nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #070「もう一つの波乱と予選終了(大会編)」

――メイン会場

 

各ブロックを勝ち抜き本選への出場を決めて、メイン会場に戻ってきた選手たちはまだ終了していないブロックの戦いの様子を巨大スクリーンで見ていた。

終了したブロックには勝ち抜いた選手の名前が表示されている。

 

幽助は、71ブロックを見つめていた。

表示には奇淋の名前が表示されていた。

 

(北神……)

 

北神の敗北は残念だが、気持ちを切り替えて

幽助は他のブロックに目を向けた。

 

(親父の仲間たちも順調に勝ち残っているな) 

 

幽助はまだ終わってないブロックの様子を見る。

その中で、幽助が気にかけているブロックがあった。

それは90ブロックである。

 

「楽越、まだ残っているみてーだな」

 

スクリーンには楽越が戦っている姿が映っていた。

慌てながらも必死に戦っている。

短い期間ながらも一緒に旅したちょっとした問題児。

幽助は仲間として応援していた。

その90ブロックでは、躯の直属の戦士で、飛影のパトロール仲間でもある雑魚がその自慢の筋肉をフル活用して、無双状態であった。

 

(あの雑魚が90ブロックにいるのか。楽越が本選に残るのは無理か……)

 

90ブロックに雑魚がいると知り、楽越の勝利はまずないと思い少し残念。

 

「浦飯ーー!!」

桑原の幽助を呼ぶ大きな声が響き渡る。

 

「よ、桑原じゃねーか」 

 

幽助はスクリーンで桑原の結果を見た。

スクリーンに桑原の本選出場が表示されていた。

 

「桑原おめーも勝ち抜いたんだな」

 

桑原、ニヤリ。

当たりめーだ。余裕だぜ」

 

桑原Vサイン。

だが顔のあっちこっちに戦いで苦戦した後が見える。

 

「余裕のわりには酷い顔だな。頭にたんこぶまでできてるぞ」

幽助は桑原をからかう。

 

「こ、これはだな。手加減しすぎたんだ」


「へへへ。わかってるって!まあ本選出場、おめでとさん」

 

「なんかその顔が無性に腹立つな」

 

飛影がやって来た。

「素直にやられたといえばいいではないか」

 

「え~い!飛影うるさい」

 

「みんな無事に勝ち残ったようだね」

 

蔵馬も飛影に続いて幽助たちの側にやってきた。

 

幽助、ニヤリ。

「ああ。勝ち残ったな」

 

幽助たちは再びスクリーンに目を向けた。

 

「酎や陣たちも残ってますね」

 

「北神と奇淋の野郎が戦った以外では波乱がもうないだろうぜ」

 

「予選が終わっていないのがあの90ブロックだけか」


90ブロックでは残り二名になっていた。

90ブロックの妖怪たちは雑魚によってその殆どが倒されている。

 

「雑魚の奴、暴れているな」

同じ躯の直属戦士でパトロールでも行動を共にする、飛影にとっては、魔界の仲間といえる存在だ。

 

桑原が雑魚っていう名前にツッコミを入れた。

「雑魚??あの筋肉ダルマみたいな奴の名前か?雑魚ってなんか弱そうな名前だな」

 

蔵馬、ニコリ。

「桑原君は、躯の所にいて彼に会っていないのですか?躯の直属の77人の戦士の中でもパワーだけなら彼がNo.1ですよ」

 

「なぬぅぅ!!名前が雑魚のくせに」

 

「ですよね、飛影?」


「まあな」

 

本選出場を決めた凍矢がメイン会場に戻って来た。

「最後のブロックは雑魚になりそうだな」

 

蔵馬の側に凍矢がやって来る。

 

蔵馬、ニコリ。

「凍矢、おつかれ。そういえばお前は前の大会で雑魚を倒していたな」

 

頷く凍矢。

「四回戦でな」

 

桑原が横で話しを聞いている。

「へ~。四回戦って浦飯、そういえばおめーから聞いていなかったが凍矢の奴は、どこまで前の大会で勝ち残ったんだ?」 

 

