nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ 073「武威(大会編)」

――魔界統一トーナメント一回戦・Aブロックの第二試合

 


時雨(しぐれ)
×
鵤(いかる)

 

ズバッ!!

 

「ぐわっ!!」

 

時雨の手を離れ、回転した燐火円磔刀が鵤の背中を切り裂く。

 

パシッ

 

そしてブーメランのように時雨の手元に燐火円磔刀が戻っ。

 

「ハァハァハァ……」

 

鵤はかなり苦しそうに肩で息をしている。

 

「悪いがそろそろ決めさせてもらうぞ」

 

カチャッ

 

時雨は燐火円磔刀を握り締めて、少ししゃがんだ形で構えた。

 

ドーン!!

 

(き、消えた)

 

閃光が走る。

 

シャキーン

 

ズバッ!!!

 

「がっ!!」

 

燐火円磔刀が鵤の腹部を横一直線に切り裂いた。

 

ガクッ

 

鵤は腹部を両手でおさえると地面に膝をついた。

 

ドサッ

 

鵤はその場に倒れて動かなくなった。

 

スッ

 

しゃがんだ態勢だった時雨が立ち上がる。

 

「他愛のない相手だ」

 

時雨は上空の審判を見上げた。

審判は鵤の状態を確認。

 

「Aブロックの第二試合目の時雨選手対鵤選手の試合は時雨選手の勝利です!」

 

ーメイン会場

 

「時雨選手が圧倒的な強さで鵤選手を下しました。彼の愛刀である燐火円磔刀の威力は本当に凄いです!!」 

 

――選手たちの休憩所

 

「いよいよ出番だな」


時雨の試合を見終えた月畑が次の試合の準備を始めた。

月畑の右手には自慢の武器である魔剣グラスが握られている。

桑原が月畑の隣にやってくる。

「月畑、やっぱり時雨は流石に強いな」

 

  「桑原か」

 

「次はおめーの番だな。勝てよ!」

 

月畑、ニコリ。
「もちろんだ」

 

「そういえばお前の相棒の酒王の奴は予選で負けちまったんだってな」

 

「ああ。酒王の奴は本来なら本選に残れるぐらいの力があるんだけどな」 


「だよな。森で酒王に追いかけられた時に感じたあいつの妖気はA級妖怪クラスだったし」

 

「観客として見に来ている奴に詳細を聞いたんだが、あいつが負けたのは……」

 

酒王が敗れた経緯を月畑が語り始めた。

 

――予選第1ブロック

 

「フフフ。見渡した限り俺の敵になりそうな奴はあいつぐらいだな」

 

酒王は目の前にいるツンツン頭の人間の姿をした妖怪を見た。

確か仙道師という名前だ。

 

そして上空の審判から予選開始の合図の声が響き渡る。

 

「さあ、行こーか」

仙道師は酒王を見ると直ぐに構える。

 

スッ

 

右手の手の平を広げる。

 

ジジジ……

 

ボンッ!

 

妖気で作られた鋼鉄の球が現れた。

 

酒王は鋼鉄の球を警戒する。

(鋼鉄の球……。あれに当たると痛そうだ)

 

グッ

 

酒王は構えて戦闘態勢。

仙道師も同様に球を右手で掴み攻撃態勢に入った。

 

ドドドドドドッ!

 

「あれっ?」

 

仙道師以外の他の第一ブロックの予選出場者全員が仙道師の横を通り過ぎていった。

みんな酒王を目指して。


「へっ??」

 

予選出場者たちが一斉に酒王に向かって襲いかかっていったのだった。

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

流石にこの予想外の出来事に酒王は困惑した。

「な、なんで??」

 

バキッ!

 

ドガッ!

 

バゴッ!

