nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #106「邪王炎殺双龍波(大会編)」

――救護室

 

死々若丸が桑原に渡した試しの剣は、鈴木の改良した新型の試しの剣であった。

 

「それは大会前に鈴木が俺にくれた試しの剣。強力な機能のついた新型だ。これに追加機能の詳しい使い方が書いてある」

 

そう言うと死々若丸は桑原に、試しの剣の新型に追加された機能の使い方を書いた紙を手渡した。

 

「死々若、どうしてこれを桑原君に?」

意外な死々若丸の行動について蔵馬は問いかけた。

 

「失敗ヅラの試しの剣は武威の奴に破壊されただろう?俺にはそれをもらう前から使っている試しの剣(魔哭鳴斬剣)があるからな」

 

「でも、それは新型だろう?そっちの方を桑原君に渡していいのか?」

 

「ああ。この試しの剣の新機能は確かに便利だが、俺よりは失敗ヅラの方が役立つだろうしな。それに使いなれた剣の方がしっくりくるのでな」

 

「おい、死々若!」

死々若丸に近付き、マジマジとその顔を見つめる。

 

「な、何だ?不細工な顔を俺に近付けるな」


顔を近付ける桑原に露骨に嫌な顔をする死々若丸。

 

桑原、ニコリ。

「おめー、意外と良い奴だったんだな」

 

ガシッと死々若丸の肩を両手で掴んだ。

そして死々若丸の身体をグッと自分の方に引き寄せてスリスリと頬擦り。

 

「なっ!?や、止めろーー!!!」

全身に鳥肌がたち、悲鳴を上げる死々若丸。 

 

「おめーの事を只の嫌味野郎と誤解していた。マジで試しの剣は助かるぜ」


スリスリスリとさらに頬擦り。

 

「は、放せ~~!!!」

 

桑原の感謝感謝の頬擦り攻撃にどんどん顔が青くなり、ゲッソリとしていく死々若丸。

 

「仲がいいな二人共」


蔵馬は微笑ましい?二人のやり取りを楽しそうに見ていた。

 

「く、蔵馬、笑っていないで助けてくれー」


その時だった。

 

ガチャッ

 

桑原達がいる部屋の入口の扉が開いた。

そして女性が入ってくる。

 

「あ!?」

 

桑原が女性に気付いた。

 

「雪菜さん!!」

 

「か、和真さん…」


死々若丸に激しく頬擦りしている桑原と目が合う雪菜。

その瞬間、雪菜は硬直。

 

「和真さんが男の人と……」

 

目から涙が床に溢れ落ちた。

涙は氷泪石となって転がる。

 

「え、え~っと雪菜さん、これはですね……」

 

「わ、わ、私、お二人がそんな仲だったなんて知りませんでした。す、すみません!!」

 

雪菜は部屋を直ぐに飛び出していった。

 

「ご、ご、ご、誤解っす~~!!雪菜さ~ん!!」!!

 

桑原は慌てて雪菜の後を追いかけていった。

桑原が立ち去ったのを確認すると死々若丸はヘナヘナとその場に座り込んだ。

 

「ほっ、助かったぞ……」

 

蔵馬は雪菜の涙で作られた氷泪石を手に取り、扉が開きっぱなしになった部屋の入口を見た。

 

「あ~タイミングが悪かったな、桑原君」 


桑原はその後、雪菜の誤解を解くのに大変苦労したのだった。

 

――Bブロック

 

「行くぞ」

 

飛影の言葉に周が構える。

 

スッ

 

飛影は右手を周に向けた。


「邪王炎殺黒龍波ァァァァ!!!」

 

ドゥォォォォォ!!!!!


飛影の右手から黒龍波が放たれた。

だが、飛影の進化した黒龍波という言葉とは裏腹に、放たれた黒龍波は従来の黒龍波であった。

 

「来やがったな」

 

ここは動かずに構える周。

飛影の黒龍波を受け止めるつもりだ。

 

グォォォォォ!!!!!

 

黒龍がその恐るべき力で周を焼き尽くす為に襲いかかる。

 

「ウォォォォォ!!!」


ブォォォォォ!!!!!