「凍矢は、前の大会で結構くじ運に恵まれていてな、準決勝まで勝ち進んでいたぜ。まあ準決勝で煙鬼のおっさんに負けたけどな」

 

「くじ運が良かったっていったってベスト4か。マジすげ~な」

 

スクリーンではついに楽越と雑魚の戦いが始まろうとしていた。

 

――90ブロック

 

楽越と雑魚が対峙している。

 

「後はお前だけだ」

 

雑魚は楽越に向かって突進していく。

楽越はその場から動かない。

雑魚の強烈なタックルが楽越を襲いかかる。

90ブロックにいた妖怪の大半はこのタックルによる一撃で倒されていた。

だが、楽越は違った。

 

ガシッ!!!

 

両手で雑魚の頭を押さえてそのタックルを止めた。

 

「何だと!?」

 

想定外の出来事に雑魚は驚いた。

自慢のタックルを止められるとは夢にも思っていなかったからだ。

楽越は雑魚の頭を掴んで身体を引き寄せると雑魚の顔面に膝蹴りをくらわせた。

そして怯んだ雑魚の顔面を殴りつけた。

楽越に殴られた雑魚の巨体は後ろに吹っ飛ぶ。

だが、雑魚は地面には倒れない。

どうにか踏みとどまった。

 

(この男強い……)

雑魚の額から汗が流れ落ちる。

 

この僅かの間に、目の前にいる男がとてつもない実力者だと雑魚は感じ取った。

 

ーーメイン会場

 

楽越が雑魚のタックルを止めて、雑魚を膝蹴り、殴りつける映像がスクリーンに流れている。

観客や本選に出場を決めた選手たちもこの予想外の展開にどよめいている。

 

「あれを止めた!?」

凍矢が声を上げた。

 

「楽越やるじゃねーか」

楽越の善戦に幽助はニコリ。

 

躯は今の僅かな楽越の動きを見て、楽越が只者ではないと感じていた。

 

「雑魚は負ける」

 

ーー90ブロック

 

バキッ

 

楽越が素早く動き雑魚を殴りつけた。

 

ズズズ……

 

殴られた衝撃で雑魚の身体が後ろに下がる。

 

「……貴様一体何者だ!!?」

 

楽越、ニヤリ。

「あん?何者でもねーよ。戦うのが大好きなバトルマニアなだけだぜ。てめーは魔界でも上位クラスの妖怪なんだろ?その程度の実力かい」

 

雑魚をバカにする口調。

この楽越の言葉に雑魚はキレた。

 

「くそっ!舐めるな」

 

ブォォォォォォ!!

 

雑魚は妖気を高めると楽越に向かっていった。

 

「けっ、つまんねー相手だ。遊びをやめてさっさと決めさせてもらうぜ」

 

「若造がその生意気な口を黙らせてやる!!」

 

楽越は構える。

「お前はパワー型の戦士だ。だったらお前の特性に合わしてやるぜ」

 

楽越はその身体に宿る比羅や黎明が放出する気を使わず、妖気を選択。

 

ブォォォォォォ!!!

 

これまで抑え続けていた気をほんの少しだけ放出した。

そして全身に力を込める。

そこに巨大な妖気が流れ込む。

 

ピキピキピキ

 

ボンッ!!

 

細かった楽越の身体がたちまち雑魚と変わらない筋肉質な身体つきになった。

それは雑魚の身体と比べて殆ど遜色のない姿だ。

 

(奴の身体つきが変わった!?)

 

楽越、ニヤリ。

「へへへ、驚いたかい?俺の四つの能力の一つ筋肉操作って奴だ」

 

ーーメイン会場

 

楽越の変化した姿に幽助が声を上げた。

「あ、あれは、戸愚呂(弟)の爆肉鋼体!?」

 

飛影は雑魚と楽越の戦いを表情を変えずに見ている。

同じパトロール仲間の木阿弥も本選出場を決めて、飛影の隣で雑魚の戦いを見ている。

 

ーー90ブロック

 

「野郎!」

 

ビューン!!

 

雑魚は強烈なパンチを楽越に放った。

楽越は雑魚のパンチを軽くかわした。

 

攻撃をかわすと楽越の姿が雑魚の視界から消えた。

そして楽越は雑魚の懐に完全に入り込む。

 

「雑魚さん遅いぜ」

 

(!?)