 

酒王は予選出場者たちにその実力を発揮するまもなく、一斉によってたかって全力でボコボコにされた。

 

――選手たちの休憩所

 

「というわけであいつは予選で消えた。あの不気味過ぎる顔を誰もが許せなかったらしい」

 

それには桑原も同意した。

「……分かる気がする」

 

「話はこれまでだ。闘場にいってくる」

 

「俺も勝つからよ!二回戦でおめーと勝負だ」 


月畑、ニコリ。

「ああ」

 

月畑はAブロックの自然式円闘場に繋がる階段に向かって歩いていった。

 

「そういえば月畑の対戦相手は誰だっけ?」

桑原は対戦表の組み合わせを見た。

 

(3)
月畑(つきはた)
×
武威(ぶい)

 

(武威?どっかで聞いたことのある名前だな)

桑原は両腕を組んで考え込む。

 

幽助と蔵馬がスクリーンで試合の様子を見ていた。

 

「流石は電鳳だな。一撃だ」

 

「やっぱり親父の仲間は強いぜ」

 

Dブロックの第二試合目に登場の電鳳が一撃で戦いを終わらせた様子がスクリーンに映し出されていた。

 

「蔵馬、おめーの二回戦の相手がこれで電鳳に決まっちまったが、大丈夫か?」

 

「さあね。恐ろしく強い相手だからどうなるか分からないけどベストは尽くすよ」

 

「そっか。あ~早く俺の出番がこねーかな。陣と早く戦いてーぜ」

 

「ハハッ、本当に嬉しそうだね。まだ幽助の試合の前には桑原君の試合と鈴駒と修羅の試合がありますよ。彼等も同じブロックだから彼等と戦う可能性もあるのだからしっかり見ておいた方がいいと思いますよ」

 

「ああ、もちろんだ」


桑原が腕を組んでブツブツと呟きながら幽助たちの側にやって来た。

 

「何をブツブツ言ってんだ、桑原?」

 

「おう浦飯、それがよー、Aブロックに俺の知り合いの月畑って奴が試合に出るんだが、対戦相手の名前がどこかで聞いたことがあるような名前なんで、誰だったかなーって思ってな」

 

「俺も知ってる奴か?」

 

「多分……」

 

その時、Aブロックの審判の女性の声が聞こえてきた。

 

「これよりAブロック一回戦の第三試合、月畑選手対武威選手の試合を開始します」

 

「おっ、始まるようだぜ」

 

幽助たちはスクリーンを見つめた。

 

スクリーンに映し出されたAブロックの武威の姿を見て三人は驚く。

 

「お、思い出したぜ、あいつは……」

 

飛影も幽助たちから少し離れた位置でスクリーンを見ている。

 

(御堂の子となった武威か……)

 

――Aブロック

 

月畑と武威が間合いを取りながら試合開始の合図を待っている。

 

武威は無言で月畑を見ている。

 

(こいつ、こんなに分厚い鎧を着て動けるのか?)


上空の女性審判が様子を見ている。

 

「始め!」

 

審判の試合開始の声が闘場内に響き渡る。

 

カチャッ

 

月畑は魔剣グラスを握り締めて構えた。

魔力を帯びた強力な剣。

 

(こいつスキがない。かなり出来るぞ)

 

月畑はじわじわと武威との間合いをつめていく。

 

スッ

 

武威は右手を横に伸ばした。

 

ジジジ……

 

ズンッ

 

(あれは!)

 

武威の右手に妖気で作られた巨大な斧が出てきた。

 

ガシッ

 

武威は巨大な斧を握り締めると右肩にのせた。

 

「な、なんて馬鹿デカい斧なんだ!」

(とりあえずこちらから仕掛けて奴の様子を見てみるか)

 

カチャッ

 

月畑は魔剣をもう一度強く握り締めると、武威に向かって一気に駆け出した。

刀身が赤く光る。

 

「ハァァ!!!」

 

ビューーン!!!

 

月畑は武威の左肩を狙って素早く斬りつける。

 

ガキーン!!

 

武威の巨大な斧が月畑の剣を受け止める。

 

ググググ……

 

月畑はそのまま押し込むつもりのようだ。

だが……。

 

「なんて力だ!!ピクリとも動かない」

 

スッ

 

武威がゆっくりと右の肩にのせていた斧を上に持ち上げた。

 

「死ね」

 

ブーン!!!

 

(速い!!)

 

スパッ!!

