nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #097「鈴木の最高傑作(大会編)」

――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第二試合

 

武威(ぶい)
×
桑原(くわばら) 

 

――Aブロック

 

雪菜の念信による愛の告白によって、秘められていた力を発揮して、桑原は急激に霊気が強くなった。

今の桑原には、武威に対する恐怖はない。

むしろ自信に満ち溢れていた。

 

ブォォォォォ!!!!!

 

愛の力?によるその強くなった霊気を放出。

闘場が激しく揺れた。

 

「さっきまでのお返しだ!行くぜ武威」

 

ズキューーン!!

 

急激な霊力の増加により、速度か遥かに増した桑原は、高速で武威に向かっていく。

 

武威は仁王立ちで待ち構える。

 

(これが桑原か?スピードもさっきまでとはまるで違う)

 

桑原の右手には次元刀が作り出されていた。

 

(防御不可能の次元刀。あれは確実に避けなければな)

 

ビューー!!!!!

 

次元刀で武威を斬りつける。

武威は左に素早く避けて攻撃をかわした。

 

「ウラァァァァァ!!!」

 

ビューン!!!

 

桑原は武威に避けられるのを察知していたかの様な動き

左に避けた武威の顔面を左手で殴りつけた。

 

バキッ!!!

 

(何だと……!?)

 

ザザザ

 

殴りつけられて後ずさる武威。

 

武威の全身から放出されている武装闘気は、武威の身体を目に見えない鎧として守っている。

その為にある程度の攻撃を防ぐ事が出来る。 

試しの剣による霊剣の強化版と防御不可能の次元刀以外では傷をつけることが出来るとは武威は思っていなかった。

まず、試しの剣は武威により破壊されてしまった。

その為、この状態では武威の身体を傷つける事が出来るのは、次元刀だけだと完全に思っていた武威は、素手で殴られた事にかなり驚いたのだった。

 

(武装闘気に守られている俺を素手で殴ってきたか。想像以上に霊力が上がってきている)

 

「どんどん行くぜ!」


直ぐに次の攻撃に移る為に武威に向かっていく。

 

武威、ニヤリ。

「これは本当に楽しい戦いになってきたぞ!!」


実力の差が縮まり、戦いの行方がこれからどうなるか分からなくなった桑原と武威。

両者の霊気と妖気の激しいぶつかりあいが始まった。


――選手たちの休憩所

 

「スゲーぞ桑原!!何があったか分かんねーが、あれだけの霊気なら武威と戦えるぞ!」 

 

危機的状況から脱出して、さらに武威とほぼ互角に戦えるぐらいに一気に強くなった桑原に少し興奮気味の幽助。

 

「でも本当に後一歩で桑原を助けに行くつもりだったからな。これでとりあえずは安心したぜ。な、飛影?」

 

(………)

 

飛影は幽助の言葉に黙ったままでいた。

何故か機嫌が悪い。

 

「うん?飛影は嬉しくねーのかよ?おめーが俺より先に桑原を助けに行こうとしていたくせに」

 

「フン、俺があの馬鹿を助けるか」

 

「へっ、よく言うぜ。武威に対してどんどん殺気を強くしていたくせに」

 

「知らないぞ」

あくまでしらを切る。


「まあいいけどよ。それで、急に恐い顔してどうしたんだ飛影?」

 

「理由は分からん。桑原の霊気が急に上がった時、スクリーンに映るあいつの顔を見てから胸の辺りが急にムカムカしてきたのだ」

 

それは雪菜の双子の兄としての直感である。

 

「何だよそれは?」

 

飛影の答えに不思議そうな顔をする。

 

(何故か嫌な予感がする。桑原が生きて戻って来たらあの馬鹿を問いつめねば)

心の中で密かに誓ったのだった。 

 

(理由は分からないが桑原君の霊力が上がった。今の桑原君なら武威と互角に戦えるはずだ。これでひとまずは安心だ)

 

蔵馬は桑原の今の状態に少し安心した顔を見せると、スクリーンに映し出されているDブロックに今度は目を移した。

Aブロックとはうって変わって険しい表情でスクリーンを見つめる。

 

「鈴木……」

 

