nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #084「魔光気(大会編)」

――魔界統一トーナメントのAブロックの一回戦・第十四試合

 

浦飯(うらめし)
×
陣 (じん) 

 

――Aブロックの地上

 

幽助、ニヤリ。

「完成だ。待たせたな陣。覚悟しゃがれ」

 

幽助は気で作られた装束のような気鋼闘衣を纏っていた。

気鋼闘衣は黒く、美しい光沢が煌めいている。

そして、今の幽助の身体からは妖気でも霊気でもない全く異なる気が放出されていた。

 

「魔族としての妖気、そして人間の霊気を合わせた気だ。名付けて魔光気だぜ」

 

――メイン会場

 

幽助の変貌に小兎や観客たちも驚く。

「あーーと!!浦飯選手の身体に突如、黒い装束が現れたーー!!!!これは一体何なのでしょうか!?」


北神も東王も今まで見た事のない幽助の姿に驚いている。

「ゆ、幽助さん……これは一体!?」

 

――選手たちの休憩所

 

桑原がスクリーンに映る幽助の姿を見てからは驚いて固まっている。

「おいおいおい……」

 

蔵馬も同様に驚いている。

「飛影、あれはまさか!?」

 

飛影が頷く。
「仙水の気鋼闘衣だ。だがあれは聖光気じゃない。仙水の聖光気とは全く異なる気だ」

 

桑原は幽助の気を感じながらあれって顔をして腕を組んだ。

何かを思い出すように考えている。

 

「桑原君、どうしたんだ?」

 

「なあ、蔵馬、おめーも奴らと接触したんだろう?今の浦飯の放つ気って奴らに似てねーか?」

 

「桑原君も思ったか。これは似ているというより同じ気ですよ」

 

「やっぱ、そうだよな」

 

桑原と蔵馬の会話の意味がいま一つ理解していない飛影。

「お前たちは何の話しをしているんだ?」

 

「幽助が放つ気は……」

 

蔵馬は飛影に幽助の放つ気について説明した。

 

「パパ、幽助のあの気!」

修羅がスクリーンに映る幽助を指差す。

 

「ああ」

 

桑原と蔵馬と同様に黄泉と修羅も幽助の気を感じてから顔色が変わった。 

 

――会場を一望出来る丘の上

 

幽助の気を感じ取り、袂たちの顔色が変わった。

 

「馬鹿な!?」

 

駁が比羅に問いかける。

「比羅、これはどういうことだ」

 

比羅はある程度予想していたような顔をしていた。

浦飯幽助が放つ気は私たちと同じ魔光気だ」

 

砂亜羅が仮面を取ると比羅の隣にやって来た。

「兄さん、私たちの魔光気を持つ者が妖怪の中にいるとは驚きですね」

 

この場にいる比羅以外の十二魔将たちは突如、自分たちと同じ気を放つ幽助に驚いていた。

 

「魔光気を扱えるということは……」

駁が八ッとなった。

何かに気付いたようだ。

まさかと驚いた顔をして比羅の顔を見る。

 

比羅も駁の顔を見て軽く頷いた。

「そうだ。樹から聞いていたが、浦飯幽助、あやつは人間から死んで妖怪に転生した者。状況や立場は違うが、我々と同じ転生者だ」

 

袂がなるほどと納得。

「私たちと同じ転生者ならば、あの者は妖怪の妖気と人間の時の霊気の両方を持っていても不思議ではありません」

 

比羅が頷く。

「我々の魔光気は霊気と妖気の二つを合わせ持って生まれた究極の気だ。これで樹の言っていた事が証明されたというわけだ」

 

比羅たちの話しを聞いた駁は頭をポリポリ掻く。

「だが信じられないな。我々と違い、魂が同じ世界にそのまま転生するなんてな」

 

袂は幽助の姿を興味深そうに見ている。

「あの者が纏っている黒い装束は魔光気で作っているみたいですね。それもかなり強力な」

 

比羅の幽助を見る目が鋭くなる。

浦飯幽助……。確かに樹が言っていた通り侮れない男だ」

 

――Aブロックの地上

 

「陣、見せてやるぜ」

 

ビュォォォォォ

 

幽助の周りに強い風が吹き荒れる。

 

