nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #093「死闘の始まり!武威vs桑原(大会編)」

――魔界統一トーナメントのAブロックの二回戦・第二試合

 

武威(ぶい)
×
桑原(くわばら) 

 

――メイン会場

 

小兎の解説が始まる。

「Aブロックの二試合目は本大会で唯一の人間である桑原選手の登場です。そして一回戦で月畑選手を一撃で倒して、観客の皆さんのど肝を抜いた武威選手が登場します!!!」

 

「武威!!一回戦の様にその人間を真っ二つにしてやれー!!」

 

「スカっとする戦いを見せてくれよ武威!!」

 

一回戦の衝撃的な試合から、武威を応援する観客が多くなっていた。

 

「和真さん…」

 

興奮する観客たちの中で、雪菜だけはスクリーンに映る桑原を心配そうに見つめていた。

雪菜は桑原と今から戦う相手となる武威に目を移す。


「あの人が和真さんの相手。なんて恐ろしい妖気なの。あの人は間違いなく和真さんを殺すつもりでいる」

 

――選手たちの休憩所

 

「桑原よ、あの者は手強いぞ。心してかかるのだ」

 

時雨は三回戦進出を決めて、直ぐに休憩所に戻って来た。

弟子の戦う試合を観る為に。

 

「あの者を倒して勝ち上がって来い。三回戦では拙者が御主を待っているぞ」 

 

――Aブロック

 

この試合の審判は天海である。

「始め!!」

 

天海の試合開始の合図の声が闘場に響き渡る。

桑原と武威はお互いの顔を見た。

 

「行くぜ武威!!」

 

ジジジ……

 

桑原は右手を前に突き出す。

 

「霊剣ンンンンンンン!!!!」

右手に霊剣を作り出した。

 

「ぶった斬ってやるぜェェェェ!!!」

 

攻撃を先に仕掛けたのは桑原だった。

武威に向かって全速力で駆け出す。

 

――選手たちの休憩所

 

幽助が腕を組んで試合を観戦している。

「桑原の奴、次元刀じゃねーな」

 

一方の飛影は呆れ顔。

「様子見といったとこだろう。馬鹿め、今の武威は様子見が出来る相手ではないぞ」

 

――Aブロック

 

武威は突進して来る桑原を黙って待ち構えている。

 

(……)

 

スッ

 

ジジジ……

 

右手を横に伸ばすと妖気を集中し始めた。

 

桑原が武威に接近。

「オリャァァァァ!!!」

 

ビューー!!!

 

武威の肩を狙って霊剣で斬りつける。

 

ガッ!!!

 

「何ィィ!!」

 

霊剣は武威の巨大な斧によって受け止められていた。

 

「野郎!獲物を出しやがったな!」

 

この大会で月畑を一撃で殺して見せたあの斧である。


ググッ

 

「チクショー!!びくともしねーぜ」

 

斧によって受け止められた霊剣は、桑原がいくら力を込めてもそれ以上は動くことがなかった。

 

「フン」

 

ビューン!!!

 

左手で桑原を殴りつける。


バゴッ!!!

 

桑原の顔面に思いっきりヒット。

 

ヒューー

 

殴られた勢いでふっ飛ばされる。

 

ドテッ!!

 

「痛てて……。油断しちまったぜ」

 

スッ

 

(ゲッ!?)

 

地面に叩きつけられた桑原の目の前に武威が斧を構えて立っていた。

 

ビューーーーーン!!!

 

巨大な斧とは思えないスピードで振り下ろす。 

 

「やべーっ!」

 

バッ

 

素早くジャンプ。

 

ドゴォォォォォォォ!!!


斧が地面にめり込む。

 

「危ねー。後少しでもかわすのが遅かったら、月畑みてーに真っ二つにされていたぜ」

 

桑原は武威と距離を取って着地した。 

 

(…………)

 

ズンズンズン

 

武威は巨大な斧を持ちながら桑原めがけて駆け寄る。


スッ

 

桑原は霊剣を構えて武威を迎え撃つ。

 

「来てみやがれ」

 

ビューーーーン!!!!!


再び巨大な斧が凄まじいスピードで振り下ろされた。


バッ

 

武威の攻撃を素早くジャンプしてかわす。

 

「くらいやがれー」

 

ビュー!!!

