nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

対戦表(Bブロック)

魔界統一トーナメント
【Bブロック】

(1)
棗(なつめ)
×
達磨(だるま)

(2)
相殺(そうさい)
×
曲尺(かねじゃく)

(3)
伽羅(きゃら)
×
鉄山(てつざん)

(4)
大怨(だいおん)
×
樞(とぼそ)

(5)
邪知(じゃち)
×
夏越(なごし)

(6)
雅(みやび)
×
諡(おくりな)

(7)
馬頭(めず)
×
周(しゅう)

(8)
行脚(あんぎや)
×
飛影(ひえい)

 

(9)
寵児(ちょうじ)
×
遠流(おんる)

(10)
西山(せいざん)
×
奇淋(きりん)

(11)
袁紹(えんしよう)
×
猫糞(ねこばば)

(12)
野晒(のざらし)
×
蛾眉(がび)

(13)
鞦(しりがい)
×
泰斗(たいと)

(14)
八寒(はっかん)
×
瓦(かわら)

(15)
陰間(かげま)
×
挫義(ざぎ)

(16)
如是我聞(によぜがもん)
×
死々若丸(ししわかまる)

対戦表(Aブロック)

魔界統一トーナメント
【Aブロック】

(1)
乙夜(いつや)
×
境内(けいだい)

(2)
時雨(しぐれ)
×
鵤(いかる) 

(3)
月畑(つきはた)
×
武威(ぶい)

(4)
牛頭(ごず)
×
桑原(くわばら)

(5)
紅浦(もみうら)
×
賄(まかな)

(6)
魁偉(かいい)
×
朧(おぼろ) 

(7)
修羅(しゅら)
×
鈴駒(りんく)

(8)
秋霜(しゆうそう)
×
薊(あざみ) 

 

(9)
虚仮(こけ)
×
蛇魔(だま)

(10)
煙鬼(えんき)
×
環(たまき)

(11)
西堂(せいどう)
×
高砂(たかさご)

(12)
孤光(ここう)
×
靭(うつぼ)

(13)
氷室(ひむろ)
×
糠星(ぬかぼし)

(14)
浦飯(うらめし)
×
陣(じん)

(15)
溝(どぶ)
×
砌(みぎり)

(16)
独参刃(どくさんば)
×
俄(にわか) 

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #071「本選の組み合わせ(大会編)」

ーーメイン会場 

 

128名の選手はA~Dブロックに振り分けられた。

 

魔界統一トーナメント
【Aブロック】

(1)
乙夜(いつや)
×
境内(けいだい)

(2)
時雨(しぐれ)
×
鵤(いかる) 

(3)
月畑(つきはた)
×
武威(ぶい)

(4)
牛頭(ごず)
×
桑原(くわばら)

(5)
紅浦(もみうら)
×
賄(まかな)

(6)
魁偉(かいい)
×
朧(おぼろ) 

(7)
修羅(しゅら)
×
鈴駒(りんく)

(8)
秋霜(しゆうそう)
×
薊(あざみ) 

 

(9)
虚仮(こけ)
×
蛇魔(だま)

(10)
煙鬼(えんき)
×
環(たまき)

(11)
西堂(せいどう)
×
高砂(たかさご)

(12)
孤光(ここう)
×
靭(うつぼ)

(13)
氷室(ひむろ)
×
糠星(ぬかぼし)

(14)
浦飯(うらめし)
×
陣(じん)

(15)
溝(どぶ)
×
砌(みぎり)

(16)
独参刃(どくさんば)
×
俄(にわか) 

 

幽助は一回戦で当たる陣の様子を見た。

陣は耳をピンッとたたせて嬉しそうに笑っていた。

 

「陣!」

 

陣が幽助の声に気付いて振り向く。

 

「幽助ェェェ!」

陣は満面の笑みで幽助の所まで走って来た。

 

幽助、ニヤリ。

「暗黒武術会以来の再戦となるな」

 

「だな。いきなり幽助と戦えるなんて思わなかったからめちゃめちゃ嬉しいぞ!」

 

「俺もだ。陣には負けねーぜ」

 

「手加減なしだぞ」

 

当たりめーだ」

 

ガンッ

 

幽助と陣はお互いの拳を軽くぶつけた。

 

そしていまや魔界一有名となった夫婦がスクリーンを見つめている。

 

「ああ……」

煙鬼は対戦表を見て暗い表情。

 

(この組み合わせで勝ち上がっていくと孤光と対戦してしまうぞ……)

 

落ち込んでいる煙鬼とは逆に孤光は嬉しそうだ。
「あんたと思いっきり夫婦喧嘩が出来そうで楽しみだよ」

 

(トホホ……)

 

涙目の煙鬼に笑顔の孤光。

史上最強の夫婦対決がほぼ確定のようである。

棗は巨大スクリーンから少し離れた場所で兄の九浄と一緒に対戦表を見ていた。

 

魔界統一トーナメント
【Bブロック】

(1)
棗(なつめ)
×
達磨(だるま)

(2)
相殺(そうさい)
×
曲尺(かねじやく)

(3)
伽羅(きやら)
×
鉄山(てつざん)

(4)
大怨(だいおん)
×
樞(とぼそ)

(5)
邪知(じやち)
×
夏越(なごし)

(6)
雅(みやび)
×
諡(おくりな)