スクリーンに映し出されているDブロックの映像では、梟の追跡爆弾の大爆発によって起った爆風による凄まじいまでの砂煙により、鈴木がどんな状態になっているのかは全く分からない状況であった。

 

「蔵馬」

Dブロックを険しい表情で見つめる蔵馬の視線に気付いた幽助が話しかける。

 

「何だ幽助?」

 

「さっきのあの爆発は凄かったけど鈴木はあの程度の攻撃では倒されないと思うぜ」

 

「ああ、そうだな。だがあの攻撃ではっきりした。あいつは鴉だ」

 

「だな」

 

幽助と蔵馬はDブロックを再び見たのだった。

 

――Dブロック

 

砂煙の中にいる梟は周囲を見渡す。

 

「少しやり過ぎたか。肉片の一つでも残っていたらいいが」

 

暫くすると徐々に砂煙が晴れてきた。

そこには鈴木の姿がなかった。

 

「あの足の傷では追跡爆弾をかわせまい。少々やり過ぎたようだ。肉片すら残さず吹き飛ばしてしまったみたいだからな」

 

梟が勝利を確信して気を少し緩めたその時。

 

魔笛散弾射」

 

ヒュー!ヒュー!ヒュー!


氷の塊が上空から地上にいる梟をめがけて飛んできた。

それは鈴木の技ではなく凍矢の技である魔笛散弾射であった。

 

「何!?」

 

突然の上空からの攻撃に驚く梟。

 

バッ!!

 

梟は素早くジャンプして大量に降りそそがれた氷の塊をかわした。

 

ズガガガガガ!!!!!!


氷の塊は誰もいない地面を直撃した。 

梟は地面に着地すると同時に上空を見上げる。

 

――Dブロックの上空

 

「かわされてしまったな。残念だぜ」

 

上空から攻撃してきたのは鈴木であった。

 

梟の追跡爆弾をまともに受けたと思われた鈴木は上空に逃れていた。

しかも陣の様に風を操って宙に身体が浮いていたのだ。

だが完全にはかわしきれなかった。

爆撃を受けたような傷が身体にあった。


「フッ、今の俺の姿を見たら一緒に修行をした連中と酎と鈴駒以外は驚いているだろうな」

 

――選手たちの休憩所

 

「鈴木!!」

 

蔵馬はスクリーンに映し出された空中に浮いている鈴木の姿に驚いた。

 

「おいおいマジかよ」


(…………!?)

 

幽助と飛影も蔵馬同様に驚く。

 

(さっきの鈴木の攻撃は間違いなく凍矢の魔笛散弾射だったぞ。しかも今度は陣の様に風を操り空中に浮いている) 

 

陣、ニコリ。

「鈴木の奴は無事だったみたいだぞー」

 

死々若丸も陣の隣で笑顔。

「全く驚かせてやがって」

 

凍矢は苦笑い。

「あいつめ、俺の技を早速使ってきたな」

 

陣の顔がワクワクしていた。

「いよいよ、あの反則的な秘密兵器が出て来たぞ」


――Dブロック

 

鈴木「フフフ、驚いたか?これが俺の発明した作品だ!!」

 

スッ

 

鈴木は地上にいる梟に見せつけるように右腕を前に出した。

 

キラーン

 

その右腕には青く光る腕輪がつけられていた。

 

――選手たちの休憩所

 

驚いている蔵馬たちの側に凍矢がやって来た。

 

「お前達は流石に驚いているようだな」

 

「凍矢」

 

「あれは少し前に鈴木が作り出したアイテムだ。あいつの右腕に腕輪がついているだろう」

 

「あの青い腕輪だな」


「そうだ」

 

「さっきのあの鈴木の技は、お前の魔笛散弾射ではないのか?それに陣の様に風を操っているように見えるが、一体これはどういう事なんだ凍矢?」

蔵馬は感じた疑問を凍矢に問いかけた。

幽助と飛影も興味深そうに話しを聞いている。


「あの闇アイテムは…………」

 

凍矢は蔵馬に鈴木の闇アイテムについて語り始めた。


――Dブロックの地上

 

「生きていたか」

 

フッ

 

梟の目の前には追跡爆弾が再び姿を現した。

 

「行け、追跡爆弾」

 

《ギース》

 

追跡爆弾は先程と同じく不気味な鳴き声を上げて向かっていく。

 

――Dブロックの上空

 

「さっきの爆弾か。もう通じないぜ!一発程、身体に受けたからな」

 

ギュウウウウウ!!!

