nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #099「あいつは俺が倒す(大会編)」

――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第二試合

 

梟(ふくろう)
×
鈴木(すずき) 

 

――選手たちの休憩所

 

梟の肢体爆弾によって起こった大爆発の映像がスクリーンに映し出される。

 

飛影の顔が厳しい。

(あの野郎の今の妖気はこの俺に迫るものを感じたぞ)

 

凍矢も飛影と同じく厳しい顔をしている。

「蔵馬、鈴木は大丈夫だろうか?」

 

「鈴木は今の攻撃をまともに受けたはずだ。無事だったとしてもこれ以上の戦闘はおそらく…」

蔵馬は険しい表情でスクリーンを見つめる。

 

――Dブロック

 

梟の肢体爆弾による大規模な大爆発が起きたDブロック。

辺り一面が爆発によって酷く焼けて地形も大きく変わっていた。

それは梟の起こした爆発の大きさを物語る。

立ち込める砂煙の中で、梟の変化していた髪の色がゆっくりと元に戻っていく。

梟の視線の先には、鈴木が仰向けに倒れていた。

 

梟、ニヤリ。

「ククク、手応えはあったぞ」

 

肢体爆弾をまともにその身体に受けた鈴木は、全身に大きな傷を負って瀕死の状態となっていた。

 

「うぐぐ……」

 

「あの一撃を受けて粉々にならずによく生きていたな。それがお前の強さの証なのだろうが」

 

「クソォォ……」

 

「私の肢体爆弾をその闇アイテムで使える様になったとしても、その様ではもはや私とは戦えない筈だ」

 

「……さっきのお前の一撃は爆発的に妖気が上がった。俺がかわせない程にな。鴉の姿と技、そして再生能力……、お前は俺が知っているあの鴉ではないな……。一体何者だ!?」

 

梟に問いかけながら苦しそうに上半身を起こす鈴木。


スッ

 

梟は軽く手を前に突き出した。

 

「フッ、私の名は梟だ。鴉ではない」

 

梟の瞳が妖しく光る。

 

(!!)

 

ボン!!!

 

鈴木の胸部が爆発した。

 

「ぐわァァァァ!!!!!!」

 

ドサッ

 

トドメともいえる一撃で鈴木は力尽きた。

梟は上空を見上げる。

 

天海は上空から鈴木の様子を確認。 

 

「Dブロックの第二試合は鈴木選手の戦闘不能と見なして梟選手の勝利です!!!」

 

天海は梟の勝利を宣言した。

 

「ククク!!ハッハハハハ!!!!」

梟の高笑いが闘場に響き渡った。

 

鈴木の敗北によって三回戦の第一試合は蔵馬と梟の対戦が確定となった。

 

――選手たちの休憩所

 

休憩場にあるスクリーンに映し出されているDブロック。

蔵馬はその闘場の二つの光景を深く目に焼きつけていた。

梟によって倒された鈴木の変わり果てた姿。

そして変わり果てた鈴木の姿を見ながら高笑いしている梟の姿。

隣にいた凍矢は蔵馬の表情を見た。

 

ゾクッ

 

凍矢は一瞬だが背筋が凍る様な感覚に陥る。

 

「蔵馬…」

 

勝負は既についている状態にも関わらず、瀕死の鈴木に対して非道ともいえる一撃。

蔵馬は梟に対して強い殺気を放ち始めた。

そして蔵馬は静かに呟く。


「あいつは俺が倒す」


――メイン会場

 

「あ~あ、いい男がすっかりぼろぼろになっちゃって」

 

皐月は残念そうな顔をする。

 

イチガキ、ニヤリ。

「ヒョヒョヒョ。あの梟は実験体とはいえ、ワシの研究の集大成ともいえる作品。見事な勝利じゃわい」

 

「あれだけの強さを持っている梟ならば、樹の計画が順調にいけば、これから復活する事になる“彼”のいい手駒になりそう。見事な仕事だよイチガキ」 

 

「ヒョヒョ、枯れかけたワシの夢を叶える機会と、闇撫の不思議な力による技術力を与えてくれた、樹と皐月には感謝しておるぞ」

 

イチガキの濁りきったその目は大きな野望を持つ男の目に変わっていた。 

 

「フフ、貴方の本当の役目はこれからなのだから、樹も私も期待してるよ」


ズズズ……

 

皐月はそう言うと再び空間の中に入ろうとする。 

 

「行くのかね?」


「ええ。今から樹の策の手伝いにね。沢山の血が見れそうよ」

 

「今度は何を企んでいるのかは知らないが、相変わらずご苦労な事じゃな」

 

「フフッ、ある世界を滅ぼしてくるのよ」

 

フッ

 

不気味な言葉を残して皐月は空間の中に消えていった。

イチガキは皐月の消えた後を見ながら心の中で呟く。


(ヒョヒョ、いずれお前達はワシにとっては邪魔な存在になる。いつまでも大人しく従っておるワシではないぞ。最後に勝つのはこの天才Dr.イチガキ様じゃよ)

