nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #091「毒死草(大会編)」

――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第一試合

 

蔵馬(くらま)
×
電鳳(でんぽう) 

 

――Dブロック

 

妖狐蔵馬は電鳳を攻略する方法を頭をフル回転させて考えている。

 

(さてどうするか)

 

電鳳の強さはやはり圧倒的。

現時点の妖狐蔵馬ではまともに戦っても勝つ事は正直厳しい状況だ。

 

「折角、地上に降りて来たんだ。男ならガツンと俺と勝負しろ」

 

電鳳は右腕に力を込めて筋肉を見せつける。

その顔は妖狐蔵馬を肉弾戦へ誘う為に挑発している。 

電鳳の目的に妖狐蔵馬は気付いていた。

 

(フッ、肉弾戦が余程、あいつは好きみたいだな。流石は雷禅の喧嘩仲間といったところだな。幽助や酎と戦わせてやりたくなる)

 

「どうした?俺が怖いのか?」

 

さらに妖狐蔵馬を挑発する電鳳。

妖狐蔵馬は胸元から鋭い牙を持つ不気味な植物を取り出して目の前に置いた。

 

「ハァァァ!!!」

 

植物に妖気を通した。


ズズズ……

 

植物は直ぐに巨大化した。

妖気を通したことで牙があった部分が大きく膨らみ、目はないが、巨大な口を持つ姿に変化していた。

 

「何だあれは?」

 

巨大化した植物を見上げる。

ちょっと興味津々の様子。

 

(危険だが、毒死草を育てる為にはこれしかない)

 

スッ

 

妖狐蔵馬は右手で植物に軽く合図した。

すると植物は口から黒い煙を大量に吐き出した。

黒い煙はあっという間に妖狐蔵馬を包み込む。

 

「何をするつもりかしらないが、黙って見ているつもりはないぞ」

 

ググッ

 

電鳳は右手に妖気を集中。


「こんな煙は直ぐに吹き飛ばしてくれるわ」

 

ドン!!!

 

電鳳の右手から衝撃波が放たれた。

 

ズォォォォォォ!!!!

 

衝撃波で煙が一瞬で消し去られた。

煙が消えると何事も無かったかのように妖狐蔵馬が立っていた。

 

「あの一瞬では何も出来なかっただろ?」

 

「さあな」

 

妖狐蔵馬が呼び出した植物の姿は完全に消えていた。

 

「さっきの植物はもう使わないのか?」

 

「ああ」

 

ズズズ……

 

妖狐蔵馬の右手に、さっきとは別の植物らしきものが姿を現した。

 

「行くぞ電鳳」

 

ズキューン!!!!

 

高速で動き、一気に電鳳に向かっていく。

 

電鳳、ニヤリ。

「おっ!やっと俺とガチンコで勝負するつもりになったか」

 

「お前の望みを叶えてやる」

 

「お前とこの試合でまともに戦うのは初めてだな。俺とどこまで戦えるか見てやるぞ」 

 

スッ

 

妖狐蔵馬が電鳳の懐に入り込む。

 

「樹霊妖斬拳」


ビューン!!!!

 

ドゴッ!!

 

電鳳の腹部に妖狐蔵馬の一撃がまともに入った。

拳が腹にめり込む。

手応えを感じた妖狐蔵馬は直ぐに電鳳の様子を見た。 

 

「フフフ、中々いい筋だよ。その細い身体の割には強力な一撃を放つではないか」

 

(まともに入ったはずだ)

 

ビューン!!

 

ドゴッ!!!

 

もう一発、電鳳の腹部に樹霊妖斬拳を叩き込む。

 

「フフ」

 

だが電鳳は笑っている。

 

「俺の攻撃がお前には効いていないのか?」

 

「いや、結構効いているぞ。かなりの威力だ。だが俺の喧嘩仲間たちは肉弾戦を好む連中が多いのでな。仲間たちと喧嘩をする内に身体が頑丈になっただけだ」


「なるほどな」


バッ

 

妖狐蔵馬は素早く電鳳の上にジャンプする。

 

「ウォォォォォ」

 

ズズズ……

 

右手にまとわりつく植物を剣状に変化させる。

 

「ほ~う。便利な植物だな」

 

妖狐蔵馬の植物の動きを面白そうに見つめる電鳳。

その表情には余裕すら感じられる。

 

「樹霊妖斬剣」


ビューーーー!!!!

 

植物の剣が振り下ろされる。

 

ガシッ

 

だが電鳳は植物の剣を難無く白羽取りで受け止める。

 

「まだだ!!ハァァァ!!!!!!」

 

電鳳を斬り裂くべく植物の剣にさらに妖気を込める。


グググ……

 

だが、植物の剣に妖気を込めても、電鳳に受け止められた剣がそれ以上動く事がなかった。

 

「いい一撃だが、まだまだだ」

 

グッ

 

電鳳は植物の剣を両手に挟んだまま、その力で妖狐蔵馬の身体を軽々と持ち上げる。


(何て力だ!?)

 

電鳳の力に驚愕する。

 

ブーン!!ブーン!!ブーン!!

