nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #013「戦いの後・・・(序章)」

――蔵馬たちが立ち去って、1時間後の河原崎の建設現場。

 

 

警察やその関係者たちが、通報を受けて爆発した現場を検証していた。

 

「さっぱりわからんな」

 

「ああ。これだけ探しても爆発の要因となるものが見当たらない」

 

ここで現場検証している警察関係者の一人が、地面や壁にいくつか付着している青い液体を発見した。 

 

「何だこの青い液体は?」

 

指に液体を付着させて触ってみる。

 

「おいっ!これ見てみろよ」

 

呼ばれて他の場所を調べていた警察官が近付いてくる。

 

「これは塗料かなんかかな?」

 

青い液体を指に擦りつけながら見せる

 

「なんか血に似ているな。でもこれは人間の血じゃあないな」

 

「気色悪いな」

 

警察官たちは不気味な液体に困惑していた。

 

原崎の建設現場から離れたビルの屋上で、現場検証の様子を金髪の男と小柄の男が眺めている。

 

金髪の男「駁(まだら)、黎明はどうやら妖狐に倒されたようだ」

 

駁と呼ばれたこの男は、赤髪の小柄な男だが、鋭い目と鍛え上げられた鋼の筋肉が印象的だ。そして野性的なオーラを醸し出していた。

 

駁「情けない。あの程度の妖怪に殺されるとは。黎明の奴め、相手の力量を甘く見すぎだ」

 

金髪の男「仮に黎明が妖狐を甘くみていたとしても、あの黎明を倒すことが出来る男だ。決して侮る事が出来ない」

 

駁「うむ」

 

駁は金髪の男の肩を見た。彼の肩には戦闘で傷を負った後があった。

 

駁「しかしその傷、無敵と言われたお前のフィールドを貫いてくる奴がいるとはな」 

 

金髪の男「ああ。流石はかって魔界を統一しようとしていた男だ。桑原を追いつめた時、奴は私の前に現れて邪魔をした。そればかりか、桑原を何処かへ飛ばした」

 

駁「比羅(金髪の男の名前)、お前の事だ、奴が桑原を何処へ飛ばしたのか、検討はついているのだろ?」

 

比羅「ああ。恐らくあの場所だ」

 

――その頃蔵馬は、桑原宅の前まで来ていた。

 

「あら、蔵馬君じゃない!久しぶりね。どうしたの?」

 

桑原宅から女性が出てきた。桑原の姉の静流である。

 

蔵馬「あ、静流さん、久しぶり。元気でしたか?」

 

静流「あたしは元気よ。相変わらず美容師としてばりばり働いているよ」

 

蔵馬「今度、母を連れてお店に行きますよ」

 

静流「蔵馬君のお母さんならサービスするよ。それより蔵馬君、和と雪菜ちゃんを見かけなかった?」

 

蔵馬「桑原君たちはまだ帰ってきていないんですか?」

 

静流「別にまだ心配するような時間じゃあないけどね。でも和の奴、妙なこだわりがあってね。可愛いがっている猫の餌は俺がやるって言って、餌を上げる時間までには必ず帰ってくるのよ。美味しそうに食べる猫の顔を見るのが、なによりの楽しみなんだって。だからちょっと気になってね」

 

 

蔵馬「昼間、桑原君たちには会ったけど、別れてからはどうしているのかわからないな。俺は桑原君に用があってお宅に向かっていたとこだったんですよ」

 

静流「まあ、雪菜ちゃんが一緒だから、デート気分で浮かれていたりしてね」

 

デレデレしている弟の顔が浮かんだのか、静流は苦笑い。

 

蔵馬「はは。昼間、二人の様子を見ましたけど、微笑ましい感じでしたよ」

 

静流「どうする蔵馬君?
和に用があるなら、うちに上がって和の帰りを待つ?」

 

蔵馬「いえ。帰っていないならまたにしますよ」

 

蔵馬は静流に軽く会釈すると元来た道を戻り始めた。

すると静流が蔵馬を引き止める。

 

静流「蔵馬君、悪いけど、もし和たちに会ったら早めに帰るように伝えといてね。なんかちょっと胸騒ぎがしてね」 

 

蔵馬「わかりました。もし会えたら伝えときます」

(静流さんも何かを感じているのか)

 

静流と別れて左の路地に入ると、蔵馬は全力で走り出た。

 

蔵馬(桑原君たちの身に何かあったに違いない)

 

蔵馬は桑原たちを捜して町中を走り回って捜し続けた。

だが、桑原たちの姿はどこにも見つからない。

 

蔵馬「クソッ。桑原君たちは一体どこに」

 

ここで一度立ち止まる。そして妖気を集中して桑原の霊気と雪菜の妖気を探す。捜している最中に、少し乱れた妖気を感じ取った。

 

蔵馬「これは強い妖気だ。町外れの方から感じるな」

 

直ぐに妖気の感じる場所に向かって走りだした。

 

蔵馬(この乱れた妖気は間違いなく誰かが戦っていた感じだ)

 

――その頃。

 

人通りの少ない路地裏で、黄泉が壁を背にして座っている。そしてその隣に立つ男がいる。

 

黄泉「礼を言うぞ。お前が来てくれなかったら俺も危なかったかもしれん」

 

黄泉は身体に数ヶ所に渡って大きな傷を負っていた。

 

男「よく言うぜ!おめーなら俺が来なくても乗りきっていただろ」

 

黄泉「さあな」

 

男の言葉にニヤリ。

 

男「礼をいうなら俺の方だ。だがよー、おめーがあいつらを助けてくれるとは思わなかったぜ」

 

黄泉「あいつらを助けたのは成り行きだ」

 

男「あいつらをどこに飛ばしたんだ」

 

黄泉「それは…」

 

黄泉が男に答えようとした時、近くから足跡が聞こえてきた。

 

黄泉「フッ、丁度いいタイミングで客が来たぞ」

 

男「あれは…蔵馬じゃねーか!」

 

二人の存在に気付いた蔵馬が近くまでやってきた。

 

黄泉「また会ったな蔵馬」

 

蔵馬「黄泉!?どうしてここに。それにお前のその傷は…」

 

黄泉の隣にいる男が話しかけてきた。

 

男「よっ!蔵馬、久しぶりだな」

 

蔵馬は男の顔を見て、それが意外な人物だったことに驚く。

 

蔵馬「ゆ、幽助!?」

 

――浦飯幽助と蔵馬。意外な場所で久しぶりの再会。

 

 

続く