nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #105「禁呪法・魔封紋(大会編)」

――魔界統一トーナメントBブロックの二回戦・第四試合

 

周(しゅう)
×
飛影(ひえい) 

 

――Bブロック

 

抑えていた巨大な妖気を放出した飛影と周。

二回戦終盤の注目の試合は、いよいよ本格的な戦いに突入する。

 

「どうやら俺の剣が折れたのは、お前の防御力の高さによるもののようだな」


「そうだ。生まれ持った防御力の高さに加えて、俺は修行によって極限まで身体を鍛えている。さっきの剣の攻撃みたいに、生半可な攻撃は通用しないぜ」

 

周の種族であるメタル族とは魔界で数多く存在する種族の中の一つである。

周が述べた通り、メタル族は生まれ持った防御力の高さに加えて、優れた格闘センスを持っている。

さらにメタル族には戦闘を好む血気盛んな者が多く、メタル族=戦闘民族としてのイメージが魔界では浸透していた。

周はそのメタル族の中でも最強の力を持つ妖怪なのである。

 

「邪眼師のチビ、お前の能力は確か、魔界の炎を操る邪王炎殺拳だったよな?」

 

周は飛影の能力について問いかける。

 

「ああ」

 

「俺は長年生きているだけに、色々な能力や技を持った野郎と戦ってきたが、邪王炎殺拳の使い手はお前が初めてだ。思いっきりお前との喧嘩を楽しませてもらうぜ」

 

周はまさに戦いを心の底から楽しむ戦闘マニア。

 

(喧嘩だと?)

 

シュルシュルシュル

 

右腕に巻いていた包帯をほどく飛影。

そして直ぐに右手に妖気を集中し始めた。

 

「おっ、それは?」

 

飛影の最強の技である黒龍波である。

体内に黒龍を取り込むべく黒龍の召喚を始めた。

 

ピカーー

 

それと同時に飛影の右胸の紋章から光が放たれた。

 

――選手たちの休憩所

 

「飛影の奴、いきなり黒龍波か。相手が相手だけに仕方ねーけど、最初からあんなに妖力を使って大丈夫か?」

 

身体に大きな負担のかかる飛影の黒龍波の特性を知る幽助は心配していた。 

 

「飛影のあの胸の紋章の光は何だ?」

 

驚き続ける幽助とは対称的に、禁呪法の意味を知る躯は冷静に戦局を分析。

 

「早速、黒龍波を使うつもりか。あの禁呪法がこれから絶大なる効果を発揮する。飛影が本格的に使い始めたらこの試合は意外と早く決着がつくかもな」

 

――Bブロック

 

「ハァァ!!!」

 

ドゥォォォォォォ!!!!


飛影は上空に向かって黒龍波を放つ。

上空に放たれた黒龍は術者である飛影に向かってくる。

そして。

 

カーー!!!!!

 

ズンン

 

飛影は体内に黒龍を取り込む。

その結果、攻撃力、防御力、妖力を爆発的に上昇させた。

 

「行くぞ」

 

「スゲー妖気だな。こいつは倒しがいがあるぜ」

 

スッ

 

再び両者は構えて、戦闘態勢に入る。

 

「俺も一つだけ言わせてもらうぞ」

 

「何だ?」

 

ズキューン!!!

 

飛影は高速で動いて一気に周に向かって行く。

そして周に接近して、無表情な顔で一言。

 

「お前もチビだ」

 

(!)

 

ビューン!!!

 

素早い飛影のパンチ。

周はニヤリと不敵な笑みを見せる。

 

(こいつ……!)

 

バキッ!!

 

周の顔面にまともに直撃。


ザザザ……

 

一撃を受けて後ずさる周。


「お前、今の一撃をワザと受けたな」

 

周を鋭い目で睨む。

 

「本気を出したお前の一撃がどのぐらいの威力か知っておきたかったからよ」


周は唇の血を右手で拭うと、飛影にかかってこいと言わんばかりに手で挑発する。

 

「それだけの強さなら、お前も俺の喧嘩仲間にもなれるぜ」

 

「お断りだ」

 

ズキューン!!!!!

