nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #062「三年ぶりの手合わせ(大会編・前章)」

ーー7番地区・北神たちの居住地

 

北神たちと再会した幽助は、久しぶりに彼等と語りあった後、近くの広場で北神と手合わせすることになった。

広場の中央で対峙する両者。

そのまわりには、東王、西山、南海ら元雷禅配下の幹部と配下たち、そして楽越とゆりが見守る。

黎明も建物の陰に隠れて様子を見ている。

バトルマニアである楽越は魔界の強者同士の手合わせに、戦士としての血が騒いでいる。

 

(楽しみだ。幽助が戦うところが見れる。相手もこの魔界でもかなりの強者のようだ。魔界の戦士たちの力見せてもらうぜ)

 

幽助と北神が手合わせするのは、前の大会の直前以来になる。

幽助は、手合わせ前のウォーミングアップの為、手足を動かしたり、入念に準備運動をしている。

 

北神は幽助の準備運動を見ている。

「こうして幽助さんと手合わせするのは、本当に久しぶりです。私も、そしてここにいる者たち全てがこの三年もの間、鍛錬をしてきました」

 

幽助、ニヤリ。

「そいつは俺も同じだぜ。手加減はしねーぞ北神」

 

幽助につられて北神もニコリ。

「それは私も一緒です。今の私が幽助さんとどれだけやれるのかを知る為にもお願いしますよ」

 

お互いに構えて戦闘態勢に入る。

西山が両者の様子を目で確認。

 

「始め!!」

 

西山の口から手合わせ開始が告げられた。

 

「行くぜ」

 

「行きますよ」

 

幽助と北神は同時に駆け出した。

先に攻撃を仕掛けたのは幽助。

 

「ウラァ!!」

 

強烈な右ストレートパンチを顔面目掛けて放つ。

北神はこれを得意の軟体術を使わずに、横に身体をずらしてかわした。

幽助はさらに攻撃を仕掛ける。

次は左ストレートパンチ。

北神はこれも身体を横にずらしてかわす。

攻撃を連続でかわされても幽助は構わず攻撃を続ける。

右、左と次から次へと連続でパンチを放つが北神は幽助の攻撃を身体の動きだけでかわしていく。

 

(軟体術で攻撃を直ぐにかわそうとする悪い癖がなくなっている。北神、いい動きだぜ)

 

今度は北神が幽助に攻撃を仕掛ける。

幽助と同様に右、左と次々とパンチを放つ。

幽助も繰り出されていくパンチを身体を横にずらしながら次々にかわしていく。

どちらにも攻撃がまだ一発も当たっていない。

両者の攻防は果てしなく続く。

激しく動き、お互いに身体が温まってきた。

 

ブォォォォォ!!!

 

幽助と北神が妖気を高める。

両者の身体から凄まじい妖気のエナジーが放出される。

 

北神の目が鋭くなる。

「幽助さん、行きますよ!!」

 

北神の首が伸びる。

北神の能力であり、最大の武器でもある軟体術だ。

伸ばした首が幽助に向かっていく。

 

(俺に巻きついて身体を締め付ける気だな。やらせねーよ)

 

身体を巻きつけられないように警戒する。

だが、幽助の予想は外れていた。

 

北神、ニヤリ。

「もらいましたよ。霧津流・硬弾」

北神の伸びた首が瞬時に硬化された。

硬化された北神の首は鉄球のような役割となる。

 

「ま、マジかよ!?」

 

まさかの軟体から硬体へ。

これまで幾度も手合わせして、北神の手の内を知り尽くしていた幽助であったが、予想外の攻撃に反応が遅れた。

 

ドガァァァァァ!!

