nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #090「蔵馬の切り札(大会編)」

――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第一試合


蔵馬(くらま)
×
電鳳(でんぽう) 

 

――Dブロック

 

シュゥゥゥゥゥ!!!

 

妖狐蔵馬がさっきまで立ってた場所に電鳳が立っていた。

その足下は黒く焦げている。

 

「やるじゃないか。あれをかわしたか」


電鳳は直ぐに空を見上げる。

すると妖狐蔵馬は空にいた。

 

――Dブロックの上空

 

「流石に今のは危なかったぞ」

浮葉科の植物を素早く召喚して電鳳の攻撃をぎりぎりでかわしていた。 

 

――選手たちの休憩所

 

「今のはヤバかったな。見ていてヒヤヒヤしたぜ」

 

電鳳の攻撃を妖狐蔵馬が無事にかわしたのを見てホッとした様子。 

 

幽助もホッとしている。

「あれをまともにくらっていたら蔵馬は黒焦げだったかもな」

 

電鳳の先程の技は雷を身体に帯びていた為に、

もし擦りでもしたらかなりの高電流が身体に流れていたのだ。

 

――Dブロック

 

「どうやら奴は妖気で雷を発生させることが出来るようだな。不用意に近付くわけにはいかない」

 

バサバサバサ

 

妖狐蔵馬は浮葉科の植物に、妖気を通して作った翼でさらに上空に向かって、どんどん羽ばたいていく。

 

「コラァ!汚いぞ。俺は空が飛べないのだから降りて俺と喧嘩しろ!!」

 

地上に残された電鳳は空高く消えた妖狐蔵馬に文句を言っていた。

 

――Dブロックの上空

 

上空から地上にいる電鳳を見る妖狐蔵馬。

 

「フッ、何か俺に文句を言っているようだが聞こえないな」

 

スッ

 

妖狐蔵馬は非常に小さな葉を胸元から取り出した。


「これを使うまでには少し時間がかかる。奴には悪い気がするが、これも勝負だ。ここで少し時間を稼がせてもらうぞ」 


小さな草を手の平にのせると草に妖気を通し始めた。

 

ズズズ……

 

妖気を吸収して草は徐々に成長を始めた。

 

――Dブロックの地上

 

地上に取り残された電鳳は、地上に降りて来る気配がない妖狐蔵馬に対して、徐々に頭に血がのぼってきていた。

 

「クソッ!俺は気が短いんだ」

 

ジジジ……

 

左右両方の拳に妖気を込め始める。

 

ボォォォォォォォ!!!!!

 

電鳳は両手には巨大な妖気の塊が出来た。

 

電鳳、ニヤリ。

「俺は遠隔攻撃はあまり好きではないんだが、降りて来ないなら地上まで引きずり降ろしてやるまでよ」

 

ドーン!!!

 

上空の妖狐・蔵馬に向けて右手から巨大な妖気の弾が放たれた。

 

「もう一発プレゼントだ」

 

ドーーン!!!

 

今度は左手から巨大な妖気の弾を放つ。

 

――Dブロックの上空

 

上空では妖狐・蔵馬の手の平から妖気を吸収した草はどんどん大きくなっていた。 

 

「もう少しだ」


グォォォォォォ!!!

 

(あれは!)

 

電鳳の放った巨大な妖気の弾が迫って来ていた。

妖狐蔵馬はとっさに妖気の弾をかわす為に身体をずらす。

 

ガッ!!

 

「むう」

 

妖気の弾が胸元をかすめる。

 

シュゥゥゥゥ

 

「しまった!」


今の妖気の弾で妖気を通して成長させていた草が、妖気の弾に呑み込まれて消滅してしまった。

 

――Dブロックの地上

 

電鳳がドヤ顔で豪快に笑う。

「ガハハハハ!!驚いたか」

 

――Dブロックの上空

 

グォォォォォォ!!!

 

二発目の妖気の弾が迫る。

 

(またか!)

 

幽助や陣のように風を操り空を飛んでいない妖狐蔵馬は、浮葉科の植物で空をある程度は自由に飛ぶことは出来る。

だが素早い動きになると彼等の様に素早く動く事は出来なかった。 

 

(これは避けるのは不可能だ。堪えるしかない)

 

スッ

 

両手を前に出して巨大な妖気の弾を受け止める態勢を作る。

 

グォォォォォ!!!