(7)
馬頭(めず)
×
周(しゆう)

(8)
行脚(あんぎや)
×
飛影(ひえい)

 

(9)
寵児(ちようじ)
×
遠流(おんる)
(10)
西山(せいざん)
×
奇淋(きりん)

(11)
袁紹(えんしよう)
×
猫糞(ねこばば)

(12)
野晒(のざらし)
×
蛾眉(がび)

(13)
鞦(しりがい)
×
泰斗(たいと)

(14)
八寒(はつかん)
×
瓦(かわら)

(15)
陰間(かげま)
×
挫義(ざぎ)

(16)
如是我聞(によぜがもん)
×
死々若丸(ししわかまる)

 

棗は対戦表を見て飛影の名前を確認。

(無事に飛影と同じブロックに入れて良かった。彼と戦うのは四回戦か) 

 

「棗、お前の三回戦の相手になるのはおそらく鉄山だろうぜ」

 

「そうだろうね。鉄山と戦うなんて何百年ぶりかしら」


(飛影と戦うまでの最大の難関ね。あいつ強いからな~)

 

そして棗は飛影の組み合わせを見た。

(飛影と周が二回戦で当たるわね。あいつ周に勝てるかしら)

 

九浄、ニヤリ。

「いいぞ。俺は酎の奴と同じブロックに入れたぜ」

 

喜ぶ九浄を見て棗は複雑な気持ちになる。

(あたし酎と九浄のどっちを応援するべきなのかな?)

 

棗はCブロックの対戦の組み合わせを見た。

 

魔界統一トーナメント
【Cブロック】
一回戦の対戦表

(1)
木阿弥(もくあみ)
×
卒都婆(そとば)

(2)
九浄(くじよう)
×
火影(ほかげ)

(3)
酎(ちゆう)
×
鳩(はと)

(4)
神楽(かぐら)
×
東王(とうおう)

(5)
闇闇(あんあん)
×
耶麻(やま)

(6)
媒体(ばいたい)
×
倉皇(そうこう)

(7)
慟哭(どうこく)
×
楽越(らくえつ)

(8)
一弦琴(いちげんきん)
×
御霊屋(おたまや)

 

(9)
野呂(のろ)
×
改廃(かいはい)

(10)
燕(つばめ)
×
奢(はし)

(11)
才蔵(さいぞう)
×
南海(なんかい)

(12)
諸星(もろぼし)
×
九曜(くよう)

(13)
左奈(さな)
×
蓮台(れんだい)

(14)
孔雀(くじやく)
×
典偉(てんい)

(15)
戸熊(とぐま)
×
茶畑(ちやばたけ)

(16)
凍矢(とうや)
×
久遠(くおん)

 

(一体どうしたものかしらね)


九浄が悩む棗の顔を見て頭を撫でる。

 

「俺と酎がもし当たったら酎の奴が俺に勝てるようにあいつを応援してやれよ」

 

「九浄……」

 

「あの野郎がどこまで俺を相手にやれるか楽しみだ。うかうかしてると可愛い妹を取られてしまうからな」


棗、ニコリ。

「そうね」 

 

兄妹それぞれの思いを胸に本選に挑む。

 

そして凍矢と鈴木が組み合わせを見ている。

「陣と幽助がいきなり戦う事になるとは驚いたな」

 

「ああ。だが陣は幽助と戦いたがっていたから嬉しいだろう。しかし今回はどのブロックもかなりの激戦となりそうだ」

 

「気を引き締めないといけないぜ」

 

「ああ」

 

鈴木と凍矢はDブロックの組み合わせを見た。

 

魔界統一トーナメント
【Dブロック】
一回戦の対戦表

(1)
謙遜(けんそん)
×
蔵馬(くらま)

(2)
斗歩(とほ)
×
電鳳(でんぽう)

(3)
梟(ふくろう)
×
眉墨(びぼく)

(4)
鈴木(すずき)
×
駒形(こまがた)

(5)
恐面(こわもて)
×
鷹松(たかまつ)

(6)
駄間(だま)
×
仙道師(せんどうし)

(7)
箭内(やない)
×
鍬形(くわがた)

(8)
犬玉(けんだま)
×
黄泉(よみ)

 

(9)

八千草(やちぐさ)
×
兀咄骨(ごつとつこつ)

(10)
躯(むくろ)
×
幻夢(げんむ)

(11)
塩海(あんばい)
×
照星(しようせい)

(12)
原鶴(はらづる)
×
殺那(せつな)

(13)
矢治(やじ)
×
川神(せんしん)

(14)
暗礁(あんしよう)
×
妻帯(さいたい)

(15)
那阿(なあ)
×
駒津(こまつ)

(16)
乾打碑(かんだひ)
×
痩傑(そうけつ)

 

凍矢「果たして今回の大会で誰が優勝するか検討がつかない。波乱もありそうだ」

 

「会場の皆様」

会場に樹里のアナウンスが響き渡る。

 

「一回戦をまもなく始めますが、その前にこの大会の主催者で前大会の覇者でもある煙鬼選手に開催の挨拶をしてもらいたいと思います」

 

煙鬼が樹里からマイクを受け取る。

「え~皆様……」 


煙鬼の長い挨拶が始まった。

 

――会場の様子を一望出来る崖の上

 

