nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #086「樹の新たな動き(大会編)」

ーー亜空間

 

何も無い果てしなく広がる世界。

闇撫の樹は仙水忍の遺体の傍にいた。

すぐ横には、魔界の7番地区にて、ゆりから得た情報から回収した雷禅の遺体が横たわっている。

雷禅の肉体は綺麗な状態でまるで眠っているかのようだ。

樹は自分の手の中にある物を見ていた。

それは先日の死闘の末に手に入れた秘宝だ。

まさに命懸けの戦いだった。

だが、この秘宝はそれだけの事をしてでも手に入れる必要があった。

全ては仙水忍の為に。

樹は仙水忍の遺体の前で膝をつくと仙水忍の髪の毛を触った。

 

「あと一つで全てが揃う」

 

樹の脳裏には、あるアイテムの姿が浮かんでいた。

(俺に必要な最後のアイテム。霊界の三大秘宝の一つ暗黒鏡)

 

樹は立ち上がると誰もいない亜空間の空を見上げた。

 

「皐月、いるのか」

 

広い空間のせいか、樹の声は非常によく通る。

 

「いるよ」

 

ズズズ……

 

空間が突然開き、闇撫の皐月が姿を現した。

地面に着地すると長い髪を手でパサッと掻いた。

 

「私を呼ぶなんて、どうしたの樹?」

 

「あいつに負わされた傷はもういいのか?」

 

皐月、ニコリ。

「大丈夫よ。樹が私を心配してくれるなんて珍しいね」

 

少し頬を赤くして嬉しそうにしている。

 

「私を呼ぶって事は今から何かするのでしょ?」

 

樹は目を閉じると不敵な笑みを浮かべた。

「フッ、察しがいいな。皐月は十二魔将についてどう思っている?」

 

皐月はキョトンとした顔で樹を見ている。

「十二魔将?確かにめっちゃくちゃ強いけど、樹の策にまんまと引っかかっていることにまったく気付いていない無能な馬鹿たちでしょ?」

 

「まあ、そう言うな。あいつらが俺の策にかかってくれなければ、あいつを殺せなかったのだからな」

 

皐月、ニコリ。

「フフ、確かにそうね」

 

「俺たちは十二魔将を魔界に追いやり、警備が手薄になったお陰で、どうにかあの男を始末する事が出来た。だがあの馬鹿な十二魔将たちはまだまだ利用価値がありそうでな」

 

「なるほどね」

 

皐月が何かを思い出したのか、手をポンッと叩いた。

「あ、そうそう。あいつとの戦いで負傷した連中の身体はもう殆ど大丈夫よ。再生能力は本当に凄い。多分戦闘はもう可能だよ」

 

樹は目を開けるとニヤリと笑う。

「流石だ。回復が早い」

 

「でも大会の方にも一体送り込んでいるんでしょ?あの男は大丈夫なの?確かにとんでもなく強いけど」

 

「大丈夫だろう。あの男があいつを殺したのだ。あの男の実力ならば躯や黄泉なども倒してしまうだろう」

 

皐月が溜息をつく。

少し不満気味な顔をしていた。

「でもあの男を大会に参加させる意味はあるの?私から見たら無駄な事にしか見えないのだけど」

 

「フッ、彼等の生みの親の意向だ。自分が作り上げた戦士の力を大会で見たいのだろう」

 

皐月はめっちゃくちゃ嫌そうな顔。

「私はあのジジイが嫌いだよ。不気味な笑い方が鼻につく」

 

「今はあいつの自由にさせてやれ。事が済めば、始末するつもりだ」

 

樹の言葉に皐月の顔がパァーッと明るくなる。

「本当に!!あのジジイの顔を見なくなるのは嬉しいな」

 

ここで樹が一歩前に出る。

 

「影の手よ」

 

フッ

 

樹の呼びかけに応じて、目の前に左右の手だけの生物が現れた。

 

「樹、今からどこかに行くのね」

 

樹、ニヤリ。

「ああ。十二魔将を俺の策で操りにな」

 

「十二魔将を何に使うつもりなの?」

 

「霊界にある暗黒鏡を手に入れる為に十二魔将を利用する。手始めにこれから頃合いを見て、ある女を殺す。皐月、お前にも手伝ってもらうかもしれない」

 

皐月、ニコリ。

「任せてよ」

 

「だが、馬鹿揃いの十二魔将の中で唯一、弥勒が要注意だ。あの男はかなりの切れ者だ。油断は出来ない。だが、俺が弥勒をも上回っていることを見せてやるさ」

 

皐月が樹の肩に寄り添う。

「私は貴方がどんな策を立てても、ついて行くよ」

 

樹の眼光が鋭くなる。

「皐月よ、見せてやる。この闇撫の樹の力をな。俺の策は全ての世界を凌駕する」

 

続く

 

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