nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #034「黒幕の正体(序章)」

――人間界

 

黄泉「魔界だ」

 

黄泉の口から桑原を飛ばした場所が明かされた。

 

幽助・蔵馬「魔界!?」

 

同時に驚く二人。

 

黄泉「そう、魔界だ。俺の空間転移の術でな」

 

幽助「でもよー黄泉、何で魔界なんかに飛ばしたんだ?雪菜は妖怪だから大丈夫だろうが、桑原はいくら強いっていっても、あいつは人間だぜ。妖怪の餌の標的にならねーのかよ」

 

蔵馬「それは大丈夫ですよ。煙鬼が組織したパトロール隊がいる。彼等は魔界に迷い込んだ人間を保護して人間界に送り返している。桑原君も恐らく、彼らによって保護される筈だ」

 

幽助「そういえばそうだったな。じゃあ、桑原も今頃はパトロール隊に保護されているのかもしれねーな」

 

蔵馬「多分ね。黄泉もそれを見通して彼らを魔界に飛ばしたのだろう?」 

 

蔵馬の問い掛けに黄泉、ニヤリ。

 

黄泉「その通りだ。下手に人間界の別の場所に飛ばしたとしても、僅かな時間稼ぎにしかならない。だから俺はわざわざ魔界に飛ばしたのだ」

 

蔵馬「魔界には、飛影や雷禅の昔の仲間たち、そして躯もいる。桑原君を魔界で保護してもらい、彼らに事情を話せば、きっと桑原君の力になってくれるだろう」

 

黄泉「魔界には俺と同等か、それ以上の者が沢山いる。あの男も簡単には手出しは出来ないだろう」

 

幽助「前に戦って見て分かってたけどよ。黄泉、おめーは本当に色々な術が使えるよな」

 

黄泉「俺は目が見えなくなってからは、魔界で生きていく為に色々な術を使えるように修行したのでな」

 

幽助「大会でおめーともういっぺん戦うのが楽しみだぜ」

 

黄泉「フッ」

 

蔵馬「俺が今一番気になっているのは、桑原君の事を奴らは、一体何処で知ったのかということだ」

 

幽助「そういえば、あの野郎が、

俺たちと過去に会った事がある奴が、桑原や俺たちの事を教えたって言っていたぜ」

 

蔵馬「なるほど。桑原君や俺たちの能力を知る者か…。この一連の出来事に関与しているのは一体誰だ?」


話しをしているうちに、三人は幽助の家の前までやって来た。

 

幽助「ここが俺の家だ。コエンマが何かあいつらについて情報を知っていればいいんだけどな」

 

蔵馬「コエンマなら必ず俺たちの大きな力になってくれる」

 

幽助が先に家の中に入って、部屋の明かりをつける。

 

続いて蔵馬と黄泉が家に入る。

 

黄泉「これが人間が住む所なのか?思ったより狭いな」

 

幽助「狭くて悪かったな。人間界の一人暮らしはこんなもんだぜ」

 

幽助は一年ほど前から実家を出ていた。
現在は実家からそう離れていない場所に、

古いアパートを借りて一人暮らしをしている。

 

蔵馬「幽助、早速で悪いが、直ぐに霊界と通信してみてくれ」

 

幽助「ちょっと待ってくれ。直ぐに探すからよ」

 

幽助は散らかった荷物の山の中から霊界と通信するモニターを探している。

 

蔵馬は幽助が探している間に黄泉の傷の手当をしている。

 

蔵馬「黄泉、魔界に戻ったらどうするんだ?」

 

黄泉「修羅が心配しているだろうからな、まずは修羅と合流するさ」

 

蔵馬「この間お前に会った時に思ったが、修羅もかなり強くなっているようだな。親としてこれからの成長が楽しみだろう?」

 

黄泉「まあな。修羅には俺より強くなってもらうつもりだ」

 

蔵馬「今度の大会で修羅もさらに大きく成長してくれることだろう」

 

黄泉「俺としてはそうなってもらわないと困る」

 

幽助「おっ、あったぜ!」


幽助はテーブルの上に通信用のモニターを置いた。

 

黄泉「浦飯、これが霊界と通信が出来るモニターか」


幽助「ああ、そうだ。待ってろ、今から霊界に繋ぐぜ」

 

