nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #072「蔵馬の初戦(大会編)」

――魔界統一トーナメントの一回戦は各ブロック毎に分かれて上段から順次行われていく。 

 

本選は巨大な自然式円闘場で行われる。

A~Dブロックにそれぞれ円闘場があり、それぞれが選手たちの休憩所と長い階段で繋がっている。

 

自然式円闘場には高山・湖・砂漠・ジャングル・草原が設置されており、各選手がそれぞれの能力を生かせる場所を選びながら闘いが出来る為、駆け引きの要素も重要となってくる。

中央に小型の円闘場も設置されており選手間の同意があればここだけに限定して戦うことも出来る。

選手たちにはそれぞれ虫型追跡カメラが配備され、戦いの様子を漏らさずにTVモニターに送られる。

次の王が一体誰になるのか、魔界全土が固唾をのみ大会の行方を注目していた。

A~Dブロックそれぞれの自然式円闘場に、第一試合に出場する選手たちが互いに距離をとって試合開始の合図を待っている。

 

Aブロック

乙夜(いつや)
×
境内(けいだい)

 

Bブロック

棗(なつめ)
×
達磨(だるま)

 

Cブロック

木阿弥(もくあみ)
×
卒都婆(そとば)

 

Dブロック

謙遜(けんそん)
×
蔵馬(くらま)

 

ーーメイン会場

 

実況の小兎が試合開始の合図をするように審判に指示した。

「では各ブロックの一回戦の第一試合を始めます」

 

各ブロックの上空から審判の女性たちが見守っている。 

 

「始め!」

 

四人の審判の口から、試合開始の合図の声が、マイクを通して四つの会場に響き渡った。

 

――Aブロック

 

乙夜と境内が開始の合図と同時に駆け出した。

 

「おらぁぁぁ!」

 

いきなり真っ向勝負。

 

バキッ!!

 

バゴッ!!

 

鳥と熊の顔をした両者。

激しい殴り合いを始めた。

 

――Cブロック

 

木阿弥は試合開始の合図と同時にその場で高くジャンプ。

 

「行くぜ卒都婆!!」

 

妖気を込めた手裏剣を卒都婆に放つ。

 

ガガガッ!!

 

卒都婆の纏う甲冑に直撃。

「ちっ!」

 

躯の77人の直属戦士対決となった木阿弥と卒都婆。

お互いの技を駆使して激しい戦いを始めた。

 

――Bブロック

 

こちらのブロックの達磨も躯の直属の戦士。

 

ドゴォッ!!

 

試合開始の合図と共に棗の必殺の一撃が達磨の腹部を直撃。

 

「あっ……」

 

ドスン!!

 

棗の一撃で達磨の巨体が簡単に崩れ落ちた。

倒れている達磨は白目をむいている。

 

(そういえば前の大会も確か第一試合からだったわね)

 

棗は上空の審判を見上げた。

 

「Bブロック第一試合棗選手対達磨選手の試合は棗選手の勝利です!」

 

ーーメイン会場

 

Bブロックが一瞬で決着がついた為、観客から大きな歓声が上がった。

 

「おおっと!Bブロックの第一試合は一瞬で決着がつきました」

 

 

――選手達の休憩所

 

躯、ニヤリ。

「流石だ。三年前より技のキレがいい」

 

――Dブロック

 

試合開始の合図と共に、蔵馬と謙遜が激しい戦いを繰り広げていた。

 

「薔薇棘鞭刃!!」

 

妖気を帯びた薔薇の鞭が謙遜を襲う。

 

「むっ!」

 

バッ

 

謙遜は素早くジャンプして蔵馬の攻撃をかわした。

攻撃を外した蔵馬の鞭が地面を叩く。

蔵馬から少し離れた位置に謙遜は着地した。

謙遜はマジシャン風のマントとシルクハットを被り、顔を白い仮面で隠していた。 

妖しく、巨大な妖気を放出している。

 

「ハッ」

 

謙遜は両手のそれぞれの指の間に挟んだ四枚のカードを身体を半回転することにより勢いをつけて蔵馬に向かって投げる。

蔵馬に向かってもの凄いスピードでカードが飛ぶ。

 

「ハァッ!」

 

ピシッ

 

蔵馬は謙遜のカードを鞭で弾いた。

弾かれたカードが地面に突き刺さる。

弾かれて地面に刺さったカードを見る謙遜。

 

「やるな」

 

「悪いがそのカード攻撃はもう俺には通用しない」

 

「そうかい」 

謙遜が再び右手の指の間にカードを挟んだ。

 

「フン!」

 

ピュー!!!

