nanaseの世界

このブログは週間少年ジャンプで連載していた、冨樫義博先生の原作漫画の幽✩遊☆白書の続編小説を中心に、映画のレビューや日々の出来事をメインにしています。

小説更新!!最新話公開中 幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #108「二回戦最終試合・凍矢vs戸熊(大会編)」

幽☆遊☆白書~2ND STAGE~ #080「チビッ子?対決の決着(大会編)」

――Aブロック闘場内にある深い森

 

「あいつは何処に行ったんだ?」

 

修羅は森の中で鈴駒の姿を見失なっていた。

 

ザッザッザッ

 

修羅は暗く深い森を歩いてゆっくりと進んで行く。

 

「結構、深い森だ」


修羅が深い森と言うほど、闘場に設置されている森は険しく、数えきれないほどの、魔界の独特の木や草花に囲まれており、夜のような暗さで不気味な雰囲気を醸し出していた。

 

――選手たちの休憩所

 

凍矢と陣は鈴駒の意外な行動を不思議そうに見ていた。

はたから見たら森に逃げたようにも見えるだろう。

彼等は鈴駒には何か考えがあるのだろうと思っていた。

 

「しかし鈴駒は闘場の森に何をしに行ったんだ?」

 

「酔は何か知らないか?」

 

酎は鈴駒の考えに気付く。

「鈴駒の奴、もしかしてあの技を使うつもりか」

 

陣が聞き返した。

「あの技?鈴駒は酎と修行をしていたんだよな。鈴駒は何か新しい技を編み出したのか?」

 

酔は頷くと腕を組んだ。

「ああ。俺が思っている通りの技だったら、あれは中々強力だぞ」

 

「どんな技か楽しみだなー」

陣は興味津々にスクリーンに映る鈴駒の姿を見た。

 

だが、酔は内心では、鈴駒の敗北を予感していた。

(ヨーヨーを失ったあいつが修羅と戦うにはもうあれしかない。だが、修羅にこれが通用しないなら鈴駒は確実に負けるぞ)

 

――Aブロック

 

深い森の中を進む修羅を巨木の上から見つめる視線が一つ。 

 

(来たな) 

 

バッ!

 

鈴駒が巨木から飛び出して地面に着地した。

 

「現れたな」

 

鈴駒は修羅を指差す。

「修羅!これが最後の勝負だ」

 

「逃げたのかと思ったよ」

 

「そんなわけないだろ、ここにお前を誘き寄せただけだ」

 

修羅は森の中を見渡した。


修羅、ニコリ。

「なるほどね」

 

「へへっ。暗い森だから分からないだろう?おいらはこの森にちょっとした仕掛けをさせてもらったよ」 

 

「仕掛け?ここで何を企んでいるのか知らないけど、僕には防御壁があるから下手な小細工は通用しないぞ」

 

「悔しいけど妖力ではおいらは修羅に勝てない。ヨーヨも失ってしまった。でも今のおいらがお前を倒すにはもうこの技しかない」

 

「バーカ。何をしたって僕を倒すのは無理だよ」 

修羅は鈴駒に余裕の顔を見せる。

自分の強さに自信があるといったところだ。

 

鈴駒、ニヤリ。

「確かに修羅は俺より遥かに強い。だけどさ、俺はお前を倒してやるさ!おいらが手を挙げると仕掛けは発動する」

 

スッ

 

鈴駒はそう言うと右手を上に挙げた。

 

ピーーン

 

何かを張ったような不気味な音が聞こえてきた。

 

「何の音?」

 

「修羅、これでお前の動きを封じた」

 

「今何かしたみたいだけど、僕の動きを封じられるわけないじゃんか」

 

バッ

 

修羅は鈴駒の言葉を気にせずに上に向かってジャンプした。

 

ビリビリビリ!!!!!

 

「うわァァァ」

 

修羅の全身に強い電流が流れるような激しい痛みが走った。


「くっ!」

 

修羅はたまらず地面に着地した。

 

「びっくりした。今のは何が起きたんだ?僕の身体に激しい痛みと痺れを感じた」

 

修羅は目を丸くしてかなり驚いていたようだ。

鈴駒は上手くいった事に手をグッと握り締めた。

 

「動きを封じたと言っただろ」

 

修羅は上を見上げた。

「僕の周りに何を使っているのか分からないけど、結界のような物を張り巡らして、そこにお前の強力な妖気を流しているみたいだね」


「まあね。正解だよ。そしてこれがおいらのヨーヨーに代わる新しい武器だ」

 

ザン

 