大会の様子を比羅たちが見ていた。

 

「いよいよ始まるな」

比羅が仲間たちを見て話す。

 

「楽越の奴、相変わらずの強さですね」

 

比羅が頷く。

「純粋な戦闘技術だけなら私より上だからな」

 

駁は巨大スクリーンに映る桑原の名前を確認。

「比羅の予想通り桑原は魔界にいたな。この大会にも参加しているようだが」

 

「あいつがこの大会の中で私たちが求める能力を見せてくれるか見物だ」

 

――メイン会場

 

煙鬼の挨拶はまだ続いていた。

「……であるから誰が優勝をしてもより良い魔界になることとワシは思っています。それでは皆様、大会を多いに楽しみましょう!」


「オオォォゥ!!!」 

 

煙鬼の挨拶が終わると選手たち一同が右手を高く掲げ声を上げた。

 

挨拶を終えた煙鬼から樹里がマイクを受け取る。

「煙鬼選手ありがとうございました。それでは第二回魔界統一トーナメント本選の一回戦を始めます!!」

 

「ワァァァァ!!!」

 

会場に大きな歓声が上がる。

 

予選を勝ち抜いた128名による魔界統一トーナメント・一回戦がいよいよスタート。

 

続く

 

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2020年6月26日の日記~リンク集作りたい。

こんばんは。

しばらくサボっていたので久しぶりの日記です。

はてなブログを始めて2ヶ月ぐらいになるので、

そろそろ他のコンテンツもやりたいなって思うのですが、なかなか時間がなかったりします。

最低限小説の更新は頑張ろうと思います。

 

とりあえずリンク集を作りたいなって思ってまして、相互リンク可能な方がいればコメントいただければ幸いです。

 

幽遊白書の小説もようやく大会編に入れてホッとしています。

明日更新する小説は書き終えたので、昼までには更新したいと思います。

ではまた

 

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #070「もう一つの波乱と予選終了(大会編)」

――メイン会場

 

各ブロックを勝ち抜き本選への出場を決めて、メイン会場に戻ってきた選手たちはまだ終了していないブロックの戦いの様子を巨大スクリーンで見ていた。

終了したブロックには勝ち抜いた選手の名前が表示されている。

 

幽助は、71ブロックを見つめていた。

表示には奇淋の名前が表示されていた。

 

(北神……)

 

北神の敗北は残念だが、気持ちを切り替えて

幽助は他のブロックに目を向けた。

 

(親父の仲間たちも順調に勝ち残っているな) 

 

幽助はまだ終わってないブロックの様子を見る。

その中で、幽助が気にかけているブロックがあった。

それは90ブロックである。

 

「楽越、まだ残っているみてーだな」

 

スクリーンには楽越が戦っている姿が映っていた。

慌てながらも必死に戦っている。

短い期間ながらも一緒に旅したちょっとした問題児。

幽助は仲間として応援していた。

その90ブロックでは、躯の直属の戦士で、飛影のパトロール仲間でもある雑魚がその自慢の筋肉をフル活用して、無双状態であった。

 

(あの雑魚が90ブロックにいるのか。楽越が本選に残るのは無理か……)

 

90ブロックに雑魚がいると知り、楽越の勝利はまずないと思い少し残念。

 

「浦飯ーー!!」

桑原の幽助を呼ぶ大きな声が響き渡る。

 

「よ、桑原じゃねーか」 

 

幽助はスクリーンで桑原の結果を見た。

スクリーンに桑原の本選出場が表示されていた。

 

「桑原おめーも勝ち抜いたんだな」

 

桑原、ニヤリ。

当たりめーだ。余裕だぜ」

 

桑原Vサイン。

だが顔のあっちこっちに戦いで苦戦した後が見える。

 

「余裕のわりには酷い顔だな。頭にたんこぶまでできてるぞ」

幽助は桑原をからかう。

 

「こ、これはだな。手加減しすぎたんだ」


「へへへ。わかってるって!まあ本選出場、おめでとさん」

 

「なんかその顔が無性に腹立つな」

 

飛影がやって来た。

「素直にやられたといえばいいではないか」

 

「え~い!飛影うるさい」

 

「みんな無事に勝ち残ったようだね」

 

蔵馬も飛影に続いて幽助たちの側にやってきた。

 

幽助、ニヤリ。

「ああ。勝ち残ったな」

 

幽助たちは再びスクリーンに目を向けた。

 

「酎や陣たちも残ってますね」

 

「北神と奇淋の野郎が戦った以外では波乱がもうないだろうぜ」

 

「予選が終わっていないのがあの90ブロックだけか」


90ブロックでは残り二名になっていた。

90ブロックの妖怪たちは雑魚によってその殆どが倒されている。

 

「雑魚の奴、暴れているな」

同じ躯の直属戦士でパトロールでも行動を共にする、飛影にとっては、魔界の仲間といえる存在だ。

 

桑原が雑魚っていう名前にツッコミを入れた。

「雑魚??あの筋肉ダルマみたいな奴の名前か?雑魚ってなんか弱そうな名前だな」

 

蔵馬、ニコリ。

「桑原君は、躯の所にいて彼に会っていないのですか?躯の直属の77人の戦士の中でもパワーだけなら彼がNo.1ですよ」

 

「なぬぅぅ!!名前が雑魚のくせに」

 