 

両腕に妖気を集中。

 

ガシッ

 

両手で黒龍の頭を抱え込む様に受け止めた。

 

グワォォォォォ!!!!!

 

黒龍は大きな奇声を上げる。

 

「ぐっ……」

 

ザザザ……

 

周の小柄な身体は凄まじいまでの黒龍の力に押され始めた。

 

グォォォォォ!!!!!

 

黒龍の力はどんどん増していく。

 

「ぬうう………!!!」

 

ザザザ……

 

周は妖力を両腕に込めて抑え込もうとするが、黒龍の力の前にどんどん後ろに押されていた。

 

――選手たちの休憩所

 

幽助と躯がスクリーンに映し出されている黒龍波を観ている。

 

「あの黒龍波は俺が今まで見てきた黒龍波よりも威力が桁違いに上がってんな」

 

「飛影が放ったのは今まで通りの黒龍波だが、飛影の右手は再び黒龍波を放つ構えだ。おそらく飛影の新たな技だ」

 

躯の言う通り、スクリーンに映し出されている飛影は、右手に妖気を集中している感じに映っていた。

 

幽助、ニヤリ。

「飛影、おめーの力見せてもらうぜ」

 

――Bブロック

 

「邪王炎殺拳の最強の技と聞く黒龍波か……。本当にスゲーな、お前のこの技はよー」

 

周は強力な黒龍波を放った飛影を感心すると同時に負けられない意地がメラメラと燃え上がる。 

 

「でもよー、俺がまだまだ若造の邪眼師のチビなんかに負かされてたまるかよ!!!」

 

ボォォォォォォ!!!!!


周叫ぶと同時に全身を包み込む様に燃えさかる妖気の炎。

それは炎術師・周の最大となる炎であった。

爆発する周の妖気の炎。

黒龍に押されていた周は力を盛り返し、逆に周を焼き尽くそうとしていた黒龍の力を押し返し始めた。

 

「オラオラオラ!!!」


グォォォォォ!!!!! 


巨大な力の前に黒龍の力は徐々に衰え始めた。

 

周、ニヤリ。

「残念だったな!俺の勝ちだ!!!」

 

だが、飛影は全く動じていない。

 

「フッ、勘違いするなよ、それは“只”の黒龍波だ」

 

スッ

 

そう言うと飛影は再び右手を周に向けた。

 

「ここからが進化した黒龍波の真髄となる」

 

ピカーー!!!

 

右胸の紋章・魔封紋が三たび光を放つ。

 

「俺がもう一発の黒龍波を放つ事でこの技は完成する」

 

「何だと!!」

 

飛影の言葉に驚きを隠せない周。 

 

「邪王炎殺黒龍波ァァァァァ!!!!!」

 

ドゥォォォォォ!!!!!


右手からさらにもう一発の黒龍波が放たれた。

二発目の黒龍波は周に向かっていく。

 

「チッ、何発来ても負けねー!!」

 

グォォォォォ!!!!!

 

二発目に放たれた黒龍波は周と抗戦中の黒龍波に覆い被さる。

そして。

 

カーーー!!!

 

一瞬、大きな光を放った。

 

(眩しい……)

 

光が消えると二発目の黒龍波は一発目の黒龍波と一つになっていた。

 

「何!二匹の黒龍が一つになった!!?」

 

ズズズ……

 

黒龍の首の部分から頭がもう一つ出てきた。

二匹の黒龍は一つとなり、二つの頭を持つ双龍となったのだ。

 

「邪王炎殺双龍波だ」


グワォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!

 

さっきの黒龍の奇声を遥かに上回る大きな奇声を双龍が上げた。

 

「ヌォォォォォ!!!」


ザザザ…

 

炎術師としての力を爆発させて飛影の放った一発目の黒龍波の力を上回った周。

だが、二つの黒龍波が一つになった事で、力が倍増した黒龍の力に対して、周にはどうする事も出来なかった。

もはや勝負は決したと言える。


「二匹の黒龍が合わさった力がここまでとは……、そ、想像以上だ!!お、抑えきれん!!!!!」

 

グォォォォォォォ!!!!!!!!

