nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #044「大会に燃える男たち(大会編・前章)」

――魔界の18番地区

 

陣・凍矢・鈴木・死々若丸の四人は激しい修行をひとまず終えて休憩をしていた。

 

鈴木が陣に話しかける。

「陣、お前の風には本当に手を焼かせられるぜ」

 

陣、ニコリ。

「へへ。この場所に吹く風は本当にいい風だー。とても扱いやすいぞ。大会の場所で吹く風も俺が扱いやすい風だったらいいけどな」

 

凍矢も会話に入る。

「陣、耳がもうピーンと立っているではないか。大会がよっぽど楽しみのようだな」

 

陣の顔はご機嫌。

日々の修行は全ては大会の為なのだ。

 

「へへっ、ばれたか」

 

陣の耳を楽しそうに引っ張る鈴木。

「フッ、耳がそんなに立っていたら誰だってわかるさ」

 

「そりゃー、久しぶりに幽助たちに会えるしよー。あいつらとまた戦えると思うとワクワクしてたまんねーぞ」

 

「ケッ、俺は別に会いたくないんだけどな」


小型の鬼の姿になっている死々若は、鈴木の肩に乗って、いつものごとく悪態をついている。

 

凍矢と陣と鈴木の話しは大会についての話題になる。

 

「幽助たちの事だからあれからかなり強くなっているだろうな」

 

 

「多分な。前の大会で俺はあいつと戦えなかったからよー、今度こそ幽助と戦いてーよ」

 

鈴木は幽助の前の大会で一番印象的だった試合が頭に浮かぶ。 

「前の大会といえば、三回戦のあの幽助と黄泉の対決は凄かった。あの試合は全試合の中で最長だったらしい。俺的にはベストバウトだ」

 

鈴木に言われて陣も凍矢も納得。

 

「そうそう。あいつは60時間も黄泉を相手に戦っていたもんなー。試合を見ていた俺たちもどっちが勝つかドキドキだったぞ」 

 

圧倒的な実力の差を感じさせず、黄泉を最後まで追い詰めた幽助の戦いぶりは、試合を見ていた者たちを感動と興奮をさせたのだった。

 

鈴木は肩に乗る死々若丸に話しかける。

 

「そういえば、死々若はお前を倒した北神の軟体術の対策はしっかりと出来ているのか?」

 

「よっと」

 

死々若丸は、鈴木の肩から下りた。

 

ドローン!!

 

死々若丸は本当の姿である小鬼の姿から大きな身体に化けた。

 

 死々若丸、ニヤリ。

「もちろんだ。あいつの軟体術によって、前は身体を完全に締め付けられて敗北してしまったが、今度はもしあいつに当たっても対策はばっちり出来ている」

 

死々若丸の答えに鈴木は満足。

「みんな、前回の敗北を機に、それぞれの能力や技に磨きをかけた。三年間の時間の中で、対策もばっちりだから同じ相手にまた負けることはないぜ」

 

四人はそれぞれの顔を見合わせながら頷く。

 

「そういえばさっきの俺との手合わせで初めて使った、その鈴木の新しい道具は面白いなー」

 

ここで話題が鈴木の開発した新しい闇アイテムになった。

鈴木は仲間たちとの手合わせで何度か披露していた。

 

鈴木、自信満々にニヤリ。

「ああ。大会に向けてこしらえた俺の自慢の一品だからな。俺の最高傑作だ」

 

「しかしその道具は、ちょっと反則だぞ」

陣はちょっと闇アイテムの力が不満らしく頬を膨らませる。

 

「フフフ、自分で自分の才能が初めて怖いって思ったほどの作品だからな」

 

凍矢は感心する。

「しかし、鈴木の武器や道具を作ることにかけての才能は本当に天才的だな」

 

「俺の使っているこの魔哭鳴斬剣(試しの剣)も含め 、

暗黒武術界での裏御伽チームの闇アイテムは、鈴木が全て作った作品だ」

そう言うと死々若丸は剣を素振りする。

 

「でもよー鈴木、おめーはいつからそんなに物を作れるようになったんだ?」

陣はめっちゃめっちゃ聞きたそうな顔。

鈴木の物作りは今まで謎に包まれていたからだ。

 

鈴木はニヤリと不敵な笑み。

立ち上がると腰に両手をあてる。

 

「そうか、よく聞いてくれた。話せば長くなるぞ。あれは確か俺が強い妖戦士田中だった頃に遡る」

 

「いやいや、俺が悪かった。話さなくていいぞ」

陣は苦笑いを浮かべる。


「あっ、そうだった。死々若に渡す物があったのを忘れていた。ちょっと待てよ」 

 

「俺に渡す物?」

興味深そうに鈴木を見る死々若丸。

 

鈴木はそう言うと道具袋の中を探し始めた。

 

「これだこれだ。あったぜ」

 

死々若丸に道具袋から出した物を投げ渡した。

それを受け取った死々若丸は物を確認する。


「これは見た感じ試しの剣のようだが?」

 

鈴木、ニヤリ。
「見た目はな。ま、実際に妖気を込めて使ってみろ」

 

「見た目はか…」

 

試しの剣に妖気を伝えていく。

 

ズズズ…

 

新しい試しの剣から現れたのは従来、死々若丸が使う剣と同じだった。

 

シュッ!