「ですよね、飛影?」


「まあな」

 

本選出場を決めた凍矢がメイン会場に戻って来た。

「最後のブロックは雑魚になりそうだな」

 

蔵馬の側に凍矢がやって来る。

 

蔵馬、ニコリ。

「凍矢、おつかれ。そういえばお前は前の大会で雑魚を倒していたな」

 

頷く凍矢。

「四回戦でな」

 

桑原が横で話しを聞いている。

「へ~。四回戦って浦飯、そういえばおめーから聞いていなかったが凍矢の奴は、どこまで前の大会で勝ち残ったんだ?」 

 

「凍矢は、前の大会で結構くじ運に恵まれていてな、準決勝まで勝ち進んでいたぜ。まあ準決勝で煙鬼のおっさんに負けたけどな」

 

「くじ運が良かったっていったってベスト4か。マジすげ~な」

 

スクリーンではついに楽越と雑魚の戦いが始まろうとしていた。

 

――90ブロック

 

楽越と雑魚が対峙している。

 

「後はお前だけだ」

 

雑魚は楽越に向かって突進していく。

楽越はその場から動かない。

雑魚の強烈なタックルが楽越を襲いかかる。

90ブロックにいた妖怪の大半はこのタックルによる一撃で倒されていた。

だが、楽越は違った。

 

ガシッ!!!

 

両手で雑魚の頭を押さえてそのタックルを止めた。

 

「何だと!?」

 

想定外の出来事に雑魚は驚いた。

自慢のタックルを止められるとは夢にも思っていなかったからだ。

楽越は雑魚の頭を掴んで身体を引き寄せると雑魚の顔面に膝蹴りをくらわせた。

そして怯んだ雑魚の顔面を殴りつけた。

楽越に殴られた雑魚の巨体は後ろに吹っ飛ぶ。

だが、雑魚は地面には倒れない。

どうにか踏みとどまった。

 

(この男強い……)

雑魚の額から汗が流れ落ちる。

 

この僅かの間に、目の前にいる男がとてつもない実力者だと雑魚は感じ取った。

 

ーーメイン会場

 

楽越が雑魚のタックルを止めて、雑魚を膝蹴り、殴りつける映像がスクリーンに流れている。

観客や本選に出場を決めた選手たちもこの予想外の展開にどよめいている。

 

「あれを止めた!?」

凍矢が声を上げた。

 

「楽越やるじゃねーか」

楽越の善戦に幽助はニコリ。

 

躯は今の僅かな楽越の動きを見て、楽越が只者ではないと感じていた。

 

「雑魚は負ける」

 

ーー90ブロック

 

バキッ

 

楽越が素早く動き雑魚を殴りつけた。

 

ズズズ……

 

殴られた衝撃で雑魚の身体が後ろに下がる。

 

「……貴様一体何者だ!!?」

 

楽越、ニヤリ。

「あん?何者でもねーよ。戦うのが大好きなバトルマニアなだけだぜ。てめーは魔界でも上位クラスの妖怪なんだろ?その程度の実力かい」

 

雑魚をバカにする口調。

この楽越の言葉に雑魚はキレた。

 

「くそっ!舐めるな」

 

ブォォォォォォ!!

 

雑魚は妖気を高めると楽越に向かっていった。

 

「けっ、つまんねー相手だ。遊びをやめてさっさと決めさせてもらうぜ」

 

「若造がその生意気な口を黙らせてやる!!」

 

楽越は構える。

「お前はパワー型の戦士だ。だったらお前の特性に合わしてやるぜ」

 

楽越はその身体に宿る比羅や黎明が放出する気を使わず、妖気を選択。

 

ブォォォォォォ!!!

 

これまで抑え続けていた気をほんの少しだけ放出した。

そして全身に力を込める。

そこに巨大な妖気が流れ込む。

 

ピキピキピキ

 

ボンッ!!

 

細かった楽越の身体がたちまち雑魚と変わらない筋肉質な身体つきになった。

それは雑魚の身体と比べて殆ど遜色のない姿だ。

 

(奴の身体つきが変わった!?)

 

楽越、ニヤリ。

「へへへ、驚いたかい?俺の四つの能力の一つ筋肉操作って奴だ」

 

ーーメイン会場

 

楽越の変化した姿に幽助が声を上げた。

「あ、あれは、戸愚呂(弟)の爆肉鋼体!?」

 

飛影は雑魚と楽越の戦いを表情を変えずに見ている。

同じパトロール仲間の木阿弥も本選出場を決めて、飛影の隣で雑魚の戦いを見ている。

 

ーー90ブロック

 

「野郎!」

 

ビューン!!

 

雑魚は強烈なパンチを楽越に放った。

楽越は雑魚のパンチを軽くかわした。

 

攻撃をかわすと楽越の姿が雑魚の視界から消えた。

そして楽越は雑魚の懐に完全に入り込む。

 

「雑魚さん遅いぜ」

 

(!?)

 

ビューン!!!

 

ドゴォォォ!!! 

 

楽越の筋肉操作で破壊力の増した強烈な右のストレートが雑魚の腹部にめり込む。

 

「がっ……!?」

 

雑魚の巨体がぐらつく。

 

ドスン!!!