 

さっきと同じようにカードを謙遜が投げた。

 

「カード攻撃は無駄だと今言ったはずだが」

 

ビュー!!

 

ビシッ!

 

蔵馬はさっきと同様に鞭でカードを弾き飛ばした。

 

「だから言っ……

 

ピュー!!

 

(何!?)

 

突然カードの飛んで来る音が蔵馬の耳に聞こえて来た。しかしその姿は見えない。

 

謙遜、ニヤリ。

「最初に投げたカードはあくまで囮さ」

 

バッ!

 

蔵馬の身体が瞬間的に危険を察知してジャンプした。

 

ドスッ!

 

「うっ!」

 

だが蔵馬の肩に謙遜の投げた見えないカードの一枚が突き刺さっていた。

そして謙遜から少し離れた位置に蔵馬は着地した。

蔵馬は肩に刺さったカードを見る。

肩に刺さった見えないカードに蔵馬の血が伝わり、地面に滴り落ちる。

 

ズボッ

 

蔵馬は肩に突き刺さっていたカードを引き抜いた。

それを目で確認する。

 

「見えないカードか。恐ろしい技だな」

 

スチャッ

 

謙遜は見えないカードを両手の指の間に挟んだ。

 

「お前はこの見えないカードによって私に倒される」

 

バッ

 

謙遜はその場から上に向かって高くジャンプした。

 

「ハッ!」

 

ピュー!

 

蔵馬に向かって見えないカードが放たれた。

 

バッ!

 

蔵馬はジャンプしてそれをかわす。

 

ドスドスドスドス

 

地面に突き刺さるカード。

着地した謙遜が既に左手の指の間にカードを挟んでいた。

そして見えないカードを空中にいる蔵馬に向かって放った。

 

(何!?)

 

予想外の攻撃。

これはかわせない。

蔵馬はすかさず両手をクロスさせて防御した。


ドスドス

 

謙遜が投げた四枚の見えないカードが、蔵馬の両腕に二枚突き刺さる。

残りの二枚は蔵馬の身体を擦っていた。

 

蔵馬、ニヤリ。

「さすがに本選に残るだけあって強いな」 

 

ーーメイン会場

 

小兎が実況。

「Dブロックの蔵馬選手が謙遜選手を相手にまさかの苦戦を強いられています!!!」

 

「蔵馬、やばいぜ。負けるんじゃないのか」

 

「あの見えないカードは凄いな」

 

観客たちも蔵馬より、謙遜が勝つのではという声が既に上がっている。

 

――選手たちの休憩所

 

桑原が苦戦する蔵馬を心配している。

「大丈夫か!?いきなり蔵馬が苦戦しているぞ。あのマジシャンみたいな変な野郎、結構強いぜ」


飛影が静かに桑原の横に現れた。

「貴様も蔵馬との付き合いが結構長いのに分からないのか?あいつが苦戦している顔をしているかどうか奴の顔をよく見てみるのだな」

 

「何?」

 

桑原はスクリーンに映し出されている蔵馬の顔を見た。

蔵馬は涼しい顔で謙遜を見つめていた。

「いつもと変わらない顔だ」

 

「蔵馬の奴が妖狐化すればあの程度の相手なら一撃で倒せるはずだ」


「そ、そうなのか!?」

 

「あの謙遜とかいう野郎もS級クラスの力をもっているが蔵馬の相手ではない」

 

「だったらなんで直ぐに妖狐になって倒してしまわないんだ?」

 

「さあな」

 

その時解説の小兎の声が休憩所内に響き渡る。

 

「Aブロックは激しい殴り合いの結果、乙夜選手が勝利しました」

 

桑原は直ぐにスクリーンを見た。

「おっ!Aブロックの第一試合が終わった」

 

カチャッ

 

「さて次は拙者の出番だな」

 

第二試合目に出場する時雨は燐火円磔刀を手に取ると、Aブロックの闘場に向かって歩いていった。

 

――Dブロック

 

「カードが見えない限り、お前に防ぎようがないぞ」

 

「見えないカード。確かに恐ろしい技だが、攻略は出来た。俺にはもう通用しない」

 

「強がりをいうな」

 

「だったらその見えないカードをまた投げてみたらどうだ?」

 

「いいだろう」

 

謙遜は指の間に見えないカードを挟む。

 

「ハッ!」

 

カードが蔵馬目掛けて飛んでいく。

 

「風華円舞陣」

 

研ぎ澄まされた大量の花びらが一斉に蔵馬を守り始めた。

 

ガッ

 

大量の花びらに見えないカードが当たり弾かれた。

 

「馬鹿な!?」

 

カードを防がれた謙遜は驚く。

そのせいでスキが生じる。

それを蔵馬は見逃さなかった。

 

ピュー!