 

武威が振り下ろした斧がもの凄いスピードで月畑を切り裂く。

あっという間に月畑の身体を横一直線に真っ二つにした。

 

ガンッ!

 

グシャッ

 

切断された月畑の上半身が近くの岩壁にぶつかりそのまま地面に落ちた。

月畑はそのまま絶命した。

 

プシュゥゥゥ!!!

 

武威の目の前では、上半身を失った月畑の下半身から、血が噴水のように吹き出している。

 

ピクピクピク

 

ドサッ

 

月畑の下半身は僅かに痙攣するとその場に倒れた。

 

「あ、あ……」

 

上空から試合を見守っていた女性審判はあまりの衝撃に声が中々出てこない。

 

(……)

 

ガシッ

 

ズン!ズン!ズン!

 

武威は再び肩に斧をのせるとそのまま闘場を後にした。

 

シーン

 

メイン会場も衝撃の光景に静まりかえる。

そんな中で小兎が喋れない審判の代わりに、武威の勝利を宣言した。

 

「Aブロック第三試合の月畑選手対武威選手の試合は武威選手の勝利です!」

 

小兎の武威の勝利宣言で静まり返っていたメイン会場は一気に大きな歓声へと変わる。

 

「すげーぜ!!」

 

「あんな重い鎧を着ているのにあの巨大な斧をなんてスピードで振り下ろすんだ」

 

「つ、月畑ァァァァ!!」

 

相棒の死を目の当たりにした酒王は目に涙を浮かべて観客席で叫んだ。

 

――選手たちの休憩所

 

「月畑ァァァァ!!」


桑原も酒王と同じく月畑の敗北と死をスクリーンで見て大きな声を上げた。

 

蔵馬は厳しい目でスクリーンに映る武威を見ている。

 

「今の武威の妖気は暗黒武術会の時と比べ物にならない」

 

飛影が静かに蔵馬の横に来た。

 

「ああ、あのデカブツの妖気は間違いなくS級クラスの上位に到達しているぜ」

 

幽助も少々驚いている。

「とんでもなく強くなってやがるな」

 

桑原は床を思いっきり殴った。

「ち、畜生ォォ!!よくも月畑を!!俺が奴をぶっ倒してやる!!」

 

怒りが桑原の潜在能力をさらに引き出す。

桑原の身体から巨大な霊気が溢れ出ていた。

 

(す、凄い!!桑原君の霊気が急激に上がっている)

 

暫くして武威が選手たちの休憩所に戻って来た。

そして武威と幽助たちが遭遇した。

 

スッ

 

飛影が一歩前に出て武威に話しかける。

 

「御堂から得た力はどうだ?お前に制御出来ているのか」

 

武威は静かに口を開いた。

「ああ。あの洞窟の戦いでお前と決着をつけたいところだが、俺と戦うまでお前は勝ち残れるのか?」

 

「それはこちらの台詞だぜ」

 

「飛影、ちょっとどいてくれ」

桑原が飛影を押し退けて武威の前に出て来た。

 

「よくも月畑を殺しやがったな!許さねーぜ!!俺が次の試合に勝てば二回戦でてめーと当たる。ぜってーぶっ倒してやるから覚悟しとけ」

 

「フッ、桑原か……。相変わらず威勢がいいな」

 

「何だと!コラァ!!」

 

その時会場にアナウンスが流れる。

 

「桑原選手、試合が始まります。至急Aブロックの闘場に来てください」

 

「チッ、まだてめーに言いたい事があるが仕方ねー、俺の試合をじっくり見とけよ」

 

桑原はAブロックの闘場に向かって走り出した。

 

「桑原ァァァァ!!」

 

幽助が桑原を呼び止めた。


「浦飯、何だ?」

 

幽助、ニヤリ。

「勝てよ!」

 

幽助は親指を立てた。

 

「おうよ!」

桑原も幽助のエールに親指を立てて応えた。

 

Aブロック第四試合

桑原(くわばら)
×
牛頭(ごず)

 

桑原和真の魔界統一トーナメント初戦が今始まる。


続く

 

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