パチッ

 

幽助はモニターのスイッチを入れた。

 

蔵馬と黄泉は幽助の後ろからモニターを見ている。


暫くするとモニターに一人の女性の姿が映し出された。

 

その女性はとても可愛いらしい顔で、美しい長い髪をポニーテールにしている。

 

幽助「よう!久しぶりだな、ぼたん」

 

※ぼたんについてはこちらを参照してください。

nanase1500.hatenablog.com

 

 ぼたん「急に通信があったから、誰かと思ったら幽助じゃないか!久しぶりだね」


幽助「最近、おめーとは全然会っていなかったもんな。相変わらず元気そうだな」

 

ぼたんはニコリと笑う。

 

「元気があたしの取り柄だからね。幽助から霊界に通信してくるなんて珍しいね。何か急用かい?」


幽助「ああ、ちょっとな。コエンマはいるか?」

 

ぼたん「コエンマ様?もちろんいるけど」

 

幽助「ぼたん、悪いけどコエンマを直ぐに出してくれねーか。マジで急用なんだ」

 

ぼたん「分かった。幽助、ちょっと待っててね」

 

幽助「おう、悪いな」

 

蔵馬と黄泉に上手くいったと目で合図する。

 

蔵馬「コエンマがいるみたいで良かった」 

 

黄泉「霊界の現在の統治者か。どのような者か楽しみだ」

 

暫く待っていると、口におしゃぶりをくわえた子供がモニターに姿を現した。

 

この子供こそが実はコエンマなのである。

 

※コエンマについてはこちらを参照してください。

nanase1500.hatenablog.com

 

父である閻魔大王が不祥事を起こして罷免となってからは、コエンマが霊界を統治していた。

 

コエンマ「久しぶりだな、幽助。ワシはこうみえても忙しいのだぞ」

 

幽助「忙しい時に悪いな、コエンマ。今日はおめーに聞きたい事があるんだ」

 

コエンマ「聞きたい事じゃと?」

 

黄泉(こんな小さい子供が霊界の統治者だと!?)

 

黄泉は目が見えない為にコエンマの姿を見ることは出来ないが、コエンマの口から発する子供の声を聞いて、

想像していたものとのギャップでかなりの衝撃を受けていた。

 

蔵馬(フフッ、こんなに驚いた黄泉の顔を見るのは久しぶりだ)

 


幽助「実はよー」

 

幽助はコエンマにこれまでの経緯を話しを始めた。

 

――その頃、黄泉と幽助との戦いを終えた比羅、そしてその仲間の駁は自分たちの世界に戻っていた。

 

二人は巨大な迷宮のような宮殿の中を歩いている。

 

駁「桑原の飛ばされた場所は魔界だというのか?」

 

比羅「ああ。考えられるとしたら魔界が一番可能性が高いな。噂に聞く黄泉という男は、計算高く戦略家としても優秀な男。私たちが手を出しやすい人間界や霊界に飛ばす事は考えにくい」

 

駁「だが、本当に魔界ならちょっと厄介だぞ。あの黄泉以外にも強力な妖怪が沢山いる。奴らに邪魔をされたら桑原の捕獲は簡単にはいかないぞ」

 

比羅「その為に私は、陛下に許可をもらう。十二魔将を総動員して魔界に出向くつもりだ」

 

駁「なるほどな。黎明を人間界で失ったから、総動員となると俺とお前を入れて11人か」

 

比羅「相手は黎明を倒し、そして私のフィールドを破壊出来る者たちだ。相手にとって不足はない。全力で叩くのみだ」

 

駁「フッ、俺たちの戦力を集めたら、魔界の奴らと同等以上になる。目にものを見せてやろうぜ」

 

比羅「陛下はどう仰るだろうか…。私はまず、今回の桑原捕獲の失敗と黎明を失ってしまったことを詫びねばなるまい」

 

駁「…そうだな。しかし、桑原捕獲に行って、人間界にまさか、魔界の最強の妖怪の一人である黄泉が来ているとは、あの弥勒でも思わないだろうぜ」

 