フワー

 

なんと幽助の身体が宙に浮き始めた。

 

ギュウウウウウウウ

 

仙水がかって聖光気で風を操って魔界で空を飛んだように魔光気で幽助も風を操り空を飛んだのだった。

 

――Aブロックの上空

 

幽助は上空を飛んで陣の前までやって来た。 

陣は口を開けてポカーンとしている。

 

幽助、ニヤリ。

「驚いたろ?」

 

「驚いたなんてもんじゃねーぞ!!」

 

「だろうな。へへへ、実戦でこれを使うのは実は初めてなんだけどな」

 

「幽助、それは気で作ってんのか?スゲーな、俺の疾風脚を弾き返しちゃったし」

陣は興味深そうに幽助の纏う闘衣を近くで見たり、触ったりしている。

 

「この気鋼闘衣は俺の気で作っている。今のこいつは防御タイプだ」

 

「ホント、おめーは俺をいつも驚かせてくれる」

 

「陣、おめーもな」

 

「よーし!幽助がどこまで空中で戦えるか見てやるぞー」

 

「悪いけどよ。勝たせてもらうぜ、陣」

 

ギュウウウウウウ!!!!

 

幽助と陣はお互いに風を操り、ぶつかる。


「ウォォォォー!!!!!」

 

ドガァァァァァ!!!!

 

幽助と陣の激しい空中戦が始まった。

 

――選手たちの休憩所

 

「と言うわけなんですよ」

 

幽助の気について飛影に説明した蔵馬。

 

「なるほどな。桑原が言っていた異質な気を持つ奴と幽助が放つ気が同じだと言うのだな」

 

「ええ」

 

「しかし、幽助の奴は自分が放つ気が奴らと同じだということに気付いていないのか?自分が放つ気と同じなら直ぐにわかるだろう?」

 

飛影は不思議そうな顔でスクリーンに映る幽助を見た。

 

「俺も幽助があの気を放ち始めてから思いましたよ」


蔵馬も飛影と同じ考えのようだ。

 

「あいつは馬鹿だから深く考えてねーからその事に気付いていないだけじゃねーのか?」

 

桑原の言葉に蔵馬と飛影は顔を見合わせる。

(ありえるかもしれない……)

 

「だって、あの浦飯だぞ」

 

一番幽助との付き合いが長い桑原の言葉は妙に説得力があったのだった。

 

――Aブロックの上空

 

ギュウウウウウウ!!!!!!

 

もの凄いスピードで陣と幽助が空中を飛び回っている。

 

陣は動揺していた。

(マジか!?空中のスピードが俺と互角かそれ以上だぞ!)

 

ガン!!

 

ドゴーン!!!

 

空を駆けながら互いにぶつかり合う拳と拳。

 

幽助は拳に魔光気を集中したパンチ、陣は修羅旋風拳でお互いを攻撃していた。

 

ドガ

 

「ウォッ!?」

 

ピューーーー

 

陣の一撃を受けて幽助の身体が吹っ飛ばされた。

地上に向かって降下。

 

グッ

 

だが途中で踏み止まる幽助。

上にいる陣を見上げる。

 

「行くぞー!」

(修羅旋風拳がまともに入ったってのに、あの気鋼闘衣でダメージが少ねーぞ。防御力がけっこー、上がっているみたいだ)

 

ギュウウウウウ

 

陣は直ぐに次の攻撃に移る為に空を駆ける。

 

スッ

 

幽助は妖丸の構え。

 

キュンンンンンン

 

「くらいやがれ」

 

「妖丸か!?」

 

ズドオォォォォォォォォン!!!

 

妖気で作る妖丸とは別の魔光気で作った弾を放つ。

妖丸ではなく魔光丸といったところだ。

 

「爆風衝壁ィィィィ」

 

ビュォォォォォォォォォ

 

ギャギャァァァァン!!!


グォォォォォォォ!!!!


(な、何っ!!)

 

陣は風が魔光丸の力に力負けしていることに気付く。


「さっきまでの妖丸より威力が増しているぞ」

 

ギャギャャァァァァァン!!!!!

 

「ウォォォォォォォォ!!!」

 

ビュォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!

