nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #014「それぞれの始まり・浦飯幽助(序章)」

――寒い冬の季節の夜の路上で、一軒のラーメンの屋台が営業している。

 

「おっちゃん、ラーメン出来たぜ!」

 

威勢のいい声で出来上がったラーメンをお客に差し出す店主。

 

そして出されたラーメンを美味しそうにすする中年のお客たち。

 

「がっはは!仕事終わって一杯やった後に食べる、この幽ちゃんのラーメンは本当に格別だな」

 

「そうそう。幽ちゃんまだ若いのにこんなに美味いラーメン作れるとは大したもんだ」

 

お客の褒め言葉に店主はニコリ。

 

店主「へへっ!このラーメンは俺の自信作だからな。隠し味は秘密だぜ」

 

「あっ、そうだ!幽ちゃん聞いてくれよ。この間のメインレースでよ~」 

 

今日も賑やかな談笑がラーメン屋で行われていた。

 

――店主の名前は浦飯幽助。中学を卒業後、母親のコネで屋台のラーメン屋を開業。

 

幽助の人当たりの良さと美味しいラーメンの味が客を呼び、常連客も増えてそこそこ繁盛している模様。

 

客入りのピークを過ぎた頃、屋台の暖簾をくぐって一人の女性が入ってきた。

 

女性は30代前半ぐらいだろうか。大人の魅力を存分に醸し出す派手な服を着ている。

 

幽助「いらっしゃい」

 

「よっ!社会人。今日も働いとるか」

 

幽助「なんだおふくろか…。飯でも喰いにきたんか?」

 

入って来たのは幽助の母親の温子だった。

 

温子は屋台の椅子に腰をかける。

 

温子「違うわよ。今日はあんたに依頼を持ってきてやったんよ」

 

幽助「依頼か。まったく、おふくろの持ってくる依頼はろくなもんがないからな」


温子「まあまあ、そういいなさんなって。私が持ってくる依頼もあんたの良い収入源になってるでしようが」

 

幽助「まあ、その辺は否定しないけどよ。それで依頼ってなんだ?」

 

温子「楽な仕事よ。はい、これが依頼内容」

 

温子は幽助に一枚の紙を手渡す。

 

幽助「え~と、なになに…カルト三人組のサインと小兎ちゃんの私物が欲しい……」

 

幽助は依頼書を読んでうんざりとした顔。


温子は幽助の様子を見て、想像通りの反応にニヤリと笑った。

 

幽助「全く…。いつもいつも似たような依頼ばかり持ってきやがってよ」

 

温子「私の懇意にしている方からの依頼だから頼んだわよ幽助~」

 

幽助「分かったよ。依頼は受けてやるから、もうさっさと帰りやがれお気楽中年」

 

温子「フフ~ン。幽助宜しくね~」

 

温子は依頼書を幽助に渡すと上機嫌で帰っていった。


幽助「しかし、あの三人組が何でこんなに人気があるかわからないな」

 

――霊界が魔界と人間を繋ぐ結界を解いたことで、妖怪が人間界に自由に行き来出来ることになった。そこで幽助は、人間と妖怪の間に起こるトラブルを解決する為、妖怪専門の何でも屋を裏稼業としてはじめていたのだった。

 

幽助「たまには面白い依頼がこね~かな」

 

魔界の王になった煙鬼の法案が上手くいっているのか、人間と妖怪の間には殆どトラブルもなく、依頼の大半がカルト三人組のサインとかばかりであった。

 

パサッ

 

屋台の暖簾を潜って一人の男が入ってきた。

 

幽助「いらっしゃい…って何だ桑原か」

 

桑原「何だはないだろ。
せっかく飯を食いに来てやったのによ」

 

幽助「おめーに会うの久しぶりだな。注文はラーメンでいいのか?」

 

桑原「ああ。ラーメンでいいぜ」

 

幽助が手際よくラーメンを作る姿を眺めている。

 