 

「行くぞ」

 

ドガァァァァァァァァァ!!!!!!

 

妖気の弾が妖狐蔵馬と接触して空中で大爆発を起こした。 

 

――Dブロックの地上

 

「命中だ」

 

ググッ

 

「ここで一気に勝負を決めさせてもらうぞ」

 

ドーーン!!

 

ドーーン!!

 

さっきと同じ巨大な妖気の弾を今度は左右両方の手から同時に上空に向かって放つ。

 

――Dブロックの上空

 

グォォォォォ!!!

 

爆発を起こしている妖狐蔵馬のいる場所にさらに二発の妖気の弾が命中。

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!


さっきの爆発を遥かに超える大爆発が上空で起きた。

 

「キャァァァァァ」

 

大爆発の衝撃で上空にいたDブロックの女性審判が飛ばされた。

 

――Dブロックの地上

 

ヒューーー

 

「キャァァァァ!!助けてー!!」

 

審判の女性が地上に落ちてくる。

 

ドスン

 

電鳳が地上で審判の女性を両腕でしっかりと受け止める。

 

「た、助かりました……」

 

「悪いな姉ちゃん。ちょっとやり過ぎたようだ」 


ポリポリと頭を掻きながら苦笑いを浮かべる。

 

――選手たちの休憩所

 

凍矢が心配そうな顔でスクリーンを観ている。

「蔵馬はあの巨大な妖気の弾を三発も受けたが大丈夫か?」

 

鈴駒がスクリーンを指差した。

「あっ、あれは!?」


スクリーンに妖狐蔵馬の無事な姿が映し出された。

 

陣が笑顔で感心している。

「蔵馬の奴、スゲーな!あの攻撃を耐えたみてーだぞ」

 

合計三発に及ぶ電鳳の妖気の弾を受けた妖狐蔵馬。


爆発の衝撃で全身にダメージを負ってはいたが、あの爆発の大きさに比べたら比較的軽いものだった。

 

――Dブロックの上空

 

「白魔装束に今回は救われたか」

自分の身に付けている白魔装束を触る。


(電鳳にあれほどの妖気の弾を放つ技があるのなら、このまま空にいるのは危険だ)

 

ヒューー

 

妖狐蔵馬は地上に向かって降りて行く。 

そして地上に降りながら先程、消滅させられた草を胸元から取り出す。 


(胸を奴の弾が擦った時にこれが無事で良かった。これは俺の切り札なのだからな) 

 

――Dブロックの地上

 

「審判をするのも命がけだわ」

 

審判の女性は電鳳から遠く離れた岩の影に隠れて試合の様子を見守る。

落下から助けてくれた電鳳の顔を見て頬を赤くした。

 

(電鳳ってイカつい割にはちょっとカッコイイかも)

どうやら電鳳に恋をした模様。

 

「あいつはまだ地上に下りて来ないみたいだな。もう一発ぐらいいってみるか」

 

ググッ

 

電鳳が再び巨大な妖気の弾を空に向けて放とうとしたその時。

 

妖狐蔵馬が地上に降りて来た。

 

「待たせたな」


電鳳、ニヤリ。

「ようやく降りて来たか」

 

――選手たちの休憩所

 

「飛影、さっき電鳳に妖気を通わすのを邪魔をされた植物が蔵馬の切り札なのか」

幽助が隣にいる飛影に訪ねる。

 

「そうだ」

 

「蔵馬の奴は空の上で何かの植物を作り出そうとしていたがあれは何か飛影は知ってんのかよ?」

 

桑原も飛影に問いかける。


「あれは毒死草だ。一度だけ蔵馬が使う所を見た事がある」

 

「毒死草??名前からしてヤバそうな名前だな」

 

「これはまだ俺がお前たちと出会う前の話だ」

 

――飛影の回想

 

「チッ、しつこい野郎だ」

 

飛影は巨大なライオンの姿をした妖怪に追われていた。 

 

その当時の飛影は邪眼を移植した代償として妖力が最下級クラスまで落ちていた。 

飛影は妹の雪菜に繋がるような情報があれば、今の自分より妖力が高い妖怪が相手でも、危険を侵してまで色々と調べて回っていた。

相樂(さがら)という名の妖怪が、人間界で人間に化け、催眠術で人間の女性や妖怪の女性を自由に操って、闇ブローカーに彼女たちを売り払い、巨万の富を得ているという情報を掴んだ飛影はその屋敷に進入。

催眠術で操られている女性の中か、闇ブローカーに売られてしまった女性の中に妹の雪菜がいるかどうかを調べに来たのだった。

結局、雪菜に繋がる手掛りはなく、相樂に見つかり追跡されていた。

相樂はC級の上位クラスで飛影は戦ってはみたものの、防戦一方で勝ち目がなく、飛影は相手を振りきるべく必死に逃げていた。

 

「追いつめたぞ」

 

飛影は相楽によって逃げ場のない断崖絶壁に追いつめられていた。

 

(クソッ!)

