nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #089「俺は美味くないぞ(大会編)」

――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第一試合

 

蔵馬(くらま)
×
電鳳(でんぽう) 

 

――Dブロック

 

《ギイギギギ》

 

電鳳に激しい敵意を剥き出しになったオジギソウが電鳳に向かって動き始めた。

妖狐蔵馬がオジギソウにもう一度命じる。

 

「あれはお前に害をなす者だ。全力で奴を排除しろ」

 

命令を受けたオジギソウはさらに勢いを増して向かっていく。

 

電鳳は構える。

「植物と喧嘩するのもまた一興だよな」

 

グッ

 

電鳳は右腕に力を込め始めた。

 

バチバチ

 

右腕が膨らみ、その腕から火花が見え隠れする。

 

「フン」

 

ドン!!

 

膨らんだ右腕で地面を殴る。

 

グォォォォォォ!!!!!


オジギソウに向かって地中を這うように一直線に火柱が向かっていく。

 

「黒焦げになるがいい」

 

《ギイギギギ》

 

オジギソウは素早く身体を動かして火柱をかわす。

 

「何ィ!?」

予想外のオジギソウの動きに驚く。

 

妖狐蔵馬、不敵に笑う。

「俺の呼び出したオジギソウを甘く見ないことだ」

 

《ギイギギギ!!》

 

オジギソウは不気味な鳴き声を上げると身体から大量の触手を出した。

 

シュルルルル

 

オジギソウに攻撃をかわされないと思っていた為、電鳳は攻撃をかわすタイミングが一瞬遅れた。

 

「チィィッ!!」

 

電鳳の身体を触手でぐるぐるに巻き付ける。

電鳳の身体の自由を完全に奪った。

 

「こらァァ!さっきから言っているが、俺を喰ってもマジで美味くないぞ」

 

オジギソウに捕まっても特に慌てた様子はなく、オジギソウに文句を言っている。

 

《ギギギーー!》

 

オジギソウは大きな奇声を上げると電鳳を黙らす為に一気に締め付ける。

 

ミシミシミシ

 

「ほほう!植物なのに割と力が強いではないか」


かなりの力で締め付けられているのにまだまだ余裕の顔をしている。

 

《ギイギギギ!!!!》

 

電鳳の反応に腹をたてたオジギソウはさらに締め付ける力を強くする。

 

メキメキメキ

 

不気味な音が辺り一面に響き渡る。

 

「おいおいおい。これがお前の全力の力か?」

 

(オジギソウが締め付けている力は凄まじいはずだ。人間界で戦った比羅の仲間はどうすることも出来ずに俺に敗れたというのにな……) 

 

メキメキメキ

 

電鳳を締め付けている音がずっと鳴り響いている。

 

「もういいわ。どうやらこれがお前の全力の力のようだ」

 

ブォォォォォ!!!!!

 

電鳳の身体から巨大な妖気が放出された。

 

「なんて妖気だ!?」

 

電鳳、ニヤリ。

「俺を締め付けるのは300年早いぞ」

 

《ギイギギギ!?》

 

電鳳が一向に弱らない為、オジギソウは戸惑い始めた。

 

(まずいな)

 

妖狐蔵馬はオジギソウに次の攻撃を合図する。

 

「オジギソウよ、奴を呑み込め!」

 

《ギギギ》

 

戸惑い始めていたオジギソウであったが、妖狐蔵馬の言葉で冷静さを取り戻した。

 

《ギイギギギ!!!》

 

オジギソウは巨大な口を開き、締め付けている電鳳をそのまま体内に呑み込もうとする。


「グフフ」

電鳳は不気味に笑っている。

 

ゴクン

 

電鳳は不気味な笑みを浮かべたままオジギソウに呑まれた。

 

(あの笑みは何だ……)

 

――Cブロック

 

Dブロックで電鳳がオジギソウに呑み込まれた頃、Cブロックでは九浄と木阿弥の戦いが終盤に差し掛かろうとしていた。

 

ドゴォォォォ!!!

 

九浄の強烈な一撃が木阿弥の腹部にヒット。

 

「がはっ!!」

 

ザザザ

 

九浄の一撃をまともに腹部に受けて後ずさる木阿弥。


「くそ……強い」

 

九浄、ニコリ。

「今の一撃をまともに受けてもまだ倒れないか。お前、中々強いな」

 

「おのれ!」

 

スッ

 

木阿弥は鉄扇を胸元から取り出す。

 

「これでもくらえー!」

 

シューーー

 

木阿弥の手から武器の鉄扇が九浄に向かって放たれる。

 

シュパッ!

 

鉄扇が九浄の頬を裂く。

裂けた頬から口元の辺りまで滴り落ちる血を舌でペロリと舐める。

 

「ただの鉄扇じゃないな。妖気で切れ味が増しているぜ!俺の顔に傷をつけるとは中々やるじゃあないか」

 

パシッ

 

木阿弥の手元に鉄扇が戻って来る。

 

「この鉄扇は俺の切札だ」

 

「流石は躯の戦士の一人だけはあるなって言ってやりたいが」

 

ズキューン

 

「は、速い!?」

 

九浄は瞬時に木阿弥の懐に入り込む。

 

「悪いがこれで寝んねしなよ」

 

木阿弥の胸に軽く手を置いた。

 

(!)