 

雑魚はその場に崩れ落ちるように倒れた。

 

「歯ごたえのない。もう少し遊んでも良かったかな」

 

上空から戦いを見守っていた審判は雑魚の様子を見た。

雑魚は完全に気を失い戦闘不能状態。

 

「90ブロックからの本選出場は楽越選手に決定しました!」

 

審判が楽越の勝利をコールした。

 

――メイン会場

 

「あの雑魚が負けたか……」

前大会で戦った凍矢は複雑な顔でスクリーンを見ている。

 

蔵馬もこの結果に驚いている。

「まさか雑魚が予選で消えるとはな。北神と奇淋に次ぐ波乱だ」

 

「予選で雑魚が負けるなんて……」

 

木阿弥は雑魚の敗北に悔しそうな顔をしている。

その肩に飛影が手を置いた。


「魔界にまだまだ隠れた実力者がいたってことだ」

 

幽助の中でなんともいえない感情がわいている。

一緒に旅をした楽越の姿と雑魚を難なく倒した楽越の姿がまるで別人のように違っていたからだ。

 

「楽越、おめーは一体何なんだ……」

 

残った最後のブロックを楽越が雑魚を下して本戦出場を決めて予選が全て終了した。

これにより本戦に出場をする128名の戦士が決まった。

 

ーー30分後のメイン会場

 

予選を勝ち抜いた128名の選手がメイン会場のスクリーン前に集まっていた。

対戦の組み合わせが発表されるのを待ち構えている。

 

酎と鈴駒が並んでスクリーンを見ている。

「いよいよ本選の組み合わせが発表だぜ」

 

「酎はくじ運が悪いからな~。またいきなり強い奴に当たるんじゃないの?」

 

「うっ!そ、それは、まずいぜ。棗さんと結婚するのに九浄に勝つかあいつよりいい順位にいかないといけねーのだからよ」

酎は鈴駒に困った顔を見せた。

 

魔王煙鬼は腕を組んでスクリーンを見つめていた。

 

トントン

 

孤光が旦那の肩を叩いた。

 

「孤光」

 

「あんた、もしあたしと当たっても手加減とかしたら承知しないからね!」 

 

煙鬼、ニヤリ。
「わかっとる。愛と喧嘩は別次元だからな」

(どうか孤光と当たりませんように)

 

その笑顔とは裏腹に孤光に当たらないことを真剣に祈る煙鬼であった。 

 

鈴木と死々若丸が話している。

「死々若がこの大会の目標としていた北神は負けてしまったな」

 

「ああ。確かに北神が敗れて、奴に借りを返せなくなってしまった。だがその北神を倒した奇淋を倒すことがこの大会の次の俺の新しい目標だ」

 

「奇淋は強いぞ」

 

「分かっている。お前にもらった新しい試しの剣があるし、負ける気はしないさ」

 

鈴木、ニコリ。

「俺の天才的なアイテム作りに感謝しろよ」

 

「ああ」

 

その時メイン会場に樹里の声が響き渡った。

 

「本選に出場された皆様。お待たせしました。これより本戦の組み合わせを発表します」

 

樹里から発表のアナウンスが流れると出場選手たちが急に騒がしくなる。

 

ガシッ

 

幽助は両手の拳をぶつけて気合いを入れた。

「いよいよ発表か」

 

「それでは、組み合わせを発表します」

 

樹里が右手を挙げて合図した。

樹里の合図と共にメイン会場の巨大スクリーンに、魔界統一トーナメントの本選出場の128名の対戦の組み合わせが発表されたのだった。

選手たちがそれぞれ自分の名前を探し始めた。

 

「初戦からいきなりか……」

 

幽助は一回戦の相手の名前を見て自然と顔が笑っていた。


「面白くなってきたぜ」

 

続く

 

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幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #069「71ブロックの代表者(大会編)」

ーー魔界統一トーナメント予選・71ブロック


「な、何だこいつらは!!?」

 

蟲の大きさは蝿や蚊ぐらいで頭の先端には鋭く尖った針がある。

キリキリキリキリと不気味な鳴き声。

 

北神は自分に向かって来た蟲たちを追い払うべく抵抗する。

 

「気色悪い奴らだ」

 

北神は蟲たちを殴って次々と撃ち落とすが、数が多すぎて全然数が減らない。

 

「くそっ!数が多すぎるな。きりがない」

 

抵抗し続ける北神の背中に数匹の蟲が止まった。

 

「ぬっ」

 

北神は背中についた蟲を剥がそうと試みる。

だが外れない。

キリキリキリと北神の背中に止まった蟲たちが鳴いた。

 

(まずい!)

 

蟲たちが北神に次々とくっついてその身体を埋めつくしていく。

 

ズボッ!!

 

「うおっ!?」

 

身体に止まった蟲たちは一斉に針で北神の身体を刺した。

 

「ぐっ!」

 

苦痛で顔が歪む。

そして一気に蟲たちは針で北神の身体から何かを吸い出した。

 

(な、何!!)