飛影の顔に焦りが見える。


「手を貸そうか?」

相樂の背後に蔵馬が現れた。

 

「貴様は確か……」

飛影は蔵馬の姿を見て驚く。

 

一度、蔵馬とは数ケ月前に八手の事件で面識は会ったがそれ以降、二人の間に繋がりが無くなっていた。

 

「飛影、久しぶりだな。俺も訳ありでここに来てみたら、誰かさんが既に暴れまわった後でね。妖気を辿って来てみたってわけだ」


蔵馬は自分の通う学校や他校の女生徒が相次いで行方不明になる事件を調べている内に、妖怪である相樂に辿り着いたのだった。

 

「貴様も妖怪か!」

 

「そうだ。お前に操られていた女性たちは俺が催眠術を解いて解放した」

 

「何だと!?俺がかけた催眠術はそう簡単に解けるものではないはずだ」」

 

蔵馬、ニコリ。
「俺にかかれば解くのは簡単だったよ。もっと強力な催眠術のかけかたを教えてやろうか?」 

 

「貴様ー!!」

 

怒り狂った相樂は蔵馬に向かって行く。

 

蔵馬と相樂は激しく戦ったが妖力の勝る相樂が徐々に蔵馬を圧倒し始めた。

 

「あの野郎に助けられるのは堪にさわるぜ」

 

飛影は蔵馬と相樂の戦いの中に乱入する。

 

飛影と蔵馬の二人がかりによる攻撃も相樂の前には通用しなかった。

 

ザザザ

 

「おのれ!」

 

スッ

 

再び相樂に向かって行こうとする飛影を手で蔵馬は静止した。

 

「奴は俺達より圧倒的に妖力は上だ。俺に考えがある。悪いが奴を少しの間食い止めてくれ」

 

「何か策があるようだが貴様の指図を俺はうけん」

 

バッ

 

飛影は蔵馬の静止を振りきり相樂に戦いを挑む。

だが口で言う事とは裏腹に、先程までとは違って時間をかけるような戦い方で相樂と戦う。

飛影は蔵馬の為に時間を稼ぎを始めたのである。

 

(フッ、素直じゃないな)

 

スッ

 

蔵馬は胸元から毒死草を取り出し妖気を通し始める。


ズズズ……

 

毒死草は変化を始める。

 

蔵馬が毒死草に妖気を通している間、飛影の戦いは続く。

 

「この雑魚妖怪がチョロチョロしゃがって」

 

バキッ

 

飛影の顔面にヒット。

 

ザザザ

 

「チッ」

 

その時、蔵馬の声が響き渡る。

 

「完成したぞ。飛影、直ぐに俺と相樂から離れるんだ」

 

バッ

 

飛影、ニヤリ。

「待たせやがって」


飛影は素早くジャンプして蔵馬を飛び越えてかなりの距離を取って着地。 

 

「相樂、覚悟しろ」

 

蔵馬は成長した毒死草を相樂に向けた。

 

「な、何だこれは!?」

 

カーー

 

――飛影の回想・終了

 

「俺と蔵馬は大きな力の差があった相手を毒死草で倒した」

 

桑原は飛影の話しを聞き入っていた。

「スゲーな。だが自分にも危険があるんだろ?」


「ああ、かなり危険だ」

 

「すると蔵馬はその毒死草ってのを使わねーとあの電鳳に勝てねーってのか!?」

 

「そういうことだ。奴は全ての面で今の蔵馬を上回っている。奴がオジギソウを倒した時点で蔵馬もそれは気付いているだろう」


――Dブロック

 

「電鳳よ、勝負だ!」 

 

「俺を楽しませてくれよ」

 

自分にも危険があるという妖狐蔵馬の切り札の毒死草とは?

戦いはいよいよ最終局面を迎える。

 

続く

 

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