鈴駒は修羅に小さな独楽(こま)を見せる。

 

「独楽?ヨーヨーに続いてまたそんな玩具をだすの」

 

「へへへ、これがおいらの新技・魔独楽だ」

 

――選手たちの休憩所

 

「独楽って、あんなものを武器にするのか!?」

桑原は鈴駒の出した武器が独楽って事に驚いていた。

 

幽助、ニヤリ。

「鈴駒の奴、結界を張るとは考えたな」

 

「あれっ?」

桑原は急に周辺を見渡し始めた。

 

「そういえば、黄泉の奴の姿がいつの間にか見えないが?」

 

蔵馬が答える。

「黄泉なら修羅が鈴駒のヨーヨーを破壊するちょっと前ぐらいに自分の試合に行きましたよ」

 

幽助、ちょっと呆れ顔。

「桑原、黄泉がいなくなったのに気付かなかったのかよ」

 

「いつの間に……」

さっきまで一緒にいた黄泉の姿がいつの間にか消えていることに全く気付かなかったのだ。

 

「黄泉がいなくなったのに気付かないなんて、鈴駒の試合によっぽど、夢中になっていたんだな」

 

蔵馬、ニコリ。

「桑原君は鈴駒と暗黒武術会で戦いましたから、鈴駒の試合はかなり気になるでしょう」

 

「あいつとは同じブロックだしよー。戦えるならあいつとまた戦いたいぜ」


「鈴駒が修羅に勝ったとしても彼と対戦するまでに、二回戦で武威、三回戦では恐らく時雨が勝ち上がってくるだろうから彼等を倒さないといけないですよ」


「時雨も同じブロックだった……すっかり忘れていたぜ」

(ま……、時雨と戦えるのは嬉しいけどよー)

 

桑原はフゥーっとため息をついた。

 

幽助が声を上げた。

「おい、おめーら鈴駒が仕掛けたぞ」


「おっ!」

 

「決着は近いかもしれませんね」

 

幽助たちはスクリーンに映る両者の姿に注目した。

 

――Aブロック

 

ビュー!

 

鈴駒は独楽を空中に向けて投げた。

 

シュゴー!!

 

投げた独楽は空中で回転し始める。

 

「な、何で!?」

 

修羅は驚愕。

 

何と鈴駒の独楽は空中で回りながら進んでいたのだ。


鈴駒の目が鋭くなる。

「行けー!」

 

鈴駒の声が森に響き渡った。

独楽は空中で回りながら徐々に修羅に向かっていく。

 

グォォォォォ!!

 

「お前はその場から動こうにも結界の位置が分からないから防御壁を張るタイミングが分からないはず。下手に動くとさっきみたいになるぞ」

 

だが、修羅は至って冷静だった。

(この場から動かずに、独楽が僕に攻撃してくるまで待ってから防御壁で防ぐまでだ)

 

「修羅!!最後の勝負だ!」

 

ズキューン

 

鈴駒は修羅に自らも向かっていった。

 

(なるほどね)

 

(防御壁でおいらの攻撃が防がれたとしても、この一撃で防御壁は消える。その消えた瞬間を独楽が狙う。おいらには結界の位置は分かるからな)


ビューン!!

 

鈴駒は修羅に鋭いパンチを放つ。

 

修羅の顔が真剣になった。

「お前の考えは分かるよ。僕を甘くみないでよ」


バッ!

 

修羅は張り巡らせた結界に向かってジャンプして鈴駒の攻撃をかわした。

 

修羅の予想外の行動に鈴駒は慌てた。

「な、自ら結界に!?」

 

結界がある為にその場から修羅が動かないとふんでいた鈴駒は流石に驚くしかなかった。

そして結界に触れた修羅は……。

 

ビリビリビリ!!!

 

さっきと同じく修羅の身体に鈴駒の流した妖気が流れ込む。

 

修羅、ニヤリ。

「僕が自ら結界に飛び込むなんて驚いただろ?」

 

グッ

 

結界によるダメージを受けながらも空中で妖気を集中し始めた。

 

「ヤァァァァァァ!!」

 

激しい痛みを空中で耐える。

だが、修羅の妖気はどんどん上昇していく。

 

鈴駒は呆然としていた。

「嘘だろ……」

 

「さっきはいきなりで驚いたけど、パパとの修行に比べたらこの程度のダメージなんか楽勝で耐えられるよ」


パシッ

 

そして修羅は妖気を身体に流されながらも結界の元になっているものを手で掴んだ。

 

「なるほどね。黒色の糸を妖気で硬化してから張り巡らしていたわけだ。暗がりだから分からないはずだよ」

 

鈴駒の放った独楽は、結界を張る為に張り巡らしていた硬化した黒い糸の上を回りながら辿り、修羅に迫っていたのだった。 

 

グォォォォォ!!

