nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #068「予選の波乱!!北神vs奇淋(大会編)」

――魔界統一トーナメント予選・71ブロック

 

北神vs奇淋による本戦出場をかけた最後の戦いが今まさに始まろうとしていた。

 

対峙する北神と奇淋。

沈黙が続く中、先に口を開いたのは奇淋だった。

 

「邪魔者は綺麗に片付いた。これでゆっくりお前と勝負が出来る」

 

「お前とまともに戦うのは何百年ぶりかな」

 

「そうだな。いずれお前と決着をつけたかったが、!その機会を得る事が中々叶わなかった。大会の予選とはいえ、お前と戦えるチャンスに恵まれた事を嬉しく思う」

 

北神は構える。

「勝負だ。奇淋!」


(魔道本家の技を使ってくる前に一気に叩く)

 

そして奇淋も構えた。

「来い」

 

北神がまずは攻撃を仕掛けた。

奇淋に接近すると次から次へとパンチとキックをバランスよく組み合わせた連続攻撃。

奇淋は繰り出される連続攻撃を防御している。

まずは様子を見ている感じだ。

時折、奇淋も攻撃を返しているが、攻撃に関しては現状では積極的に攻める北神の方が圧倒的に優勢に見えた。

防戦に徹している消極的な奇淋に、北神が攻撃をしながら話しかけた。       

 

「仕掛けてこないのか」

 

「そうだな。お前の攻撃を受けるのはそろそろ飽きてきたところだ」

 

「何だと」

 

北神の拳を右手の肘で受け止める。

そして左手を北神に向けた。

 

(!!)

 

ドーーーン!!!

 

目に見えない。

これは衝撃波だ。

衝撃波をまともに受けた北神の身体は10mほど後ろに飛ばされた。

身体が地面に叩きつけられる直前で、地面を右手でついて叩きつけられるを防ぐ。

北神が態勢を立て直そうと 立ち上がろうとしたその時、目の前には既に奇淋がいた。

 

(速い……!!)

 

バコッ!!!

 

北神の顔を蹴り上げる。

蹴り上げた事で宙に浮いた北神の身体を思いっきり殴りつけた。

北神の身体が吹っ飛んでいく。

 

ドガァァァァァァ!!!

 

北神の身体は岩壁に叩きつけられた。

崩れた岩壁により、砂煙が舞い上がる。

ゆっくりと崩れた岩壁の方へ奇淋は歩いていく。

 

「さあ、出て来い北神」

 

既にその右手には衝撃波を放つ準備は整っている。

 

フッ

 

「言われるまでもない。出て来たぞ」

奇淋の背後に北神が姿を現した。

 

(いつの間に!?)

 

北神、ニヤリ。

「お前の後ろを取ったぞ」

 

そう言うと北神の首がにゅるにゅると長く伸びる。

奇淋の身体を素早くぐるぐる巻きにした。

一気に締め上げるために。

だが、奇淋には焦った様子はない。

 

「さあ、どうする奇淋?」

 

「さあな。遠慮することはない。私を倒せるのならこのまま倒したらいいぞ」

 

北神の目付きが鋭くなる。

「それなら遠慮なく一気に決めさせてもらうぞ」

 

宣言通り、北神はその力を最大限に生かせる軟体術で

勝負をかける。

 

ブォォォォォォ!!!

 

北神は妖気を高めた。

身体からバチバチと強力なエナジーが放出される。

 

「これで終わりだ!!」

 

奇淋の身体に巻きついた北神の首が全力で締め上げた。

身体に北神の首がくい込んでいく。

身に纏っている奇淋の鎧にヒビが入る。

 

(さあ、ギブアップしろ。このままでは、全身の骨がくだけるぞ)

 

だが、ここで北神は違和感を覚えた。

あまりにも簡単過ぎる。

締め上げられているのにまったく抵抗する素振りも見せていない。

 

「ククク、ハハハ」

 

締め上げられて劣勢の筈の奇淋がここで高笑い。

 

「貴様、何がおかしい!!」

 

奇淋、ニヤリ。

「かっての好敵手の今の全力がどれほどのものかと思っていたが、この程度とはな。少々拍子抜けしたよ」

 

「何だと!!」

 

奇淋の目付きが鋭くなる。

「北神よ、もはやお前は私の好敵手ではない。ただの雑兵だ」

 

ブォォォォォォォ!!!!

 

奇淋の妖気が急激に高まっていく。

 

「馬鹿な……。この妖気は!?」

奇淋の妖気がまるで別人のように高くなっている。

 

(この妖気は国王の仲間たちとも引けを取らない……まさかここまで強くなっているとは……)

 

バチバチバチ!!

 

北神の身体がまるで電流が流れたように痺れる。

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

奇淋はさらに妖気を高めていく。

妖気が高まることに比例するかのように北神の身体にも激しい痺れが。

 

「クッ……これ以上は……」

 

奇淋の身体に巻き付いていた北神の首が外れた。

伸びていた北神の首は元の状態に戻ろうとする。

奇淋は素早く動いて北神の伸びた首を捕まえた。

 

「フン」

 

ブーンブーンブーン

 

北神の首を捕まえて振り回す奇淋。

 

 

「ハァァァ!!」

 

ビューーーン

 

奇淋は北神の身体を思いっきり地面に向かって投げ飛ばした。

 

ドッガァァァァァァ!!

 

地面に叩きつけられた北神はその場に倒れている。

続いて奇淋は右手を後ろに引き妖気を込めると右手全体が青白く輝き始めた。

 

「北神よ、それが全力というなら今のお前には魔道本家の技を使うまでもない。この三年の間に私たちの力の差が大きく開いていたようだな」

 

バッ!

 

右手を倒れている北神に向けた。

 

ピュ!ピュ!ピュ!ピュ!


奇淋は無数の妖気で作った小型の蟲を放った。

北神は倒れている状態で伸びた首を元に戻した。

 

(くそっ!全力の私の締め付けを簡単に外すとは…)

 

立ち上がる北神。

 

(!)

 

立ち上がった北神が気付くと奇淋の放った数えきれない数の小型の蟲が北神を包囲していた。

 

「北神、貴様には躯様にすら見せたことのないこの技の最初の餌食となってもらうぞ」

 

「こ、これは!?」

 

見慣れない蟲に動揺する。

 

「行け」

 

奇淋が合図するとキリキリキリと蟲が不気味な鳴き声を上げた。


奇淋、ニヤリ。

「軟体術ごときでこれを防ぐのは不可能だ」

 

パチンと指を鳴らす。

それが蟲たちへの合図。

 

奇淋のこの合図により、一斉に蟲たちが北神に襲いかかってきた。 


「な、何だこいつらは!!?」

 

続く

 

次へ

戻る