 

空中から霊剣で斬りつける。

 

シャキーン

 

武威の左肩から右の脇腹までを切り裂いた。

 

桑原、ニヤリ。

(完璧な一撃だ)

 

着地して武威の様子を見た。

 

「どうだァァァ!」

 

(………)

 

武威は何事もなかったかのように立っていた。

そして武威が口を開く。

 

「甘いな桑原。俺の身体までお前の霊剣は届いていない」

 

「ゲッ!マジか!?てめえの鎧はこんなに分厚いのかよー」

自信のあった一撃だけに驚きを隠せない。

 

「この鎧は俺の力を抑えるだけの只の飾りだ。お前も知っているだろう?俺には武装闘気があることを」

 

武装闘気……」

 

桑原は飛影と武威が暗黒武術会で戦った時の事を思い出した。

 

「どうやら思い出したようだな」

 

「ああ。思い出したぜ。頑丈なのはそいつのせいか…」

 

武威は自分自身でも抑えることが出来ない程の巨大な武装闘気を制御する為に、自分の身体の数倍はある重さの分厚い鎧をその身に纏い、その力をなんとか抑えていたのだ。

 

「そういうことだ。武装闘気を防御にまわす事で、俺の鎧の強度は格段に上がっている。今のお前の霊剣では俺の身体に傷をつけることは不可能だ 」

 

桑原、ニヤリ。

「そうかよ。不可能って言われて黙っている俺じゃねーんだよ!」

 

シュゥゥゥゥゥ

 

桑原の右手から霊剣が消えた。

そして懐からある物を取り出す。


(何かを取り出したな)


「行くぞコラァァ!!!」

再び武威に突進して行った。

 

(霊剣を出さずに向かって来る。何かあいつに策でもあるのか?)

 

向かって来る桑原に対して武威は斧を構える。

 

「試しの剣だ!!!」


ギュォォォォォォォン

 

試しの剣は桑原の霊気を吸い始める。

 

――選手たちの休憩所

 

桑原の試しの剣に、同じ試しの剣を持つ死々若丸が反応。

「あれは鈴木の試しの剣!」

 

――Aブロック

 

「強化版の霊剣だぜェェェェ!!!」

 

バチバチバチ

 

ピキーーン

 

試しの剣は桑原の霊気を吸い込み、強力なエナジーを放出した霊剣を生み出す。


「オリャァァァァァァ!!!!」

 

ビューー!!!

 

(速い!!)

 

武威は桑原の攻撃速度が予想より早い為に、斧で攻撃を受け止めるのが遅れた。

 

ズバァァ!!!

 

試しの剣が武威を切り裂く。

だが驚いたのは攻撃を仕掛けた桑原であった。

 

「ぬっ!!!ヤロー!!」

 

なんと武威は左腕で試しの剣を受け止めていた。

 

ポタポタポタ……

 

武威の左腕から血が滴り落ちる。

試しの剣は武威の左腕に深く食い込んでいた。

 

ググッ

 

武威はここで左腕に力を込めた。


「け、剣が抜けねー!?」

 

左腕の筋肉により、試しの剣の動きを完全に封じた。

 

武装闘気を貫くとは少し驚いたが、惜しかったな」

 

スッ

 

右手に持つ巨大な斧を振りかざした。

 

「あの魚人と同じ死に方をさせてやる。死ね桑原」

 

ビューーーーーン!!!!


桑原の腹部を狙って振り下ろされる斧。

狙いは桑原の身体を真っ二つにする為に。

 

「クソッタレー」

 

スッ

 

一撃をかわす為に、桑原は試しの剣から手を放す。

 

バッ

 

そして手を放すと同時に後ろに飛んだ。

 

「かわしたか」

 

ズドォォォォォン!!!!


巨大な斧は先程と同じ様に地面にめり込んだ。

 

「うっ……」

 

桑原の腹部には、傷は浅いが武威の斧によって斬られていた。

 

「月畑もこれでやられちまったんだっけな…」

 

(桑原め、思ったより出来るな)

 

グググッ

 

ズボッ

 

武威は左腕に食い込んでいた試しの剣を外した。

 

「返すぞ」

 

ポイッ

 

外した試しの剣を桑原に投げた。

 

パシッ

 

桑原は試しの剣を受け取る。 

 

「へへへ、返してもいいのかよ。後悔する事になるぜ!」

 

「それがあってもなくてもお前がここで死ぬ事には違いはない」

 

(こいつは想像以上に強いぜ。様子見で力を出し惜しみしていたらやられちまう)

 

「今のお前もこの鎧を脱いで戦う程の相手ではない。この姿のままで殺してやる」

 

「そうかよ。殺れるものならやってみやがれ!」」

 

桑原は試しの剣を一旦、使うのを止めた。

 

スッ

 

ジジジ……

 

右手を前に突き出すと霊気を集中し始めた。

 

「次元刀ォォォォォォ!!!!」

 

ピキーン!!

 

右手に次元を切り裂く事の出来る次元刀が姿を現した。

 

シュッ

 

次元刀の剣先を武威に向けた。

 

「俺がてめえの鎧を今から脱がせてやるぜ。覚悟しな」

 

「フッ、死ぬ前にお前の力を俺に示して見せるがいい。いい思い出にしてやる」

 

桑原と武威の戦いは第二ラウンドに突入する。

 

続く

 

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