 

蔵馬が自分の身体に刺さっていた謙遜の見えないカードを投げた。

 

(何!?)

 

ドス

 

謙遜の左足に見えないカードが突き刺さる。

 

「クソが!」

 

謙遜は直ぐに自分の足に刺さったカードを抜いた。

 

「お前に刺さっていた私のカードを投げるとはなんの真似だ。これで私を倒すつもりだったのか?」

 

「ああ。そのつもりだ」

 

「何?」

 

ピキッ

 

「私のか、身体が動かない!!!?」

 

「お前に投げたカードに即効性の身体の自由を奪う透明の植物の液を塗っておいた。お前の身体は暫くの間、身動き一つ出来ないはずだ」

 

グググ……

 

身体を動かそうと謙遜は足掻く。

 

「くそっ!全く動かない」

 

ビュー

 

ぐるぐるぐる

 

「うおっ!?」

 

蔵馬の鞭が謙遜の身体に巻付いた。

 

「この鞭は俺の好きな薔薇の花を妖気で鞭化したもの」 

 

「私の見えないカードに植物の液を塗っていたとは……」

 

「見えないカードが逆に仇となったようだな」

 

悔しさで顔が歪む。

「畜生ォォォ!!」

 

蔵馬は謙遜に背を向けた。

「終わりだ」

 

ギュゥゥゥ!!!

 

蔵馬が言葉を発すると謙遜の身体に巻き付いた鞭が一気に謙遜の身体を締め付けた。

 

「ギャァァ!!!!」


鞭の棘が謙遜の身体に突き刺さり、全身から血が溢れだした。

 

ドサッ

 

謙遜は痛みのあまりに意識を失い、その場に倒れた。

 

シュルルル

 

パシッ

 

蔵馬は謙遜の身体に巻き付いていた鞭を解いた。

そして上空にいる審判の女性を見た。

 

審判は倒れている謙遜の状態を確認する。

「Dブロック第一試合謙遜選手対蔵馬選手の試合は蔵馬選手の勝利です!」

 

ーーメイン会場

 

「驚きました。苦戦しているかと思われた蔵馬選手が謙遜選手を一気に撃破。凄いです」

 

「凄い、あっという間に逆転勝利」

 

「やっぱり蔵馬は強いぜ」

 

観客たちも蔵馬の勝利を称えた。

 

ーーDブロック

 

倒れている謙遜を蔵馬は見ている。

(南野秀一の肉体でも勝てたな)

 

――選手たちの休憩所

 

試合を終えた蔵馬が戻って来た。

直ぐに桑原が駆け寄ってくる。

 

「やったな蔵馬。最初はどうなるかと結構ヒヤヒヤしたぜ。カードでやられた傷は大丈夫なのか?」

 

「大丈夫。傷は大したことないですよ」

 

「飛影がさっき言っていたが、妖狐化したら一撃で倒せる相手だったんだろ?何で妖狐に戻らなかったんだよ」

 

蔵馬、ニコリ。

「大した理由ではないですよ。人間界で桑原君を狙う者の一人と南野秀一の肉体で戦ってかなり危ない経験をしたから、現在の南野秀一の身体でどこまで戦う事が出来るか、自分の強さの水準を見たくなってね」


「なるほどそういう事だったんだ」 

 

「ええ。二回戦からの相手は最初から妖狐化しないといけない相手ばかりだからチャンスは初戦だけでしたからね」

 

そう言うと蔵馬は闘技場に向かっている、おそらく二回戦の相手となるかもしれない巨体の男の姿を見た。

 

(電鳳か……。雷禅の昔の仲間の一人。かなりの強敵だ)

 

小兎の解説が聞こえてきた。

「Cブロックは木阿弥選手が激戦の末に勝ちました」

 

桑原と蔵馬はスクリーンを確認。

「これで一試合目の試合は全部終わったな」

 

「他のブロックは既に何試合か始まっていますね」

 

スクリーンで時雨の戦う様子を見つめる妖怪がいた。
次の三試合目で戦う月畑である。

 

「やっぱり時雨様は強いな。次はいよいよ私の番だ」 

 

月畑は自分の対戦相手である武威という男の姿を見た。

武威は全身に厚い鎧を見に纏い腕を組んで壁越しに立っている。

 

「あの鎧の男が武威か」

 

武威は静かに自分の出番を待っていた。

 

続く

 

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