nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #056「御堂登場(大会編・前章)」

ーー2番地区・躯の居城

 

「飛影、御堂の元に行くのはちょっと待て」

 

洞窟・御堂に向かおうとする飛影を躯が呼び止めた。

足を止めて躯の方を向く。

 

「何だ?お前が止めても俺は行くぞ」

 

「誰もお前を止めやしないさ。試練を受けてくればいい。だが、お前なら試練は大丈夫だろうが、万が一お前が失敗して御堂の子になることを考えると少々厄介だからな。俺以外では、お前を止められないだろう」

 

そう言うと躯は手をパンパンと叩くと、

直ぐに小間使いの妖怪がやってきた。

躯は、直属の戦士を2人ほどここに連れてくるように指示した。

指示を受けた妖怪は慌てて部屋を出た。

 

「武威に出来て俺に出来ないわけがないだろう。直属の戦士2人は俺の監視か?」

躯の行動に少し不満気味の飛影。

 

「そんなにむくれるな。お前を信じていないことはないんだ」

 

暫くすると躯の寝室に直属戦士の2名やって来た。

 

「躯様、及びですか」

 

「お、飛影もいたのかよ」

 

部屋にやって来た直属の戦士は、飛影とパトロールでいつも一緒に行動を共にする雑魚と木阿弥だった。

 

「何でこいつらなんだ?」

 

躯、ニコリ。

「ん?気心が知れた奴らの方がお前にはいいんではないか?彼等ならお前の助けになる」

 

「チッ、好きにしろ」

 

なんか躯には上手くやられているなと飛影は心の中で思った。

 

「お前たちに頼みがある」

 

躯は今回の経緯を彼等に説明した。

躯の指示は、飛影が御堂の試練に万が一失敗し、御堂の子になったときに備えて、どちらか一匹は飛影の足止め、もう一匹は足止めしているうちに、躯の元に知らせに来るというものだった。

 

「かしこまりました」

 

命令を受けた雑魚と木阿弥は片膝を地面につけて、頭を下げた。

躯が飛影に声をかける。

 

「飛影、俺はこの魔界が好きだ。お前を信じているが、お前がこの魔界に仇なす殺戮者になれば、いかにお前でも俺は躊躇わずに殺す」

 

躯の言葉を聞いた飛影はニヤリ。

「それでいいぜ。俺もお前になら殺されてもかまわん。俺もお前を信じているのでな」

 

躯も飛影の言葉に少し微笑みを浮かべた。

 

「行ってくる」

 

躯に告げると飛影は寝室を後にした。

雑魚、木阿弥も飛影を直ぐに追いかけて寝室を後にした。

彼等が出ていった扉を見ている躯。

 

躯、ニコリ

(帰ってこいよ、飛影。しかし御堂を見たらあいつら驚くだろうな)

 

ーー2番地区最南端・洞窟「御堂」

 

武威と一戦交えた場所に戻ってきた。

飛影は洞窟の入口の前までやって来た。

洞窟の入口はまるで不気味な怪物の口のように大きく開いている。

 

入口を見る飛影の目が鋭くなる。

「ここか。やってやる」

 

ガシッ

 

(!?)

 

飛影の背後から雑魚が飛影の首を腕で軽く絞める。

 

雑魚、ニヤリ。

「飛影、あんまり硬くなるなよ。気楽に行こうぜ。しかしこんな危険な試練、命を懸けてまで、俺はやりたくないぜ」

 

その横で頷く木阿弥。

「それは同意だ。お前らしいけどな。俺たちはお前が試練をクリア出来ると信じている」

 

「そうだぜ。なんてたってお前は俺たち躯様直属の戦士の筆頭様なんだからよー。危険な試練を受けるって聞いてもまったく心配じゃあないぜ」

 

首を絞めていた雑魚を投げ飛ばす飛影。

 

「雑魚、お前の筋肉は暑苦しい離れろ。さっさと中に入るぞ」

 

少し照れながら洞窟の中に足を踏み入れる飛影。

木阿弥はその後ろに続く。

 

「待てよ、一緒に行こうぜ」

直ぐに起き上がって後を追う雑魚。

 

洞窟の中は、あまりジメジメした感じはなく、岩壁がずっと続いている。

御堂がやったのか洞窟の天井には、等間隔に火が灯っている。

その為、中はかなり明るく、前へ進むにはまったく不自由はなかった。

 

前へ進みながら木阿弥が話し出す。

「躯様の話しだと、ここの中に入ると力をD級妖怪ぐらいの力まで抑えられると聞いていたが、今のところはまだ大丈夫だな」

 

「ああ。いつ力を抑えられるのかって結構、ビクビクしているんだぜ」

ムキムキの筋肉を見せつけるようにポージングする雑魚。

 

木阿弥、苦笑い。

「よく言うよ」

 

暫く進むと広くて何も無い場所に辿り着いた。

 

飛影は無言で四方の状況を確認している。

雑魚も飛影同様に四方を注意深く見ている。

 

木阿弥は素直に驚いている。

「びっくりだな。この洞窟の中にこんな広い場所があるとは思わなかった」

 

(!?)

ピカーッと辺り一面が突然光だした。

 

「ま、眩しい。何だこの光は!?」

雑魚も木阿弥も強い光に耐えられず目を抑えている。

 

「うっ!」

雑魚が突然、目眩が生じて地面に膝をついた。

 

「雑魚、どうした……うっ!!」

 

雑魚に続いて木阿弥も同じ様に地面に膝をつける。

飛影も立ってはいるが、頭がくらくらしている。

 

「飛影、これがそうじゃあないのか!」

雑魚がフラフラしながら、どうにか立ち上がった。

 

「多分な。こいつが妖力の制御だ」

 

彼等の妖力は、S級から一気にD級クラスまで一気に落ちていた。

 

「これはこの空間がっていうよりは、何か外部からの力のように俺は感じるのだが」

木阿弥もフラフラながら立ち上がる。

 

(!!)

 

飛影が雑魚や木阿弥よりも一足早く、何かを感じ取り、声を上げる。

 

「雑魚、木阿弥、何か来るぞ!!」

 

「何!?」

 

ドーーーン!!!

 

辺り一面に大きな音が響き渡り、そして白い煙が立ち込める。

 

「よく来たな。今日は本当に客がよく来るのう。今度は三匹も来るとは愉快愉快」

 

よく通る男の声。

いや、男というよりは子供の声だ

煙に覆われてまだ声の主の姿が見えない。

 

雑魚が最初に口を開く。

「この声の奴が御堂というジジイか!?」

 

木阿弥も続く。

「いや、違う。声が子供だぞ!」

 

飛影が声の主に声をかける。

「お前が御堂だな」

 

煙の中から声がまた聞こえてくる。

「そうじゃよ。ワシが御堂だ」

 

徐々に煙が消えて今まで見えなかった御堂の姿が現れていく。

現れた御堂の姿は人間界でいえば、小学生の高学年ぐらいの姿をした少年だった。

目が大きくて長い髪。

子供らしい姿形。

それは老人の姿をしているという噂とはまったくかけ離れていた。

 

木阿弥と雑魚はその姿に驚く。

「こ、こんなガキがあの御堂かよ……」

 

御堂、ニヤリ。

「みんなワシの姿を見て最初は驚く。お前たち御堂の世界にようこそ」

 

続く

 

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