桑原「しかし不思議なもんだぜ。俺も何年か前までは、おめーと一緒に戸愚呂や仙水と戦っていたんだよな。今考えると不思議なぐらいだ。マジで懐かしいぜ。今は俺は大学生、おめーはラーメン屋。何も刺激のない平凡な生活をしているんだからな」

 

幽助「へっ、昔のことを語るなんて大学生になって少し爺臭くなったんじゃあないのか桑原」

 

桑原「馬鹿。何言ってやがる」

 

桑原は苦笑いを浮かべる。


桑原「そういや、ここに来る途中でおめーのお袋に会ったぜ。なんか妙に機嫌が良かったが」

 

幽助「あのお気楽中年、ついさっき俺に依頼を持って来やがったんだぜ」

 

桑原「依頼?ああ~依頼って、浦飯が裏でやってる妖怪専門の何でも屋か」

 

幽助「そういうこと。お袋が仕事の依頼を俺に紹介して、お袋は仲介料をいくらか頂くって形だ。俺が依頼受けたから仲介料が入るから浮かれていたんだろうぜ」 

 

桑原「それであんなに機嫌良かったんか」

 

幽助「本当にろくな仕事がなくてラーメン屋がそこそこ儲かってるから、もうこれ一本に絞ろうか真剣に考えているとこだ」

 

幽助は出来上がったラーメンを桑原の前にだす。

 

幽助「食えよ。出来たぜ」

 


桑原「おっ!浦飯、これってチャーシュー麺じゃあねーか」

 

幽助「サービスだ。ラーメンの値段でいいぜ」

 

桑原「サンキュー。気が利くじゃあねーか」

 

桑原は嬉しそうにラーメンを食べ始める。

 

自分の作ったラーメンを美味しそうに食べる桑原を見て少し満足気の幽助。

 

幽助「桑原、俺はもうすぐ戦いに戻るぜ」

 

桑原「何!?」

 

幽助の言葉に驚く桑原。

 

幽助「魔界でもうすぐ第二回魔界統一トーナメントが開かれるからな」

 

桑原「じゃあ、おめーは今回も出場するんだな」

 

幽助「もちろんだ。今回は絶対に優勝するぜ」 


桑原「まあいいけどよ。そういや、浦飯、姉貴から聞いたが、大学から雪村が休みを利用して実家に帰ってきてるみたいじゃあねーか。魔界に行くならあいつにも一言ぐらい言っていかねーと内緒で行ってばれたら、後で知らねーぞ」

 

桑原の言葉に一瞬固まる幽助。

 

幽助「螢子か…。大会の事ですっかり忘れてた。俺が魔界にまた行くっていったら怒るだろうな」

 

桑原「てめーは雪村の事も少しは気にかけてやらないと雪村に愛想をつかされて、他の男にかっさらわれても知らねーぞ」

 

幽助「うっ…」

 

完全に言葉に詰まる幽助。


幽助「仕方ねー…。明日でも蛍子と話すか」

 

桑原「へっ、まあ頑張れや」

 

桑原はニヤリと笑う。

 

桑原「そうそう、明後日は雪菜さんと遊びに出るんだが、ちょうど蔵馬の会社の近くまで行くからよ。久しぶりに会うつもりだ」

 

幽助「蔵馬か。最近忙しくて会ってねーな。あいつも多分大会に出るだろうし、もうすぐ会えるな。宜しく伝えといてくれ」

 

桑原「おう」


桑原はラーメンを食べ終える。

 

桑原「ごっそうさん。金ここに置いとくぜ」

 

幽助「おう、悪いな。毎度あり」

 

桑原「じゃあ浦飯またな。大会頑張れよ」

 

幽助「ああ」

 

桑原は屋台を後にした。

 

桑原の帰って行く後ろ姿を見ながらさっきの桑原の言葉が脳裏によぎる。

 

幽助「螢子か…。俺が魔界に行くって言ったらなんて言うんだろうな」

 

大会を前にした幽助に、雪村螢子という最強・最大の難題が立ちはだかっていた。

 

続く