 

電鳳はその力に任せて妖狐蔵馬の身体を振り回し始めた。

 

「ムッ!!」

 

妖狐蔵馬は右手に作り出していた植物の剣を消し去り、電鳳の手から逃れた。

そして電鳳から少し離れた位置に着地。

 

(これが電鳳か…。強い)

 

――選手たちの休憩所

 

「蔵馬はさっきの植物に煙を吐かせて何をするつもりだったんだろう?」

桑原が不思議そうな顔をしている。

さっきの煙は何の為なのか目的が分からなかったからだ。

 

幽助も頷く。

「直ぐに電鳳の衝撃波で消されちまったから何も出来なかったんじゃねーのか?」

 

(蔵馬の奴、まさか……)

飛影は蔵馬の意図に気付いた。

 

その時、休憩所にアナウンスが流れた。

 

「桑原選手と武威選手は試合がもうすぐ始まります。会場に向かってください」


「俺の出番か。蔵馬の試合が気になるってのによー」

 

桑原はスクリーンを見るとAブロックで時雨が乙夜を倒した姿が映し出されていた。

 

桑原、ニヤリ。

「時雨が勝ったな。流石に強いぜ」

 

剣術の師である時雨の勝利を喜ぶ。

 

パン!

 

桑原は両手で頬を叩いて気合いを入れた。

 

「おっし!!行くぜ」


「月畑のように殺されんようにな」

 

無愛想な顔で飛影が桑原を見送る。

 

「あたりめーだ。殺されてたまるかよ」

 

「負けるんじゃねーぞ」

幽助が親指を立てて闘場に向かう桑原を見送る。

 

「あたぼうよ。俺様の勝利をここで見とけよ」

 

桑原も親指を立てて幽助に返すと、Aブロックの闘場に向かって走っていく。

 

(月畑、仇を取るぜ)

 

桑原は蔵馬と電鳳の試合の結果を見る事なく武威との戦いに挑む。

 

――Dブロック

 

ドゴォ!!!

 

強烈な電鳳の一撃が妖狐蔵馬の腹部に入った。

 

「ガッ!」

 

ガクッ

 

腹部を右手で抑えて膝をつく。

 

「フン」

 

バキッ!!

 

膝をついた妖狐蔵馬を直ぐに殴りつける。

 

ヒューーー

 

ドシャッ!!

 

妖狐蔵馬は地面に身体を叩きつけられた。

妖狐蔵馬と電鳳の戦いは圧倒的な肉弾戦の強さを誇る電鳳がその実力を見せつけていた。


(クソッ)

 

ゆっくりと立ち上がる。

妖狐蔵馬の息が荒くなる。

 

「どうした?もう終わりか?」

 

右手をチョイチョイと自分の方に向けて妖狐蔵馬にかかって来いと合図する。

それを見た妖狐蔵馬は鋭い目付きで電鳳を睨む。


「ハァーー」

 

ズキューン!!!

 

ボロボロの身体ながらも電鳳に向かっていく。

 

ビューン!!

 

樹霊妖斬拳で電鳳に殴りかかった。

 

パシッ

 

電鳳は右手で妖狐蔵馬の攻撃を受け止めた。

 

ギュゥゥ

 

電鳳は妖狐蔵馬の右手の拳を握り潰す。

 

「ウァァァ!!」

 

右手を握り潰された痛みで顔が歪む。 

 

グイッ

 

電鳳は妖狐蔵馬の身体を自分の方に引き寄せると、両腕で妖狐蔵馬の身体を抱き抱えて締め上げ始めた。

 

メキメキメキ

 

「ウァァァァァァ!!!!!」

 

強烈な締め付けにより鈍い音が辺り一面に響く。

 

「俺の締め付ける強さはお前の植物と変わらないぞ」

 

メキメキメキ

 

「ガハッ!!」


口から血を吐き出す。

 

「お前は良く戦った。流石は坊主の友達だよ。降参しろ。俺がこれ以上締め付けると身体の骨が全て粉々になるぞ」

 

「わ、悪いが、俺はまだ勝負を諦めていないからな」

 

「そうか。ならこれはどうだ」

 

ビリビリビリ

 

電鳳は妖狐蔵馬の身体を締め付けたまま、自らの身体から雷を発生させ、妖狐蔵馬の身体に流し込む。


「アァァァァァァァ!!!!!!」

 

妖狐蔵馬の絶叫が闘場に響き渡る。

そして妖狐蔵馬の頭が下がると動かなくなった。

 

「勝負は決した。流石にこれで戦闘不能だろう」


電鳳が勝利を確信したその時。

 

シュルルル

 

気を失ったかに見えた妖狐蔵馬の肩から突然、植物が出て来た。

 

(な、何だ!?)

 

植物は電鳳の首を締め付ける

 

「グワァァァァ!!」


首を締め付けられた為に、妖狐蔵馬を捕まえていた電鳳の腕の力が一気に弱くなる。

 

「ハァッ」

 

ドカッ!!

 

電鳳の首に巻き付けた植物を離すと素早く電鳳の胸部に蹴りを入れる。

 

ザザザ

 

後ずさる電鳳。

 

クルクルクル

 

シュタッ

 

妖狐蔵馬は身体を回転させて電鳳から距離を取って着地。

 

「驚いたな。いきなりあいつの身体から植物が出て来るとは…」

 

突然の植物の出現に驚いた電鳳だったが、妖狐蔵馬の姿を見てさらに驚く。

 

「お、お前、その姿は!?」

 

なんと妖狐蔵馬の身体から巨大な植物が姿を現していた。


「……驚いたか?こ…これが俺の切り札の毒死草だ…」

 

苦しそうな声で話す。

 

妖狐蔵馬は自らの身体に小さな毒死草を取り入れて育てていたのだ。

さっきの煙は毒死草を身体に植え付ける時間稼ぎの為だった。

 

「これで…勝負をつけ…る」

 

電鳳の妖狐蔵馬を見る目が変わる。

そして毒死草がいよいよその力を見せようとしていた。

 

続く

 

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