幽☆遊☆白書~2ND STAGE #007「思わぬ再会(序章)」
――2番地区の深い森の中
飛影は人間がいる場所に向かって走っていた。
飛影(もう少しで霊気を感じた場所に着く)
ガサガサガサっと茂みの中から音がする。
飛影「誰だ」
ビューン!!!!
飛影の剣が音が聞こえた方向に向かって一閃。
ズドーンっと真っ二つに切られた木は地面に倒れた。
「あわわ…」
倒れた木の後ろには2匹の妖怪がいた。酒王と月畑である。
飛影「お前らか」
酒王「驚かせないでくださいよ飛影様」
飛影「追跡中の人間はどうした?」
月畑「すみません。逃げられてしまいました。人間のくせにやたら強いし、なにより逃げ足が速い」
飛影「お前たちはその人間と話したか?」
月畑「はい。ですが、人間は酒王の顔を見るなり、抵抗して逃げ出したらしいのです」
酒王「そうなんですよ。きっとナイスガイの俺の美貌に驚いたんでしょうが」
ナルシストな酒王は自分の美貌に酔っていた。)
あらためて酒王の顔を見てみる飛影。
酒王・飛影(・・・)
飛影「チッ」
(ふざけた顔だ……)
酒王(いかん。俺は恐ろしい。あの飛影様も俺の美貌の虜にしてしまった)
二人の表情を交互に見る、月畑。
月畑(・・・この二人、絶対に今考えていることが逆だな)
飛影「お前らはこれからどうするんだ?」
酒王「それがさっき、
人間の追跡中に時雨様と出会いまして、事情を話しましたら、時雨様が人間を捕獲してくれるとの事で、俺たちはその後を追い掛けてきたんです」
飛影(なるほど。時雨が行ったのならもう捕獲しているところだろうな)
――その頃人間と時雨は・・・
人間(仕方ねー!まともに戦ってもあいつには勝ち目はねー。ここは先手必勝)
人間は時雨に向かって突進した。
「ウォォォォォ!!!」
時雨(こちらは危害を加えないって言っているのに、抗戦的な奴だ)
人間は走りながら両手を広げた。
「くらいやがれー!!」
両手には霊気で作られた普通より長めの剣が形成されている。
人間「霊剣二刀流!!!」
時雨(面白い。霊気で作った剣か)
時雨も攻撃を受け止めるべく構える。
ここで人間は、時雨の少し手前から思いっきり上に飛び上がった。
時雨(何をするつもりだ?)
人間は空中で二本の霊気の剣を繋げて、一本の長い棒を作り上げた。
時雨「なんと!?」
その棒を地面に突き刺し、
その反動で身体を振り、時雨の頭上を越えて10m先まで飛んだ。
人間「へっ、戦っても勝ち目がないからよ!ここはトンズラさせてもらうぜ」
地面に着地すると全速力で逃げた。
時雨はその姿を苦笑いを浮かべて見る。
時雨「油断していたとはいえ、真に驚いた」
(霊気の剣を空中で結ぶとはな。非常識な奴だ)
人間は後ろを振り返り、時雨の姿がないことを確認。
「へへ、上手くいったぜ。やっぱ先手必勝だぜ」
ドン!!
人間「うぉっ!?」
何かにぶつかり思いっきり尻餅をついてしまう。
(痛てて・・・何だよ・・・)
「先手必勝という言葉を知っているとはお前も少しは利口になったな」
人間「あっ・・・お、お前は!?」
「やれやれだ。しかし何でお前がここにいる?」
人間「ひ、飛影!!」
人間は飛影の姿を見て驚く。
飛影「フン、久しぶりだな、桑原」
――人間の名前は桑原和真(くわばらかずま)。
飛影とは幾つもの戦いを共にくぐり抜けてきた戦友でもある。
意外な人物と意外な場所で再会。
飛影と桑原は正聖神党事件以来の久しぶりの再会であった。
続く
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