 

ドォォォォォォォン!!!!!!!

 

強烈な発勁

 

「ゲボァァァ」

 

ドサッ

 

木阿弥はその場に崩れ落ちるように倒れた。

 

九浄は意識を失っている木阿弥に向けて言葉をかける。

「またやろうな。強い奴を俺はいつでも歓迎する」

 

上空から審判が試合の様子を見ている。

 

「Cブロックの第一試合は九浄選手の勝利です!」

 

審判が九浄の勝利を宣言した。

 

「これで二回戦を突破だ。次は酎だぜ」

 

――選手たちの休憩所

 

飛影は躯の直属戦士仲間である木阿弥の試合を見ていた。

 

(木阿弥は敗れたか)

 

酎とその他の仲間たちもスクリーンに映る九浄の試合を鑑賞。 

目を細めながら、スクリーンにアップで映る九浄を酔は見ている。

「やっぱ九浄は強いぜ」

 

死々若丸も九浄の強さを感じていた。

「俺は一回戦で躯の戦士の一人とで戦って苦戦したというのに奴は簡単に倒したな」

 

鈴駒が酔をからかう。

「ニヒヒ。酎は死ぬ気で戦わないと九浄に勝てないかもよ。勝たないと“愛しの棗さん”と結婚出来ないもんな」

 

「うるせーぞ!分かっとる」

 

「へ~、俺たちの知らないとこで面白い事になってるんだな。酎が棗にプロポーズしたとこまでは知ってんだけどよー」

陣が楽しそうに酔の顔を見て笑っている。

鈴駒が知らない皆に簡単に状況を説明した。

「ってわけで、酎は九浄に勝たないと結婚出来ないんだ」

 

鈴木と凍矢もここで初めて酔の置かれている状況を知った。

「なるほど、それじゃあ、酎は大変だ。俺たちは三回戦で酎が九浄と戦う所を楽しく見させてもらうぜ。なあ、凍矢」

 

「そうだな」

 

酎以外の五名は笑みを浮かべてその後、酎を散々からかったのだった。

 

ちょっと涙気味の酔。

「お、お前等、他人事だと思って……」

 

酎はやれやれっといった顔で再びスクリーンの九浄を見た。

 

(木阿弥を倒したあの一撃をくらっちまったら、俺でも一発でやられちまうかもしれねー。これは気をつけんとやばいぞ)


酎は九浄と三回戦で闘う時のシミュレーションを考え始めた。 

全ては九浄に勝つ為に。

 

――Dブロック

 

《ギイギギギ》

 

オジギソウは電鳳の身体を完全に体内に呑み込んでいた。

 

(……)

 

妖狐蔵馬は呑み込まれる直前の電鳳の笑みを見て何か強い胸騒ぎがしていた。

 

カーー!!!

 

《ギギギ!?》

 

オジギソウの身体が光を放ち始めた。


「……やはりな」


《ギイィィィィィィ!!!!!!!!》

 

オジギソウは今まで聞いたことのないような奇声を上げた。

そして次の瞬間。

 

ドガァァァァァァァァァ

 

オジギソウの身体がバラバラに砕け散った。

 

ドサドサドサ

 

オジギソウの身体の残骸が辺り一面に飛び散る。

 

砕け散ったオジギソウの中から電鳳がその姿を現した。

そして地面に着地。

 

電鳳、ニヤリ。

「だから言っただろ。俺は美味くないと」

 

そう言うとオジギソウの残骸を見た。 

 

「流石に甘くないか」

妖狐蔵馬はフゥ~ッと溜息をついた。

 

「今度は俺から行くぞ」

 

ズンズンズン

 

電鳳は巨体を揺らしながら走り出した。

 

バッ

 

そして高くジャンプ。

 

「電鳳は何をするつもりだ」

 

ググッ

 

クルクルクル

 

電鳳は空中で身体を丸めると凄まじい回転を始めた。


(あれはどうやら身体を丸めて体当たりしてくる技みたいだな)

 

グォォォォォォ!!!!

 

「来い」

妖狐蔵馬は回転しながら向かって来る電鳳を迎え撃つ。

 

「そんな攻撃は俺には通用しないぞ」

 

「フフフ」

電鳳の不気味な笑い。

 

バチバチバチバチ

 

回転している電鳳の身体全体に火花が走る。

 

(あれは!?)

 

ジジジジジジジジジジジジ!!!!!!!

 

電鳳の身体は凄まじいまでの雷を帯びている。

 

「あれは擦るだけでもまずい」

 

電鳳を迎え撃つ態勢で構えていた妖狐蔵馬であったが、危険を察知し直ぐにかわそうと試みる。

 

「遅いな。その白い身体を黒焦げにしてやる」

 

ジジジジジジジジジジジ!!!!!!!!!!!!!!

 

(奴のスピードが早くなった!!?)

 

電鳳が間近に迫って来ていた。

 

――選手たちの休憩所

 

「く、蔵馬ァァァ!」


桑原がスクリーンに映る蔵馬に向かって叫んだ。

 

続く

 

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