nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #081「再戦!幽助vs陣(大会編)」

――魔界統一トーナメントのAブロックの一回戦・第十四試合

 

浦飯(うらめし)
×
陣 (じん) 

 

Aブロックの闘場の中央付近で両者が対峙している。

 

幽助と陣はお互いの目を黙って見ている。

そんな沈黙の中で先に口を開いたのは陣だった。

 

「幽助ー、これを見てみろ」

 

陣は自分の立っている耳を指差して幽助に見せる。

 

「おめーの耳が立つ話しはもう聞き飽きたぞ」

幽助は苦笑いを浮かべてもしっかりと陣の耳は見ている。


「それがいつもと違うんだ。耳がいつものビンビンよりさらに立っているんだ」

 

困った顔でポリポリと頭を掻く幽助。

「俺には違いがよく分からねーぞ」

 

「分かんないか?まあいいや。とにかく幽助と今から戦うっていうから最高に興奮しているんだって俺は言いたかったんだ」

 

「俺も陣と今から戦うのは最高に楽しみだぜ」

 

陣、ニコリ。

「暗黒武術会じゃあ負けたけど今回は負けないぞ」

 

「もう一回負かしてやるぜ」

 

審判が上空で両者の様子を見る。

「Aブロックの第十四試合の浦飯選手と陣選手の試合を始めます」 

 

――選手たちの休憩所

 

蔵馬と桑原はスクリーンに釘付け。

「注目の対決の始まりですね」

 

「暗黒武術会での対決以来だな。実を言うと俺は浦飯と陣が戦うのを見てねーんだ」

 

「そうでしたね。桑原君は幽助と陣が戦っていた時はまだ気を失っていたんだっけ」

 

飛影が間に入ってきた。

「お前はイチガキに操られていた人間共にぼろ雑巾みたいにされていたな」


「ぼろ雑巾は余計だ、コラァ!」

 

「事実だ」

 

「うがー!!」

 

いつものごとく喧嘩を始める。

 

蔵馬は苦笑い。

(この二人は仲が良いのか悪いのかよく分からないな) 

彼等の喧嘩を楽しそうに傍観。

 

試合に敗れた鈴駒も休憩所に戻ってきていた。

酔と一緒にスクリーンを見ている。

 

「鈴駒、見てみろ。陣のあの顔。あいつ、本当に嬉しそうだな」

 

鈴駒、ニコリ。

「待望の幽助との対戦だからね」

 

「幽助と俺も戦いてーな」

 

「ニヒヒ、今度も戦ったら負けるんじゃあないの?」

 

「フン、棗さんLOVEという強い思いを胸に俺は死ぬ気で特訓してきたんだからな。幽助には負けねー」

 

鈴駒は楽しそうに酔をからかう。

「あ~あ、バトルマニアの酎が、“棗さんLOVE”って恥ずかしいセリフを平気で言えるようになったなんて、おいらは悲しいよ」


酎は顔から耳まで真っ赤になる。

「うるせーぞ!俺は棗さんが大好きなんだからLOVEって言ったっていいだろうが」

 

酎の馬鹿でかい声が休憩所に響き渡る。

 

バゴッ

 

「おおー!?」

 

棗の鉄拳が酎の顔面にめり込む。

 

棗、ニコリ。

「ちょっと黙ってなさい」

 

「は……い……」

 

ドタッ

 

酎はその場に崩れ落ちるように倒れた。

 

「大きい声で恥ずかしいたらありゃしないわ」

棗は顔を真っ赤にしてのびている酎を見下ろした。

 

「ち、酎が……」

 

ギロリと鈴駒を睨む。
「何か文句ある!」

 

「あ、あはは……」

棗の鬼の形相に笑って誤魔化すしかなかった。

 

黄泉親子も幽助の試合を注目していた。

「幽助がいよいよ戦うな。パパは人間界であいつが戦うとこを見ていたんだよね」

 

「ああ。比羅と戦う所を少々な」

 

「パパ、正直に話してよ。僕と幽助はパパの目から見てどっちが今の段階で上なの?」

 

黄泉は修羅の頭を撫でる。

「フッ、それはこの試合を見てお前自身が見極めろ」

 

修羅、頷く。

「分かったよ、パパ。僕は幽助にだけは絶対に負けたくないんだ」

 

「浦飯の戦いをよく見ておくのだ。あいつの戦いを見ているだけでお前はプラスになるはずだ」

 

「うん」

 

修羅は幽助たちの映るスクリーンを真剣な目で見た。

 

――Aブロック

 

「始め!!」

審判の試合開始の合図の声が響き渡る。

 

「幽助、本当にわくわくするな~」

陣は満面の笑み。

子供のようにはしゃいでいる。

 

「だな。気持が凄く高ぶるぜ」

幽助も陣と同様の気持のようだ。

 

「おめーが相手だからって遠慮はしねーぞ」

 

「もちろんだ」

 

グッ!