 

飛影は再び周に向かって行く。

 

「俺を甘くみない事だ」

 

周は向かって来る飛影に答える。

 

「甘くみてねーぞ。今の一撃は本当にかなりのもんだ。俺の喧嘩仲間達といい勝負だぜ」

 

ドガーン!!!

 

飛影の拳と周の拳が接触

巨大な力を放出している者同士の凄まじい力がぶつかった衝撃が辺り一面に伝わる。

それを合図に飛影と周の激しい肉弾戦が始まる。

飛影と周は防御はおかまいなしに殴りあう。

攻撃力は飛影が周を上回り、防御力は周が飛影を上回っていた。

現状、肉弾戦はほとんど互角とも言える。

 

――選手たちの休憩所

 

スクリーンに映し出されている両者の戦いを見つめる棗。

その隣には才蔵がいる。

 

「周の奴、楽しそうに戦っているようね」

 

「あいつらはまだ自分の能力である技を使ってきていない。今の所は互角といった所だ。この戦いは、それぞれの技を出した時、大きく動き出すだろう」

 

――Bブロック

 

激しく攻撃を撃ち合う二人であったが、飛影がここで魔界の炎を使い始めた。

 

ボォォォォォ!!!!!

 

飛影の両手に魔界の炎を宿る。

 

「邪王炎殺煉獄焦」

 

(両方の手に魔界の炎を宿している。こいつは打撃技みたいだな)

 

周は瞬時に飛影の技を分析。

 

ズドドドドド!!!!!

 

周の胸部を狙った飛影の高速の連打。

 

スッ

 

周は素早く、両腕をクロスさせて身体を守る様に防御スタイルに切り替える。

 

ガガガガガガ!!!!!!


クロスさせた両腕に煉獄焦を受ける事でダメージを最小限に抑えた。

 

ズドドドドド!!!!!

 

飛影は無言で煉獄焦を周に放ち続ける。

 

(俺もそろそろ技を使うとするか)

 

周は飛影の攻撃を防御しながら何かを狙っていた。

 

ズドドドドド!!!!!

 

「一発一発が結構、重たいぜ」

 

飛影の煉獄焦の連打の前に防戦一方の周。

だが、攻撃を続ける飛影の表情は優れない。

 

(チッ、俺の煉獄焦を完全に防いでいやがる)

 

飛影はまだ気付いていなかった。

周の身体の色が徐々に変化している事に。

そして。

今まで防戦一方であった周がついに行動を起こす。

クロスしていた両手を横に広げたのだ。

 

(何!?)

 

突然の予想外の行動に驚く。

 

ガガガガガガ!!!!

 

防御を周が止めた為に、飛影の煉獄焦が周の身体に直撃。

 

「ぐっ………」

 

周の身体に攻撃を加えた方の飛影の顔が何故か一瞬、歪んだ。

飛影の両手の拳から血が流れる。

煉獄焦が周の身体によって弾かれたのだ。


「なるほどな」

 

周は飛影の攻撃を防ぎながら、徐々に全身に妖気を伝えていた。

それは二つの目的の為。

今、煉獄焦を弾いた様にさらに防御力を高める為に。

防御力を高めたその身体は鋼鉄化していた。

そして周のもう一つの目的とは。

 

「ようやく完成したぜ」


ボォォォォォ!!!!!

 

周の全身に炎が燃え上がる。

もう一つの目的、それは全身に炎の妖気を宿す事。

飛影の邪王炎殺拳は魔界の炎を扱うのに対して、周は己の持つ妖気から炎を作り出していた。

 

「お前も炎術師か」

 

「そういう事だ」

 

フッ

 

周が飛影に接近。

周の両手に妖気の炎が宿る。

 

「鉄火爆裂拳」

 

ボォォォォォォ!!!!!


周の両腕に凄まじいまでの炎が燃える。

 

「オラオラオラ!!!!!」

 

ズドドドドド!!!!!

 

(!!)

 

全身の鋼鉄化によって拳は強化。

そして両手に燃える炎。

二つが合わさる時にこの技は強力な技となる。

その強力な技が飛影の腹部にヒット。

十数発の炎のパンチを撃ち込まれる。

 

「ぐわァァァァァ!!!」

 

ヒューー!!!