比羅「黄泉だけではない。妖狐・蔵馬に浦飯。奴らの妖気もかなり強力だ。あの男から聞いていた情報以上の強さだ」

 

駁「という事はあの男が知っている頃から、奴らは大きく成長していたということか 」

 

比羅「そうなるな。駁、話しはこれまでだ。王の間だ」

 

比羅と駁の目の前に扉がある。その入口には白い道着を来た男が立っていた。

 

比羅「袂(たもと)、陛下に会いたい」

 

袂「その様子だと例の者の捕獲に失敗したようですね」

 

袂は身体つきは華奢で、長い黒髪の女性的な顔立ちをしている。男なのにどこか妖しい雰囲気を醸し出している。

 

比羅「ああ、残念だがな。陛下にお会いして戦力を総動員する許可を得たい。お前にも後で詳しく事情を話す」

 

袂「分かりました。フフッ、戦力を総動員するならば、私にも戦いの場がありそうですね。それは楽しみです」

 

比羅、ニヤリ。

 

比羅「私たちの中でも一番冷酷な性格を持つお前の力、私は期待しているぞ」

 

袂「比羅、お任せください。それでは扉を開けますよ」

 

袂「陛下、比羅と駁が入ります」

 

袂の手により王の間への扉が開かれる。

 

扉が開かれた先には大きな玉座があった。

その玉座には一人の男が座っている。

 

玉座の前まで来ると比羅と駁は片膝をつき、王に敬意を払う。 

 

比羅「陛下、比羅と駁、只今戻りました」

 

王「よく戻ってきた。お疲れ様。その様子だと例の者の捕獲は首尾よくいかなかったようだな」

 

比羅「はっ、申し訳ありません」

 

王は黒髪の長髪。切れ長な目が印象的な顔立ち。
身体は厚い鎧に覆われている。その眼光は鋭く強烈な威圧感を放っていた。

だが、その内に秘める力は比羅をも遥かに凌ぐ。

 

王「比羅、我が国でも最強の力を持つお前が、人間を相手にしくじるとは思えない。何か邪魔でも入ったのか?」

 

比羅「はっ、実は…」

 

比羅は人間界での出来事を王に語った。

 

………。

 

………。

 

王「黎明が死んだか…。惜しい男を失ったな。比羅たちを追って人間界に行かせて欲しいと私に願い出た時に、私が許可を出さなければあいつを死なせずに済んだのにな…」

 

王は黎明の死を惜しむように目を瞑った。

 

比羅「この度、私が戻って来たのは王に十二魔将を総動員する許可を頂きたく、ここに戻って来た所存であります」

 

王「十二魔将の総動員か。戦力を結集してどうするつもりだ?」 

 

比羅「黄泉が桑原を飛ばした先は恐らく魔界。魔界には、黄泉と並ぶ実力者の躯、現在の魔界の王・煙鬼とその仲間たち等、強力な妖怪が揃っています。

彼らの保護を桑原が受ければ、捕獲は恐らく無理でしょう。そうなれば魔界の者たちと戦わねばなりません。

万が一に備える為にも戦力を結集したいのです」

 

王「桑原は我らの目的の成就にはどうしても必要だ。

魔界と事を構えるなら戦力を結集をしなければなるまいな。お前の望みを許可する」

 

比羅「はっ、ありがとうございます。早速、駁と残りの十二魔将を集めて魔界に向かいます」

 

王「うむ。比羅、頼んだぞ」

 

比羅「はっ」

 

比羅と駁は、立ち上がると王に間から出ようとした。


「お待ちください」

 

ズズズ……

 

その時、空間の中から一人の男が現れて、

王の隣に立った

 

男は緑色の長髪で中性的な雰囲気が漂う美男子。

だが顔の半分に縦の刀傷があり、碧眼であった。

 

駁「お前は!」

 

比羅「樹(いつき)」

 

樹、ニヤリ。

 

樹「俺に考えがあります」


比羅たちの目の前に現れた樹とは、仙水忍に最後まで付き従い、幽助たちと魔界の扉を巡って戦った、

あの闇撫の樹であった。

 

仙水の死後、行方不明になっていた樹。
その樹こそ、今回の桑原を巡る人間界での戦い、

その全ての黒幕だったのだ。

 

続く

 

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