。

 

桑原(…とりあえず今はここで休んで体力と霊気を回復させねーとな。でないとあんな化け物がいるここを抜けられねーぜ)

 

頭に浮かぶのは雪菜の姿。最後に見た彼女の姿は、

比羅の衝撃波を受けて倒れていた。

 

桑原「雪菜さんは無事なんだろうか…」

 

右手をグッと強く握り締める。

 

桑原「クソッ!俺のせいで雪菜さんを危険な目に合わせちまった。強くならねーと。またあいつが来たら今の俺では手も足もでねー」


ズボンのポケットの中から持ってきていた試しの剣を取り出した。

 

桑原「この試しの剣。次元刀を出した時に出たあの剣が、あの金髪の野郎が言っていた次元刀を超える力なんだろうか…」

 

脳裏には不敵に笑う比羅の顔がよぎった。

 

桑原「あの野郎、雪菜さんを傷つけた恨み、絶対に晴らしてやるぜ!」

 

気合いを入れる桑原。

 

桑原「うっ…」

 

だが気合いとは裏腹に、霊気と体力をほとんど使いきった桑原に急激に睡魔が襲ってきた。

 

桑原「…雪菜さん、必ず俺が直ぐに見つけだしますよ…」

 

そのまま力尽きるように巨木の上で眠ってしまった。 

 

――その頃、雪菜は

 

雪菜「う…う~ん…」

 

ゆっくりと目を開ける雪菜。

 

雪菜(ここは何処…?)

 

まだ意識がはっきりとしない。

 

暫くすると雪菜の脳裏に桑原、そして金髪の男の姿がよぎった。

 

雪菜(はっ!か、和真さんは!?) 

 

意識を完全に取り戻してガバっと起きあがった。

 

雪菜「ここは……」

 

辺りを見回すと今自分がいる場所は、

どこかの家の部屋の中という事が分かった。

そして今まで自分がベッドの上に寝かされていたことにも気付いたのだった。

 

雪菜「誰かが私を助けてくれたのでしょうか…?」

 

ガチャッと部屋の扉が開いた。

 

「気がついたようね」

 

道着を着た黒髪の綺麗な女性が部屋に入ってきた。

 

雪菜「は、はいっ。貴女は?」

 

「私の名前は棗。貴女はこの先の森の入口に倒れていたのよ」

 

※棗についてはこちらを参照して下さい。

nanase1500.hatenablog.com

 

雪菜「そうだったんですね…。では棗さんが私を助けてくれたんですね?」

 

棗「ううん、助けたのは私じゃあないよ。助けたのは彼よ」

 

棗が手で合図を送ると一人の男が部屋に入ってきた。


男が部屋の中に入ってくると、

同時にお酒の強烈な匂いも部屋の中に入ってきた。

 

この匂いは前にも嗅いだことがある。

 

雪菜「あ、貴方は!?」

 

部屋に入って来た男の顔を見て雪菜は驚く。

何故なら男は雪菜が知っている人物だったからだ。

 

男は雪菜の顔を見て、ニヤリ。

 

「久しぶりだな。お前さんと会うのは暗黒武術会以来だったよな」

 

雪菜「貴方は酎さん!?」

 

続く

 

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