 

蟲たちの頭の部分が青く光り始めた。

 

奇淋、ニヤリ。

「人間界にこの蟲と似た性質を持つ蚊という生き物がいるが、蚊は生き物の血を吸うがこの蟲は何だと思う?」


「ぐぉぉぉぉ!!!!!!」

 

北神は地面に膝をついて激しく苦しみ始めた。

 

「ぐぅぅぅぅ!!!!ち、力が抜けていく」

 

蟲たちの頭の輝きがどんどん大きくなっていく。

 

北神は奇淋を睨む。

「き、奇淋!!この蟲たちが私から吸いとっているものはまさか!?」

 

「そう。お前が頭に今描いている事だ」

 

(この蟲たちが私から吸っているもの、それは私の妖気だ……)

 

蟲たちはまた一気に北神から妖気を吸い出した。

 

「ぐわぁぁぁぁ!!」

 

北神は妖気を吸いとられる苦しみで地面に倒れ、もがき苦しんでいる。

北神が苦しんでいる姿を奇淋は腕を組んで涼しい顔で見ている。

 

「一度相手についたら最後、私が合図するまで決して離れる事がない。相手の妖気を吸い尽くすまでな」

 

北神は蟲たちに妖気を吸われながらも、ゆっくりと立ち上がった。

 

「ハァハァハァ」

 

「その蟲たちがついたままの状態で立ち上がってどうするつもりだ?蟲たちがお前の身体についている限り、お前の妖気をずっと吸い続けるぞ」

 

北神、ニヤリ。

「……だったらお前を倒すまでだ!」

 

北神は力を振り絞って奇淋に向かっていった。

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

奇淋に接近するとパンチ。

妖気を吸われ続けている為、パンチにキレがない。

 

「遅い」

 

北神の力を振り絞った渾身の一撃は、簡単に奇淋に受け止められた。

 

「蟲たちに妖気を吸われたお前の妖気はどんどんなくなっている。当然だが、すべての能力は急激に落ちているのだぞ」

 

蟲たちがさらに針を突き刺して北神の妖気を奪っていく。

 

「ぐぉぉぉぉ!!」

 

ドサッ

 

北神は崩れ落ちるようにその場に倒れた。

 

「長年に渡る私たちの戦いもあっけない幕切れだったな北神」

 

奇淋が指をパチンと鳴らすと北神に取り付いていた蟲たちは一斉に離れた。

 

(くそ……)

北神は意識が遠くなるのを必死に耐えていた。

 

奇淋はもう一度指をパチンと鳴らす。

 

蟲たちは鳴き声を上げると今度は奇淋の身体にくっついた。

 

(……自分に蟲たちをつけて何をするつもりだ!?)

 

蟲たちは青い輝きを放つと一斉に奇淋の身体に吸収されて消えていく。

そして奇淋の身体が青く輝く。

 

(まさか!?蟲たちが私から吸いとった妖気を自ら吸収しているのか!)

 

グッと奇淋は拳を握り締めた。

 

「ハァァ!!!」

 

ブォォォォ!!!

 

奇淋の妖気はさらに上昇した。

 

奇淋、ニヤリ。

「いいぞ。私の妖力が格段に増したぞ」

 

(馬鹿な!?まるでこれは別人のような妖気だ……。これはもしかすると国王の仲間たちを超えたかもしれない) 

 

「蟲が吸い取った妖気を吸収することにより私自身の持つ妖気の絶対値をあげることが出来る」

 

北神は最後の力を振り絞り立ち上がった。

 

「もう蟲たちに吸われてほとんど妖気も残っていないはずだ。今の私の妖気を見ただろう?負けを認めろ。お前にどうあがいても勝ち目はない」

 

「力が僅かでも残っていればまだ戦える。私は最後まであきらめん」

 

奇淋は北神の目を見た。

(勝負が既に見えているはずなのに北神の目はまだ死んでいない)

 

「私の最後の力を見せてやる」

 

ーーメイン会場

 

実況席と観客席があるメイン会場に、続々と予選を勝ち抜いた選手たちが集まってきていた。

幽助、桑原、蔵馬、飛影も予選を勝ち抜き、躯や黄泉等の主要な選手の殆どが予選を通過していた。

メイン会場の中央に設置されている巨大なスクリーンに71ブロックとまだ予選が終わっていない他のブロックが映し出されている。

幽助はスクリーンに映る北神と奇淋の戦いを見ている。

 

「北神、意地をみせろよ」

 

飛影もスクリーンに映る奇淋を真剣な目で見ている。

その隣には躯がいる。

「奇淋の奴、あんな技を隠し持っているとはな」

 

「飛影、今のお前にあの奇淋を倒せるか?」

 

「ああ。今の俺は誰にも負ける気がしない。もちろん躯お前もな」

 

躯、ニコリ

「それは楽しみだ」

 

ーー魔界統一トーナメント予選・71ブロック

 

(今の私に残された妖気では後一撃放つのが精一杯だ。ただでは負けない)

 

北神は体内に残された最後の妖気を使う。

選んだ最後の攻撃。

それは軟体術であった。

北神は軟体術で首を伸ばした。

 

「奇淋いくぞ!!」

 

「長年の好敵手に敬意を表して私の全力で完全に葬ろう」

(軟体術は私には通用しないぞ北神)

 

グググっと両手に妖気を集中。

 

ジジジ……

 

ゴォォォォォ!!!!

 

奇淋の両手が青く燃える。

 

「ハァァァ!!!」

北神が仕掛ける。

 

ビューーーーン!!