 

――Dブロック

 

天海は全く動かなくなった鈴木の側に行って様子を見る。

 

「死んだ?いや、微かに息をしているわ」

 

天海は直ぐに救護班に連絡を入れた。

暫くすると瑠架を含んだ救護班と一緒に鈴木を慕う樹里が闘場に現れた。 

 

「鈴木!!鈴木!!」

必死に鈴木の名前を何度も呼び続ける樹里。

 

だが樹里の必死の呼びかけに鈴木は応えなかった。

鈴木は意識がなくてグッタリとしていた。

生きているのが不思議な状態であった。

 

「瑠架さんお願い!鈴木を助けて」

必死で訴えかける樹里。


瑠架、ニコリ。

「大丈夫よ樹里。鈴木の事は私に任せて」

 

瑠架は今にも泣きそうな顔の樹里に優しい笑みを浮かべて安心させる。

 

「樹里、貴方も心配でしょう?一緒についてきなさい」

 

「いいの?」

心配そうな顔で問いかける樹里。

 

「もちろんよ。これは小兎も了承済みだから大会の方は任せて大丈夫よ」 


樹里、ニコリ。

「ありがとう」

 

瑠架の言葉に笑顔を見せる。

樹里は救護室に向かって運ばれて行く鈴木に付き添う事にした。

鈴木はこの後、瑠架達の軒目な治療と樹里の手厚い看護により無事に一命を取り止めたのだった。

これがきっかけとなって後に鈴木と樹里は結ばれる事になるのだが、これはまた別の話しとなるのでここまでにしておこう。 

 

――霊界

 

蔵馬と電鳳が激闘を繰り広げていた頃に時は遡る。

幽助に頼まれてから比羅達の事を調べていた霊界のコエンマ達。

ぼたんはコエンマの推測から、樹が比羅達の協力者として関与しているかも知れない事と、見つかった資料から比羅達の事で分かった事を、通信機を通じて幽助に伝えようとしていたが、肝心の幽助と連絡を取ることが出来なかった。

 

「駄目だ~。幽助の奴、絶対に通信機を忘れているよ」

 

ハァーッとぼたんは大きな溜息。

 

ガチャッ

 

ぼたんのいる部屋にコエンマが入って来た。

 

「ぼたん、幽助とはやはり連絡がとれないか?」

 

「はい、駄目です」


「やれやれだ。幽助に連絡が伝わらんのなら直接あいつに伝えるしかないのう……」

 

通信機を見ていたぼたんはコエンマに視線を移した。


(!)

 

コエンマの姿を見て驚く。


「ぼたん、何をそんなに驚いているんだ?」


コエンマの姿は人間界バージョンになっていた。

 

「だってその姿は人間界バージョンじゃあないですか!コエンマ様、そんな格好で一体どちらへ?」


「魔界だ。どうしても嫌な予感がしてならん。この予感が何か分からんが、万が一の自体に備えて桑原を霊界の方で保護しておこうと思ってな」

 

「コエンマ様お一人で魔界に行くのですか?」

 

「いや、護衛も兼ねて、特防隊の舜潤と草雷と才頭を連れて行く。行ったついでに魔界の王が誰になるのかも見届けようとも思っておるがな」

 

舜潤は特防隊の現在の隊長。

草雷は女性の隊員。

才頭は坊主頭の隊員である。

 

「コエンマ様、あたしもたまには一緒に連れて行って下さいよ~」

 

「な、何!?お前も一緒に来るのか?」

 

ぼたんは目をうるうるさせて頼み込む。

 

「ぼ、ぼたん気色悪い顔をするな」

 

ぼたんのうるうる顔を見て、嫌な顔をするコエンマ。

 

「コエンマ様、お願いしますよ~」

ぼたんは不気味な程にさらに目をうるうるする。

 

「うう~む。ま、まあ、霊界にはあやめがいるから良かろう」

コエンマはしぶしぶ承諾したのだった。

 

「やった~!!ありがとうございますコエンマ様ァァァ!!!」

 

両手を上に挙げて大喜び。


「さてと行くなら直ぐに準備するんだ。お前の準備が出来しだい出発するぞ。今から行けば大会の終盤には間に合うだろうからな」


「あいあいさ」

ぼたんは急いで準備に取りかかり始めた。

 

(もし関与しているのがワシの推測通り、本当に樹だとしたらあいつの目的は一体何だ?)

 

コエンマは昔から樹の事を良く知っているだけに、妖気の強さを超える樹の底のしれない力を警戒していたのだった。 

それから暫くしてコエンマとぼたん、特防隊の三人は魔界に向かって旅立った。

コエンマは自身が感じた嫌な予感が間もなくこの霊界で起こる事になるとはまだ知るよしもなかった。

それが全ての世界を巻き込む壮絶な戦いの幕開けとなるのである。

 

続く

 

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