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このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #047「黄泉の来訪(大会編・前章)」

――魔界3番地区大統領府

 

「大会以来、久しぶりにこの3番地区に来たが、見事に魔界の中心地として機能している。目が見えないが、雰囲気だけでもそれが分かる」

黄泉はこの地に来て、3番地区の主要箇所を見て回った。

そこで知った3番地区の変化。

各地区の主要箇所へのあらゆる通信手段を備えて、各地のパトロール隊へ、迅速に連絡が伝えられるようになっていた。

また煙鬼が長い田舎で培った農業の技術を多くの妖怪たちに伝えて、作物の大規模な栽培。

人間を食べるタイプの妖怪への代替の食料を得る為に、人間のクローン技術の研究所も建設し、日々研究に精進している。

これらの事は、煙鬼が掲げる人間界との融和政策からきていたのだった。

 

煙鬼が黄泉にここに来た要件を訪ねる。

「お前さんがここに来るとは驚いたぞ。ワシらとはこれまであまり接点が無かったからな。ところでここには何をしに来たのだ」

 

黄泉は要件を話す。

「ここに入ってくる魔界の情報について聞きたいことがある。特に迷い人とか、そういった類のやつだ」

 

「迷い人の類か。それはすなわち人間だな……。ならばお前さんが聞きたい情報とは、魔界にお前さんが飛ばした人間たちの事か?」

 

煙鬼の言葉に黄泉はピクッとなる。

「流石だな、もうその情報がお前のところに入ってきているのか?」 

 

「幽助から連絡が入ってきているものでな。あいつから大体の事情は聞いている」

 

浦飯からか。

黄泉はなるほどっと納得した感じだ。

「浦飯からここに連絡があったのなら話しが早い。それであいつらの情報はあるのか?」

 

「いや、まだだ。幽助から連絡を受けた後に、魔界の各地のパトロール隊に、桑原という人間と氷女の少女の保護の指示を出したが、広大な魔界だ。全ての地域に完全に伝わるまで、まだ暫く時間がかかるだろう」

 

「そうか残念だ。蔵馬に頼まれたのもあるが、それ以上に俺が助ける為とはいえ、人間を魔界に飛ばした責任があるのでな」

 

煙鬼は黄泉が意外に義理堅い男なのだと感心した。

ただの計算高いだけの男ではなかった。

 

「もしかしたら何処かのパトロール隊が保護しているかも知れないが、こちらからの指示がない限り報告を義務付けていないのでな」

 

「そういえばパトロールはそういう決まりだったな」

 

黄泉も回数は少ないが、パトロール隊に参加したことがある。

彼は目が見えない分、研ぎ澄まされた聴力と気の流れで、迷い込んだ人間を探したのだった。

 

「しかし人間界でお前さんも大変だったみたいだな。幽助は、黄泉に大変世話になったと言っていたぞ」

 

幽助の名前が出てきて黄泉、ニコリ。

「フッ、人間たちはあくまで、成り行きで助けたまでなのだがな。だが結果として助けて良かったと思っている」

黄泉の脳裏には、人間界での比羅との激闘が過ぎていた。

 

「妖気でも霊気でもない気を持つ者にその人間は狙われたらしいな。さらにその者はかなりの強さとのことではないか」

煙鬼は腕を組むと少し険しい顔になる。

正体の分からない謎の力は、人間界だけでなく魔界にとっても脅威となりかねないからだ。

 

「俺と浦飯が実際に戦ったが、俺と互角かそれ以上の恐ろしい使い手だった」

黄泉には分かっていた。

あの時の比羅はまだまだ全力でなかったことに。

 

ここで才蔵と孤光が会話に加わる。
「霊気や妖気とは異質な気を持つ者なら妖怪でも人間でもないのだろうな」

 

「だろうね。人間界、魔界、そして霊界。私らが知っている世界はこれぐらいなものだ。もしかしたら私らが知らない世界から来た者なのかもしれないね」

 

「黄泉に恐ろしい使い手と言わしめた男だ。その男が人間を利用して何かを企んでいるとなると少々厄介だ」

そう言うと煙鬼は顔をポリポリと掻く。

幽助から話しを聞いて、情報収集を色々してみたが、

比羅たちの情報がこれまでほとんどないからだ。

 

「浦飯たちにも言ったが、俺には奴らの手に桑原を渡せば人間界、魔界、霊界の全ての世界で良くないことが起こりそうでならないと肌に感じている」

 

これは黄泉も最初は自分の考え過ぎかとも思ったが、

比羅という男から感じた力は危険過ぎる。

そして赤いフィールドとかいう、反則的な能力。

あの男の力はそういう予感を感じさせるには、

充分過ぎる力を有していた。

 

「その人間はどんな能力の持ち主なんだ?そのような者が狙うからには普通の人間ではあるまい」

才蔵が興味深そうに桑原の事を聞いてきた。

 

黄泉が質問に答える。

「霊気で剣を作り出すことが出来るようだ。蔵馬に聞いただけで、実際に俺は見た事はないが、次元を剣で切り裂くことの出来る能力もあるらしい」

 

これには、才蔵も少し驚く。

普通の人間が次元を切り裂くとか、これまで聞いたことかない。

「しかし人間が次元を切り裂くとは…。人間にしては凄い能力をもっているな。桑原という人間を狙って、そいつらが魔界までやって来るかも知れないな」


孤光、ニヤリ。

「仮に来たとしても私たちがついているんだ。

簡単に手を出すことは出来ないさ」

 

妻の言葉に煙鬼も頷く。

「そうだな。こちらに桑原を保護さえ出来れば、ワシらがいる限りは手出しは出来ん」

 

彼等の話し合いは、まずは桑原の捜索とその保護が第一優先という事に話しは落ち着いた。

 

「あ、そういえば」

孤光がさっきから黄泉に気になっていた事を聞いてみる。

 

「あんたの息子は?一緒ではないの?」

 

いつも一緒にいる筈の息子の姿がないことを孤光は気になっていた。

彼女は実は子供好きで、ちょっとやんちゃで生意気そうな修羅は可愛いなって思っていた。

 

「修羅は外で待っている」

 

ここに修羅がいない事に残念そうな顔をする孤光。

「それは残念だね。ここに連れて来れば良かったのに…」

 

その言葉を聞いた黄泉はニヤリ。

「フッ、一緒に連れて来るつもりだったが、前の大会で俺を倒したお前に会いたくないって言ってな」

 

「やれやれ、あたしも嫌われたもんだね~。なんかショックだわ」

フ~ゥと溜息をつく。

 

「しかし前の大会で俺はお前に敗れはしたが、実力的には負けているつもりはない」


「私と四回戦で戦った時のあんたは、幽助との試合でかなり消耗した状態での戦いだったからね。厳しい状況の中で良くやったよ。私もあんたに完全に実力で勝ったなんて思っていないよ。出来たら万全の状態のあんたとやり合いたかった」

 

黄泉と孤光の対決もかなり激しい激闘が行われた。

孤光はその時の激闘を思い出し始めた。

 

続く

 

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