 

伸びた首が奇淋に向かっていく。

奇淋は余裕の顔で待ち構える。

 

この時、奇淋は北神が仕掛けた軟体術は巻きついて締め付けてくると思っていた。

だが、違っていた。

北神の仕掛けた最後の一手。

それは幽助との手合わせで披露したあの技だった。

 

「霧津流・硬弾」

 

瞬時に硬化した北神の伸びた首。

それはまるで鉄球のようだった。

 

「何だと!?」

 

予想外の北神の変化に奇淋は対応が遅れた。

そして北神の渾身の一撃は奇淋の胸元に直撃した。

 

ドゴォォォォォォォ!!!

 

衝撃で奇淋の身体がぐらつく。

攻撃を受けた胸元の鎧は大きくひび割れた。

だが、妖気の殆どを蟲に吸われた北神の攻撃はこれが精一杯だった。

 

ガシッ

 

奇淋は胸元にある北神の硬化した首を両手で掴んだ。

 

ビリビリビリ!!!

 

奇淋の青く燃えている両手から北神の伸びた首を伝わり北神の全身に電流が流れた。

 

「ギャァァァ!!!」

 

北神の悲鳴が闘場に響き渡る。
北神の首が元に戻った。

ぐらつく北神に奇淋が仕掛けた。

 

フッ

 

北神が瞬きする間に目の前から奇淋の姿が消えた。

 

(奇淋!!)

 

そして次の瞬間、既に奇淋は至近距離にいた。

 

ビューン!!!

 

ドゴォォォ!!

 

北神の腹部に奇淋の拳がめり込む。

 

バゴォォン!!

 

奇淋は次に北神の身体を空に向かって蹴り上げた。

空高く北神の身体は飛んでいく。

奇淋は上空に蹴り上げた北神を見上げると空高くジャンプして、蹴り上げた北神を追い抜いた。

その瞬間、北神と奇淋の目が合う。

 

「北神」

 

「奇淋」

 

決着の時。

 

「これで終わりだ」

 

ゴォォォォォ!!!

 

奇淋の右手の青い炎が激しく燃えている。

 

ビューン!!!

 

ドゴォォォ!!!

 

「がはぁぁぁ!!」

 

ヒューーー

 

ドガァァァァァ!!

 

北神は空中から地上に激しく叩きつけられた。

もはや北神は動く事も出来ない。

奇淋は北神の側に着地した。

 

「ここまでお前に完膚なきまでやられるとはな。まだ戦う気力だけはあるが身体が動かないぜ。悔しいが俺の負けだ」

 

「一つ聞きたい。お前は三年前の大会の後にエネルギー源である人間を絶ったのか?」

 

「……何故そんなことを聞く?」

 

「妖気が三年前と殆ど同じだからだ。お前が三年の間修行をしないわけがないからな。エネルギー源を絶つことをしていなければ最初に私を締め付けた時に、勝てていたかもしれないぞ」

 

「人間を絶ったのは、雷禅国王の意志を継いだまでだ。人間を絶ったことを負けた言い訳にはしないさ」

 

「お前の事だから人間を絶つのをやめろといっても利かないだろうな」

 

「ああ」

 

「最後の攻撃は中々効いたぞ。予選とはいえお前と決着をつけられて良かったぞ」

 

奇淋は右手を北神に差し出した。

 

「私もだ。お前に魔道本家の技を一切使わせることなく敗れてしまったのは悔しいがな」

 

ガシッ

 

北神は奇淋の右手を掴むと立ち上がった。

 

上空の審判が71ブロックからの本選に出場するのが、

奇淋だと宣言した。

奇淋はこれまで長年の好敵手であった北神を難なく倒せた事でかなりの手応えを感じていた。

 

(飛影、そして躯様をこの大会で超えて見せる)


魔界統一トーナメント予選71ブロック・北神vs奇淋の予選最大の注目のカードは、魔道本家奇淋が北神を圧倒的な強さで倒し本選出場を決めた。

 

続く

 

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幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #068「予選の波乱!!北神vs奇淋(大会編)」

――魔界統一トーナメント予選・71ブロック

 

北神vs奇淋による本戦出場をかけた最後の戦いが今まさに始まろうとしていた。

 

対峙する北神と奇淋。

沈黙が続く中、先に口を開いたのは奇淋だった。

 

「邪魔者は綺麗に片付いた。これでゆっくりお前と勝負が出来る」

 

「お前とまともに戦うのは何百年ぶりかな」

 

「そうだな。いずれお前と決着をつけたかったが、!その機会を得る事が中々叶わなかった。大会の予選とはいえ、お前と戦えるチャンスに恵まれた事を嬉しく思う」

 

北神は構える。

「勝負だ。奇淋!」


(魔道本家の技を使ってくる前に一気に叩く)

 

そして奇淋も構えた。

「来い」

 

北神がまずは攻撃を仕掛けた。

奇淋に接近すると次から次へとパンチとキックをバランスよく組み合わせた連続攻撃。

奇淋は繰り出される連続攻撃を防御している。

まずは様子を見ている感じだ。

時折、奇淋も攻撃を返しているが、攻撃に関しては現状では積極的に攻める北神の方が圧倒的に優勢に見えた。

防戦に徹している消極的な奇淋に、北神が攻撃をしながら話しかけた。       

 

「仕掛けてこないのか」

 

「そうだな。お前の攻撃を受けるのはそろそろ飽きてきたところだ」

 

「何だと」

 

北神の拳を右手の肘で受け止める。

そして左手を北神に向けた。

 

(!!)