 

ビューン!!!

 

ドゴォォォ!!! 

 

楽越の筋肉操作で破壊力の増した強烈な右のストレートが雑魚の腹部にめり込む。

 

「がっ……!?」

 

雑魚の巨体がぐらつく。

 

ドスン!!!

 

雑魚はその場に崩れ落ちるように倒れた。

 

「歯ごたえのない。もう少し遊んでも良かったかな」

 

上空から戦いを見守っていた審判は雑魚の様子を見た。

雑魚は完全に気を失い戦闘不能状態。

 

「90ブロックからの本選出場は楽越選手に決定しました!」

 

審判が楽越の勝利をコールした。

 

――メイン会場

 

「あの雑魚が負けたか……」

前大会で戦った凍矢は複雑な顔でスクリーンを見ている。

 

蔵馬もこの結果に驚いている。

「まさか雑魚が予選で消えるとはな。北神と奇淋に次ぐ波乱だ」

 

「予選で雑魚が負けるなんて……」

 

木阿弥は雑魚の敗北に悔しそうな顔をしている。

その肩に飛影が手を置いた。


「魔界にまだまだ隠れた実力者がいたってことだ」

 

幽助の中でなんともいえない感情がわいている。

一緒に旅をした楽越の姿と雑魚を難なく倒した楽越の姿がまるで別人のように違っていたからだ。

 

「楽越、おめーは一体何なんだ……」

 

残った最後のブロックを楽越が雑魚を下して本戦出場を決めて予選が全て終了した。

これにより本戦に出場をする128名の戦士が決まった。

 

ーー30分後のメイン会場

 

予選を勝ち抜いた128名の選手がメイン会場のスクリーン前に集まっていた。

対戦の組み合わせが発表されるのを待ち構えている。

 

酎と鈴駒が並んでスクリーンを見ている。

「いよいよ本選の組み合わせが発表だぜ」

 

「酎はくじ運が悪いからな~。またいきなり強い奴に当たるんじゃないの?」

 

「うっ!そ、それは、まずいぜ。棗さんと結婚するのに九浄に勝つかあいつよりいい順位にいかないといけねーのだからよ」

酎は鈴駒に困った顔を見せた。

 

魔王煙鬼は腕を組んでスクリーンを見つめていた。

 

トントン

 

孤光が旦那の肩を叩いた。

 

「孤光」

 

「あんた、もしあたしと当たっても手加減とかしたら承知しないからね!」 

 

煙鬼、ニヤリ。
「わかっとる。愛と喧嘩は別次元だからな」

(どうか孤光と当たりませんように)

 

その笑顔とは裏腹に孤光に当たらないことを真剣に祈る煙鬼であった。 

 

鈴木と死々若丸が話している。

「死々若がこの大会の目標としていた北神は負けてしまったな」

 

「ああ。確かに北神が敗れて、奴に借りを返せなくなってしまった。だがその北神を倒した奇淋を倒すことがこの大会の次の俺の新しい目標だ」

 

「奇淋は強いぞ」

 

「分かっている。お前にもらった新しい試しの剣があるし、負ける気はしないさ」

 

鈴木、ニコリ。

「俺の天才的なアイテム作りに感謝しろよ」

 

「ああ」

 

その時メイン会場に樹里の声が響き渡った。

 

「本選に出場された皆様。お待たせしました。これより本戦の組み合わせを発表します」

 

樹里から発表のアナウンスが流れると出場選手たちが急に騒がしくなる。

 

ガシッ

 

幽助は両手の拳をぶつけて気合いを入れた。

「いよいよ発表か」

 

「それでは、組み合わせを発表します」

 

樹里が右手を挙げて合図した。

樹里の合図と共にメイン会場の巨大スクリーンに、魔界統一トーナメントの本選出場の128名の対戦の組み合わせが発表されたのだった。

選手たちがそれぞれ自分の名前を探し始めた。

 

「初戦からいきなりか……」

 

幽助は一回戦の相手の名前を見て自然と顔が笑っていた。


「面白くなってきたぜ」

 

続く

 

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