シュッ!

シュッ!

死々若丸はその場で新しい試しの剣で素振りをしてみた。

 

「特に今までの試しの剣と変わった風には見えないが?」 

 

鈴木は新しい試しの剣について解説をする。

 

「死々若に渡したそれの見た目は、従来の試しの剣と同じだ。魔界で先日発見した、ある植物を材料に使っている。前のをベースに改良に改良を重ねて新しく生まれ変わった試しの剣だ」

 

死々若丸は、試しの剣をまじまじと見つめている。


「話しを聞いても今一つ俺には違いがわからないが」 

 

「基本的にベースは前のと同じだが、俺がさっき話した新しく発見された植物の性質を使ってつけた機能がかなり強力だ」 

 

そして鈴木はニヤリ。

「これぞ名付けて“帰ってきた強い試しの剣”だ」 

 

………!!!

 

衝撃のネーミングセンスに陣と凍矢と死々若丸は固まる。


「死々若、せっかくだから使ってみたらどうだ?俺が相手をしてやる」

 

「そうだな、早速で悪いが相手してもらうぞ」

 

「フッ、俺もその剣の新しい機能が気になるからな」

 

何も聞かなかったように名前についてはスルーする死々若丸と凍矢。

 

ズーーンとへこむ鈴木。


「な、流された…」

 

「うんうん、鈴木の考えた名前は最高にかっこいい名前だったぞー」 

ポンッと笑顔で鈴木の肩を陣が叩いて慰める。

 

死々若丸と凍矢は20m先にジャンプして、お互いの間合いをとって着地した。

死々若丸と凍矢の手合わせが始まる。

結構激しい手合わせだ。

 

彼等の手合わせを眺める陣。

「あいつら元気だな。さっきはあんなに激しい修行をしたのに」

 

「陣、俺たちもさっきの続きをやるか?」

 

「あいつらに負けないように俺たちも元気よく頑張るかー」

 

陣と鈴木お互いにニヤリ。

 

ヒューー!!!

 

ギュウウウウウウ

 

陣は風を起こすと空高く飛んだ。

空の上は風が強い。


「やっぱりここの風はいい風だ」

 

地上で陣を迎え撃つ為に構える鈴木。

 

「さてと俺の最高傑作をとことん見せてやるぜ」


それぞれ大会への熱き思いを胸に秘めてさらなる修行に励む男たち。

彼等が目指す大会は近い。

 

――同時刻の魔界の7番地区の森の中。

 

銀髪の長い髪の一人の男が倒れている。

全身血だらけで身体には無数の大きな傷を負っていた。

倒れている銀髪の男の周りには、ばらばらになったオジギソウの残骸が散らばっている。

 

ザッザッザッ

 

草村を掻き分ける音が近付いてくる。

 

「誰か倒れている!」

 

草村の中から現れたのは北神である。

北神は倒れている銀髪の男をゆっくりと抱き起こすと、

呼びかける。

 

「大丈夫か!おい、大丈夫か!」

 

「うっ・・・」

 

銀髪の男は大きな傷の為か苦しそうに呻く。

 

「怪我は酷いがどうやら息はあるようだな」

 

北神は辺りを見渡して状況を確認する。


「オジギソウの残骸が凄いな…。獰猛なこいつにやられたようだな」

 

「うぁぁ……」

銀髪の男は苦しみだす。


「おいっ!しっかりしろ。すぐに手当してしてやるからな」

 

北神は出来うる限りの応急手当を男に施した。

しばらくすると銀髪の男は目を開けた。

その瞳は黒く美しい輝きを放っていた。

 

「目を開けたか。大丈夫か?」

銀髪の男の身体を気使いつつ声をかけてみる

 

「う…ここは…どこだ…」

目の前の男が誰か分からないが、どうやら自分を助けてくれたらしい。

 

北神は男に答える。

「ここは魔界の7番地区の森の中だ」

 

「…魔界……」

予想していなかった場所だったのか、銀髪の男は驚いている。


「お前の名は何というのだ?」

 

銀髪の男は声を絞り出して答える。

「れ…黎明…」

 

続く

 

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