 

お互いに構えて戦闘態勢に入る。


「さあ、おっ始めようぜ!!」

 

「おう!」

 

ズキューン

 

幽助と陣は同時に駆け出した。

お互いに間合いに入る。

 

「おらー!!」

 

ビューン!!!

 

陣に近づくと先制攻撃とばかりに顔面に一撃を放つ。


ガッ

 

陣は素早く手で幽助の攻撃をガード。

 

「うらーー!!!」

 

ダダダダダダダダダ!!!


幽助は陣のガードに構わず交互に両手でパンチを放ち続けた。

 

「おっととと」

 

ガガガガガガ

 

陣も幽助の激しい連打を素早くガード。

 

ビリビリビリ

 

(流石は幽助だ!パンチがめちゃめちゃ重てーぞ)


ヒュゴォォォォォォォォ

 

(風か!?)

 

幽助の攻撃をガードしながら陣はいつの間にか、風を自分の周りに呼び寄せていた。

 

ブォォォォォォォ!!!

 

「わおー」 

 

凄まじい突風に煽られて幽助の身体が吹き飛ばされる。

 

ザザザ

 

幽助は地面を手で擦り、ブレーキをかける。

 

「前に戦った時よりも一段と風が強いな」

 

「へへへ」

 

フワーっと陣の身体が宙に浮き始めた。

 

ギュウウウウウウ

 

陣の身体が空高く舞い上がる。

幽助は空を見上げた。

 

「あの風は厄介だぜ」


――Aブロックの上空

 

ヒュゥゥゥゥ!!!!

 

上空では強い風が吹き荒れている。

風でなびく髪の毛を押さえた。

 

「ここの風は結構、荒々しい風だなー」

 

空中で静止した状態で地上にいる幽助を見下ろす。

 

「ここの荒々しい風も俺は嫌いじゃねーぞ」

 

クイクイ

 

右腕を軽く上下に降る。

 

グルングルン

 

そして右腕を回し始めた。

 

ギュルルルルル

 

陣の右腕は竜巻を作りだす。

 

ゴゴゴ!!!!

 

陣の得意技、修羅旋風拳である。

 

「幽助ェェェ!!!行くだぞォォォォォォ!!」

 

陣の大声が闘場に響き渡る。

 

――Aブロックの地上

 

幽助「おうっ!」

 

陣の声を聞いて幽助も大声で叫ぶ。

 

「さてと」

 

スッ

 

幽助は右手で銃の形を作り、指先に妖気を集中する。


キュンンンンンンン

 

指先に妖気が集まる。

 

「さあ、来やがれ」

 

――Aブロックの上空

 

ゴゴゴ!!!!!!!!

 

陣の腕の竜巻が暗黒武術会の時よりさらに高速回転で回っている。 

 

「修羅旋風拳!!!」 

 

ギュウウウウウウ

 

右腕に竜巻を作り出した陣が地上の幽助に向かって急降下。

 

グォォォォ!!!

 

竜巻を宿した一撃が幽助に放たれる。

 

「よっ」

 

バッ

 

素早くジャンプして修羅旋風拳をかわす。

 

ズガァァァ!!!

 

陣の一撃で地面に巨大な穴が空く。

 

「スゲーな。また一段と威力が上がってるぜ」

 

ギュウウウウウ

 

陣が直ぐに空中の幽助に向かって来る。

 

(お~速い!)

 

「空中戦ではおらに勝てねーぞ」

 

バキッ!!!!

 

陣が幽助の顔面を殴る。

「うっ!」

 

ピューーーーー!!!!

 

ドガァァァ!!!

 

地面に叩きつけられた。

 

「痛てて」

 

陣に殴られた頬を擦る。

 

「へへへ、仙水と戦っていた頃の俺なら即死だな」

 

幽助は立ち上がるとジャンプして、陣と少し離れた位置に着地した。

 

「陣、来やがれ」

 

ヒュゥゥゥゥ


陣、ニコリ。

「もちろんだ」

 

ギュウウウウウウ

 

陣は風に乗り幽助に突進していく。

 

「行くだぞー」

 

グォォォォォ!!

 

「おらー!」

 

ガシッ

 

ズン!!

 

幽助はその場に踏み止まり、陣の拳を左手で受け止めた。 

 

グググ……

 

攻撃する陣と受け止める側の幽助。

お互いの力が拮抗している。

 

スッ

 

幽助は右手を妖丸を放つ構えで陣の顔に向ける。

 

(妖丸か!?)

 

キュンンンンンン

 

「くらいやがれー!!」

 

「させねーぞ!!」

 

クイクイ

 

陣は左足を素早く上下に踏ると左足に竜巻が作り出された。

 

ゴゴゴ!!!

 

「陣の足にも竜巻が!?」

 

「修羅旋風脚だァァァ!!!!」

 

グォォォォォ!!!

 

(やべえ!!)

 

ドガァァァァァァ!!!

 

まずは陣の新たな技・修羅旋風脚が幽助に炸裂した。

 

続く

 

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