 

(!!)

 

バチィ!!!

 

今まで黒龍を抑えていた周の両手であったが、双龍となった事で増したその力によって、その両手は弾かれた。

 

「ク、クソーー!!」

 

ドォォォォォォォォォォ!!!!!!

 

進化した黒龍波である邪王炎殺双龍波が遂に周の身体に直撃した。


「ぐわァァァァァァ!!!!!!!!」

 

周は大きな叫び声を上げた。

 

――選手たちの休憩所

 

棗が叫ぶ。

「周!!」

 

スクリーンに映し出されたたのは、飛影の放った双龍波によって、まさに焼き尽くされそうになっている周の姿であった。

 

スッ

 

棗の肩に手を置く才蔵。

 

「才蔵」

 

「勝負あった。この勝負、周の負けだ」

 

――Bブロック

 

「悪いがまだ編み出したばかりでな、加減は出来ない」

 

「ヌォォォォ!!!!」


双龍に焼かれて苦しむ周の姿が飛影の目に入る。

 

「フン」

 

パチン

 

飛影は指を鳴らした。

 

シュゥゥゥゥゥ……

 

周を燃き尽くそうとしていた双龍は闘場から完全に消え去った。

 

「ウァァ……」

 

双龍によって燃き尽くされそうになっていた周は全身に大火傷を負わされていた。

 

「もっと焼かれているかと思ったが、流石は炎術師だけはあるな、炎に対する耐性があるらしい。だが、その身体では戦えまい」


「……つ、強いな邪眼師のチビ。気に入ったぜ……。マジで喧嘩仲間にならねーか……?」

 

全身に大火傷を負い、もはや立って話しをする事すら厳しい状態でありながらも、最後の気力を振り絞って飛影に問いかける周。

 

「俺はお前の喧嘩仲間になるつもりは毛頭ないが、手合わせならいつでも相手してやる」

 

「……へッ、手合わせかよ……。まあいい、今度はお前には負けねーから……覚悟しとけよ……」

 

ドシャッ

 

周はそう言うとその場に崩れ落ちる様に倒れた。

 

「やれやれだ」

 

上空から審判が周の様子を見ている。

 

「Bブロックの二回戦・第四試合は飛影選手の勝利です!!!」

 

審判が飛影の勝利を宣言した。

 

飛影が周を敗った事により、四回戦までの進出は殆ど確定的となった。

三回戦で棗が鉄山を倒す事が出来たなら、四回戦で両者は戦う事となる。

 

――選手たちの休憩所

 

躯、ニコリ。

「思ったより早く決着がついたな。俺の試合まで間に合ったぞ」

 

「躯、今から試合か?」

 

「ああ、どうやらあの男の試合が終わった様だしな」

 

Dブロックを映すスクリーンには黄泉が鍬形を倒した光景が映し出されていた。

黄泉の姿をスクリーンで観た幽助はニヤリ。

 

「やっぱ黄泉は強いぜ。そういえば躯と黄泉は同じブロックだったよな?」

 

「ああ。勝ち進めばあの男と戦う事になる」

 

長年に渡って覇権を争ってきた男と戦う事が出来るかもしれない。

幽助に答えた躯は、どことなく嬉しそうであった。

 

「しかし飛影があそこまで力をつけたのなら、お前もうかうかしていられないぞ」

 

「ああ。でも飛影がとんでもなく強くなっている所を見ると嬉しいぜ。早く俺も試合がしたくなっちまった」

 

躯は対戦表を見て幽助の相手を確認した。

 

「お前の二回戦の相手は氷室か。俺の直属の77人の戦士の一人だ」

 

「ああ、知ってる。前の大会で北神が戦った相手だからよー」

(そういえば北神は中々戻って来ねーな……。何やってんだろう?)

 

幽助と躯から少し離れた場所に幽助とこれから戦う氷室の姿があった。

 

浦飯幽助か。対戦相手として倒しがいがあります。魔界召喚士の力を存分に味合わせてあげますよ」

 

浦飯幽助vs氷室の試合が間もなく始まる。

 

続く

 

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