 

ドーーーン!!!

 

目に見えない。

これは衝撃波だ。

衝撃波をまともに受けた北神の身体は10mほど後ろに飛ばされた。

身体が地面に叩きつけられる直前で、地面を右手でついて叩きつけられるを防ぐ。

北神が態勢を立て直そうと 立ち上がろうとしたその時、目の前には既に奇淋がいた。

 

(速い……!!)

 

バコッ!!!

 

北神の顔を蹴り上げる。

蹴り上げた事で宙に浮いた北神の身体を思いっきり殴りつけた。

北神の身体が吹っ飛んでいく。

 

ドガァァァァァァ!!!

 

北神の身体は岩壁に叩きつけられた。

崩れた岩壁により、砂煙が舞い上がる。

ゆっくりと崩れた岩壁の方へ奇淋は歩いていく。

 

「さあ、出て来い北神」

 

既にその右手には衝撃波を放つ準備は整っている。

 

フッ

 

「言われるまでもない。出て来たぞ」

奇淋の背後に北神が姿を現した。

 

(いつの間に!?)

 

北神、ニヤリ。

「お前の後ろを取ったぞ」

 

そう言うと北神の首がにゅるにゅると長く伸びる。

奇淋の身体を素早くぐるぐる巻きにした。

一気に締め上げるために。

だが、奇淋には焦った様子はない。

 

「さあ、どうする奇淋?」

 

「さあな。遠慮することはない。私を倒せるのならこのまま倒したらいいぞ」

 

北神の目付きが鋭くなる。

「それなら遠慮なく一気に決めさせてもらうぞ」

 

宣言通り、北神はその力を最大限に生かせる軟体術で

勝負をかける。

 

ブォォォォォォ!!!

 

北神は妖気を高めた。

身体からバチバチと強力なエナジーが放出される。

 

「これで終わりだ!!」

 

奇淋の身体に巻きついた北神の首が全力で締め上げた。

身体に北神の首がくい込んでいく。

身に纏っている奇淋の鎧にヒビが入る。

 

(さあ、ギブアップしろ。このままでは、全身の骨がくだけるぞ)

 

だが、ここで北神は違和感を覚えた。

あまりにも簡単過ぎる。

締め上げられているのにまったく抵抗する素振りも見せていない。

 

「ククク、ハハハ」

 

締め上げられて劣勢の筈の奇淋がここで高笑い。

 

「貴様、何がおかしい!!」

 

奇淋、ニヤリ。

「かっての好敵手の今の全力がどれほどのものかと思っていたが、この程度とはな。少々拍子抜けしたよ」

 

「何だと!!」

 

奇淋の目付きが鋭くなる。

「北神よ、もはやお前は私の好敵手ではない。ただの雑兵だ」

 

ブォォォォォォォ!!!!

 

奇淋の妖気が急激に高まっていく。

 

「馬鹿な……。この妖気は!?」

奇淋の妖気がまるで別人のように高くなっている。

 

(この妖気は国王の仲間たちとも引けを取らない……まさかここまで強くなっているとは……)

 

バチバチバチ!!

 

北神の身体がまるで電流が流れたように痺れる。

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

奇淋はさらに妖気を高めていく。

妖気が高まることに比例するかのように北神の身体にも激しい痺れが。

 

「クッ……これ以上は……」

 

奇淋の身体に巻き付いていた北神の首が外れた。

伸びていた北神の首は元の状態に戻ろうとする。

奇淋は素早く動いて北神の伸びた首を捕まえた。

 

「フン」

 

ブーンブーンブーン

 

北神の首を捕まえて振り回す奇淋。

 

 

「ハァァァ!!」

 

ビューーーン

 

奇淋は北神の身体を思いっきり地面に向かって投げ飛ばした。

 

ドッガァァァァァァ!!

 

地面に叩きつけられた北神はその場に倒れている。

続いて奇淋は右手を後ろに引き妖気を込めると右手全体が青白く輝き始めた。

 

「北神よ、それが全力というなら今のお前には魔道本家の技を使うまでもない。この三年の間に私たちの力の差が大きく開いていたようだな」

 

バッ!

 

右手を倒れている北神に向けた。

 

ピュ!ピュ!ピュ!ピュ!


奇淋は無数の妖気で作った小型の蟲を放った。

北神は倒れている状態で伸びた首を元に戻した。

 

(くそっ!全力の私の締め付けを簡単に外すとは…)

 

立ち上がる北神。

 

(!)

 

立ち上がった北神が気付くと奇淋の放った数えきれない数の小型の蟲が北神を包囲していた。

 

「北神、貴様には躯様にすら見せたことのないこの技の最初の餌食となってもらうぞ」

 

「こ、これは!?」

 

見慣れない蟲に動揺する。

 

「行け」

 

奇淋が合図するとキリキリキリと蟲が不気味な鳴き声を上げた。


奇淋、ニヤリ。

「軟体術ごときでこれを防ぐのは不可能だ」

 

パチンと指を鳴らす。

それが蟲たちへの合図。

 

奇淋のこの合図により、一斉に蟲たちが北神に襲いかかってきた。 


「な、何だこいつらは!!?」

 

続く

 

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