 

ググググッ

 

陣の風は魔光丸の軌道を変えた。

 

グォォォォォォォ

 

軌道が変わった魔光丸は左に軌道を変えて飛んでいった。

 

(ハァハァハァ)

 

どうにか魔光丸を防いだ陣だが、かなり消耗していた。

 

フッ

 

幽助が陣に急接近。

 

「オラァ!!!!」

 

(幽助!?)

 

魔光丸を防ぐのに妖気を集中していた為に幽助の接近に陣は気付かなかった。

 

ズドドドドドドドド!!!!

 

両手で激しい連打。

 

「くそー」

 

パシ!パシ!パシ!パシ!

 

陣は辛うじて両手で素早く防御。

 

(一撃がさっきよりもずっと重たいし動きがめちゃくちゃ速い……)

 

「オラァ!」

 

ドゴッ!

 

「グェッ!!」

 

陣の腹部に強烈な一撃がヒット。

 

ビューン!!!

 

バキッ!!!!!

 

腹部に一撃をうけて怯んだ陣の顔面に強烈な一撃。

 

(くっ……!!)

 

「もう一発だ」

 

フッ

 

幽助の姿が一瞬で消え去る。

 

(!!?)

 

「こっちだ!」

 

フッ

 

陣の背後に回る幽助。

 

ドゴォ!!!

 

「グワッ!」

 

ビューーーーーーーーー

 

強烈な一撃を背中にうけた陣は地面に向かって落ちていった。

 

――Aブロックの地上

 

ビューーーーーーーーー

 

陣の身体は地面に叩きつけられる直前だった。

 

「ぐっ、やべえ」

 

スッ

 

ビュォォォォォォォ!!!


地面に直撃寸前に強烈な風を起こした。

 

フワーーー

 

風で地面との直撃を避けた陣は宙に身体を浮かす。

 

「今のはヒヤヒヤしたぞ」

 

「陣!」

 

ギュウウウウウ

 

幽助は陣に向かって飛んで来た。

 

(いつの間に!!)

 

スッ

 

「ショットガン」

 

ズドドドドドド

 

無数の魔光気の弾を陣に放つ。

 

(速い!防ぎきれねー!!)

 

ドゴゴゴゴ!!!!

 

「ウァァァァ!!」

 

陣の全身にショットガンが命中した。

 

ドシャッ!!

 

幽助のショットガンをまともに受けて陣は倒れた。

そして幽助は陣から少し離れ位置に着地した。

 

――選手たちの休憩所

 

鈴木が声を上げる。

「陣!!今のはまともにくらったぞ」

 

鈴駒も心配そうに倒れている陣を見ている。

「陣は大丈夫か?」

 

凍矢の顔が険しい。

「幽助の攻撃力もスピードも格段に上がっている。あれが真の力を出した幽助か……」

 

――Aブロック

 

グッ

 

陣はゆっくりと立ち上がる。


(幽助の奴、気鋼闘衣を身につけて防御力を上げただけでなく、気が変化してからは攻撃力もスピードも数段階は間違いなく上がっている)

 

「流石は陣だな。やっぱ、今の攻撃では倒せねーか」

 

陣は自分の身体の状態を見た。

見た目以上にダメージを受けている。

(さっきの動きを見て分かった。今の幽助に俺は勝てねー)

 

スー

 

陣は目を閉じた。

陣は静かに瞑想している。

脳裏に浮かぶのは三年間の打倒幽助を掲げて頑張ってきた修行の日々。

そしてその幽助を倒す為に戦う今の自分の姿。

目を開けると陣は笑った。

この試合で見せる一番の笑顔だ。

 

「幽助ーー!今から俺は最強の技の修羅突風撃を使って全力でぶつかる。三年間の修行の全てをこの一撃にかけるぞ」

 

幽助は陣の言葉に少し驚いた顔を見せたが、直ぐに笑みに変わった。

 

「おもしれー!受けてやるぜ。だったら俺もおめーに全力の一撃を放つ」

 

幽助と陣、お互いの目を見る。

 

(勝負だ)

 

陣はいよいよ幽助と最後の勝負に出る。

 

勝利の女神が微笑むのは果たして幽助か陣なのだろうか?

決着は近い。

 

続く

 

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