 

独楽が修羅に迫る。


「こんな結界と独楽など」

 

ググッ

 

修羅の身体から妖気の光が溢れ出てくる。 

 

「全力だーーー!!!森と共に消し飛べーー」

 

バーン

 

修羅は空中で両手を左右に大きく広げると妖気を一気に解放した。

 

「や、やばいよ!!!!」

 


ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!

 

Aブロックの闘場に設置された森は大爆発を起こして、独楽と結界、さらに鈴駒までも消し飛ばしたのだった。

 

――メイン会場

 

小兎がヒートアップ。

「修羅選手の解放した妖気でAブロックの闘場の森が全て消し飛びましたァァァァァァ!!!!!」 


流石が大声で叫んだ。

「鈴駒ちゃん!!!!!!!」

 

――選手たちの休憩所

 

酎がスクリーンに映し出される光景に呆然としていた。

「り、鈴駒!?」

 

陣と凍矢も酔と同様に呆然としている。

「修羅、あいつは本当にすげー奴だぞ……」

 

「鈴駒の新技も全く通用しないとはな……」

 

幽助は修羅の妖気を感じて、ニコリ。

「あれが修羅の全力の力か」

 

桑原は鈴駒の身を案じていた。

「鈴駒の奴は大丈夫か!?」

 

――Aブロック

 

ピキーン

 

修羅の身体の周りには魔古忌流煉破反衝壁が張られていた。

修羅は自ら放った妖気の爆発を反衝壁で吸収しながら身を守っていたのだ。

 

「フゥ~っ」

 

修羅は地面に着地した。 


修羅辺りを見回して、ニコリ

「やり過ぎちゃったかな」

 

既に森の姿は完全に無くなり、焼けた後しか残っていなかった。 

 

「修羅」

 

修羅の腕には鈴駒の姿があった。

 

スッ

 

修羅は鈴駒を地面に下ろした。

 

「なんで、おいらを助けたんだ?」

 

「なんとなくだよ。でもあえていえばお前とはまた戦いたいと思ったからかな」

 

鈴駒は目を閉じて微笑んだ。

「おいらの完敗だ」

 

鈴駒は修羅に自らの敗北を認めた。

 

両者の様子を上空の審判が確認。

「Aブロックの第七試合は修羅選手の勝利です!!」

 

審判が修羅の勝利を宣言した。

 

――メイン会場

 

「あーと!鈴駒選手が自らの敗北を認め、修羅選手の二回戦への進出が決まりましたァァァ!!!」

 

流石は鈴駒の無事が分かり、涙顔で安心していた。

「負けたのは残念だけど、鈴駒ちゃんが無事で良かった……」

 

――選手たちの休憩所

 

幽助はちょっと驚いていた。

「あの修羅が鈴駒を助けるとはな」

 

蔵馬、ニコリ。

「彼も成長しているわけですよ」

 

桑原はちょっと青い顔をしていた。

「小僧と人間界で会った時はかなりスゲー奴だとは思っていたがここまで強いとは……」

 

「彼の全力の妖気を見て幽助はどう思った?戦ったら勝てそうか?」

 

「かなりの強敵には間違いないが、黄泉ほどではねーからな。多分大丈夫だ」


幽助がスクリーンに目をやると試合を一撃で決めていた黄泉の姿が映っていた。

 

――Aブロック

 

「子供扱いして悪かったな」

鈴駒は素直に頭を下げた。

 

修羅、ニコリ。

「分かればよろしい。これからは言葉に気をつけろよ」

修羅は勝ち誇った笑顔。

 

鈴駒、顔をしかめる。

「やっぱ本当に可愛いくないガキだな」

 

「あー、またガキって言ったなァァァ!」

 

鈴駒、ニヤリ。

「すぐにムキになるのがガキの証拠だ」

 

「お前なんか助けるんじゃあなかったよ」

 

「なにおう」

 

バチバチバチ

 

鈴駒と修羅は互いに顔を近づけて目から火花を飛び散らす。

注目の対決は最終的に修羅の圧倒的な強さを見せつける結果となった。

修羅はこの後も試合を重ねて急激に成長していくことになる。 

そして一回戦はさらに進み、もうすぐあの男たちの再戦が行われようとしていた。

 

浦飯(うらめし)
×
陣(じん)

 

続く

 

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