 

幽助の肩に硬化された北神の首が直撃。

そのスピードと破壊力に、見守る観衆の誰もが幽助の身体が吹っ飛ばされると思った。

だが、幽助の身体は吹っ飛ばされていなかった。

北神の一撃は幽助の肩を直撃していたが、幽助は肩でその一撃を受け止めていた。

 

驚く北神。

「ゆ、幽助さん!?」

 

幽助、ニヤリ。

「意表を突かれちまったが、甘いぜ」

 

幽助の目がキラリと光る。

狙いは残された北神の身体。

 

バゴォォォ!!

 

硬化された北神の頭をアッパーで殴り飛ばす。

そして幽助は動いた。

 

ズキューン!!!

 

北神の身体目掛けて。

 

「オラァァ!!!」

 

ドゴォォォォォ!!!

 

北神の腹部に強烈なパンチ。

北神の身体は吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。

 

幽助、ニコリ。

「俺の勝ちだ北神」

 

観衆たちから歓声が上がる。

「さすがは幽助さんだ」

 

「あの人はやっぱり強いな」

 

「勝者!浦飯幽助

西山が幽助の勝利を宣言した。

 

北神の伸びた首は硬体から軟体に戻り、身体に首が戻る。

そしてゆっくりと上半身を起こす。

 

「参りましたよ。完敗です」

 

「でもよー、俺も驚いたぜ。いきなり硬くなるとは流石に俺も思わねーよ」

 

北神に手を貸して立ち上がらせる。

 

「全く自信を無くしますよ。意表をついて幽助さんに攻撃を当てたのに殆ど攻撃が効いていないんですからね」

 

そう言うと幽助の耳元に近付く北神。

 

「貴方に攻撃が当たる直前、ほんの僅かな一瞬だけですが、幽助さんの姿が変わりました。あれが幽助さんの新たな力ですか?」

 

幽助、ニヤリ。

「まあな。そんなとこだ。他の連中は気付いていないようだな」

 

「やれやれですよ。貴方との差が縮まるどころか、逆に大きく開いてしまうとは」

 フ~ゥと残念そうに溜息をつく。

 

手合わせを終えた二人の元に観衆たちがやってきて幽助と北神をもみくちゃにする。

 

二人の手合わせを陰で見ていた黎明。

(あれが浦飯幽助か。桑原を捕獲する目的の我々にとって、奴は大きな障害となりそうだ)

 

そして幽助の戦いを近くで初めて見た楽越。

(いいね。強いよ幽助。願うならお前と大会で思いっきり戦いたいぜ)

 

ーー数時間後

 

北神との手合わせを終えてひと休憩を終えた幽助は、

これから遺伝上の父親の雷禅の墓参りに行くことにした。

墓参りに行くメンバーは、集落に残る楽越を除き、

幽助、ゆり、北神、東王、南海、西山の6名。

ゆり以外が秘密裏にされている雷禅の墓の場所を知る者であった。

 

幽助が背中に乗っているゆりに声をかける。

「ゆり、サンキューな。クソ親父の墓参りに着いてきてくれてよ」

 

ゆり、ニコリ。

「私こそここまで連れて来てくれてありがとう幽助」

 

「じゃあ行くぜ」

 

6名は雷禅の墓に向かう為、集落を出た。

幽助の背中の上でゆりの目つきが変わる。

 

(やっとだ。いよいよ私の目的が果たせる)

 

ーーその頃、集落に残っていた楽越は、近くの森の木に登り、果物を食べていた。

 

「ここの果物うめー!!」

 

人間界のバナナに似た果物をむさぼるように食べる。

 

「楽越!!」

 

木の下から楽越を呼ぶ声。

 

「うん?何だ?」

 

口に果物を頬張ったまま下を見る。

木の下を見た楽越に衝撃が走る。

 

「れ、黎明……」

思わず手から果物を下に落とした。

 

「何してるんだ。降りて来いよ」

そう言うと黎明はニヤリと笑う。

 

地面に降りた楽越。

恐る恐る顔を上げると死んだと比羅から聞かされていた

黎明がそこにいた。

黎明と楽越の目が合う。

 

「生きていたんだな、楽越……」

 

「楽越、お前に話しがある」

 

続く

 

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