 

鈴木は陣の様に風を操り追跡爆弾に向かっていく。

 

「その攻撃が無駄だということを見せてやる」

 

ピカーーー!!!

 

鈴木の右腕に装着された青い腕輪は輝き始める。

そして眩い光りを放出した。

 

――選手たちの休憩所

 

「何だ!?スゲー光だぞ」

 

「何が起こっているのか分からない」

 

スクリーンに映し出されているDブロックは、鈴木の腕輪が放ち出した光によって、闘場の様子がどんなっているのかが全く分からない状態であった。

 

凍矢、ニヤリ。

「あの男が放った爆弾はこれで破壊される」

 

幽助、苦笑い。

「凍矢に話しを聞いた限りでは結構、反則だよな」 

 

――Dブロックの地上

 

腕輪から放出された光に、上空では何が起こっているのか分からなかった。


「何だこの光は……」

 

ドカァァァァァン!!!!!!!

 

光の中で大きな爆発音が辺り一面に響き渡る。

 

「追跡爆弾があいつに直撃したのか?」

 

その瞬間、爆発で音が一瞬の間かき消されていた。

 

ギュウウウウウ!!!!!


その一瞬の間に鈴木が風を操り梟に近付いて来たのだ。

 

「くらえー!!お前の技だ」

 

フッ

 

梟が先程、鈴木に放った追跡爆弾がその姿を現した。


《ギース》

 

梟が作り出した追跡爆弾と同じ様に不気味な鳴き声を上げると梟に遅いかかる。


(これは追跡爆弾!!)

 

――選手たちの休憩所

 

スクリーンに映し出されている梟に向かって凍矢が話しかけるように解説。

 

「鈴木自身が最高傑作と呼ぶあのアイテムは、一度受けた技を自分の物にすると同時に、その技を全て無効化させる光を放つ。さっきの奇襲の逆襲をされるのはお前だ鴉」

 

蔵馬は鈴木の闇アイテムに感心していた。

(まさか陣に凍矢、死々若丸。一緒に修行した三人の技が使えるとはな) 

 

――Dブロック

 

「もらった!」

 

「チッ」

梟は舌打ち。

相殺する為に追跡爆弾を作り出す。

 

《ギース》

 

梟の追跡爆弾も不気味な鳴き声を上げると鈴木の追跡爆弾に向かっていく。

鈴木の追跡爆弾を相殺する為に。

 

バッ

 

そして素早くジャンプして梟はその場を離れた。

離れたと同時にぶつかりあう追跡爆弾。

 

カーーー!!!!!

 

ドォォォォォン!!!!!


ぶつかり爆発を起こして消滅した。

 

「逃がさないぞ!!」

 

ギュウウウウウ

 

鈴木は風を操りジャンプした梟に向かっていく。

 

「受けてみろ」

 

空中で無意味なポーズを鈴木は決めた。

 

「ニューレインボーサイクロン!!!」

 

ドギュウウウ!!!!!

 

波長を変えた七色の妖気を放出して梟に向かって放つ。

 

(面白い。受けてやる)

 

ブォォォォォ!!!!!

 

空中で妖気を集中して高める。

 

「ハッ」

 

梟は両手を前に突き出す。


ピカーー!!!!!

 

梟の身体が光り始める。

 

(何!?)

 

ドガァァァァァン!!!!


七色に放出した鈴木の攻撃は、梟の身体に直撃する寸前に爆撃されて消滅させられた。

地面に何事も無かった様に着地する梟。

 

ギュウウウウウ!!!!!


「ハァァァァァ!!!!!」

 

鈴木は風を操り着地した梟に向かっていった。

 

――メイン会場

 

観客席の最上段の目立たない位置で鈴木と梟の試合を見ている者がいた。

その男は小柄の妖怪。

不気味な容姿に医者が着ているような白衣を着ていた。

 

「ヒョヒョ、中々上出来だぞ梟」

男は薄気味の悪い笑みを浮かべた。

 

続く

 

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