 

攻撃を受けた衝撃で飛影の小さな身体は吹き飛ばされたが、右手で地面を擦って、これ以上、飛ばされるのを防いだ。

 

(チッ、なかなかやる!)

 

飛影が前を向くと周が既に接近していた。 

 

(!!)

 

「さっきまでは妖気が伝わるまで防戦一方だったが、技が完成した以上はどんどん俺は行くぜ」 

 

そして再び、鉄火爆裂拳を放つ。

 

「オラオラオラオラ!!!!!」

 

ズドドドドド!!!!!

 

鋼鉄化した炎の拳の連打。


「ナメるな!!!!」


ズドドドドド!!!!!

 

飛影は直撃を受ける前に邪王炎殺煉獄焦で素早く応戦。

凄まじいまでの連打を放つ。

ぶつかり合う魔界の炎の連打と妖気の炎の連打。

 

「ウォォォォォ!!!!!」

 

互角の拳。

 

邪王炎殺煉獄焦と鉄火爆裂拳は数十発に及ぶ撃ち合い。

 

バッ

 

互角の撃ち合いをしていた両者はバックジャンプで距離を取った。

 

「チッ、お前との撃ち合いは俺の方が不利のようだ」 

 

黒龍波を体内に取り込み、攻撃力を上げ、そして魔界の炎を拳に宿している飛影であったが、鋼鉄化している周の拳に生身の飛影の拳がぶつかる事で拳をボロボロにしていたのだ。


「仕方がない。もう少しこの技は取っておきたかったが、そうはいかないようだ」

 

飛影はそう言うと右手に妖気を集中。

再び黒龍波を放とうとしていた。

 

ピカーー

 

そして飛影の右胸に現れていた紋章が強い光を放ち始めた。

 

眩しさで周の目が眩む。

 

「またあの光か」

(あれは一体なんだ)

 

――選手たちの休憩所

 

黒龍波二発目!?それにさっきと同じ光だ!」


驚く幽助に躯が近付いて来た。

 

「躯」

幽助も躯に気付く。

 

「飛影の右胸から放たれた光は禁呪法を使った光だ」

 

「禁呪法?」

 

「あの禁呪法は飛影が命懸けで身に付けたものだ。あいつの禁呪法の能力は膨大な力を消耗する技を使う時に多いに役立つ」

 

「躯、どんな効果なんだよ?」

 

「飛影から聞いた話しだが、技を使った時に消耗する妖気を100分の1以下にする事が出来る。身体に負担の激しい黒龍波をいくら放とうが、殆ど身体に影響がないはずだ」

 

「だったら黒龍波の連発も可能って事か……」

 

(御堂から得る力は自分の思うままの理想の力を得られる。黒龍波を何発も撃てる飛影は魔界でもかなりの上位妖怪になっている)

 

「スゲーよ飛影」

 

スクリーンに映し出されている今の飛影の姿を見て、幽助は少し興奮していた。

 

(あの禁呪法を身につけた飛影は全力を出した俺と互角に戦えるかも知れないな) 

躯は真剣な目でスクリーンに映し出されている飛影を見た。

 

――Bブロック

 

飛影の右手にはいつでも黒龍波を放つ準備が整っていた。

 

「こいつを見ろ」

 

自分の右胸の紋章を指差す。

 

「胸の変な紋章が何だっていうんだ?」

 

「俺は極めていた自身の最強の技である黒龍波をさらにこの数日の間に様々な形に進化させる事に成功した」

 

無表情な顔で周に説明する飛影。

 

「この胸の紋章・魔封紋のおかげでな」

 

ブォォォォォォ!!!!!


どんどん巨大になる飛影の妖気。

 

 

「喜べ、お前が魔界で進化した黒龍波の犠牲者第1号だ」 

不敵な笑みを浮かべる飛影。

 

「スゲー妖気だ。なんか危険な香りがする」

 

スッ

 

周は構える。

飛影の凄まじい妖気が身体にビシビシと伝わってくる。

メタル族の戦士としての血が騒ぐ。

 

「面白い!本当に俺が犠牲者になるかどうか試してやる」

 

飛影、ニヤリ。

「行くぜ!!」

 

数ある進化した新生黒龍波の技の一つがついにベールを脱ぐ。

 

続く

 

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