nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #004「最強の戦士(序章)」

――飛影の回想

 

飛影は奇淋と初めて出会った時の事を思い出していた。

 

飛影が躯の直属の77人の戦士の一人となるため、

その座を狙って時雨との対決が行われた。

 

そしてその対決は一瞬で決着がつき、結果は相討ちとなったのだった。

 

対決の数日後まで時は遡る。

 

死んだ飛影と時雨の身体は、躯の手により、

槽の中に溜められた蘇生液につけられていた。

 

槽の側で、躯が回復の状況を見守っていた。

 

躯「俺の声が聞こえているだろう?目を開けてみろ飛影」

 

槽の中で飛影はゆっくりと目を開けた。 

 

まだ頭の中がスッキリとしないが、時雨に斬られた傷跡は消えて、痛みはもう感じない。

 

躯「目を覚ましたか。蘇生液と俺の力でお前と時雨を蘇生させた」

 

飛影は横目で隣の槽で蘇生液につけられている時雨を見た。

 

飛影「チッ、余計なことを…」

 

躯「お前はこれから、俺の所でしっかりと働いてもらわないといけないからな。こんな所でくたばってもらっては困る」

 

飛影「フン」

 

槽の中から出ると衣服を身に付けはじめた。

 

躯「飛影」

 

躯の呼びかけに飛影は振り向く。

 

躯「お前に見せたいものがある」

 

飛影「見せたいものだと?」

 

躯「俺が時雨との勝負の前に言ったことを覚えているか?お前に俺の素顔を見せてやると約束をしていたからな」

 

シュルシュル

 

バサッ

 

躯は顔を隠す為に身に付けていた布を外した。

 

飛影「貴様は…!?」

 

布にくるまれて、これまで謎のベールに包まれていた躯の素顔が露になった。なんとその正体は男性ではなく、美しい女性であった。


だが、その美しい顔の半分は焼けただれて機械化されていた。

 

躯「俺が女で驚いたか?」

 

予想通りの飛影の反応を見て、躯ニヤリ。

 

飛影(まさか女とはな)

 

躯「俺は顔がわれると何かと動きづらくなるからな。直属の戦士と側近ぐらいにしか、素顔は見せていない」

 

素顔を見せた躯から感じとれる凄まじいまでの妖気。

かなり抑えられているとはいえ、飛影はその力に畏怖を覚えていた。

 

飛影「俺が強くなればなるほど、貴様との力の差が遠く感じる。化物め…。男か女など俺には関係ないさ」

 

躯「フッ、俺の強さが分かるなら、お前が強くなっている証。これからもっと強くなるさ」

 

躯の言葉を聞き、飛影は首にかけている二つの氷泪石をギュッと手で握った。

 

一つは飛影の物。もう一つは魔界に旅立つ際に、妹の雪菜から渡された物だ。

 

飛影「貴様が俺の氷泪石を腹に隠し持っていたとはな。どおりで俺の邪眼で探しても見つからないわけだ」

 

躯「お前が邪眼を身に付けてまで探し求めた、妹と氷泪石の行方。二つの目的を果たした今のお前は目的を見失い生き急いでいる。違うか?」

 

飛影(……!?)

 

躯「フッ」

 

飛影(チッ、不気味な野郎だ。俺の心の奥底まで見透していやがる)

 

躯はここで飛影に背中を向けると、部屋の出口に向かって歩き始めた。

 

飛影「何処へ行く?」

 

躯「そこで待っていろ。目覚めて早々だが、お前と手合わせをさせたい者がいる」

 

飛影「何者だ?」

 

躯「魔道本家奇淋。俺の直属の77人の戦士の中でも最強の男だ」

 

飛影「お前の組織のNo.2てとこか」

 

躯「そういうことだ。直ぐに戻る」

 

だんだん遠くなる躯の姿を眺めながら飛影は思う。

 

飛影(No.2か、俺の力は直属の戦士の中でも最弱の時雨と同等クラス。現在の俺とNo.2との力の差がどれほどのものか。手合わせでしっかりと見極めさせてもらうぜ)

 

――数分後

 

躯が奇淋を連れて現れた。

 

躯「待たせたな」

 

奇淋「躯様から話しは聞いている。私の名は奇淋。躯様の直属の戦士の一人だ」


甲冑を身に纏い、顔もマスクによって隠されて、目元しか分からない。

 

飛影(こいつが躯のNo.2か)


抑えていても感じる強い重圧感。

 

飛影は恐怖心よりも早くこの男と戦いたい衝動に駆られていた。

 

飛影「お前が奇淋か」

 

ブォォォォォォ!!!!!

 

飛影は攻撃的な妖気を放ち奇淋を挑発している。

 

奇淋(………)

 

躯(飛影、妖気は完全に元に戻っているようだな)

 

奇淋はチラッと躯の方を見る。

 

奇淋「なかなかの強さですね。時雨と五分に渡り合った男だけはあります。
躯様、この者と早速ですが、手合わせをして宜しいでしょうか?」

 

躯「かまわん。手加減はするなよ。思いっきりやれ」

 

奇淋「心得ました」

 

飛影「最強の戦士の力がどれほどのものか試させてもらうぞ」

 

カチャッ

 

ビューン!!!!

 

剣を抜いて戦闘態勢に入る飛影。

 

飛影の最強の戦士への挑戦が今始まろうとしていた。

 

続く